何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

我々は唖然、愕然とするしかないのだろうか

2012-01-12 21:51:41 | JR西に学べ
<居眠り運転>JR福知山線で 脱線事故遺族目撃、JR西公表せず
毎日新聞 1月12日(木)19時21分配信

 JR福知山線で先月15日、30代の男性運転士が快速列車を運転中に居眠りしていたことが12日、JR西日本への取材で分かった。同線で05年4月に起きた脱線事故の遺族が目撃していた。JR西は運転士を先月27日まで乗務停止にしたが、公表していなかった。

 同社などによると、先月15日午後0時35分ごろ、大阪発篠山口行き下り快速列車の先頭車両に乗っていた遺族が、運転士の様子がおかしいことに気づき、西宮名塩駅で車掌に伝えた。運転士は内部調査に「北伊丹から宝塚ぐらいまで眠気を感じ、3回ぐらいカクッとなった」と認めたという。

 北伊丹-宝塚間の所要時間は約10分。1分間操作をしないと緊急停止装置の警告音が鳴るが、この時は作動していないという。同社は乗務停止にした理由について「(脱線事故が起きた)福知山線での居眠りを重く見た」としている。目撃した遺族は「この路線で居眠りをするとは。企業の体質がおかしいのではないか」と憤っている。【亀田早苗、生野由佳】


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産経新聞 1月12日(木)17時56分配信

〈前略〉JR西は「ヒューマンエラーのため、公表はしなかった」としている。JR西は同月27日まで運転士を再教育し、復帰させた。

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 まだ7年と経過していない現段階で、しかも事故のあった同じ路線での出来事だ。もちろん事故になっては困るが、結果的に事故になる・ならないの問題ではない。不適切な運転がいまだに後を絶たない、そのような業務実態をたいへん残念に思う。そのうえ2週間も経たないうちに職場復帰である。コトの重大さはわかっていないはずはないと思うが、本当にどこまでわかっているのか甚だ疑問だ。
 
 遺族が目撃していなかったら明るみに出ないままで済まされていたのだとしたら、それも恐ろしいことだ。居眠り運転という不適切な実態のみならず、公表が遅れた理由をはじめ、当該運転手にどのような再教育をしたのか、再発防止策を立てたのか、そのあたりも明らかにして欲しい。内部的なことであっても、公共交通機関として、社会的責任を果たす意味も含めて、公表するのは当然かもしれない。

 そもそも脱線事故に対して、ATCを設置するなどのほか、当時運転そのものに立てた対策の実施状況、定着状況はどうなっているのだろう。その妥当性も問われるように思われる。喉元過ぎれば・・・ということなのか。
 
 山崎正夫元社長の判決を控えていたことで、タイミングが悪いと思っていたとも受け取れる。心証を損ない、有罪判決にでもなったら、歴代の社長の裁判にも少なからぬ影響を及ぼすと考えたとも推察されるがどうだろうか。トップ達をかばったのだとしたら、本当に反省しているなどと思えないし、遺族が呆れ果てるのももっともではないかと思う。


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問われたのは手法ではなく体質

2011-07-27 22:46:10 | JR西に学べ
<JR西訴訟>「日勤教育」は裁量逸脱 大阪地裁が賠償命令
毎日新聞 7月27日(水)13時18分配信

 ミスなどをした運転士らに対するJR西日本の「日勤教育」は人権侵害で違法として、運転士ら約260人がJR西に1人当たり100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。中村哲(さとし)裁判長は、原告のうち61人が受けた日勤教育で、JR西が裁量を逸脱・乱用したと認定し、計620万円の損害賠償の支払いをJR西に命じた。

 日勤教育はJR福知山線脱線事故の背景とも指摘された。中村裁判長は「JR西は必要に応じて教育に関する権限を行使できる」と判断、日勤教育そのものの違法性は否定した。一方で、一部の原告が受けた日勤教育が「期間が長すぎ、賃金面で過分な不利益を与えた」「期間や内容の面で不必要な精神的負担を科した」などと認定し、61人について1人5万~30万円の賠償をJR西に命じた。

 原告らは、JR西日本労働組合の組合員ら。日勤教育の実態が、トイレ掃除や草むしり、たばこの吸い殻拾い▽「株式上場について」や精神論など、ミスと関係がないテーマのリポート作成--などだったと訴えていた。

 中村裁判長は判決文の最後で「脱線事故から5年以上経過したのに、原告らとJR西は過去の日勤教育について訴訟で争いを続け、安全性向上などの議論が進んでおらず、憂慮すべき事態だ」と所見を示した。さらに「過去の日勤教育に関する不毛な議論を続けることなく、脱線事故で損なわれた信頼を取り戻してほしい」と双方に呼びかけた。【坂口雄亮】
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 福知山線の脱線事故がなければ日勤教育はここまで公然とならなかったかもしれないし、問われることなどなかったかもしれない。大企業が、当然と言わんばかりに、人格を踏みにじるような行為を平然と行なっていたのだ。パワハラを通り越しているようにすら思われる。

 精神的苦痛を考えたら、そこで受けたさまざまな言葉や指示命令に対し、5~30万とは査定が低すぎるように思われる。マルがひと桁違うでしょ、と思う。

 日勤教育の実態は、屈辱的なペナルティをもとに再発防止を図ろうとしたのだろうが、人格無視をされなければならないような問題など、いったいあるのだろうか。それとも若かりしころ、日勤教育を受けたことで、今度はそれを与える番だなどと、悪しき伝統を引き継いだのだろうか。

 問題解決の手法として、あるまじき行為であることが平然と行なわれ、異を唱えることができない体質のJR西日本であることが露呈した。上層部が知らなかったはずはない。上に立つ者の見識も疑われるというものだ。内部告発も難しかったのだろうか。

 日勤教育など、誤りの手法だ。それが行なわれてきた体質、是と考える価値判断が間違いであると判定されたと認識すべきだろう。




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専門家の存在意義は危険性の評価と対応

2011-05-27 22:13:16 | JR西に学べ
前社長「カーブ速度、運転士に徹底」被告人質問 JR福知山線脱線
産経新聞 5月27日(金)12時51分配信

 平成17年4月のJR福知山線脱線事故で、現場を急カーブにしたのに事故防止のための自動列車停止装置(ATS)設置を怠ったとして、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長、山崎正夫被告(68)の第22回公判が27日、神戸地裁(岡田信裁判長)で開かれた。被告人質問が行われ、山崎被告はカーブの安全対策について「制限速度を運転士に徹底的に教え込み、制限速度を低めに設定することで安全を担保していた」と話した。

 山崎被告は、過失を問われた8~10年当時の認識を「カーブでの速度超過で脱線転覆事故が起こるとは考えていなかった」とあらためて強調。理由については「運転士はカーブの制限速度を頭に入れて運転するように訓練されていたからだ」と説明した。

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JR西日本前社長「現場カーブ半径知らぬ」危険性認識改めて否定産経新聞 5月27日(金)14時32分配信

 平成17年4月のJR福知山線脱線事故で、現場を急カーブにしたのに事故防止のための自動列車停止装置(ATS)設置を怠ったとして、業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長、山崎正夫被告(68)の第22回公判が27日、神戸地裁(岡田信裁判長)で開かれた。被告人質問が行われ、山崎被告は「現場カーブの半径を知らなかった」と述べた。

 検察側は、現場カーブの半径を半減させる異例の工事が8年12月に完成し、脱線の危険が高まったと指摘。当時、鉄道本部長を務めていた山崎被告は危険を認識し、事故を予見できたと主張している。

 この日の被告人質問で、山崎被告は「図面を見たり、現場を通る列車に乗ったりしたが、(カーブは)ほとんど印象に残らなかった」と説明。弁護側が「カーブが急だとか危ないとか思ったか」と尋ねると「認識はなかった」と答えた。

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 人が間違えを犯さないことをもって、安全を担保していたという供述。間違ってはいけないと知りつつも、他を意識するあまり、違反を犯すのが人間ではないか。元社長は、たとえば高速道路でも制限速度を越えて運転をしたことがないのか?

 運転士への教育で速度超過を防ごうとしていた、言い換えれば速度違反で事故が起きれば運転士の責任であるということか。違反を犯した運転士が悪いという意にも受け取れる。人はわかっていてもつい過ちを犯すものだから、そのために機械の力を借りて、二重三重に安全を確保しようとするのが一般的ではないかと考える。そのためにATSが開発されているのではないだろうか。安全を人に依存しているのなら、安全装置の多くは不要になってしまうことはないか。

 運転士の教育、それは日勤教育。「徹底的に教え込み」の中身は、ペナルティを課すという脅しであったのも忘れてはならない。

 福知山線の事故現場のカーブ。以前、先頭車両に乗った感触からすると、その直前は直線が続き、そのままでいけば相当曲がりきれなくなるであろうと感じた。それほど緩やかなカーブには思えなかった。右回りのカーブに対して、右側への傾きが少ない印象があった。
 
 当時の鉄道本部長である同氏から見ると、たいしたことない曲がり方の程度なのだろう。JRの路線工事を担当する者からしても、運転士からしても、同様の評価なのだろうか。さほどATSの必要性は乏しいと思うのだろうか。
 
 危険性があるかどうか、どの程度か、どのような時に危険性が増すのか、それらは専門家ならわかるはずだ。危険性の評価をすることが、専門家の存在異議と考える。
 またいつか大阪に行く機会があったら、福知山線に乗ってみよう。東京近郊のJRのカーブと比べてどうなのか。乗客の立場・感覚ではあるが、再度検証してみたいと思う。


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経営方針の誤りを正す礎にしたい

2011-04-25 23:14:10 | JR西に学べ
鉄道の安全「広く国民に」=遺族とJR西、合同で報告書―福知山線事故
時事通信 4月25日(月)15時18分配信

 JR福知山線脱線事故から6年を迎え、遺族らでつくる4・25ネットワークとJR西日本が25日、共同で1年半にわたり進めてきた事故検証の場「課題検討会」の報告書を公表した。被害者と加害企業の異例の合同作業は、事故の組織的要因をめぐって一定の理解に達し、今後の評価を「広く鉄道の利用者である国民に委ねたい」と結んだ。

 報告書は、乗務員への懲罰的な再教育(日勤教育)、過密ダイヤ、自動列車停止装置(ATS)の未設置といったテーマで、同ネットの問題提起にJR西側が回答する形式でまとめられた。

 再教育の項目では、ネットが問題点の具体化を求めると、JR西は「机上教育」に陥りがちで実践的でなく、監督者と社員間のコミュニケーション不足を認め、改善点として専門知識が豊富な監督者の指導やシミュレーターの活用などへの訓練の転換を挙げた。

 ダイヤについては、運行本数優先で余裕のない編成が、結果的に運転士に焦りや動揺を与えたとの指摘に、西川直輝JR西副社長が「全く新しい視点」と同意。過密運行になった場合は速やかに修正できるシステムを構築したと説明した。

 ATS未設置で、JR西はカーブでの大幅な速度超過による脱線を想定できなかったとしながら、「ATSがあれば事故を防げた」と回答。事故後、国の指示を超えるペースと範囲で設置を進めたと答えた。

 報告書のまとめとなるJR西の組織的問題に関する見解で、ネットは民営化後の利益追求型経営、安全への組織的取り組みの希薄化、信賞必罰が招いた「物言えぬ社内風土」を挙げ激しく批判。JR西は、社内の風通しの悪さや安全対策が停滞していたことを率直に認めた。

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 あれからもう6年経った。東日本大震災で、記事の取扱いは小さくなっているが、決して忘れてはいけない「事件」だ。日勤教育も、過密ダイヤも、ATS未設置も、すべて社員をコマのように扱い、利益を優先するという経営側の論理によるものだ。その文化が大事故を招いたのだ。
 いかに社員をないがしろに扱ってきたか。その圧力が危険な行動を誘発したのだ。

 JR西日本でなくても、同様の文化を有する企業はたくさんある。業種上、多くの人命を失うようなことには至っていないかもしれないが、その経営姿勢はけっして正しいとはいえないことを知るべきだ。顧客に多大な迷惑をかけていながらそれを認めず、地位にしがみつく経営者もいる。そういう組織には明るい将来などけっして訪れないだろう。


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遺族のためでなければ会社のためではない

2010-12-04 11:26:12 | JR西に学べ
福知山線事故 JR西・山崎前社長 初公判前に心境語る
毎日新聞 12月4日(土)2時31分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101204-00000003-maip-soci
より抜粋

 --航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の調査報告書を漏えいさせたのを今、どう思うか。

 目的はともかく、方法としては大間違い。申し開きできない。社長になってすぐのころで、ものすごく狭い意味で「会社のため」にやった。ご遺族と付き合ううちに、遺族のためでなければ会社のためではないと思うようになった。

 --遺族に言いたいことは。

 「本当に犠牲者の方に対して申し訳ない」しかない。事故については、刑事責任はともかくとして経営責任は私も含め歴代の社長にある。

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 確かに、歴代社長の中ではまともかたかと「一時」思いもしたが、それは調査報告書の一件で見事に裏切られた。それぞれに個性もありながらも、自己保身に走り、被害者のことがどこまでわかっているのかと理解しがたいのは共通因子だ。

 いまさらながら、「遺族のためでなければ会社のためではない」ということに気づいてもらったが、あまりにも時すでに遅しだ。公共交通機関として、国民のためでなければJR西日本のためではないと、現役時代は考えてもみなかったと言っているようなものだ。

 山崎元社長だけが、個人として裁かれることに抵抗があるのはわかる。誰も一人だけの責任だなんて思ってもいない。カイシャのためと言うのなら、すべて一切の主張をせずに、受け入れることがそれにつながるのではないだろうか。たとえ、受ける必要のない分まで罪を負ったとしても。最高責任者って、そういうものではないだろうか。一個人としての応分だけで、と考えることは、全体に影響力を持っていた立場の者が持つ考えではないような気がする。

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おかしいという社員いなかったか

2009-10-18 13:49:09 | JR西に学べ
 JR西へ厳しい声「口先だけの謝罪や言い訳は響かない」 2009年10月18日0時50分

 裏工作をしても命は戻らない――。JR西日本は、宝塚線(福知山線)脱線事故の調査情報漏洩(ろうえい)など一連の問題を受け、17日午前に続いて、午後にも「お詫(わ)びの会」を兵庫県伊丹市内で開き、被害者に問題の経緯を説明し、謝罪した。参加者からは、同社の企業体質を問う厳しい声が相次いだ。

 17日の「お詫びの会」は非公開で2回開かれ、遺族と負傷者ら計219人が参加した。午前9時半に始まった最初の会が終了したのは午後1時半。出席者らによると、質疑応答ではJR西への批判が相次いだ。

 「公表前の調査報告書が社内にあって、おかしいと言う社員はいなかったのか」

 そう追及した男性に対し、山崎正夫前社長は「私の知る限りいなかった。当時の社内はそういう状況でした」と力無く答えた。負傷者の家族の女性は「『犠牲者の無念を思うとやるべきではない』と言える人がなぜいないのか。そんな会社は信用できない。今までで一番腹が立つ」と憤りをあらわにした。

 JR西の事故被害者に対する説明会は、今回で8回目。同社はそのたびに、「被害者への精いっぱいの対応が最優先」と言い続けてきた。

 「これが誠心誠意と言えるのか」「表向きは『精いっぱいの対応』と言いながら、裏では自分たちのことばかり。そんな幹部ではJR西は変わらない」。被害者は失望感を口にした。「あなたはなぜ社長になったのか」と問われた山崎氏は「企業防衛に考えがいってしまったのは事実としか言いようがない。おわびするしかありません」と答えるのがやっとだった。

 同社をめぐる一連の問題の発覚が、国土交通省の発表だったり、報道だったりした点にも批判が集中。「ずっと言わないつもりだったのか」と質問が飛ぶと、土屋隆一郎副社長は「検察の捜査を通じての指摘を、我々が申し上げるべきかどうか悩んでいた。結果的に後手後手になってしまった」と釈明した。
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 山崎前社長が取締役辞意 朝日新聞 2009.10.18

 JR宝塚線(福知山線)脱線事故をめぐり、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の委員から調査報告書案を公表前に入手するなどしていたJR西日本取締役の山崎正夫前社長(66)と土屋隆一郎副社長(59)が、佐々木隆之社長(63)に進退伺を預けていることが17日にわかった。山崎氏の起訴後も新たな問題が次々と発覚したことの責任を取り、事実上の辞意を表明したものとみられる。
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 「辞職届」でなく「進退伺」などと、まだ判断を預けているところへの違和感が第一感。社長を降りて、取締役に留まることからして非常識だろう。重要参考人として残る程度であり、経営判断を誤った者が経営に関与できる地位に居座るのはいかがなものか。誤った判断が出る土壌から、適切な改善策や変革が出ることなど、期待できない。なぜなら自分たちを裁けないのだから。

 それはまた調査報告書があることに異を唱える者など現れるはずもないことにもつながる。皆がストーリー通りに進めようとしていたのだから。自浄作用など期待できるはずもなく、経営陣すべてが経営の不適格者であったかのように思われてならない。苦しいながらもJR西日本のダメージが最小限になるように願うというのは、虫のよい考えである。企業防衛か危機管理のひとつだととらえていたのだろうか。ここでも顧客の立場にたった経営判断をすべきだったと思われる。

 誤った経営判断を正せない経営陣によって動いている組織は、死に体と言えそうだ。多くの判断をするなかで、中には間違えることもあるとはいえ、明らかになってみれば誰もがおかしいといえる判断をしているのであれば、能力や資質が問われることになる。
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ポリちゃん想定問答集

2009-10-18 12:00:53 | JR西に学べ
 「ポリちゃん想定問答集」 JR西担当者 捜査に備え作成 朝日新聞 2009.11.17 夕刊

 JR宝塚線(福知山線)脱線事故をめぐり、JR西日本の担当者が兵庫県警の事情聴取が始まる前に、対応マニュアルを作成していたことがわかった。「ポリちゃん想定問答集」と名づけられていたという。また、取り調べを受ける社員らに対して、同社が把握している事実関係をまとめた資料を配っていたことも判明。捜査当局は、社内で口裏合わせをした疑いもあるとみている。

 JR西によると、「ポリちゃん想定問答集」は、同社の安全運行に携わる担当者が作成した。この担当者は社内の調べに対し「自分の頭の整理のために会社の公式説明などをまとめた」と説明しているという。問答集は、神戸地検が同社を昨年10月と今年5月に家宅捜索した際に、押収した資料の中に含まれていたという。

 JR西は「いつごろ作られ、どのような内容だったのかは資料が押収されているので詳しくわからない。そんなふざけたタイトルは個人資料だったからであり、組織的な関与はない」と説明している。

 またJR西は、兵庫県警や神戸地検の事情聴取に呼ばれる社員たちに、会社で把握している事実関係をまとめた資料を配っていた。17日に開かれた被害者を対象にした謝罪と経緯説明の会で、同社が明らかにした。

 同社の土屋隆一郎副社長は会のなかで「参考資料として配布した。捜査に協力するためだったが、みなさまに不信感を抱かせるものであり、反省しなければならない」と釈明した。
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 捜査協力資料か口裏合わせ資料かは、その現物を公にすればすぐわかることだろう。上層部しか知らない情報を小出しに出して、それで捜査協力に当てようというのであれば情報操作であり、社会に対する口裏合わせにほかならない。

 資料名も、個人が付けたネーミングであったとしても、それが一担当者から出てくる風土や許している空気がJR西内に残存していることになる。一個人を非難するのは適当ではなかろう。

 そんなJR西から説明を受けても、いまさら何を信じてよいのやらわからない。これまでの説明が真摯に反省しているところを起点にしているのではないことが判明したのだから、遺族らはしばらく気持ちが収まらないだろう。JR西が公共交通機関であれば、国民のすべてが顧客になりうるのだから、国民を愚弄する姿勢ともいえそうだ。
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悪代官もいいところ

2009-10-17 21:23:52 | JR西に学べ
 JR福知山線事故の公述人応募、前社長が直接要求 10月15日23時27分配信 読売新聞

 JR福知山線脱線事故の意見聴取会の前に、JR西日本が有識者4人に同社側の公述人になるよう求めていた問題で、同社の意向を受けて応募したものの、落選した国鉄OB2人は、JR西の山崎正夫前社長から直接、応募するよう求められたことが15日、分かった。

 また、書類の一部はJR西側が用意していたことも明らかになった。

 落選した日本鉄道運転協会会長の小野純朗氏と、元秋田内陸縦貫鉄道専務の伊多波美智夫氏が同日、読売新聞の取材に明らかにした。

 小野氏は、国鉄運転局時代の山崎前社長の上司で、山崎前社長から、「今回の事故で、過密ダイヤや列車の遅れが(事故の)原因だと言われるのは、鉄道界にとってよくない」と言われたという。小野氏は、同社の依頼がなくても個人的に応募するつもりだったといい、「福知山線のダイヤは過密ではないなどという一般論を述べるつもりだった」とした上で、「依頼を受けたのは、遺族感情を傷つけるという点で不適切だった」と話した。

 一方、伊多波氏によると、公述人への応募や公述内容の書類は、すべてJR西側が用意したという。しかし、「自分の意見を話し、その内容をJR側がまとめた」と説明。JR西から10万円の謝礼を受け取ったことについては、「コンサルタント料と思っていた」と語った。JR西は「事実関係を調査中」としている。
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 同社は、事故現場カーブで列車が急激に減速しなければならないことがわかるグラフを聴取会で取り上げないよう強く求めたという。

 JR西側が働きかけたのは、永瀬和彦・金沢工業大客員教授。JR系列の研究開発機関「鉄道総合技術研究所」のOBで、当時は、JR西の安全諮問委員会委員長を務めていた。同社は、永瀬氏のほかにも3人に公述人になるよう要請し、うち公述人から漏れた旧国鉄OBら2人には聴取会後、申請資料づくりの手間賃として10万円ずつ謝礼を支払ったという。


 調査委員会による事故調査は、調査する側と当事者とが、「再発防止」を共通の目的に、真相究明に協力しあう理念で支えられている。この幹部は「事故の当事者が現金を用意してまで自社に有利な方向に事実をゆがめようとしていたのか」と受け止めた。

 当時、有識者として公述人を務めた安部誠治・関西大教授(公益事業論)は、「初めて聞く話ばかりで、そこまでやるのかとあきれた」と驚いた様子だ。「JR西は事故後、社員が時間をかけて遺族をまわり、ようやく対話が醸成さえてきたところだったのに、今回の件で事故の日に戻ったように信頼は崩れてしまった」と話した。
(朝日新聞 2009.10.15 夕刊)
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 山崎正夫前社長の一存で働きかけたとは考えにくく、誰かが提案(首謀)し、決定し、トップシークレットとして秘密裏に実行したことが今になってバレてしまったわけだ。遺族を含めた乗客を第一にしているのではなく、保身に走っていたとは、呆れるのを通り越して、言葉を失う。

 良心も誠意もすべて反故にできるほどの経営姿勢がそこにあった。どうすればそんな心の持ち主になれるのか。そんな恐ろしい話し合いを、どのような心情で練って実行したのか。

 犠牲者、遺族をはじめ、国民をここまで欺く企業は、顧客から見捨てられ、経営破綻して当然であるが、公共交通機関であることが、潰れるわけではないという驕りを生んでいるのだとしたら、許せない話だ。ここにきて遺族は改めて裏切られた思いで、悔しさ、やりきれなさでいっぱいだろう。

 こんなとき、JR西日本はTVコマーシャルなど自粛すべきだろうし、お詫びの意を込めて、当面の間、運賃を大幅値下げするとか、無料化するといった行動をとってはどうだろう。それで許されるものではないが、公共交通機関をストップできない以上、休業できないのであればそれに匹敵する方法で当座、反省の意を示してもいいのではないだろうか。
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もう少しマシな人かと思ったが

2009-09-25 22:11:05 | JR西に学べ
尼崎脱線事故調委員が情報漏えい JR西寄りに修正図る 神戸新聞 2009年9月25日(金)16:26

 尼崎JR脱線事故で、原因究明に当たった国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の委員が、2007年6月の事故調査報告書の公表前にJR西日本の山崎正夫社長(当時)に報告書案を渡し、その内容がJR西の意向に沿ったものになるよう委員会で修正を求めていたことが25日、分かった。前原誠司国交相は同日の会見で「れっきとした法律違反で、あってはならず言語道断」とし「亡くなられた方々、ご遺族、けがをされた方々に心からおわびを申し上げたい」と謝罪した。山崎前社長も「軽率で不適切な行為だった」とのコメントを出し、同日午後にJR西日本本社で会見した。

 運輸安全委によると、情報を漏らしたのは、国鉄OBで元日本鉄道運転協会専務理事の山口浩一元委員(71)。01年10月~07年9月に事故調委の委員を務めた。

 山口元委員は、06年5月に山崎前社長から連絡を受け、報告書を公表する07年6月までに東京都内のホテルで4回ほど面会。調査状況を話し、報告書案も渡した。さらに山崎前社長から、報告書案にあった「事故現場のカーブに新型自動列車停止装置(ATS-P)があれば事故は防げた」との内容の削除を求められ、調査委で報告書案の修正を求めたという。

 山口元委員は山崎前社長から、菓子の手みやげや、新幹線の模型、おもちゃなどの提供を受けたという。また、報告書の公表後、山崎前社長の支払いで夕食を一度、ともにした。山口元委員は「JR西社長として安全対策を積極的に推進する姿を見て助けたかった」と説明しているという。

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 先の会見で、自身としては無念で、不本意ながらも処分を受け入れるような“善人さ”を持った人物のような報道をされていた山崎社長が、裏でこのようなことに手を染めていたとは驚きだ。

 手土産等の供与もあったのだ。「軽率」という類のものではなかろう。被害者への背信行為であるとともに、不誠実、悪質な行動だ。
 いったい、事故調査は誰のためにあるのか。誰のために鉄道事業をやっているのか。原点なんぞ、すっかり見失っているとしかいいようがない。

 それなりの権限を持った要職にある者の行動であり、個人としての資質もさることながら、組織ぐるみでの行動ともいえる。事故を真摯に受け止めず、反省も不十分な態度であることは疑いようもない

 またもやJR西日本に裏切られたような、やりきれなさを感じずにはいられない。
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安全最優先の組織がとってはならない態度

2009-07-24 22:55:45 | JR西に学べ
辞任表明の山崎正夫社長 JR西日本の「ドン」と決別  7月24日11時55分配信 J-CASTニュース

 JR西日本の山崎正夫社長(66)がJR福知山線脱線事故(05年4月)で業務上過失致死傷罪に問われ、神戸地検に在宅起訴されたことを受け、辞任を表明した。後任の社長には佐々木隆之副会長(62)が2009年8月31日付で就任するとマスコミは大々的に伝えたが、今回のJR西日本グループの人事で見逃せなかったのは、同脱線事故の遠因を築いたともされる元経営トップの退任だった。それは同社内で「天皇」として君臨し、国鉄分割民営化後の利益至上主義を築いたとされる元社長、井手正敬氏(74)を同グループから追放したことだった。

■ドン井手氏は社内で長く院政を敷いていた?

 井手氏は1987年の国鉄の分割民営化に尽力した功績者として、JR東日本の松田昌士相談役、JR東海の葛西敬之会長とともに「国鉄改革3人組」と呼ばれた。いずれも中曽根内閣が進めた国鉄分割民営化を経営サイドから推進した剛腕として知られるが、井手氏は利益追求に走りすぎ、福知山線脱線事故に結びついたとして、遺族らから批判を浴びていた。

 井手氏はJR西日本の社長、会長を11年間務め、事故当時は相談役だったが、事故の引責で相談役を退いた後も、グループ子会社の顧問に就任していた。井手氏の社内人事などへの影響力は絶大で、「会長、相談役となった後も、社内で長く院政を敷いていた」と言われている。その井手氏は今回の人事で、子会社の顧問を7月末に退任することになった。

 在宅起訴された山崎社長は自身の辞任表明と合わせて、井手氏の子会社顧問の退任を発表。「事故当時、相談役だった井手正敬氏については、グループ会社の顧問契約を解くことになった」「今まではJR西日本グループで縁があったわけだが、今回の件で基本的には縁が切れたとご理解いただきたい」などと述べ、JR西日本が井手氏と決別する姿勢を明確にした。「山崎社長は在宅起訴の引責で辞任するのに合わせ、JR西日本のドンである井手氏を道連れにした。それが最後で最大の置き土産となった」との見方が関係者の間で広がっている。

■関西では私鉄とJRは熾烈なライバル関係

 井手氏がJR西日本の効率化を図り、利益を追求したのには理由がある。関西は「私鉄王国」とされ、私鉄とJRがほぼ平行して走るなど、首都圏では想像がつかない熾烈なライバル関係にある。ライバルとの競争に勝つにはスピードアップが必要で、京阪神近郊区間の「アーバンネットワーク」と呼ばれる路線の高速化を進めた。

 福知山線も東西線との接続のため、線路を付け替えた結果、事故の起きた急カーブが生まれた。ライバルとの競争に勝つため、高速化のうえ電車の本数を増やし、危険は予測できたはずなのに、自動列車停止装置(ATS)を敷設しなかったことが問題となった。

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 この記事はひとつの区切りとして記録に残さずにはいられない。
 
 熾烈な“スピード競争”をするにあたり、事故を起こせば元も子もないのだから、たとえATSでなくても何らかの然るべき安全対策をうって当然だろうと改めて思う。どうやってもドンには逆らえなかったのか、たいして疑問も持たず同調していた取り巻きもいるのではないか。経営にもブレーキがかけられなかったのだろう。スピード競争は、言うなれば売上げ競争だったことになる。
 
 安全第一の組織が売上げ至上主義に走るとどうなるか、民間企業だからといって利益追求を自社の使命であるかのような勘違いをするとどうなるか。
 
 医療機関も薬局も、けっして人ごとにしていてはならない。業績を第一に考えるようなら、もはや顧客の安全が最優先の組織とはいえない。
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山崎社長は案外頑張っていたのかもしれない

2009-07-09 22:09:39 | JR西に学べ
「山崎さん1人の意見であの線路が出来たわけじゃないし、全部押しつけられてしまったなと」(息子を亡くした小前恵さん) 7月9日18時43分配信 TBS

長女の中村道子さん(当時40歳)を亡くした藤崎光子さん(69)=大阪市城東区=は「日勤教育や利益優先の経営体質などを作ってきた井手、南谷、垣内氏らにも当然責任がある。『安全』というものの大きさを考えたら、山崎氏1人に責任を押し付けて済む話ではない」と厳しく指摘。 7月9日14時1分配信 毎日新聞

、山崎被告が社長辞任の意向を表明したことを懸念する遺族も。三男を亡くした神戸市北区の下浦邦弘さん(61)は「山崎被告が進めてきた改革がストップしてしまうのではないか。会社が起こした事故でトカゲのしっぽ切りは許されない。故人に報告できない」と憤った。 7月9日7時57分配信 産経新聞

山崎は当時、技術系トップとしてJR西の本流を歩んでいた。安全対策に精通しているという社内評価を受け、収益に傾きがちな経営に異を唱えることもあった。そうした仕事ぶりを犯罪とされることに、山崎は納得できるはずがない。
 「起訴=辞任」が社内で暗黙の了解となるなか、山崎は有力な後継者をつくる必要に迫られた。安全重視を柱に据えた経営方針を、利益追求偏重に逆戻りさせないためにも、井手イズムの一掃が至上命題だった。
 7月9日0時36分配信 産経新聞

 山崎社長は、案外、頑張っていたのかもしれない。しかし、いざこれだけの事故が起きてしまうと、社会が要求していたレベルとは少なからず隔たりがあったようにも思われる。
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予見可能性

2009-07-09 21:31:54 | JR西に学べ
 異例づくし、検察対JR全面対決 宝塚線事故で社長起訴 朝日新聞 2009.7.9

 「事故予測できぬ」対決へ

 「私なりの主張を述べていく。どちらが正しいか裁判の場で決着をつける」
 8日の記者会見で、山崎社長はそう述べ、起訴事実を全面的に争う考えを示した。
 急カーブに付け替えてから約8年半、現場には60万本を超す電車が走ったが脱線事故は一度もなく、山崎社長も「当時はあのカーブが危険とは思えなかった」と繰り返してきた。「誰が8年半も後の事故を予測できるのか。むちゃくちゃだ」。起訴を知ったJR西幹部は怒りをあらわにした。

 「急カーブへのATS整備は鉄道業界の共通認識」とする地検の主張にも、山崎社長は8日の会見で「いろんな意味で異なる」と否定した。JR関係者によると、JR西が急カーブへのATS整備を具体的に始めたのは02年からだという。ある幹部は「02年以降の鉄道本部長なら刑事責任を問われても抗弁できない。なのに、なぜ山崎社長なのか」とこぼす。
 山崎社長が鉄道本部長だった当時、社長はワンマン経営で知られた井手正敬元会長だった。「山崎さんが自分の判断を覆され、がっくりしているのを見たことがある。まして社内の決まりを超えた提案をすることなんて不可能だったはずだ」。当時を知る元鉄道本部幹部はこう打ち明けた。

 予見可能性があったかどうかが争点とされる。あったとする検察、不可能とするJR西日本。ある人はできると考え、ある人は無理だと主張する。

 出来たかどうかは、安全管理上、危険と思われる箇所があるかどうかを、常に監視し、千手を打つように未然防止に取り組んできたかどうか、を問い質しているように思われる。そういうことがあってもおかしくないと、もしもの際にはどの程度の被害にまで発展する可能性があるのだろうと、“最悪の事態”(ワーストシナリオ)が描けていたかどうか、である。

 線路を移動した時点で、急カーブになれば、少なくとも危険性は増す。しかし、運転の仕方を変えれば回避できる。まさか、あそこまでスピードを出すとは、あれだけ派手な脱線をするほどまでの運転をするとは、想定しろというのは無理である、という主張のように思われる。

 予見可能性とは、安全確保を総合的に見て、あらゆる角度で危険を推測をする義務でもあり、責任でもあろう。ATSだけの必要性をどこまで認識しえていたのか、技術的な視点だけの問題ではないのではないか。

 私鉄と競争して、所要時間の短縮を“売り”にしていたり、定時運行の徹底を強力に推し進めていたり、そのペナルティが仕組まれていたり、一方で安全運転、ルールに則った運転を求めていても、一方でその逸脱を誘発する圧力をかけている。経営の矛盾だ。

 秒の単位で遅れを気にしたり、取り戻そうとしかねない状況を作っておいて、スピード違反したほうが悪いというのは、職員板挟みにしたうえで、責任までとらせようとする仕組みではないか。
 その仕組みの中で、運転違反を予測できないというのは、考えにくい。当時を知る運転士に聞いてみてはどうか。高見運転士がスピードを上げたのは、考えられないことなのかどうかと。

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JR西日本の風土改革とは

2009-07-08 22:27:56 | JR西に学べ
福知山線脱線 JR西社長起訴…事故予見できた 神戸地検 7月8日20時33分配信 毎日新聞

乗客106人と運転士が死亡した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)で、神戸地検は8日、事故現場を現在の急カーブに付け替えた当時、安全対策全般を統括する常務鉄道本部長だった山崎正夫・JR西日本社長(66)を業務上過失致死傷罪で神戸地裁に在宅起訴した。事故を予見できた立場なのに、現場に自動列車停止装置(ATS)を設置しなかった過失があると判断した。山崎被告は社長辞任を表明した。

 起訴状によると、山崎被告は鉄道本部長として、JR西日本の取締役会の決議に基づき安全対策を一任されていたが、(1)カーブでの速度超過事故防止にはATSが有効(2)東西線と福知山線を結ぶため96年12月20日に事故現場を急カーブに付け替えた(3)97年3月の東西線開通に伴うダイヤ改正と新型車両導入で、現場カーブ直前で最高時速120キロになる電車が大幅に増えた(4)96年12月4日にJR貨物・函館線の急カーブで起きた脱線事故は、ATSがあれば防げた--の4点すべてを知り、事故を予見できたのに、経費増大を危惧(きぐ)するなどしてATSを優先的に設置するよう指示せず、事故が起きたとしている。

山崎被告を含む10人が書類送検され、井手正敬・元相談役(74)、南谷昌二郎(68)と垣内剛(65)両顧問の社長経験者3人も遺族に告訴されていたが、地検は他の12人は不起訴処分とした。このうち高見隆二郎運転士(当時23歳)は被疑者死亡が理由。残る11人は「予見可能性がなかった」ことなどから容疑不十分とした。地検によると、山崎被告は捜査段階の供述で、「事故は予見できなかった。運転士が制限速度を超過してカーブに進入するとは思わなかった」と否認しているという。

 これまで風土改革に取り組んできたという、山崎正夫・JR西日本社長が在宅起訴された。事故当時、安全対策の最高責任者だった。また在宅起訴を受け、社長の辞意表明に至った。
 
 JR西日本という組織は、安全対策の責任者を、事故後一時子会社に出向していたとはいえ、社長として迎えている。そもそも、その判断、見識がそれまでの風土改革に臨む姿勢として、不適切ではないだろうか。

 本人の意思で戻ってこれたわけではないだろうから、そういう経営判断をする風土が残っていながら、社内の風土改革とは相矛盾するように思われる。そういう判断をする周辺も含めて、人事の刷新を図ることが、重要な風土改革の第一歩だ。何を改革しようと、新たな風土を生み出す源が旧態依然の体制で維持されているならば、それは小手先のものになってしまう可能性は少なくない。遺族はもちろん、社会に受け入れられるとは考えにくい。

 また本日、辞意表明をした山崎社長。風土改革を口にするのなら、社長として再度迎えられるときにこそ、固辞しなければいけなかったのではないか。自身が返り咲くこと自体が、新たに生まれ変わることとは逆行しているのではないだろうか。

 今回は起訴されなかった当時のトップ層。直接の担当者のみならず、定時運行、日勤教育という文化を是としてきたことも含め、不起訴であることには多くの者は納得がいかない。どう考えれば、遺族感情に照らし合わせて、受け入れることができるのだろうか。
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「誰が悪い?」より創造を生む道へ

2009-06-29 23:00:40 | JR西に学べ
 「誰が悪い?」より創造を生む道へ  「失敗学」提唱者 畑村洋太郎(68)(朝日新聞 2009.6.29 夕刊)

――107人が死亡した2005年のJR福知山線の脱線事故から丸4年の4月25日、「失敗学」を提唱した立場から、被害者や遺族、市民らに講演されました。

 ぼくは、安全性より定時運行を運転士に強く求める組織運営によって起きた事故と考えています。運転士と同じ景色を見るために運転席に乗せてもらい、運行管理を行う新大阪総合指令所で当日勤務していた担当者や上司らから話を聞いたり、運転士の引き継ぎに立ち会ったりして、運転士や車掌がどのように考え、何をおこなったかを調査してきました。JR西日本の新安全計画を議論する「安全推進有識者会議」のメンバーでもあります。

 事故の時、車掌は緊急時に近くの列車を停止させる防護無線機のスイッチを入れましたが、スイッチが利く仕組みに不備があった。ほかの安全策も講じることがマニュアルに記されているけれど、大事故に遭遇したら実際には出来ないことを、形式を整えるためにマニュアルに盛り込んだことの方が問題なんです。あの事故は、起こるべくして起きた組織事故なんです。

――事故では責任追及を求めることも大事では?

 確かに「だれが悪い?」という話になります。だが、事故を起こした組織の文化は、乗客を含めて、それぞれが担っていたと思う。「乗客はまったく関係ない」と思う人がいるかもしれませんが、わずかな遅れでもクレームをつける人がいた。失敗から学び、再発防止や創造に生かす失敗学からすると、原因は運転士だけにあったというのは、おかしな話ではないでしょうか。

 事故防止には、責任追及による抑止力よりも、原因究明と知識の共有の方が効果があるんです。原因究明は必須ですが、責任追及は必ず、しなければいけないものではない。検察や警察は、悪いヤツをしょっぴくのが役目です。だが、鉄道事故が起きたら、明確に悪いヤツでなくとも罪として追及する法律は、直さないといけない気がする。

 後からの調査によって、「起こるべくして起きた組織事故」だと言われるJR福知山線の脱線事故。必然性があり、組織的関与があったとされることの意味。
 亡くなった人は帰らないが、この事故に学び、再発防止に全力を上げることが何よりの供養。どうすれば起きないようにできるか。起きなきゃいいんでしょ、ではなくて、起きないために何をすべきなのか。その後の事故件数や被害の程度だけを見て、結果オーライで済ませているとしたら、喉元過ぎたあたりが危ない。
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罪の意識

2009-04-25 22:20:44 | JR西に学べ
 今日はこのことを書かずにはいられない。

JR脱線事故4年 むなしい「精一杯の対応」 4月25日1時37分配信 産経新聞

 JR西の考える「償い」とは何か。山崎正夫社長は23日の会見で「被害者の不満、意見に最大限誠意を尽くすことがひとつ。もうひとつは、社会にどう償うかだ」と答えた。さらに安全性の向上と企業体質の変革を挙げ「広い意味の償いといえば、償い」とした。

 JR西は事故直後、原因について「置き石があった」と発表し、被害企業のような姿勢をにじませた。18年7月には引責辞任した幹部の「天下り」が発覚。19年2月には当時の国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調)に「日勤教育は有益」と主張し、最終報告書がまとまった同年8月になってようやく「自動列車停止装置(ATS)があれば事故を防げた」という単純な事実を認めた。

 日航機墜落事故では、日本航空が死亡した520人の遺族全員と補償合意するまで、ざっと10年かかった。それでも交渉を急いで持ちかけたという批判はある。

 次男の健君=当時(9)=を亡くし、福知山線脱線事故の遺族とも交流がある美谷島邦子さん(62)は言う。「JR西がやっていることは、過去に日航がしてきた悪い部分と同じ。このままだと補償を早く進めるだけが使命になる。それでは、過去の事例を学んだことにならない」

 遺族らでつくる「4・25ネットワーク」は20日、被害者とJR西がともに参加する「事故検証委員会」の設置を申し入れた。JR西は「検討する」としたが、メンバーの一人は申し入れ自体を「一大決心」と表現し、真意をこう説明した。

 「家族を奪われた意味は何か。個々の被害者と示談すれば終わりか。JR西に4年間ずっと説明してくれと言ってきたが、事故調や捜査を盾に何もしなかった。われわれから一緒にやろうと言うのは、よほどだ」

 ヒ素ミルクを飲んだ赤ちゃんが50代になった今も救済を続ける森永乳業。補償合意を出発点に、2年足らずで体質を変えつつあるパロマ。21年後に上海列車事故の報告書を作成し、遺族の怒りを買ったままの高知学芸高校-。償いには正解がなく、終わりもない。


 自分たちの仲間たちが起こした事故なのに、間接的に自分たちもかかわっていたのに、なぜか自らのこととして受け止められない経営者たち。

 これだけ遺族の悲しみを目の当たりにしているはずなのに、我が身に置き換えて悲しみを慮ることすらできない感覚。


 そういう感性の持ち主が世の中にいることはわかるが、それにしてもだ。どれだけ罪の意識を感じているのだろうか。補償は必要だとしても、示談を進めようとする前に、すべきことはしたのだろうか。遺族に「行った」と認めてもらえるだけのことをしたのか。自己判断でした気になっているに過ぎないのではないか。

 人の命を奪ってしまったことに対して、あまりにも反省が足りないのが、第三者からはよく見えるのに、当事者にはまったく見えていない。他の事件を見ても、第三者として被害者の思いを感じとれないのか、むしろ加害者の心情のほうに共感してしまうのかもしれない。

 ある個人が起こした事件を反省し、一生罪を背負って生きていこうとするのに対し、組織事故は大半の同僚が当事者でなく、反省がなされない。事故当時の組織文化がいかにそういう感覚を捨てていたのか、安全というものを軽視していたのではないだろうか。
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