Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

トーク・トゥ・ハー

2013-01-24 | 映画(た行)

■「トーク・トゥ・ハー/Hable Con Ella」(2002年・スペイン)

●2003年ゴールデングローブ賞 外国語映画賞
●2003年アカデミー賞 脚本賞
●2003年ゴヤ賞 音楽賞
●2002年LA批評家協会賞 監督賞
●2002年ヨーロッパ映画賞 作品賞・監督賞・脚本賞

監督=ペドロ・アルモドバル
主演=ハヴィエル・カマラ ダリオ・グランディネッティ レオノル・ワトリング ロサリオ・フローレス

(注・ネタバレあり)極彩色の文字が現れるエンドクレジットを観ながら、何とも言えない切ない気持ちになった。この映画は究極の片思い。愛しているのに触れることもできないマリオ。一方で献身的に昏睡中のアリシアの世話をするベニグノ。しかし、彼は愛する女にその存在もその思いも知られることもないまま世を去る。ベニグノの行為はストーカーとも言ってもいいかもしれない。しかし、彼のアリシアへの思いの一途さ・純粋さがその際どさを浄化している。恋人の覚醒を知らないで死を選ぶなんて、まるで「ロミオとジュリエット」じゃないか。ラストの彼に涙する観客もいることだろうが、その涙は感動なのか同情なのか。ベニグノとマリオの関係も、もうひとつの愛のかたち。それまでの孤独な生い立ちが、人を愛する普通の方法を知らない彼を形成したのだ。「恋人と呼んでもいいかい?」と言うベニグノをマリオは拒まない。それは愛する者を失った者同士だからだろうか。

そんな他の映画では観られない人間関係に、僕はグイグイ引き込まれた。結果ベニグノのおかげで(?)アリシアは覚醒することになるのだが、父親や医師など周囲の人物の気持ちを考えると、単純によかったねとは言い難いんだよなぁ。そこはややひっかかるところ。アルモドバル作品は実は初めて観た。挿入されるサイレント映画「縮みゆく恋人」のユーモアとエロスは強く印象に残る場面だし、以前から性を題材に扱ってきたアルモドバル監督独特の世界なのだろう。旧作観なきゃいけないな!。男が小さくなって女性の上を歩き回り、そしてヴァギナに入っていく・・・性行為であり胎内回帰。アリシアに触れるベニグノの指先。セックスを介せずに女性に触れるという行為が、ここまで官能的で幸福に描かれる映画は観たことがない。これは触れずして触覚を刺激される映画でもあるのだ。

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