Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

親切なクムジャさん

2013-01-01 | 映画(さ行)

■「親切なクムジャさん/Sympathy For Lady Vengeance」(2005年・韓国)

監督=パク・チャヌク
主演=イ・ヨンエ チェ・ミンシク クォン・イェヨン

ここ数年僕は復讐するヒロインに魅了されっぱなしだ。それは言うまでもなく一昨年の「キル・ビル」から始まっている。そしてタランティーノが審査員長を務めたカンヌ映画祭でパルムドールを獲得した復讐ものの極み「オールド・ボーイ」。荒々しくも美しい映像美と復讐に燃える主人公の一途さに感動した。そのパク・チャムク監督の新作がこれだ。新たなる復讐ヒロインはイ・ヨンエ。僕はTVドラマ「チャングムの誓い」はお気に入りで(というかイ・ヨンエに惚れました)、彼女が血まみれの復讐ヒロインを演ずることに魅力を感じて劇場へ足を運んだのは言うまでもない。「チャングム」だって広義の復讐ものと呼べるしね。

 復讐を遂げたとき、人はどんな表情を見せるのだろう。チェ・ミンシクを被害者家族と寄ってたかって死に至らしめる場面。被害者家族の誰もが、犯人への怒り、被害者の子供を思う悲しみ、どんな形であれ人を手にかけてしまう怖さをありありと表現していた。だが、イ・ヨンエ演ずるクムジャはいたって冷静。だが死体を始末する場面で彼女の感情は再び高まりを見せ、物言わぬ死体に銃弾を撃ち込む。僕はこの後の何とも表現しがたい彼女の表情が目に焼き付いて離れない。それは「キル・ビルvol.2」のラストシーンでユマ・サーマンが見せた泣き笑いを思い出させる。劇中クムジャは「私が天使だとしたら、あの残酷なことをしたときに天使はどこにいたのでしょう」と言うが、あの短いカットの表情に、僕は悪魔が天使に戻ろうとする瞬間を見た気がしたのだ。普通の美人女優なら絶対にしないようなイ・ヨンエの熱演が、クムジャというヒロイン像を激しく増幅させているのだ。

 前作以上に過剰になった映像の遊びもこの映画の魅力でもある。後光が差しているイ・ヨンエには吹き出しそうになったし、痛ましく思える場面にも随所にユーモアが散りばめられている。オープニングの白い粉と赤いソースが血にみたてられるようなデザインは「アメリカン・サイコ」に似ている・・・とも思ったけど。刑務所での数々のエピソードや個性的な受刑者たち。「オールド・ボーイ」を見ているとおおぉ・・・と思える仕掛けもあるからそこも見逃せない。劇場を出た僕は緊張から解放された後の脱力感を感じていたが、何故か不思議な達成感のような気持ちがあった。



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コーラスが素晴らしい洋楽10選

2013-01-01 | 音楽
今回は洋楽ファンでガンダムファンでTM Networkファン同士の元同僚ともちんとの共同企画。コーラスがかっちょいい洋楽を10曲選んでみよう、というお誘いだ。

分厚いコーラスを聴かせる曲もあれば、掛け合いが見事な曲もある。サビだけのハモりでもそれだけでとても印象的な曲もあれば、ソウルぽいコーラスもかっこいい。大学時代にバンドやってた頃は、ちょうどBand AidやUSA For Africaといったエイドものがあった頃。それとは違って、ヴォーカルがやたらたくさん必要な曲をやりたがったもんです。

それでは僕が選んだコーラスが素晴らしい洋楽10曲。

■I Get Around/The Bech Boys
ビーチボーイズを真剣に聴くようになったのは、大瀧詠一を聴き始めてから。だけど初めて聴いたビーチボーイズの曲は間違いなくこのI Get Around。中学生の頃かな、タイヤのCMで使われていたのを「月曜ロードショー」で初めて聴いた。曲の疾走感が好き。Fun, Fun, FunやThe Girl On The Beach、Good Vibrationも捨てがたいなぁ。


The T.A.M.I. Show: Beach Boys - "I Get Around"


■Leave It/Yes
ジョン・アンダーソンの超ハイトーンのヴォーカルが大好き。不思議な雰囲気のPVもナイス。名作「90125」に収録されたこの曲は、アカペラヴァージョンもある。実は最初に聴いたのがそっちだったんだよね。


Yes - Leave It (Official Music Video)


■Tonight Is What It Means To Be Young(今夜は青春)/Fire Inc.
分厚いコーラスを楽器のように使いこなすアレンジが得意なソングライター、ジム・スタインマン。日本では椎名恵がカヴァーした映画「ストリート・オブ・ファイヤー」の挿入歌。このライブ場面ばっかり何回観たかわからない。大学時代に選曲会議に出したら、ヴォーカルが10人くらい必要じゃん!と却下された。この曲演奏したかったなぁー。誰かやろう!。


Tonight Is What It Means To Be Young [Official Music Video] (Fire Inc.)


■Making Love Out Of Nothing At All(渚の誓い)/Air Supply
ジム・スタインマン楽曲からもう一曲。バックで盛り上げるコーラスには何度聴いても感激してしまう。この曲を無謀にも弾き語りしていたのは僕です。


Air Supply - Making Love Out Of Nothing At All (HQ Audio)(SOLID GOLD)


■Orinoco Flow/Enya
Anywhere Is や Carribean Blue も好きだけど、Orinoco Flowを初めて聴いたときの衝撃は忘れられない。これぞ歌声の力。


Enya - Orinoco Flow


■Take A Chance On Me/Abba
どの曲もコーラスワークが素晴らしいAbba。歌声がひたすら絡み続けるこの曲は一度聴いたら忘れられないインパクトがある。


ABBA Take A Chance On Me - (Live Switzerland '79) Swedish LP audio HD


■Tuxedo Junction/Manhattan Transfer
本物はやっぱりすごい。Twilight ZoneやAmerian Popのようなポップス路線で夢中になったなぁ。


Manhattan Transfer - Tuxedo Junction


■Hard Habit To Break/Chicago
シカゴのコーラスの厚さも素晴らしい。バラードの楽曲のよさはもちろんなのだが、複数のヴォーカルが絡み合うこの曲は特に印象的。分厚いコーラスなら Will You Still Love Me も好きだな。


Chicago 17 - Hard Habit To Break (1984)

■Africa/Toto
歌える人が複数いるバンドっていいよね。この曲のサビは誰のパートを歌ったら主旋律なんだろう。


Toto - Africa



■Somebody To Love/Queen
この企画はクィーンを選べ、と言ってるようなもの。Bohemian RhapsodyもBicycle Raceも好きだけど、ゴスペルのように感動的で素晴らしい楽曲となれば、やっぱりこの曲でしょ。全編歌声で満ちた大傑作。


Queen - somebody to love


HR/HM系はともちんが選んでくれるさ、きっと。
→ともちんのセレクトはこちら
あなたが歌の力を感じるようなコーラスワークの曲は何ですか?
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僕の好きなオフコース10選

2013-01-01 | 音楽
 仲良しのポップンポールさんと、近頃始めたばかりのtwitterで会話していて、もち上がった緊急企画。これまでも「好きな××10選」と題して、尾崎亜美YMOビリー・ジョエルなどやってまいりました。何故か今回はオフコース。しかしこれは僕にとっては自虐的な企画。中学生のときに好きだった女の子Cちゃんがオフコース熱烈ファンで、僕は彼女に振られて以来オフコースを封印していた。ボーリング場で「さよなら」が流れると動揺してガーターを連発するようになったり、CDショップで小田和正の声が聞こえると売り場を立ち去ったり。しばらくアンチオフコースを宣言していた。でもね。実はいろんな意味で好きだった楽曲はある。数年前に突然「愛をとめないで」が聴きたくなってレンタルして数日オフコースを取り憑かれたように聴き続けたことがある。やっぱり心のどこかに残ってるんだよね(その模様はこちら)。

■眠れぬ夜
上記のCちゃんと僕はクラスでも席が近かった。音楽の話題でよく話したっけ。彼女と初めてオフコースの話をしたとき話題に上ったのはこの曲。「詞がいいんよね」。あの頃聴く音楽って愛だの恋だのばかり。そういえばオフコース楽曲は”愛”がつくものが多い。でも「眠れぬ夜」はちょっと違う。
あれが愛の日々ならもういらない
愛にしばられて動けなくなる/何気ない言葉は傷つけてゆく
愛のない毎日は自由な毎日/誰も僕を責めたりできはしないさ
・・・愛って窮屈なもの。そういう感覚は恋に恋する年頃にはよくわからない。でもそれを感じさせるフレーズが、妙に心に残ったのは確かだ。愛は窮屈。それを僕に再び歌で聴かせることになるのは槇原敬之の「ANSWER」だったりするのだが。

■愛をとめないで
僕がオフコースの楽曲を初めてすごい!いい!と思ったのは「愛をとめないで」。今でもこの曲は究極のラブソングだと思うのね。歌うのは惜しみない愛情。それを告白する男の純なる心情が今聴いても胸を打つ。
僕が君の心の扉を叩いてる/君の心がそっとそっと揺れ始めてる
愛をとめないで/そこから逃げないで
僕の人生が二つに分かれてる/そのひとつがまっすぐに・・・
エンディングの余韻は何度聴いてもいいよね。起伏のあるアレンジは、一節にはボストンの影響とも言われているようだ。後にプログレ好きになる僕にとっては好きになって当然だったのかもしれない。ピアノで弾き語りしたいなぁ。

■思いのままに
伝わらない思いでも自分の思いにまっすぐ。そんな男の歌は僕らを恋愛に対してポジティブにしてくれる。この曲はそんな一曲。”歌に思いを託す”というシチュエーションは小田和正楽曲には多いよね。でもそれはとってもロマンティックだし、その気持ちは音楽を愛する人ならきっと共感できるはず。
ひとつの夢をいつも僕は追いかけてた/ひとつの歌にその夢をのせて歌った
君にはただの愛のうたも/僕にはこんなに切ない愛の調べ
君は君の歌うたえ/僕はこの思いを調べにのせて

■僕の贈り物
小田和正のやさしさを感じる曲、というと僕はすぐにこの曲を思い浮かべる。綴られた手紙のような詞に懐かしさを感じる穏やかなメロディーが心に残る。
冬と夏の間に春をおきました/だから春は少しだけ中途半端なのです
このころはなんとなく心楽しくて/知らないうちに誰かをすきになったりします
それでも好きな人ができなかった人のために/この歌は僕からあなたへの贈り物です
自分が秋生まれだからからか・・・「中途半端なのです」というフレーズに愛着があるんだよねぇ。

■一億の夜を越えて
実は鈴木康博の楽曲がかなり好き。こういうロック系の曲がオフコースの楽曲の幅を広げ、魅力を増しているよね。
いくつもの靴をはきすてた/いくつもの夜が流れた
誰かが言った回り道してる/いいさいいさもう迷わない耳をかさない
突っ走るだけ一億の夜を越えて/信じるがまま心叫ぶまま
この疾走感がたまらなかったなぁ。

■save the love
鈴木康博の曲でいちばん好きなのはやっぱりこれ!。8分間に及ぶ大作でカンサスやボストンを思わせるプログレ的な楽曲。
涙あふれるならあふれるままに/怒り止まらないなら戦うがいい
その繰り返される詞に初めて聴いたときは心を支えられたような気になったものだ。大学時代に友人がバンドでやろう!と言っていたけど実現しなかったなぁ。この曲はやっぱりライブ盤で聴きたい。

■生まれ来る子供たちのために
大ヒットした「さよなら」の後にリリースされたシングル。地味な印象だが、それだけ聴いて欲しかった曲。今この年齢になって改めてこの曲のよさ、書かれた意味がわかる気がする。あの頃は若すぎてわからなかった。オフコースが歌ってきた”愛”がいかに広いものだったのかを思い知らされる。
君よ/愛する人を守り給え
大きく手を広げて子供たちを抱き給え
ひとりまたひとり/友は集まるだろう
ひとりまたひとり/ひとりまたひとり

■たそがれ(ENDLESS NIGHTS)
大学時代同じアパートに住んでいた古くからの友人は熱烈なオフコースのファン。その頃僕は洋楽かぶれ時代で、またアンチオフコースを宣言していた。しかし彼のあまりの勧めにアルバムを聴かされたりすることになる。その中でとっても気に入ったのが「たそがれ」。ランディ・グッドラムが書いた英語詞である「ENDLESS NIGHTS」を日本語詞でシングルにしたもの。やさしいメロディーとボーカルの掛け合いが美しい。TOTOに夢中になってた頃だからかなぁ・・・。
夕陽がおちるビルをよこぎって/やがてみんな見知らぬ人になる
過去も未来も別れも出会いも/ひとつになって静かに時はとまる
愛はたそがれ/光と影に酔い/すべては夢うつつ

■夏の終り
多くのアーティストにカヴァーされるオフコースの楽曲。なかでも矢野顕子がアルバム「峠の我が家」でカヴァーした「夏の終り」は名曲。季節の変わり目に置き忘れたような切なさと、伝わらない思いの切なさがこの曲からはにじみ出てくる。
夏は冬に憧れて/冬は夏に帰りたい
あの頃のこと今では素敵にみえる
やさしかった恋人よ/そのあと何を言いかけたの
僕の言葉があなたをさえぎるようにこぼれたあの時

■愛の唄
オフコースを敢えて避けていた頃、聴かない理由を尋ねられて楽曲のもつ優しさを「なんか甘くって・・」と言っていた気がする。でも前述のとおり、オフコースが歌ってきた”愛”は恋愛という限定されたものではない。あの頃はそれがわからなかったのかもね。「愛の唄」はそんな優しい愛情を歌った典型のような曲。20年ぶりに聴いたとき、僕はこの曲の歌詞を一言も間違えずに歌えた。歌詞カードも手元にないのに。それだけ自分の中に刷り込まれていたのかなぁ。
泣きぬれてただ一人/さみしいたそがれには
恋人よ/振り向けばやさしい思い出をあげよう

・・・と10曲選んでみました。あれ?アンチオフコースだったくせいに意外とちゃんと聴いてるんだなぁ・・・。これで中学以来の封印は完全に解けたかな。ご意見ご感想お待ちしております。

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自分で弾き語りたいビリー・ジョエル20選(その2)

2013-01-01 | 音楽
さて、前回に引き続き弾き語りでやってみたい(やってた)ビリー・ジョエルの曲を思いつくまま選んでみます。では、残り10曲。

□She's Always A Woman


当時の妻にビリーが捧げた名曲。女性をピアノにはべらせて聴かせたい。純粋に歌うことよりも、そういうシチュエーションを望んでいるのか。不純です。でもこの曲のアルペジオはおそらく苦手。

□Baby Grand


レイ・チャールズとビリーが共演した名曲。アルバム全体がどこか地味なイメージだけど、この曲が放つ輝きはなんとも素晴らしい。今の年齢になって、こういう曲がやたらと心地よく響く。結局、何の世界でも大御所ってのはスゴイんである。この曲ちゃんと練習したいなぁ。

□And So It Goes(そして今は・・・)


Storm Frontは大好きなアルバムなんですが、ピアノ向きの曲って少ないんですよね。最後を飾るこの曲、実は自分の結婚披露宴でエンディングに使った曲。宴の余韻にぴったりでしょ?。

□All For Leyna(レイナ)


ロックアルバムであるGlass House。スカッとしたい気分の時に聴くには最高のアルバムだ。ロックキーボード弾きとして、この曲のプレイはビシッとキメたい。8分音符の連打、間奏のシンセ、うーんかっこいい。

□Streetlife Serenader(街の吟遊詩人は・・・)
□Root Beer Rag
□Souvenir


一転してピアノ曲中心のセカンドアルバムから。単調なメロディーが次第に起伏を帯びてくるアルバムの表題作やシンプルな響きが素敵なSouvenirは、弾き語りでやってみたいね。

インストロメンタルのRoot Beer Ragのプレイはもはや神。これ練習かなりやったけど、クラシックの基礎がない僕にとっては早引きが実にキツい。16分音符を左右で交互に弾くとこなんざぁ、勢いでやってたもんな。大学生のとき、音系サークルの先輩が、練習している僕を見て励ましてくれたのを覚えてます。先輩!まだ最後まで弾けません。

□She's Got A Way


やっぱりシンプルなピアノの響きはいいよね。
コード引きだけでさまになるし、感情込めて歌うのにも向いた曲。
このアルバムこそ弾き語り譜が欲しいところだ。

□If I Only Have A Word To Tell You(愛する言葉に託して)


弾き語りの王道とも言える曲だな。
4分音符のストロークにのせて、愛を歌う隠れた名曲。

□My Life


そしてやっぱり最後はこの曲。この年齢になるとこの曲の意味がわかるっちゅうか。
”誰がなんと言おうとこれがオレの人生”
ライブでは、間奏でビリーが必ず「バカヤロ!」と叫んでいたエピソードがよぎる。

・・・という訳で勢いで20曲選んでみました。10曲くらいでいいでろう・・・とも思うけど、メジャーな曲ばかりになってしまう。20曲くらい選んで、その人の”らしさ”が出るのかしれませんな。いかがでしょ。

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アメリカン・サイコ

2013-01-01 | 映画(あ行)

■「アメリカン・サイコ/American Psycho」(2000年・アメリカ)

監督=メアリー・ハロン
主演=クリスチャン・ベール ウィレム・デフォー

 クリスチャン・ベール扮するヤングエグゼクティブが、殺人の衝動から逃れられなくなる狂気を描く意欲作。生活的には満たされているのだが、次第にセックスと暴力にしか興味を抱けなくなっていく。「ビデオ返さなきゃ」って何度も出てくるけど、そんなんばっかり見てるのかと思うと日本の誰かさんの事件を思い出したりもする。主人公が満たされないのは、外面ばかりが完璧になっていく一方で本当の自分がないからなのだ。スキンケアやワークアウトで肉体を美しくしたり、流行のスーツを着たりと全ては外見を飾るため。音楽に詳しいようでも、実は売れ筋のポピュラーミュージックしか語れない。結局自分のスタイルがあるようで実はそれがない。「ホイットニー・ヒューストンなんか聴いてるんだ!」と笑われていたのが印象的だった。

 しかし考えてみると、僕も「Men's Non-no」創刊号世代。資生堂がヤング向け男性化粧品を大々的に売り出した時期でもあるし、DCブランドに心躍ったこともある。それに80年代青春組の男のコなら、ビルボードトップ100に知っている曲が何曲あるか競っていたような経験はあるのではないだろうか。そんな経験を積んで自分のスタイルを持てたヤツはいいんだろうけど、無節操に流行りに乗ろうとしていた輩は今頃になって”他人と違う自分の好み”を自問自答したりしているに違いない。そんな意味で、主人公の満たされなさは同時代を経験した(元)男のコなら心情的に理解できることだろう。全ては彼がオフィスのノートに落書きした妄想だった・・・・という結末なんだろうけれど、ああいう狂気・衝動はもしかしたら現代人誰もが胸に秘めている”禁断の炎”なのかもしれない。そしてその炎に触れるとき・・・・。 

 本作では、時代背景を示すためか、80年代の楽曲が数多く流れる。特にヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの ♪Hip To Be Square の素晴らしさを語りながら、仕事上のライバルの頭に斧を振り下ろす殺人シーンはすごい迫力。ジェネシスに関するうんちくを女のコに語るとこなんか、ジェネシスファンの僕は笑いが止まらなかった。このような音楽に対する思いが語られるところは面白い。他にもロバート・パーマーの ♪Simply Irresistible やら クリス・デ・バーの ♪Lady In Red 等々サントラ未収録曲も多数。サントラに収録されている ♪You Spin Me Around のカヴァーが本編で聴けなかったのは残念だけど。ちなみに原作には主人公パトリック・ベイトマンが友人とU2のコンサートに行って、ボノに自分と同じ悪魔性を感じるという場面もあったとか。

 ★

この文章を書いたのは2002年。「アメリカン・サイコ」のサントラには、デッド・オア・アライブのYou Spin Me Roundのハードロックカヴァー、ニューオーダーの名曲True Faith、デビッド・ボウイやキュアーなどが選曲されていて当時愛聴盤だった。血みどろのこの映画、誰にでもお勧めできるものではないけれど、スプラッター描写に耐えられるなら主人公ベイトマンが語る音楽のうんちくは実に面白い。






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3月のBGM

2013-01-01 | 音楽
2010年3月に聴いていた愛すべき音楽たち。

①The Popular Music~筒美京平トリビュート/various
筒美京平作品を最近の様々なアーティストがカヴァーしたトリビュート盤。「さらば恋人」を山崎まさよし、「木綿のハンカチーフ」を草野正宗(スピッツ)、「魅せられて」を島谷ひとみ・・・と人選がよい。自分が音楽に触れながら育ってきた過程で、筒美作品は必ずそこに流れていたんだなぁと思わずにいられない。つんく♂の「セクシャルバイオレットNo.1」はほぼカラオケ状態、BONNIE PINKの「人魚」はオリジナルの歌い方を真似ている。そこは目新しさはないが、それだけオリジナルの完成度が高いってことなのだろう。クレイジーケンバンドの「また逢う日まで」がまた素晴らしい。

②Dig Out Your Soul/Oasis
アニメ「東のエデン」でも使用されたFalling Downを含むアルバム。僕はOasisの拡散するようなギターの響きを居心地悪く感じていた。本作は音の輪郭がはっきりしていて好みかな。曲のよさは認めるんだけど、どうもバンド全体のグルーヴ感が薄らいでいるよな印象も。そう言いながらも今月は繰り返し聴いた。


③Imaginary ENOZ featuring HARUHI/ENOZ featuring 涼宮ハルヒ
「涼宮ハルヒの憂鬱」の名エピソード「ライブアライブ」に登場した軽音部のバンドENOZ名義の6曲入りルバム。新曲もなかなか楽しいロックンロールに仕上がっている。「Lost My Music」と「God Knows...」は、改めていい曲だなぁ・・・と思う。おっ?ドラム叩いているのは元レベッカの小田原豊じゃん!(嬉)。それにしても6曲でこの価格はねぇだろ。


④Rock Music Mega Pack
新旧ロックミュージックがお腹いっぱい垂れ流しで聴けるiPhoneのアプリ。今月は洗濯干しながら、子供の上靴洗いながら、部屋の掃除しながら、もちろん通勤時のヘッドフォンで・・・。1949年から2009年までのベスト100、ロックミュージックの名曲、ギターリフやキーボードプレイ、ロックバラード、フォークロックなど様々な分野で選曲されたロックが満載。曲を選べないのが難点だけど、これはお買い得!iPhoneユーザーのロックファンにお勧めです!



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僕の好きな尾崎亜美の楽曲10選

2013-01-01 | 音楽
先日放送されたNHKの音楽番組「SONGS」。尾崎亜美が出演していた。僕はアルバムを熱心に聴き込む程のファンではなかったが、彼女が生み出す楽曲は好きな曲が多い。今回セルフカヴァーアルバムを出すということで、番組でも数曲演奏した。幼い頃に何気なく聴いていた「春の予感」や「マイ•ピュア•レディ」。年齢を超越した"かわいい"女性の魅力が、彼女の歌にはある。

♪あっ、気持ちが/動いてる
たった今/恋をしそう
他のアーティストにはなかなかああは歌えない。

僕は、大学で音系サークルに所属していた。最初の1年、僕は何故かガールズバンドに所属し、そこでキーボードを弾くことになった。お姉様たちに適度にからかわれながら頑張っていた。そこで尾崎亜美を何曲か演奏した。その1曲が・・・
■Angela
アルバム「Hot Baby」に収められた3連シャッフルのかっこいい曲。当時も「あ、ボズ•スキャッグスの曲みたいでかっちょいい」と思って、難しい曲だけど頑張っ
ていた。後で知ったことだが、あのアルバムはデビッド•フォスターがプロデュースだそうで、あのかっこいい演奏がTotoのメンバーによるものだったのだ。道
理で難しいはずだ・・・。


そのアルバムのラストを飾るバラードの名曲が
■蒼夜曲(セレナーデ)
この曲、歌詞が突き刺さるんだよね。恋人との別れ、その行き場がない悲しみを歌い上げた名曲だ。切ない。

他のアーティストに提供した楽曲も多々ある。僕のお気に入りはこんな感じだ。

■天使のウインク
松田聖子の楽曲で、実はいちばん好きな曲かもしれない。「SONGS」の中でもこの曲は「聖子さんの可愛さをイメージしてみた」と紹介された。尾崎亜美の楽曲にはどの曲にもすごく愛を感じる。アイドルに楽曲を多数提供しているが、どの曲もきちんとそのアイドルのイメージにぴったり。よほど相手を考えて楽曲提供しないとここまでの曲はできない。アルバム「10番目のミュー」でセルフカヴァーしているが、このヴァージョンはとてもかっこいい。

■時に愛は
80年代アイドルの中で、僕は松本伊代のファンではなかったがこの曲は別格。「好き」と言えないもどかしさをこれ程うまく表現するなんて、男の作詞家にはできない。

セルフカヴァーはこちら。

■オリビアを聴きながら
やっぱりこの曲は外せない。杏里のデビュー曲であるこの曲がリリースされたのは、僕が小学校高学年の頃だった。それ程ヒットした曲でもなかったが、強烈に印象に残っている。この曲には、音楽に対する愛情が込められている。サビの歌詞に出てくる making good things better は、オリビア・ニュートン・ジョンの楽曲でもある。失恋ソングの定番である。何度聴いてもグッとくるよね。杏里に提供した曲では「地中海ドリーム」も好きだった。

セルフカヴァーはこちら。

■パステル・ラブ
70年代アイドル金井夕子のデビュー曲。二度と恋なんかしないと思っていた女の子。だけど心が揺れる・・・そんな心情を素直に歌った名曲だ。後に松本典子によってカヴァーされることになる。あー、懐かしい。


セルフカヴァーはこちら。

■ソロ・サピエンス
大学時代に女声ヴォーカルバンドをやっていたが、そこでコピーした曲。ワンコードで押しまくる凝ったアレンジとミステリアスなコード使いが印象的な前半。サビ前から雰囲気が次第に変わり、キメとシンコペーションの後にくるメロディーは絶品。上田浩恵の伸びのあるヴォーカルも素晴らしかった。

セルフカヴァーはこちら。

僕は血迷うとカラオケで高橋真梨子をよく歌う。中でもお気に入りは、
■あなたの空を飛びたい
■Heart & Hard 時には強く時には優しく
の2曲。いずれも尾崎亜美の楽曲だ。スケールの大きなバラードで歌い上げると気持ちいい。仕事関係で年上のおじ(い)様たちとカラオケ行くときにもウケがいい。いずれもセルフカヴァーアルバム「POINTS」シリーズに収録。

■STOP MY LOVE
マイナーキーでちょっと激しい楽曲。高橋真梨子も歌っているが、作者尾崎亜美のヴァージョンはバックコーラスが分厚くて、起伏に富んだアレンジも素晴らしい(単にプログレ好きだから?)。

■Heart Of Glass/桃姫バンド
最後に付け加えておきたいのが、ハードロックの名曲に挑んだ桃姫バンド。レッド・ツェッペリンやディープ・パープル・・・尾崎亜美がハードロックなんて・・・というなかれ。これがやたらとかっこいい。僕はラストを飾るRock'n Rollが大好きだった。ノエビア化粧品のCFで使われたブロンディーのカヴァー Heart Of Glass はアレンジがかっこよかったね。


という訳で懲りずに10選シリーズやってみました。あなたは尾崎亜美の曲何が好きですか?



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ソーシャル・ネットワーク

2013-01-01 | 映画(さ行)

■「ソーシャル・ネットワーク/The Social Network」(2010年・アメリカ)

監督=デビッド・フィンチャー
主演=ジェシー・アイゼンバーグ アンドリュー・ガーフィールド ジャスティン・ティンバーレイク

●2010年全米批評家協会賞 作品賞・主演男優賞・監督賞・脚本賞
●2010年ゴールデングローブ賞 作品賞・監督賞・脚本賞・音楽賞
●2010年NY批評家協会賞 作品賞・監督賞
●2010年LA批評家協会賞 作品賞・監督賞・脚本賞・音楽賞

 SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)facebookが創業されるまでを記したノンフィクションを映画化した話題作。僕はfacebookを試したこともないし、そんなんでこの映画観て大丈夫か?まぁ、mixiの実名ヴァージョンと思えばいいのか?。それに近作こそ観ていないけどフィンチャー監督はおどろおどろしい映画が多いし・・・とあれこれ思案しながら劇場へ。しかしそれらはまったくの杞憂であった。専門用語が飛び交うこともなく、死体が転がることもない。この映画でサイバーゾーンのネットワークは重要な題材ではあるが、あくまでも監督の視点は現実世界。人間関係がいかにして崩壊していったのかに焦点があてられる。つまり”現実世界でのソーシャル・ネットワーク”がテーマなのである。

 facebookを誕生させたのは、プログラマーであるハーバード大生マーク・ザッカーバーグ。映画冒頭から早口で彼女をまくし立てて不快な思いをさせる場面から始まる。振られた彼はブログに彼女の悪口を書き込み、大学中の女子の顔写真入り人気投票サイトを作ってしまう。しかも顔写真をハッキングして入手したことを問題視する大学側に、システムの脆弱さを指摘したんだから感謝しろ、とか言い放つ。才能はあるのだろうが、言ってしまえば性格破綻者。もうこの段階で天は二物を与えないのだ、何ていけ好かないヤツなんだ・・・と観ている側は思ってしまう。マークは大学の先輩にコミュニティサイトのアイディアを持ちかけられるが、友人のエドゥアルド・サベリンを誘ってもっと大きなネット上のコミュニケーションサイトを立ち上げていく。それはあっという間に登録者を増やし、拡大を続けることになる。しかし早く利益を出すことを目指すエドゥアルドと、技術者として突き進みたいマークと間で次第に考え方に違いが表面化してくる。音楽ダウンロードサイトをつくったショーンとの出会いからマークの思いはますますエスカレートしていく。

 映画はエドゥアルドらに訴えられたマークをめぐる調停(?)を軸にしながら、証言される内容である過去の出来事が時系列で描かれるという演出だ。なぜ人間関係は崩壊してしまったのか。その謎を解くミステリーのような演出とも言えるかも。僕は心のどこかで(比べるのはどうかとも思うけれど)「市民ケーン」を重ねていた。野望に燃えて新聞社を次々と手中にする主人公オーソン・ウェルズと、彼を諫めようとする友人ジョセフ・コットン。ケーンは次々に人に去られて孤独に死を迎えることになる。マークはその才能ゆえに引く手あまたでとりあえず周りに人はいる。しかし、たった一人の女性にメッセージを送ることすらできないラスト。サイバーゾーンにネットワークを構築できた男が、現実世界ではつながりを結ぶことができない。天は二物を与えないのだ・・・と僕ら庶民は妙に安心させられる。最年少で富豪になるやつはやっぱり何かが欠けているんだって。映画のラストで弁護士に「あなたは本当はいい人。ただ人を不快にさせるように振る舞っているだけ。」と言われる。それは欠点の指摘でもあり、一方でマークに誰も意見を言わない中で唯一彼に向けられたアドバイス。やっぱりこの映画は題材こそ新しいけれど古典的なテーマなのだ。

 映画のエンドクレジットに重なってくるのはビートルズの Baby, You're Rich Man。金持ちになった人々に「どんな気分だい?」と語りかけるこの曲は、当時新たな価値観をもったヒッピーに向けた言葉だったとも言われるが、この若き富豪の伝記映画に使ったとは何ともいいセンス。思うに、フィンチャー監督が抱いたマーク・ザッカーバーグ像はやっぱり得体の知れない者なのではないだろうか。それは「セブン」のケビン・スペイシーだったり、「ファイトクラブ」のブラッド・ピットだったり、常識を超えた感性を持ち合わせた人物たちと同じように。


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ふと思い出した曲

2013-01-01 | 音楽
巷では雨音薫の「タイヨウのうた」が大ヒットしている。テレビドラマで沢尻エリカちゃんが演じている役名でリリースされた曲。近頃のTBSドラマなんて「輪舞曲(ロンド)」だけは真剣に見たものの普段全く見ない。エリカちゃんには「パッチギ!」で惚れ込んでしまった。いやぁ、ほんっとかわいいよね。元ブラスバンド部としては、フルート吹く姿にまいってしまった。「タイヨウのうた」もなかなかグッとくるいい曲。近頃通勤の車内でもよく聴いている。さらに今度は「セーラー服と機関銃」がドラマ化されることになり、星泉の役名で長澤まさみがあの80年代ヒット曲を歌うんだとか。セカチューに始まって「タッチ」「ラフ」と、長澤まさみによって、僕ら80年代青春組が憧れたいろんなものがよみがえっている。これもそのひとつなんだ。
タイヨウのうた (通常盤)

世間のこんな動きの中、ふと思い出してひっぱり出したCDがある。菅野美穂がドラマで演じたミュージシャン蓮井朱夏の役名でリリースした「ZOO」。辻仁成率いるロックバンド、エコーズの同名曲がオリジナルだ。この曲のなんとも言えないおセンチな雰囲気が僕はとても好きだ。思えばエコーズのオリジナルを初めて聴いたのは大学生の頃かな。世の中のいろんな人たちを動物園の動物たちに例えるその歌詞が、僕の心に強く響いた。社会の片隅で地味ながらも懸命に生きてる名もなき人間たちが、見事な観察眼と例えで表現されていたからだ。
ZOO

僕たちはこの街じゃ/夜更かしの好きなフクロウ
誰とでもうまくやれるコウモリばかりさ
見てごらん/よく似ているだろう/誰かさんと
ほらごらん/吠えてばかりいる素直な君と

今だから言うけれど、20年前、僕はエコーズの「ZOO」を初めて聴いたとき一人で泣いた。自然に涙が流れた。でもそれはおセンチな雰囲気に酔ったからじゃない。その歌詞にどこか勇気づけられている自分がいたから。

ほらね/そっくりな猿が僕を指さしてる
きっと/どこか隅の方で僕も生きてるんだ
愛をください/愛をください/Zoo Zoo

菅野美穂のヴァージョンもいいけれど、エコーズのオリジナルは歌詞がもっと心に響く。再発されたシングルにカップリングされた「Gentle Land」も名曲。この歌に込められたメッセージも当時の僕に強く刻まれたものだった。



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ファム・ファタール

2013-01-01 | 映画(は行)
■「ファム・ファタール/Open City」(2008年・韓国)

監督=イ・サンギ
主演=ソン・イェジン キム・ミョンミン キム・ヘスク シム・ジホ

●2008年大鐘賞 助演女優賞

2008年の「韓流シネマフェスティバル」で上映された劇場未公開作。主演のソン・イェジンは「私の頭の中の消しゴム」以来、僕はお気に入りの女優。清純派なイメージが強い彼女が悪役を演ずるというので興味本位で選んでみた。う、うーむ。韓国映画の暴力描写は過剰なイメージがあるけれど、これも例外でない。冒頭いきなり自動車の派手なクラッシュ。金属バットのような警棒を手に警察官が車のガラスをたたき割り、ギャング?と思われる連中を引きずり出して殴る殴る殴る。縄張り争いの果てに、裏切り者のスリの指をつぶそうとする方法にしても、警察の取り調べのやり方にしても。観ているこっちまで「痛い、痛い」と口に出してしまいそうな過剰さ。男優ばっかりの映画だったら、普段の僕なら途中で観ることを放棄したかもしれない。それでも最後まで観たのは、ソン・イェジンあってこそ。

スリ集団を束ねる会社組織のトップを務めるペク・チャンミを演ずるのがソン・イェジン。彼女は刑期を終えて出所してきた伝説の女スリ、マノク(キム・ヘスク)を再び仲間に加えようとするが、頑なに拒否される。マノクの息子、デヨン(キム・ミョンミン)は武装スリ集団撲滅をめざすチームに属する刑事。出所したマノクは、子供の元を訪れるが過去を清算するのは難しいことだった。チャンミを怪しいと睨んだ警察は、彼女の身辺を調べ始める。スリの縄張り争いも激化していく中、ライバルとなるスリ集団のボスが彼女の組織を脅かし始め、事態とからみあった人間関係は悲劇的なラストへと突き進む。

韓国映画にしてもドラマにしても、登場人物の相関関係が複雑なものが多い。だが、決して難解ではないのは脚本の巧さだと思う。この作品に関しても、マノクを頼りにしてきたチャンミ、チャンミを追う刑事がデヨンという人間関係がスリリングな要素となっている。そして最後にもうひとつの人間関係が明らかになって映画は終わる。だが、思わずツッコミを入れたくなる過剰な演出にちょっと冷めてしまうのも正直な気持ち。宣伝文句や紹介文にあるようなラブサスペンスでは決してない。だって、デヨンとチャンミの間にまったく愛はないもの。見どころは、助演賞を受けたマノクの演技。それにソン・イェジンのファッションかな。テレビドラマなどでは過剰に飾らないものが多いが、この映画では濃い化粧に派手なデザインの衣装で、これまでとは違った魅力をみせている。



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