「なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日」 門田隆将・著、新潮社、2008年7月20日
先日取り上げた本書に出会い読み始めた。事件の概要は報道でも知っていることもあって、一気に最後まで読了。
本村さんをよく知らない人は、彼を、被害者とはいえ、あそこまで頑なで、ゆるがない冷徹さを持ち合わせた、いささか恐ろしい人のように思うかもしれない。
彼に与えられた現実は、受け入れることのできない、でも受け入れざるをえない、想像を絶するものだ。彼が奥さんや娘に対して、その後してあげられる精一杯のことをしているにすぎず、それは彼にとってもささやかに当たり前のことを求めているにすぎないのだ。
何か意固地になっているとか、被害者だから何を要求してもよいとか、それは全くの誤解だ。
彼のつらさをわかってあげられない周囲の者が彼を励ます。とくに職場の上司のサポートは、どれほど折れそうになる心を支えたことであろう。
彼の人生は、裁判が終結したこれからも続くし、これからが長い。自分が老いても、奥さんや娘さんはずっと昔の笑顔のままだ。彼には、この先も長い試練が待っている。ともすれば、早く奥さんや娘さんに会いたいと思うことだろう。これからそのような時が来たとき、誰が彼を支えるのだろう。
どれだけ励ましても、満たしてあげられない日々はもうしばらく続くかもしれない。だが、遠くない将来、それを受け止めつつ、歩むべき道が開かれていくことを願ってやまない。
先日取り上げた本書に出会い読み始めた。事件の概要は報道でも知っていることもあって、一気に最後まで読了。
本村さんをよく知らない人は、彼を、被害者とはいえ、あそこまで頑なで、ゆるがない冷徹さを持ち合わせた、いささか恐ろしい人のように思うかもしれない。
彼に与えられた現実は、受け入れることのできない、でも受け入れざるをえない、想像を絶するものだ。彼が奥さんや娘に対して、その後してあげられる精一杯のことをしているにすぎず、それは彼にとってもささやかに当たり前のことを求めているにすぎないのだ。
何か意固地になっているとか、被害者だから何を要求してもよいとか、それは全くの誤解だ。
彼のつらさをわかってあげられない周囲の者が彼を励ます。とくに職場の上司のサポートは、どれほど折れそうになる心を支えたことであろう。
彼の人生は、裁判が終結したこれからも続くし、これからが長い。自分が老いても、奥さんや娘さんはずっと昔の笑顔のままだ。彼には、この先も長い試練が待っている。ともすれば、早く奥さんや娘さんに会いたいと思うことだろう。これからそのような時が来たとき、誰が彼を支えるのだろう。
どれだけ励ましても、満たしてあげられない日々はもうしばらく続くかもしれない。だが、遠くない将来、それを受け止めつつ、歩むべき道が開かれていくことを願ってやまない。