何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

ますます遺族を怒らせることを、どう思っているのだろうか

2006-07-31 18:28:39 | よくわからないこと
パロマ事故報告書に遺族の怒り「反省しているのか」 (読売新聞) - goo ニュース

-----転載ここから
 自社製の瞬間湯沸かし器による一連の一酸化炭素(CO)中毒事故に関し、31日、パロマ工業が経済産業省に提出した調査報告書。

 焦点の不正改造問題では、「修理業者への周知徹底を図った」などとこれまでの対応を正当化する内容が目立ち、制御装置の不具合に関しても、「構造的欠陥ではない」と強調した。全容解明には程遠い内容に、遺族からは「何をどう反省しているのか分からない」などと不満の声が相次いだ。

 経産省への報告後、パロマ東京支社(東京都港区)で記者会見に臨んだ小林敏宏・パロマ工業社長(68)は、冒頭、約20秒間にわたって頭を下げた。

 「この度の事件では、亡くなられた方々に衷心よりおわび申し上げます」。険しい表情で語り、さらに約15秒間、頭を下げた。
-----転載ここまで

 JR西日本に続いて、パロマも遺族の心情を踏みにじるような行動をとったようだ。自社品に関連して、死者が出たのだから、亡くなられたかたには冥福を祈るようなことは“一応”言う。
 しかし営業活動は適切であり、結果的に死者が出たとはいえ、パロマにとっても避けがたい不運が重なったような態度だ。事故の原因は機械でなく、それを扱う者や会社にあり、「人災」であるとする遺族とは大きな隔たりだ。
 湯沸かし器による事故だから、責任は免れないとはいえ、ずさんさや悪質さはなかったと言わんばかりである。

 どうしてそのような「改造」が行われたのか、原因追求をしていけば、その遠因こそ主因であるということでも、認識が違うようだ。表面的な理由を前面に出すパロマと、そこに至った背景にも及んで原因追求されるべきだとする被害者。

 パロマだって、もし自分が被害者の立場になってみれば、遺族の怒りが理解できそうなのに、どうしたことだろう。
 そういえば、遺族の下には一族の社長が出向かず、副社長が出向いていた。やむをえない理由があったのだろうが(報道ではそこが見えなかったが)、これも解せない。

 まだまだパロマの余波は続きそうな気配だ。また程度や原因の認識に、これほどのズレがあるのは、わざと視点や争点をすり替えてずらしているようにも思えた。これ以上、言い争ってもムダのように思わせる、そういった背景にはメスを入れさせない・・・、もしそうだとしたら、悲しいというか、姑息な事故処理方法だ 
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甘い処分がかえって感情を逆なでする

2006-07-31 13:22:48 | JR西に学べ
JR西脱線 元幹部3人、引責3カ月後天下り 遺族から強い反発 (産経新聞) - goo ニュース

-----転載ここから
 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で引責辞任しながら、今年6月にグループ関連会社役員に就任したJR西日本の元幹部3人が、昨年8月には既に別の関連会社の非常勤顧問に就任していたことが分かった。引責辞任から3カ月余りで実質的な「天下り」をしていた形。前相談役の井手正敬氏(71)も、同時期に関連会社の顧問に就任していたことが発覚しており、遺族は「あまりに非常識」と反発を強めている。

 遺族や負傷者を対象に大阪市内で30日開いた報告会で、JR西の山崎正夫社長が明らかにした。

 新たな「天下り」が発覚したのは、当時鉄道本部長だった徳岡研三氏(59)と総合企画本部長の坂田正行氏(57)、大阪支社長の橋本光人氏(53)。徳岡、坂田両氏は昨年6月の株主総会で事故の引責で辞任。橋本氏は、事故車両に乗っていた大阪支社の運転士2人が負傷者の救助を行わずに現場を離れていたことや、事故当日に別の職員らがボウリング大会を開いていた責任などを取って同年5月に辞任した。

 今年6月、徳岡氏は「レールテック」社長、坂田氏は「西日本ジェイアールバス」社長、橋本氏は「ジェイアールサービスネット金沢」専務にといずれもグループ関連会社役員に就任。山崎社長は「昨年の退任で大きな責任をとっている」とし、「本人の資質、能力を勘案した(配置)」と説明していた。

 しかし、この日の説明会で3人とも辞任から2、3カ月後の昨年8月には、非常勤顧問という形ながら、既に別会社に“天下り”していたことが判明。報告会では、これについて「既に責任はとっている」などと理由を繰り返した。
-----転載ここまで

 直接の加害者ではないとはいえ、形式上のけじめで許されるような立場とは思えず、しかも引き続き要職について高い身分にいるのは、一生、身内を失ってその悲しみや苦しみを負って生きていかなければいけない遺族にとっては、納得がしがたい。
 当時の職位を辞すれば、それで「十分な」責任を取っているといえるのだろうか。単なる異動(配置転換)か、場合によっては昇進のようにさえ映る。相当の降格、厳重な処分が行われたようには感じられない。環境の変化はあったとはいえ、高給を受け続けていけるのだから、処分は生ぬるいように見えるのも当然だろう。

 どのようなあり方が適切かどうかは、被害者の納得のいく形でとしか言いようがない。突然の引き起こされた一生背負う苦しみのレベルが、同一であるべき、と考えるのだろうか。

 生徒の起こした不祥事に対して高校野球の監督が取りうる責任や、自らの不始末に対する芸能人の償いの重さに比べて、あれほどに多くの人命が失われたことに対する社会的なバランス感覚は、そのままJR西の体質と言えるのかもしれない。ちなみにワールドカップで頭突き退場のジダンは罰金のほか、3試合分の「社会的奉仕」である。
 過失について裁判に問いきれない自主性、自律性に、その組織のモラルが現れるようだ  
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裏技

2006-07-23 12:00:39 | よくわからないこと
湯沸かし器不正改造 当初は点検の「裏技」 業者、危険認識薄く 応急措置に転化 (北海道新聞) - goo ニュース 北海道新聞 2005.7.23

-----転載ここから
 パロマ工業(名古屋市)の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、その主因とされている不正改造の手法は、一九八○年十一月、関連七機種の最初の型が発売された直後から、道内の修理業者の間で湯沸かし器の故障場所を点検するための「裏技」として広く使われていたことが分かった。この点検法は安全装置の故障で動かなくなった湯沸かし器をとりあえず作動させる応急措置にも使えたことから、その後、全国で相次いだ事故の背景となったとの指摘が出ている。
 パロマ製湯沸かし器の安全装置は、排気ファンなどの異常を感知した際、本体への電流を止め、作動しないようにする役割を持つ。問題の「裏技」は、安全装置の二つの端子を針金などで直結して機能を失わせる方法。直結状態で正常に点火・燃焼すれば、安全装置自体の故障だと確認できたという。

 これに対し、パロマ側は八二年ごろ、テスター(電流・電圧計)を使う正規の点検法を文書で指示した。〈中略〉

 一方、八二年ごろから、パロマ製の湯沸かし器では安全装置のはんだ割れなどの故障が頻発し、パロマ側は安全装置を交換するよう指導した。不適正な直結方法についても、パロマは同時期、全国の販売店などに通知した文書に、「禁止行為」として解説した。〈後略〉
-----転載ここまで

 転載ついでに、ウィキペデイアでは、正規の方法ではなく公的に承認されていないが、実行すると有用な効果をもたらす方法・技術 と説明されている。単に“有用”なだけで、他に困ることがなければいいが、その裏技が別の問題を引き起こすのであれば、裏技とは呼べなくなる。

 その裏技を使うことで、正規なやりかたで進めたときと比べて、同じ効果やパフォーマンスが得られるのであればいいが、何かしらのギャップを承知で進めるのであれば、裏技といっても不完全だ。確実に同じ目的や要望を達成する(できる)ことが、裏技たる所以ではないかと思う。

 正統な裏技(妙な表現だが)は、やりかたが簡単であったり、そのために時間を節約できたり、特殊な技術を要しなかったり、メリットがあるから評価される。場合によっては、裏技は改善や改良のアイデアとして表技に昇格することすらあろう。つまり、新しい「正規な方法」あるいは別法として認められることもあろう。

 一方、そうではない裏技は、やはり「裏」でしかないのだろうか。安かろう・悪かろう的に、およそ似た効果が得られるが、肝心なところや細部を比較すると、どうしても劣る部分があったりすることはないだろうか。その差が不都合に及ぶのであれば、その裏技を使える状況というのは、限定的なものになろう。

 マイナス面を承知で使う、決していいことだとは思っていない、ごまかし、見せかけ、一時凌ぎ、表面的に繕っているだけ、・・・突き詰めれば適切なやりかたではない、不適正だというのであれば、「裏技」と呼ぶこと自体が誤解を招いているのではないだろうか。

 ウラワザというと「伊東家の食卓」を連想することもあるが、番組から世にでた製品もある。同じ効果や目的を果たす、人に堂々と進めることができる、けっして新たなトラブルが起こることがない、そうだから視聴者も投稿し、番組関係者も採択するのだろう。

 さて、パロマの修理は果たして「裏技」と呼べるものだったのだろうか 
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クレーム軽視が事故を招いた

2006-07-22 01:08:53 | ISO9001奥が深いか浅いのか
きょう業務改善指示 欠陥放置、トヨタ社長謝罪

〈前略〉 国交省ではユーザーやディーラーから寄せられた不具合情報が社内で共有されておらずリコールの遅れにつながった恐れがあるとして、社内の連携を強化し、再発防止策の提出を求める。
 82件の不具合情報のうち国交省が特に問題視しているのは、問題の部品を改良した平成8年までに見つかった5件の折損報告。これは、ディーラーからリコールの判断材料となる「市場技術情報」としてトヨタの品質保証部に情報が上がっていた。
 だが、同部ではこのうち4件はハンドルを停止状態で目いっぱい切る「据え切り」をした状態で起きたとして、「特異なケース」とみて原因調査の対象から排除していた。 (産経新聞) - 7月21日8時2分更新

 クレームは、寄せられたほうとしては気持ちのいいものではないが、その相手が
・以前からしばしば折り合いがうまくいっていない
・スタッフと波長が合わない

 ような場合、クレーマーのような者だろうと、その相手を一種の性格異常か変わり者扱いして、相手の主張を意味のないものとしてとらえ、さらに結局は金銭目当てではないか、ゆすりが目的じゃないか、むしろ被害者はそんな「異質な者から」クレームを言われたこちらではないかと、いつのまにか迷惑を受けているのはサービス提供側であるかのように、逆転したような発想になっていることすらある。

 たくさんの相手(顧客)と接する中には、確かに本当に難癖をつけなきゃ、生きていけないように思える人がいないわけじゃない(これも既にバイアスが入った見方かもしれないが)。
 しかし相手が“少数派”の者だからと決めつけて、クレームそのものが既に意味の薄いものだと、本質を軽視・無視して、訴えは無効だなどと、改善をしなかったら、やがて大事故につながるかもしれない、ということは真摯に受け止めておかねばならないだろう。

 相手はクレーマーだ、という見切りの早い“診断”は、危険だということだ。

 副作用もそうだ。1例目は、まさか、そんなことは聞いたことがない、そうじゃないとは断定できないまでも、たぶん違うのではないかと、「特異なケース」扱いしがちなのではないだろうか。
 確かに副作用でない可能性が高い、という思いが強いのだろうが、ひょっとしたら本当に副作用かもしれない、という思いもかたや一方に置いて、常に検証する目でその後の様子にあたっていかねばならないだろう。

 その後、類似例が見られた時に、ビビビっと「以前もこういうことがあった!」と、気づいて、早期に手を打てるかどうかだろう。
 担当者が「これは怪しい」と訴えても、判断権限のあるものが、それを握り潰そうとするかもしれない。そんなセンスの者を、要職につけてはならないし、つけてしまったとしたらすぐに解くとともに、任命した者にも責任をとってもらわねばなるまい。
 1人に判断権限を持たせるのではなく、安全管理には、判断能力のある者を複数人揃えて、冷静かつ適切な判断ができるようにしておくと、組織にとっても、利用者にとっても好ましいことだろう 
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品質管理部長のモラル

2006-07-22 00:39:19 | ISO9001奥が深いか浅いのか
不正改造周知「効果少ない」=パロマ工業部長証言-6年前、事故めぐる民事訴訟で

 北海道恵庭市で起きたパロマ工業(名古屋市)製湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故をめぐる民事訴訟で、事故原因となった不正改造の発見方法について、当時の同社品質管理部長が「利用者に知らせても効果は少ない」と証言していたことが21日、分かった。
 不正改造の危険性を伝えたのは直接取引のある販売業者のみだったといい、一般顧客への周知を軽視し、事故の続発を許した同社の姿勢が改めて浮き彫りになった。
 恵庭市の事故は1995年1月に発生。重症になった女性らが97年、同社などを相手に賠償を求め、札幌地裁に提訴した。
 2000年10月の法廷で、品質管理部長は、事故の一因とされる湯沸かし器のコントロールボックス(制御装置)の不正改造について、コンセントを抜いた際、燃焼を続けるかどうかで判断できると説明した。 (時事通信) - 7月21日8時1分更新

 パロマが相当病んでいるのは、ここ数日の報道でわかったが、品質管理部長たる者が、安全管理においてこのような判断をしていたのは、ショックだった。他の者がこのようなことを思っても、品質管理部長だけはユーザー第一の、真っ当な判断をする・できるはずだろう、と思うからだ。

 でも、品質管理部長の判断が・・・というと、先日のトヨタのリコール隠しの件でも、同様のことがあったばかりだ。3代にわたって、品質管理部が機能していなかったのだ。
 自分もまがりなりにも「品質管理責任者」たるものを拝命してきて、組織が崖から落ちそうになったら、道を踏み外そうとしても、内部品質監査員とともに自分はそれを防止できるよう、機能しようと思っていたからだ。

 「利用者に知らせても効果は少ない」だなんて、知らせることに対する手間や機能と、それによって被害を防ぐことのできる人命の多さとを天秤にかけての言葉だとしたら、悲しいことだ。ユーザーもバカにされたものだが、こういう幹部がいる会社に勤めてしまった社員も哀れなことだ。
 類似の事件が再発しないためにも、過激すぎると聞こえるかもしれないが、こういう会社は生き残れないんだ、ということが社会に浸透していって欲しいと思う。幸運にも存続することが、JR西日本のように、喉元すぎて熱さを忘れた頃、事件を繰り返すことになるのではないだろうか 
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都合の悪い話は小出しに?

2006-07-20 23:40:05 | よくわからないこと
パロマが不正改造促す文書、修理会社へ80年代に配布 読売新聞 2006.7.20
-----転載ここから
パロマ工業製の瞬間湯沸かし器で一酸化炭素(CO)中毒による死亡事故が相次いだ問題で、販売会社のパロマが1980年代、修理を手掛ける「パロマサービスショップ」に、安全装置に連動する「コントロールボックス」(制御装置)を通さずに配線する不正改造を促す文書を配布していたことが20日、警視庁捜査1課の調べでわかった。

 同課はすでに、関係者から、この文書の任意提出を受けている。同社製湯沸かし器の不正改造を巡っては、修理業者から、コントロールボックスの在庫不足が背景にあるとの指摘が出ており、同課は、パロマが在庫不足を補うため過去にこうした文書を配布したことが、安全対策の遅れにつながったとみて捜査を進めている。
-----転載ここまで

 遅きに失した謝罪をしたパロマ(工業)だが、この話が事実なら、当初、謝罪をつっぱねたのは、ますます説明がつかなくなるではないか。不正改造を修理会社のせいにしていたのに、それは自分たちが仕向けたことになるとしたら・・・。

 パロマは4代続いた同属会社だというが、身内を庇う社風は何よりも大事にされているようで、パロマの会長であり、パロマ工業の社長である親父さんが辞任し、息子だけは社長に留めようとしている。社員は哀れではないだろうか。
 世間の一般感情としたら、同属支配でなくなるとか、会社が一族の手から他人の手に渡るとかではなくて、きれいさっぱりパロマから身を引くのが当然ではないだろうか。

 会社ぐるみということは、本来、つい不正などしたくなる現場に対して、そんなことしてはいけないと、たしなめる立場にいる者が、逆に率先して悪知恵をつけていたことにもなる。権限を持ち、監督責任をも有すべき者が、自ら誤った行動を促すとは、こういうのを「暴走」というのだろう。いやここまで来ると、「自殺行為」あるいは「自爆」だったのかもしれない。

 真面目?にも、上司の指示・会社の方針通り、不正改造をした者もいるだろうし、むしろ現場のほうにそれは絶対まずい、してはいけないことだと、理性を働かせて自制したサービスショップやサービスマンが少なからずいたのではないかと、今さらながら思いたい 
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薬の説明が不要のワケは

2006-07-19 23:18:26 | くすり雑感
 薬局に寄せられる要望として、待ち時間をもっと短くしてくれとか、プライバシーに配慮してくれ、といった昔から相変わらず続くものの他に、
・いつもと同じ薬だから(毎回もらっている薬だから)説明は不要
・医者に話したことと同じ事を聞かれ、2度も答えるのは煩わしい

 といったことがある。前者は、毎回でなくても、以前もらったことのある薬だから、既知のものだから、という理由も含まれる。

 薬局で説明するのは、何の薬だとか、のみ方、使い方はどうだとか、何に気をつけろだとか、そんなことばかりではないと思うのだが、それでも言わんとすることは、説明を受ける内容が同じなので、知っていることを繰り返されるくらいなら、もらうものをもらって少しでも早く帰りたいということになる。さも当然だろう。

 後者の要望も、そのような「言い方」で寄せられる背景を考えたとき、前者と共通するものがあると思われ、薬局(窓口)で行っていることは、服薬説明ではなく、服薬管理であるということが、共通の理解になっていないのではないかと思う。そこに齟齬が生じているから、薬剤師が話し掛けようとしている思いと、患者が話し掛けられたときに思っていることとの間に食い違いが出ているのだろうと思う。

 薬局は、薬を渡すところ、だから渡す薬の説明をする、薬剤師の説明とは渡す薬に関する説明である、だから患者にしてみれば知っている薬の場合は話は不要、そんな構図ではないだろうか。

 薬剤師が行おうとしている会話の本質は、説明が必要な薬であれば説明もするとはいえ、基本は服薬管理である、ということが理解されていない。とくに慢性疾患のように、毎回同じ薬をもらう人においては、定期的に“薬局に(も)”受診(--->こういう言い方は誤解を受けるかもしれないが)して、服薬を継続することについて、薬剤師という薬の専門家の目で安全確認をすることが重要なのである。

 そういった「服薬管理」があるからこそ、「指導」も発生する。管理のプロセスなくして、あーしましょう、これに気をつけましょうもないのである。
 医者への受診理由の中には、いわゆる「薬だけ」という“無診察”のときだって往々にしてある。処方せんをもらうだけのために病院に行くのであって、医者へはそれ以上期待しない、という患者の判断だ。医者にはそうだからといって、薬局にもそうであるかもしれないし、そうでない時とがある。薬局は、そこを考慮せず、毎回服薬指導をしなければ、などと無理しないことだ。“薬だけ”の延長で良ければ、それに従えばいいのであるし、そうであっても服薬管理が必要なことがあれば呼び止めて、その理由を伝えることだろう。その伝える内容が、患者さんの安全を守る内容になっていることはポイントだ。

 このあたりを無意識に使い分けができれば、たいへんフットワークのよい薬剤師になれるに違いない。薬局業務もたいへん効率良く行われることだろう 
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パロマに見る「安全確保はどこまでやるの?」

2006-07-19 08:54:24 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 <不正改造>「パロマ講習会で習った」…元業者証言 苫小牧

 92年4月に札幌市で2人が死亡した事故の損害賠償訴訟で、パロマ製品の修理をする「パロマサービスショップ」を北海道苫小牧地区で経営していた元業者が、被告側弁護士に対し、「(不正改造は)パロマの講習会で教えられた」と証言していたことが、札幌高裁の裁判記録などで分かった。しかし、パロマ側は「改造を絶対に行ってはいけないと指導していた」と証言を否定し、判決はこの点に触れなかった。
 この訴訟は、遺族側がパロマと取り付け業者らを相手取って損害賠償を請求した。証言した業者は75~87年まで同ショップを経営。札幌市の事故とは無関係だったが、87年に苫小牧市で2人が死亡、3人が軽症を負った事故で、安全装置が作動しないように不正改造をしていたとして、関連証言をした。
 ◇パロマは否定
 この業者は98年2月、取り付け業者の弁護士に対し「メーカーの指導なしに、サービスショップレベルの知識でこんな改造は出来ない。パロマ札幌営業所は年に2、3回、サービスショップを集めて講習会を開催していた。(動作制御をする)コントロールボックスの故障が多かったことから、講習会で応急措置として(安全装置を作動させない)バイパスを教えられた記憶がある」と証言し、証拠提出された。
 また、不正改造を行った動機について、この業者は「パロマの(事故機の一つの)PH―101Fなどはクレームが多かった。修理にはコントロールボックスの交換が必要だったが、パロマの製造が間に合わず改造で急場をしのいでいた」とし、「パロマはこのように応急措置をしていることを苫小牧事故以前から知っていたが、何もしなかった」と指摘した。

以上 (毎日新聞) - 7月19日3時6分更新

 当初からパロマ側が修理業者の行ったことを“不正行為”だと言っていたことに、どこかひっかかるものがあったが、もしこの報道が明らかならさらに事故の原因を考えるうえで、根底が覆されることになる。

 いったい自分たちの扱っている製品を、どのようなものだと考えていたのだろうか。社会や消費者に対して、どのように位置づけていたのであろうか。

 修理?、そりゃ全くしなくてもいいとは思っていないが、
・そこまで販売側がやらなくてもいいのではないか
・そこまでやらなきゃ、いけないの?(後は修理側に任せれば、そこまでで販売側の役目は終わりじゃないのか)

 そう考えていたフシはないか。今回のパロマの報道があるから言うのではない。これは身の回りに、もっと広く存在する考え方かもしれない。ここまでやっていればいいじゃないか、と自分たちで範囲を決めていたのかもしれない。

 どこまでやるかについて、法的に決められていたのなら、その線引きで問えるが、これらは法的に決められて、やる・やらないを考えるものではない。モラルや倫理的に、自主的に具備すべきものだろう。

 とりわけ扱う製品が生命関連であればなおさらのことだ。湯沸かし器のように、万一のトラブルが一酸化炭素中毒でなくても、ガス漏れ~爆発、火災といったことも考えられ、生活への影響が大きい製品である。他人から言われてやむをえずやるようなものとは違うのではないだろうか。自らその必要性を自覚して、臨むものではないかと思う。

 どこまでやればいいのか、それは消費者の視点、時代の要請などで決まってくるのだと思う。今がそうだから、将来もそれでいいというものではない。おそらくそのハードルは、売り手側が考える高さより、はるかに高く設定され、とどまるところを知らず、つねに高くなっていくものなのだろう 
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安全対策の不作為をもたらす背景は

2006-07-19 00:22:50 | ISO9001奥が深いか浅いのか
パロマ事故、17件発生直後に把握…上層部に伝えず (読売新聞) - goo ニュース 2006.7.18
-----転載ここから
パロマ工業(名古屋市)製の瞬間湯沸かし器による死亡事故が相次いだ問題で、同社は17日、経済産業省が指摘した17件の事故すべてについて、発生直後から本社の担当部が把握していたことを認めた。
 同社の内部調査では、1990年に北海道帯広市で2人が死亡するなど、ほかに数件の事故が発生していたことも判明。事故件数は20件以上で、最初に事故を認識した時期も、従来の説明より少なくとも6年早い85年にさかのぼることになった。

 同社は、会見した今月14日の時点で、社内で把握している事故は17件のうちの7件で、残る10件は「11日に経産省から指摘されて知った」と説明していた。ところが、同社によると、事故情報は、発生する度に警察から同社に照会があり、本社の品質管理部が関係書類を保管することになっていて、問題の17件についても、同部がすべて把握していたという。
-----転載ここまで

 そんなはず、ないんじゃないかなぁ・・・、と思っていたら案の定というべきか。どういう気持ちで、先週は謝罪をつっぱねていたのだろうか。秋田の児童殺害事件では、その親心が理解不能だが、名古屋の企業のトップもワケわからないものだ。

 知っていた>伝えた>忘れた?(軽く聞き流してしまった、軽視していた)、因果関係などないと無視した
 知っていなかった>上に伝達する途中で、うやむやにされた

 社長もいいかげんだが、パロマもISO9001を取得していたのだから、内部監査体制はいったいどうだったのだろうか。安全管理をする部門に対する内部監査や、クレーム対応などについて、見て見ぬフリをしていたのか。是正処置や予防処置はどうなっていたのか(おそらく動いていなかったに違いない)。内部監査員も、実態を知りつつ、苦々しく思い、きっと改善を勧めていたのだとは思うが、結果的には機能しきれていなかったのではないだろうか。複雑な思いだろうなぁ。

 安全装置の不正改造だなんて言いながら、老朽化による事故もあったという。安全管理体制は、ずさんすぎる。ガスを使ってお湯を沸かすのだから、不完全燃焼もあれば爆発だってありうるというのに、社内の安全管理体制の詳細は報道からは伝わって来ない。不祥事が小出しになっていることはないだろうか。

 今になって平謝りしているが、それだって打算的な計算のもとに、方向転換しているのかもしれない。企業としての危機管理もできているとは言い難い。こういう事件は、担当部署が独自で行ったとは考えにくく、おおむね組織的、早い話がトップが主犯だと思われる。事故隠しによってあらゆる信頼を失う、その見本がまた増えてしまった。
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パロマ工業が謝罪しない理由

2006-07-15 09:19:49 | ISO9001奥が深いか浅いのか
「不正改造なければ…」CO中毒死、パロマ弁明に終始 (読売新聞) - goo ニュース

 パロマ工業のガス瞬間湯沸かし器の排気ファン作動不良により、15人もの人が一酸化炭素中毒で亡くなっていた。機械の不良が原因なら、製造メーカーが追求されるのは普通の成り行きかと思うが、単純にそうではないらしく、社長は「謝罪しない」姿勢を貫いている。

 この報道を知って、まさかとは思ったが調べてみると、パロマもISO9001を取得していることを知って驚いた。事故の原因は修理に問題があったからで、製造メーカー側の問題ではないという、まるでシンドラーエレベータ(ISO9001認証取得)が点検業者に問題があると矛先を変えようとしていたのと、同じ体制と理屈ではないか!
 点検を問題にしたのは、ナショナルのオイルヒーターの際にも見られた。

 この事故は昨今初めて発覚したのではなく、経済産業省も含めて10数年前から知っていたという。
 湯沸かし器の不具合が起こることを知りながら、正しく修理されなかったことを、不適切な修理などとは呼ばず、「危険な改造」とか「不正改造」などと、修理業者側が悪者であるかのように表現しているのは、この会社の体質を表しているように思われた。

 自社製造の製品に、そのような修理業者側の不行き届きがあろうとも、
・「改造」の危険性をかなり昔から把握していたのに、修理が適切に行われるようにアクションをとっていたのか
・「不正」改造というのであれば、それは業者のモラルの問題で済ませていていいのか
・安全装置が働いてすぐお湯がでなくなってしまうという製品であるにもかかわらず、修理が発生する自社品に問題がなかったのか
・適切な修理が行われにくく、もっと確実かつ容易に修理ができるよための製品改良の余地はなかったのか

 パロマは、誰を「顧客」としていたのだろうか。フツウに考えれば、自社製品を購入し、使用してくれる市民だろう。製品が適切に使用され続けていくためには、修理業者の存在も不可欠であり、内部顧客に準ずる立場でもある。今回のように矛先を向けるほどの利害関係を起こす間柄であれば、外部顧客としても位置付けて(明記してあるかは別に)おくべきではなかったかと思う。

 自社製品の不具合が発端であるにもかかわらず、「不正」改造という表現を使うところに、まるでパロマもある意味、いいがかりをつけられて困惑している“被害者”であると言わんばかりの経営者の態度に、どうか違和感を抱かざるをえない。ましてやISO9001まで取得していたのであるから、顧客重視の姿勢がもっと随所に見えてよいのだと思うが、悲しいかな、そのかけらも感じられない。

 パロマの社長は、矛先を向けられて憤りを感じると言っている。既に裁判になった時の責任追及を逃れるべく、被害補償額を最小限にしようといった責任回避的な言明に被、害者を始め、国民は憤りを感じ、同社への信頼を捨てるのではないだろうか。

 雪印の社長が「俺だって寝てないんだ!」発言にも匹敵するようにも思える。重大かつ基本的な初動ミス(リスク管理の誤り)でなければいいが。少なくとも、この社長にはISO9001の理解はおろか、社会的責任の視点も乏しいように思われる(経営者の力量不足か?) 
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品質保証部長が守ろうとしたものは

2006-07-13 22:39:14 | ISO9001奥が深いか浅いのか
<トヨタ車事故>「対応に落ち度ない」 認識の相違鮮明に
 欠陥が見つかったのにもかかわらず、リコールなどを行わなかったとされるトヨタ自動車社員による業務上過失傷害事件。11日、熊本県警は「危険性を認識したのに放置した」として同社の歴代の品質管理担当幹部3人を書類送検したが、トヨタ側は「リコールの必要はなかったと判断した。対応に落ち度はなかった」と認識の違いを強調した。しかし、高品質と徹底したアフターサービスで「世界のトヨタ」にまで成長した同社の不祥事に、同社の車を扱う販売店には困惑が広がり、ユーザーからは誠実な対応を望む声が上がった。(毎日新聞) - 7月11日22時59分更新

 トヨタが欠陥車と知りながら、リコール件数を大幅に減らすとか、副社長まで知りながら8年間も放置していたとか、まさに虚偽の申告をしていたわけであり、歴代の「品質管理部長」という、最も安全を守ることに責任を持つべき部署の長が書類送検された。

・天下の、あのトヨタが、
・社内管理体制を自負している会社が、
・歴代の品質管理部長が、
・さらに副社長までもが、
・三菱ふそうのことを知りながらも、

 いったいどうしたことだろうか。
 何で隠していたのだろうか。部品に異常があったことを隠すということは、単にクルマの問題であったはずのところが、いつのまにか、隠していたことを隠すことになってしまったのだ。
 密かに修理を進めることで、表沙汰にならないと思ったのだろうか。ひらたくいえば、結果的にはもみ消しに走ったと言われても仕方ない状態だ。事を荒げず、内々で済ませようとしたとも受け取れる。

 最初に知った「品質管理部長」がそうしたのだろう。個人の判断か、組織的かは知らないが。それが次の「品質管理部長」に引き継がれて、さらに次の「品質管理部長」にまで申し送りされていたのだ。
 先輩の「品質管理部長」の判断を、尊重したのだろうか。その実態を知って、おかしい、本当にそれでいいのか、と疑問に思わなかったのだろうか。それとも、異論を申し立てることなど、先輩の判断を誤りと言うことにもつながり、畏れ多かったのだろうか。

 先輩を庇った。部署を庇った。過去の判断を庇った。隠したほうが、公けにするより、メリットがあると判断したかのようだ。
 三菱ふそうのことがあって、トヨタもか、などと言われるのが恐かった。経団連の会長を務める奥田さんの顔に泥を塗ることは許されなかった、愛知万博を成功させたかった、名古屋の盟主として、認めることができなかった・・・、何が真相だか知らないが、明らかなのは、そうやって身内を庇い、利益追求姿勢は崩さず、安全性は軽視、顧客は二の次にした、という厳然たる事実だけはトヨタの歴史に刻まれたことだ 
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みんな大好きな食品添加物

2006-07-11 23:09:57 | Book Reviews
 このタイトルは、『食品の裏側』(安部司・著、東洋経済新報社)のサブタイトルにあったものだ。
 ある日、この著者がTVで講演している姿が放映されていた。親子連れを前に、白い粉を混ぜて、無果汁ジュースやら何やらを作ってみせる、まるで魔法でもしているようなシーンだった。そのくらい、無から有を生むかのように、添加物は食品を変えてしまう。その業界では「クスリ」と言われる所以だ。

 そんな著者が、自分の子供が食品添加物まみれの食品を美味しそうに食べているところを見て、愕然とする。知る人ぞ知る、その製造過程を知る者なら、決して口にしないようなシロモノなのだ。

 食品添加物は、毒だ、異物だ、という側面だけとらえていると、それは偏った見方だと著者は言う。その恩恵も、また計り知れないからだ。
 しかし、食品添加物を平気で使う食品加工業者の多くは、利益優先、手間削減、いいものを作ることを捨て、その道の職人であることを諦め、いつのまにか良心を亡くし、食品もどきを作っていく。まるで「魂」を売ってしまったのか、と著者は嘆く。

 本物志向はどこへ行ってしまったんだろう。消費者の目や食感、味覚をごまかし、まがいものを作って、済ませている。手間をかけるところにこそ、相手に心が伝わる何かがあるのだろう。

 やってもいないのに、あたかもやっているかのように見せかけて喜ぶ経営者。小手先でお茶を濁しておいて、その貧しく、卑しい心に、恥ずかしいと思わないのか。恥ずかしさなんて、とっくに忘れてしまったのだろうか 
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薬局自ら、いい意味での競争を煽る

2006-07-07 23:28:45 | 思いつくまま
 処方せんには、この処方せんはどこの薬局でも使える旨の文言が入っている。入っていないより、入っているほうがマシだとは思うが、字は小さいし、ときに医者は直接に間接に薬局を誘導するから、以前より門前という立地優位性は落ちてきたとはいえ、まだまだ門前が強いような印象だ。

 ジェネリックによる代替調剤が、薬の選択肢を広げ、門前の集中度を減らす方向に働いているが、そのジェネリックを揃えるという「新たな」在庫の問題があって、いまひとつ処方せんが拡散しているふうでもない。

 まぁ門前に多くの処方せんが持ち込まれているとはいえ、どこの薬局でも調剤が受けられるということだけは浸透してきているようだ。しかし、もうひとつ、地域の薬局の処方せんを曳きつける力は足りないように思われる。患者さんにわざわざ足を運ばせる何かが欠けているのだ。

 患者の立場になって本当に何が必要なのか、どういう薬局がいいのか、もっと競争することで切磋琢磨を促して、レベルアップを図ることをしないから、そういう力がついてこないのではないだろうか。逆に言えば、それでオチこぼれるところは、どうぞ淘汰されてください、ってことだ。

 そこで薬局自ら「院外処方せんはどこの薬局に持っていっても、調剤が受けられます」と、一見、手放すような掲示をしてみてはどうだろうか。本当にその薬局に魅力があるのなら、他の薬局に浮気したところで、本当の良さを求めて患者さんは戻ってくるだろう。ダメなら、患者離れが進むことになる。

 しかし現実は「どこの院外処方せんでも受け付けます」といったふうに、処方せんを拡散させるのではなく、拡散をくい止めるような掲示ばかりが目立つ。処方せん応需枚数を増やしたい気持ちはわかる。しかし真の競争力をつけることのほうが、本質的な評価で処方せんを稼ぐ、かかりつけの道としてふさわしいのではないか、長い目で見るとそれによって得ることこそ、真の実力ではないかと思うのだ 
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北朝鮮とサッカー日本代表と調剤薬局

2006-07-06 00:10:45 | 薬局経営
 北朝鮮のように、軍部主導で進められる政治を「先軍政治」っていうのだそうだ。ならば、良い薬局かどうかを、売上げで判断する経営を、さしずめ「先金経営」っていうんだろうなぁ、と思った。
 少し前からミサイル発射を監視されていたにもかかわらず、7発も打ってみせるなんて、どういう制裁が待っているかわかりそうなものなのに、独自の読みでミサイルを強行するなんて。どんなかけひきがあるのか。売り手思想で先金経営するのも、勝手読みしている点では同じだ。どこに本音があるというのか。

 今朝、イタリアがドイツを破って決勝に駒を進めた。延長後半に立て続けに2点を入れ、そこまで体力や集中力を切らさなかったのは素晴らしい。しかも2点とも違ったパターンで得点するという、得点パターンを自由自在に生み出せる(あるいはいくつも持っている)ことが素晴らしい(というか、日本代表と比べて羨ましい)。中田英寿も、かねてよろ日本は得点の「型」を持っていない(格段に少ない)と、嘆いていたという(『ジョカトーレ』小松成美・著、文春文庫)。

 さて「先金経営」の薬局、昨年度は差益ががっちりあったので、望外の利益を得られたが、差益依存経営がたたって、今期はいまさらながら服薬指導加算や薬剤情報提供(お薬手帳)加算の算定率アップに躍起になっているという。

 しかもこういう患者には自動算定するんだ、というパターンを作らせているという。今さらだと思うが、何と何の話をさせて、どんな薬歴を書いて・・・と、算定のためのテクニックを叩き込むことが「教育・研修」であると位置付けているのだという。
 薬局の都合に合わせたペースで会話を進めて、算定する(金儲けする)のが薬局の仕事だと言っているわけだが、薬局のために患者があるのでもなく、来局するのではないから、自分勝手な進め方は顧客満足に結びつかないばかりか、このような業務を強制することで薬剤師を窮地に追い込み、やる気を失わせることにもなる。「百害あって一利なし」的だ。

 窓口業務がレールに乗ったような会話で進行することなどないのだから、十人十色のパターンで進められるのだから、いかに顧客毎のニーズに対応することが重要であり、それぞれのパターンで応えてこそ顧客満足につながり、さらには薬剤師の力量アップにもつながるのだと思う。
 目先の利益を求めすぎて、外部顧客と内部顧客の信頼を失い、発展、成長も阻害していることに気づかない経営者がいるのは、たいへん遺憾に思う。金儲け主義、利益優先主義のなせるワザだが、異論を進言できない取り巻きも同罪だ。

 薬局が誰のために存在し、どのような社会の中での役割を担い、ニーズに応えるべきかを、履き違えている経営姿勢が変わらない限り、その薬局に明日はないと言ってもいいだろう 
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薬害C型肝炎訴訟で三菱ウェルファーマは争う姿勢

2006-07-04 22:49:05 | 薬害は人災だ
製薬会社側も控訴 薬害C型肝炎大阪訴訟 (朝日新聞) - goo ニュース 2006.7.4

-----転載ここから
 血液製剤「フィブリノゲン」などを投与されてC型肝炎ウイルスに感染したとして、近畿と中・四国地方の患者13人が国と製薬会社に損害賠償を求めた「薬害C型肝炎大阪訴訟」で、製造元の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)と子会社のベネシスは4日、9人の感染について企業側の責任を認めた大阪地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴した。5人について敗訴した国は6月28日に控訴しており、原告側も4日午後に控訴する。

 三菱ウェルファーマの話 当社の主張が認められていない点もあり、上級審において司法の判断を仰ぎたい。
-----転載ここまで

 処方せん医薬品の違法販売を自ら申告して、非を認めたドラッグストアの10数社。1年以上も販売を続けていたことは、あまりにもお粗末なのだが、それでも襟を正した。
 一方、薬害を繰り返して、その構図や根本は十分これまでも問われてきているはずなのに、控訴して争う姿勢を見せる三菱ウェルファーマ(旧・ミドリ十字)。

 ドラッグストアも、社会の顔色を窺って、自らの企業としての評価を下げまいとし、少しでも売上げへの影響を避けようとする魂胆は見え見えなのであるが。
 一方、ミドリ十字の経営姿勢は、製薬メーカーとしてあるまじき姿であったと、これまでその烙印を押されつづけてきているにもかかわらず、被害者と争う姿勢を崩そうとしない。直接、被害者と争うにしても、ある意味、社会に対して抵抗を示しているかのようだ。

 ドラッグストアは顧客とのパイプが途絶えてしまわないように、ある意味、必死になっている。一方、三菱ウェルファーマは、その主力製品が医家向け医薬品であり、不買運動になど合うこともないだろうと、たいして恐れていないのではないだろうか。
 世の中の医療機関は、併売品を始め、同社の主力製品の同効薬について、使用を控えるようにしてはどうだろうか。患者は、自分の処方されている薬が三菱ウェルファーマのものだとわかったら、代替薬がない場合を除いて、他社品への変更を願い出てはどうだろうか。

 薬害エイズやC型肝炎に会いたくてそうなったわけではない。その被害者や家族、関係者の無念はいかばかりだろうか 
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