Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ウインドトーカーズ

2013-01-11 | 映画(あ行)

■「ウインドトーカーズ/Windtalkers」(2002年・アメリカ)

監督=ジョン・ウー
主演=ニコラス・ケイジ アダム・ビーチ クリスチャン・スレーター

 第二次世界大戦でのサイパン戦。ニコラス・ケイジ扮する軍曹とナバホインディアンの通信兵の友情を描く人間ドラマ。戦争映画だし、女性はほとんど出ないし、日頃なら僕は絶対に観に行かないタイプの映画だ。男臭いお話ばかりではなく、戦地での友情、異民族との交流ってことでいい場面もある。クリスチャン・スレーターとナバホの通信兵が、音楽を通じてコミュニケートする場面はとくに好きだ。ニコラス・ケイジがCFでお得意の(?)ニホン語で痛み止めを少年にあげる場面とか、日本兵に化けて敵陣へ侵入する場面はスリリングだった。

 ところで近頃公開されるアメリカ映画は戦争映画ばっかりで、”脅威に屈しない強きアメリカ”をアピールするかのようである。これもみーんな、昨年9月11日のあの出来事の影響。見方にもよるだろうけど、この映画も、”国家の脅威に国を挙げて挑みました”、という美談なんだよね。白人に征服された側のネイティブアメリカンさえもが、合衆国に従って協力して・・・。敵国の子供たちにも温情をみせる米国兵、それにひきかえ敵国兵は・・・という描写はやはりアメリカのご都合。最後には「暗号ナバホコードは決して破られませんでした」、という説明書きも出てくる。本当は尊い犠牲と努力の上でのことなのだろうけど、これさえ宣伝文句に思えてくる。残念だけど、ジョン・ウー監督は結局、男の友情と派手なドンパチがあればいい人なのかなぁ。中国系の監督作なんだから、ナバホから観た白人像がもっと中立的な視点で描かれていてもよかったんじゃないのかな、と思った。

 あと巷には”日本軍が負ける映画を観るのは楽しくない”、とかいう意見もあるようだ。でもね、所詮はアメリカ映画なんだもん。そんなナショナリズムをうんぬん言うのは無駄だと思うのね。日本が勝っちゃう「パールハーバー」なら受け入れてもいい、というならばそれは日本人側の身勝手(実際ヒットした訳だし)でしかないのだよ。「50年後日本人と酒を酌み交わしているかもしれない」なんて台詞も出てくるけど、その一言が日本に対する最大限の配慮なのでは。

コメント
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