何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

配合剤と単剤併用で用量オーバーの危険性

2011-09-05 18:10:31 | 思いつくまま
 ARBと利尿薬の配合剤には、ARBから大きく4種類に分類できる。
 いずれも、高血圧症において「第一選択薬とはしない」との注意書きがあり、ARB単剤または低用量配合剤で効果不十分のとき、使用される。
 
 配合剤はいずれも、ARBと利尿剤(ヒドロクロロチアジド)から成る。
 ARBはいずれも、単剤では「最大投与量」が設定されている。

 ロサルタンカリウム: 1日100mgまで増量できる。
 バルサルタン: 1日160mgまで増量できる。
 テルミサルタン: 1日最大投与量は80mgまでとする。
 カンデサルタンシレキセチル: 必要に応じて12mgまで増量する。
 
 ところが配合剤では、このARBに基づく「最大投与量」について記載がない。そこで、配合剤でも効果不十分なとき、さらにARBが追加処方されるようなことがあると、ARBの最大投与量をオーバーする危険性がある。

 とくに「ミコンビ配合錠BP」ではテルミサルタンの用量が既に最大投与量であり、たとえ20mgでも追加した時点で用量オーバーとなってしまう。
 また「エカード配合錠HD」ではカンデサルタンシレキセチルを8mg追加すると、用量オーバーになる。
 
 単剤なら、レセコン設定次第で最大投与量オーバーを“ひっかける”ことができるかもしれない。しかし配合剤となると現行のレセコンではすり抜けてしまうのではないだろうか。成分重複という観点でもひっかけてくれないのではないだろうか。
 
 同様のことはARB+Ca拮抗薬の配合剤でも予想される。めったにそのような処方はないかもしれないが、効果不十分という事態では起こりうる。レセコンに頼っていてもダメ。薬剤師が意識していないと、見逃す可能性が大きいものと危惧する。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薬局の待ち時間短縮対策は

2011-04-10 15:14:24 | 思いつくまま
 薬局において待ち時間を少なく、早くして欲しいということは昔から言われ続けている。患者さんから自分の薬はまだか、急いでいるんだけど、と言われると内心焦りが生まれてくる。

 では、どうすればそれに応えることができるか。
 薬局は処方せんを受け付けてから、一定の流れに従って調剤が進行するようになっている。その工程はどこの薬局でも概ね同じで、受付~調製~鑑査~交付といったものである。薬局の構造に応じて、経験的に導線も考慮されている。

 時間短縮を図るには、走って動けばいいのか? 薬局は、中でも調剤室はそれほど広い面積ではないので、走ることで稼げる時間はおそらく秒の単位か、ないに等しいだろう。
 とくに時間がかかる工程は、散剤や水剤、軟膏剤の混合~分包、錠剤等の一包化といった調製とそれに伴う鑑査である。分包機を使う場合、そのスピードは機械によって決まっているので、1分間当たりの分包速度を早くすることはできない。

 いったいどのプロセスで、どうすれば時間を短縮できるのだろうか・・・。

 調剤が、個人毎にオーダー(処方内容)が異なり、個人でもその日によって内容は異なる以上、予め予製しておくことはできない。慢性疾患において、前回と同じ処方が継続されることはしばしばあるが、それはあくまで結果論だ。

 調剤プロセスは、すべてに意味や必要性があって構成されている。余計なプロセスや、必ずしも必要のないプロセスで構成されているわけではない。とすれば、省略する工程もない。
 
 早くするには、本当はしなければならないプロセスを、好ましくないと思いつつ、省略でもしなければ、早くできないのではないか。
 たとえば、鑑査を省略するとか、説明を省くとかである。鑑査を省いても、たまたま問題なく薬物療法が進行することもあろうが、それも結果論である。そういうことが確率的に多いとしても、鑑査によって発見されるエラーは存在する。

 原則、受け付た順番に基づいて調剤が進められているが、急ぐ場合は、他の人の順番を後回しにして(抜かして)、優先的に対応するしかないのではないだろうか。ただし、その場合、後回しにされる人の了解が必要である。知らぬ間に、次々と抜かされたら、どうなっているのだろうと思われるだろう。

 調剤の意義を考えたら、薬物療法の監視による安全確保を第一義である。待ち時間短縮が最大の課題になってしまっている時点で、求められているものが本質的なこととズレているということは、その薬局が提供する安全機能にはあまり期待されていないのかもしれない。患者さんが、その薬局を利用する意味を待ち時間に向けていることは、実は悲しいことなのかもしれない。

 手際の良さや要領を改善すること等で多少、段取りが良くなったとしても、調剤プロセスを大幅に改善し、待ち時間を短縮する方法は現段階でないのではないか。早くしようとするあまり、鑑査(とくに安全確保上必要な薬物療法の吟味)が疎かになるようなら、本末転倒になりかねない。
 患者さんから「早くして」の要望に応えてあげたいのはヤマヤマであるが、やりくりをすることで薬局全体の進行を考えて最善と思われる方法を選択する・・・。

 くれぐれも急がされたので間違えた、見落とした、といった調剤事故やインシデントは避けたいと思う。

Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

価値を提供すれば顧客はついてくる

2010-12-11 22:32:26 | 思いつくまま
空洞化する「ミドルアッパー」業態を狙え! FOOD STADIUM 2010年12月11日(土)09:30

 均一居酒屋業態の拡大やセルフ居酒屋、バイキング居酒屋の登場で、居酒屋マーケットの「ボトムゾーン」(客単価3,000円台以下)は業態の多様化によってますます拡大する方向にある。新規参入に加え、他業態、高単価業態からのシフトによって、このゾーンはますます血で血を洗うレッドオーシャンマーケット化するだろう。よほどのバイイングパワーやオペレーション能力がなければ顧客満足ははかれず、勝ち残ることは難しい。これから取るべき戦略は、「価値軸」をベクトルに「プチアッパー」(客単価3,000台後半~5,000円)、「ミドルアッパー」(客単価5,000~7,000円台)のマーケットゾーンに攻め上ることである。

 この戦略で成功しているのが、APカンパニーの「日本橋 紀ノ重」だろう。原始焼きという手間をかけた焼き魚料理、酒粕、生姜入りの牡蠣鍋、そして石川県の有名酒蔵「天狗の舞」とタイアップした希少な生酒という“価値軸MDミックス”によって、“結果客単価”5,000円台の後半をキープしている。結果客単価とは、あらかじめ客単価を想定してMDをつくるのではなく、お客さんが会計するときに満足して支払う単価のこと。「はじめの価格」ではなく「あとから価値」の値段だ。少しぐらい高くても、お客さんが満足、感動して喜んで支払すれば、それは店と客のwinwin関係が構築できるということである。

-----------------------------------------------------------

 客単価を目標にするのではなく、価値の提供に視点を向けて、結果的に客単価があがればいいということだろう。
 これが、目標として客単価いくらにしてしまうのとは大きな違いだ。客単価を目標にしてしまうと、サービスの価値はそれなり留まってしまう。納得してもらえるかどうかを基準にして、それに対する顧客の評価が単価ということだろう。
 
 売り上げを目標にすると売り上げが上がらないのは、このようなことから説明できるのではないか。社会に果たす役割が出来ていると認めてもらえるかを指標にすると、自ずと売り上げもついてくるものと思われる。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

金で人はやる気を出すか?

2010-11-19 22:29:50 | 思いつくまま
金銭報酬は「やる気」をくじく!? 脳科学実験で裏付け 産経新聞 11月16日(火)7時57分配信

 やりがいがある課題でも、金銭報酬によって自発的な「やる気」が低下してしまうことが、玉川大学脳科学研究所の松元健二准教授やドイツ・ミュンヘン大の村山航研究員らによる脳科学実験で裏付けられた。このようなモチベーションの変化は「アンダーマイニング効果」と呼ばれ、行動実験では知られていたが、脳活動の変化をとらえたのは初めて。米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。
 
 大学生の男女28人を成績に応じた金銭報酬を提示したグループと、報酬を提示せずに実験後に定額の報酬を払うグループに分け、ストップウオッチをできるだけ5秒近くで止める課題をやってもらった。実験中の脳活動の変化を機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で測定すると、最初の実験では両グループとも課題に対する意欲や達成感に関係する前頭葉や大脳基底核が働いていた。しかし、報酬を支払わないことを告げた2度目は、報酬を約束されていたグループでは脳活動の高まりが消えて「やる気」が低下したのに対し、最初に報酬が提示されなかったグループは、1回目と同様の脳活動を示した。機械的にストップウオッチを止めるだけの「やる気の起きない課題」では、このような脳活動の変化は見られなかった。

 また、休憩時間の行動を観察すると、報酬を提示したグループで課題に取り組んだのは14人中5人だったが、報酬と無関係のグループは14人中12人が積極的に課題を楽しむなど、自発的な「やる気」の差が顕著にあらわれた。
---------- ---------- ---------- ---------- ----------

 儲からないより儲かったほうがいいけれど、儲かることが何よりの歓びだなんていうのは違うと思う。「俺はみんなの給料を上げたいんだよ」という社長がいるが、それはまったくの口実で、何よりも自分の立場を守り、自身の給料を上げたいだけ。エゴ以外の何ものでもない。

 利益確保が目的で、一丸となって頑張ろう、などというのもどこか違うと思う。計算してみたらそうなったということに、いったいどれだけの楽しみがあるというのだろう。やりがいは仕事を通じて、顧客と接する中に生まれる。それを評価されることが何よりもうれしいのではないか。

 結果として、ひとつずつの集積が、ある一定の利益になればいい。そのラインに達しないということは、まだまだ評価されていないということであって、評価に見合うだけの価値を提供できていないということだろう。
 価値を上げることに躍起になりこそすれ、価値が上がりにくいように内部を抑制する経営戦略は縮小均衡を招くだけではないだろうか。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

運営方針の差か

2010-10-24 11:53:21 | 思いつくまま
中日、分析力の勝利 日本シリーズへ備え万全  産経新聞 2010年10月24日(日)00:06 
 自然発生的にできた歓喜の輪。そして胴上げが6回。「俺も、やらない予定でいたんだ。でも選手が胴上げしてくれるって言うんだもん」と落合監督が珍しく相好(そうごう)を崩した。

 追いつ追われつのシーソーゲームは同点で迎えた九回1死一、二塁から、4番和田の左越えの一打でサヨナラ勝利。3年ぶりのCS突破は、勝つための準備を決して怠らない、落合中日の真骨頂といえる結果だった。

 「オレには、資金のことは一切頭にない。金を出すのは、オレじゃないからな。それでも、選手が力を出せる。その環境を作らないといけない」

 情報分析のためのスコアラーは10人。他球団の倍近い人員だ。セの5球団には各担当を置き、試合前の練習から徹底マーク。今CSも初戦の巨人先発を中3日の東野と見抜き、ミーティングで分析。レギュラーシーズン終了から中17日のブランクをモノともせず、一回から4点を奪った。「あれがすべて。あそこをスッと入って、流れがこうなった」と落合監督。パのCSにも2人のスコアラーが密着、日本シリーズへの備えも万全だ。

 8人の1軍用の打撃投手は左右4人ずつ。試合前に「全員が左も右も練習できる」(落合監督)ようにするためだ。勝つための先行投資は惜しまず、現場がこれを生かす。監督7年目でBクラスなし、4度目の日本シリーズ進出の結果が、すべてを物語る。
--------------------------------------------------

 久々にナイター中継を見た。ジャイアンツの重量打線に対し、中日の投手陣がものすごく慎重にコントロールミスに気をつけて投げているように感じた。ジャイアンツの投手がそうでなかったわけではないのだろうが、一球一球を大事にしているように伝わってきた。

 落合監督やドラゴンズが、選手の育成を重視し、その力を最大限に活かそうとしていることが、最後に花開いたようだ。他球団も、大なり小なり、それを考えないはずはないと思うが、他の観点との優先度、バランスや力の入れ具合といったものなどが、きっと異なるのだと思う。

 観客動員数や親会社の都合などといった試合の勝敗とは直接関係のないものが入り込む余地を最小限にとどめ、監督以下、現場を信用し、任せる。何を差し置いても、選手を育成し、その力を発揮することに迷いなく取り組もうとした、いわば運営方針の勝利だったのではないだろうか。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元琴光喜関に引退相撲を

2010-08-31 21:48:50 | 思いつくまま
元琴光喜関に引退相撲を=力士会が協力へ 8月31日18時57分配信 時事通信

 野球賭博に関与して日本相撲協会から解雇された大相撲の元大関琴光喜関が東京・両国国技館で引退相撲を開催できるよう、力士会が協力することになった。
 野球賭博関与を認めた力士のうち解雇されたのは琴光喜関だけで、仲間内には同情論が多い。引退相撲の収益は引退力士の収入となるため、現役が取組などに無償で出ることでせんべつ代わりになっており、31日の力士会で「元琴光喜関にも」とまとまった。
 元大関なら国技館で断髪式をする資格はあるが、解雇された場合の扱いは規定がなく、相撲協会は元琴光喜関から国技館使用の申請が出てから対応を検討するとみられる。 
----- ----- ----- ----- ----- -----

 このたびの賭博や暴力団関係者とのつながりにおいて、一人、解雇処分となったのが大関琴光喜であった。出場停止により番付が下がっても、解雇されるかどうかで今後において天と地ほどの差がある。自身の問題も含め、相撲界全体を考え、引退が撤回されないのなら、せめて引退相撲~断髪式という“花道”を飾らせてあげたいという気持ちに、ちょっと目頭が熱くさせられた。

 甘いと言われるかもしれない。感情に走っていると言われるかもしれない。しかしこの力士会の提案に対し、私は賛成したい。民間からの署名が必要であるのなら、そこにも協力したい。

 力士達のこの気持ちがあるのなら、きっと自浄作用もあるだろうし、再生も期待できるのではないか。琴光喜の処分に対して何もしようとしないのなら、自己防衛に走るのなら、いよいよ角界は世間から見離されるに違いないと思う。

 国技館に行けないかもしれないが、テレビ報道を通じて、画面の前で労をねぎらってあげたいと思う。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テクニシャン制度が導入されたら

2010-04-22 23:20:54 | 思いつくまま
 薬局にテクニシャンを導入するという話、米国をお手本に自分が大学を卒業した頃か、それ以前から言われているように思う。確かに、何年か遅れで日本にも導入されるのではないかと、期待もしていた。

 導入されるとどうなるか。導入されるとどう変わるか。そもそも導入の目的は何か。

 医療の場に新たな仕組みを導入するからには、それが患者のために、医療の質の向上につながるものとの期待があってのことである。果たして、患者に対して服薬管理、安全管理が向上するだろうか。するとしたら、テクニシャン制度をどう活用するとよいのだろうか。

・現在の調剤プロセスを考えたときに、最終鑑査や薬剤交付は薬剤師が担当することとし、調製まではテクニシャンに任せればよいのか。今も事務スタッフが入力や薬の取り揃えをしている薬局からすれば、何も今と変わらないのではないか。

・最終鑑査以降を薬剤師が担当したとして、一処方に1人の薬剤師が係わるだけとなり、1人の専門家だけの目しか入らないことになることはないか。薬剤師が調製も係わっていたときのほうが、処方に向けられる専門性は多いのではないか。

・薬剤師が調製から解放されたとして、その時間は何に向けられるのか。一患者当りに費やされる薬学的管理の時間や深さが増すのだろうか。それによって、患者の健康問題が今以上に解決したり、危険性から回避される事例が増えることに結びつくだろうか。

・捻出される時間も、たいして調製にかかる時間の少ない処方であれば、それほど多くはなく、結果として服薬管理レベルはこれまでとさほど変わらないことはないか。調製されてくるまでの時間、何か準備して待っているのだろうか。

・調製から解放された時間を、受付時の(調製前の)インタビューなどに向けることができるだろうか。

・薬剤師は患者に関わる場面に特化(集中)した業務となり、より少人数へとカットされ、またテクニシャンによって薬剤師手当も不要となり、経営者だけが喜ぶ結果になるだけではないか。


 つまり、テクニシャンというのは先例もあり、有望な業務改善のアイデアだと思うのだが、現行にいきなり導入したところで、服薬管理レベルの向上は期待できないのではないかと思われる。現状において、薬剤師の質が問題にされるのは、またレベルアップが進まないのだとしたら、テクニシャンが導入されていないからではないのではないか。

 テクニシャンという仕組みによって業務効率が図られるようにも思われるが、それはテクニシャンを活かし、薬剤師の業務がもっと重い業務に変わることが必要なのではないか。少なくとも、テクニシャン導入によって、現在の業務が緩和されることを期待しているのだとしたら、それは方向が違うように思われる。

 テクニシャン制度がないから質が上がらないのではなく、社会からもっと質の高いことが要求され、それに応える業務が相当増えてくることが先決ではないかと思う。現在、質の向上が出来ないようでは、テクニシャン制度が出来ても質の向上にエネルギーは向けられないのではないだろうか。

 まずテクニシャン制度ありきではなく、薬局の基本方針が質の向上に据えられないようでは、テクニシャン制度が国民の利益のための仕組みではなく、薬局経営のための仕組みにすりかえられてしまうおそれはないだろうか。

 ぜひ国民の利益に資する制度として迎えられることを願う。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スカイマークには乗らない

2010-03-10 23:42:39 | 思いつくまま
体調不良のスカイマークCA、社長一声「交代ならぬ」 朝日新聞 2010.3.10 朝刊
------------------------------------------------------------
 スカイマークの機長が、体調不良で声が十分に出ない客室乗務員(CA)を交代させようとしたところ、西久保慎一社長と井手隆司会長が認めず、逆に機長を交代させて運航を強行していたことがわかった。

 航空法は機長に乗員への指揮権を与えており、個々の運航では機長の判断が最優先される。同社の運航規定でも、安全に対する最終決定権は機長にあると定められている。また、CAは保安要員で、非常時に大声で乗客を避難誘導する役割がある。

 機長の判断を経営者が覆したことについて、国土交通省は「前代未聞。安全にとってゆゆしき事態」として文書で厳重注意した。

 同省によると、問題が起きたのは2月5日の羽田―福岡便。チーフ格のCAは風邪の治りかけで大きな声が出せない状態だった。出発前に気づいた外国人機長が「避難誘導などに支障をきたす」と交代を指示した。

 ところが、事態を聞きつけた西久保社長は「健康上、問題はない」として認めず、安全統括管理者の井手会長も「会社の命令」として交代なしに運航するよう指示したという。機長は「安全が確保できない以上飛べない」と拒否したため、社長らは機長を交代。別の機長がCAの交代なしの運航を受け入れ、約1時間遅れで出発させたという。

 この問題で機長と社長らが口論になったといい、機長は、この際に社長らが「手をあげた」などとして警視庁東京空港署に被害届を提出。同署が経緯を調べているという。同社は機長との雇用契約を即日解除した。

 一方、国交省に呼ばれた社長と会長は9日、前田隆平航空局長に「申し訳ありませんでした」と謝罪したものの、記者団から「なぜCAの交代を認めなかったのか」と問われても一切答えなかった。スカイマークの広報担当は「CAの体調を確かめたうえで乗務させた。機長を交代させ、欠航を避けた判断は当時としては正しかったと思っているが、国交省の指摘を厳粛に受け止める」としている。

 元機長で航空評論家の前根明さんは「CAはサービス要員であると同時に保安要員。万が一を考えて交代を指示した機長の判断は妥当だ。経営者が権威をもって、安全を封じ込めるような体質は改められるべきだ」と話している。
------------------------------------------------------------

 スタッフがそういうことになることも想定していないのだろうか。代替要員を用意しておくとか。体調管理をしていても、インフルエンザにせよ、気候の変動等で突然体調を崩すこともあろう。いかなる事情であっても交代すらできないというのは、労働環境としても最悪ではないだろうか。

 ましてや、それを申し出た機長に対し、強権で対応したのは傍から見ても納得しがたい。その上、機長を即日雇用解除するとは何事だろう。パワハラに抵触しないのか。フライトを強行することと、適切な乗務員に交代することと、どちらが安全運行につながるのか。利用者は、結果ではなく、姿勢を見ているのだ。
 
 乗務員不足のままフライトさせられないし、欠航も出来ない。シャレではないが決行しかないと判断したのだろう。乗客に迷惑はかけられないからではなく、何があろうと売上をあげたかったのではないかと映る。

 そういう判断や行為を通じて本音というか腹の中を見せるのは、まったくもって見苦しい。テレビCMを見ても、これからは白々しく見えてしまうだろう。
Comment (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薬物治療

2009-09-21 10:21:35 | 思いつくまま
 のりピーこと酒井法子被告が保釈されたが、

覚せい剤取締法違反の罪で起訴され、17日に保釈された女優、酒井法子被告(38)の弁護を担当する榊枝真一弁護士は20日、同被告が薬物治療のため入院している東京・新宿区内の大学病院に面会に訪れたが、報道陣の問いかけには無言で立ち去った。 9月21日7時52分配信 サンケイスポーツ

17日に保釈され、薬物治療のため東京・新宿区内の大学病院に入院中の酒井法子被告(38)=覚せい剤取締法違反罪で起訴=の継母(62)が、世田谷区に別宅を所有していることが19日、分かった。 9月20日7時52分配信 サンケイスポーツ

17日に保釈され、薬物治療の最新設備が整っている東京・新宿区内の大学病院に入院した女優、酒井法子被告(38)=覚せい剤取締法違反罪で起訴=の入院生活の“実態”が18日、分かった。 9月19日7時52分配信 サンケイスポーツ

 今朝のワイドショーで、酒井法子被告・高相祐一被告夫婦が借りていた千葉県勝浦市の別荘「ピンクドラッグハウス」が全焼した件の報道で、現在、酒井被告は都内の病院に薬物治療で入院中と述べてたが、これは「薬物中毒治療のために入院している」の誤りではないか。

 薬物中毒は、心の病であり、覚せい剤等の薬物使用により身体症状が現れるもので、医薬品を用いて治療が行われるとはいえ、“薬物治療のため入院”というのは“薬物中毒治療のため入院”とすべきと考える。

 一般の疾患で、医薬品を用いて治療を受けている人はたくさんいる。それこそ「薬物治療を行うために入院している」人たちである。図らずも疾患を抱えた人と、自身の至らなさで身を隠すように入院している状況は異なる。

 サンスポでこのような表現が多く使われているようであるが、他紙ではどうだろうか。
 日常会話で、「オレさぁ、今、薬物治療中なんだ」とでも言ったら、それが高血圧治療のためであったとしても知らない人はまさかと思うことはないだろうか。
Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民意の表れ

2009-09-08 23:28:46 | 思いつくまま
 選挙や政治の世界では「民意が反映された」という表現が使われる。さまざまな意見があるとはいえ、ある意見が「一票」として投じられた・・・、投票という行動によって示された。

 民意の中には、組織票などというものもあるが、一方浮動票もあり、自由な意思によるものである。

 政治の世界だから選挙が行われるが、民意を反映したものに顧客満足アンケートといったものもある。ある程度の数が集まることで、どのような意見があり、多数を占めているかが今後の参考になる。それを今後の活動の参考にする企業も少なくない。

 それらを参考にして何につなげようかというと、多くの組織において活動の進め方や方向性であるが、端的に業績アップにつなげたいとする向きもあろう。

 であれば民間企業において、「民意」とは業績であるといえるのではないか。業績が思わしくないということは、その組織の“製品(製造物のこともあればサービスの場合もある)”に対する民意が示されているといえるのではないか。

 不況の風が強ければ、そのせいにして済ませようとする考えもあるが、それは自らの姿を真正面から見ようとしない、行動を振り返って反省しようとしない考え方ではないだろうか。
 毎年のように業績が思わしくない、良いとしても一時的な因子によるもので、自らの力で切り開いたものでなければ、経営方針が問われているといってもよいだろう。組織は反省する力を持っているかどうか。これまで自分たちが是としてきたものに対し、民意ではノーを突きつけられている可能性がある。
 自分たちが大事にしてきたものに対し、その前提が間違っているのではないですか、と言われている可能性を考えておかねばならない。

 経営者が自分たちの足跡だけはけっして間違っていなかった、その時その時で最善な判断をしてきたとするならば、そもそもそれが間違いなのだと考えるべきではないだろうか。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トータル・リワード講演メモ

2009-08-29 09:21:26 | 思いつくまま
 石田淳さんの『組織が大きく変わる「最高の報酬」』発刊を記念した講演会に参加したときのメモ。

 日本のマネジメントは、アメリカの10年前をなぞっている。
 80年代、アメリカは日本がいいものを作って市場に出てきたことで、成果主義を導入して対応しようとした。90年代になると、アジアが安くていいものを作るようになったことで、日本が成果主義を導入した。
 いまアメリカは社員を大事にしようと、トータル・リワードを導入している。日本でも3~5年後に入ってくるのではないか。その時、成果主義は死語になっている。

 非金銭的報酬は、工夫次第で無限に生み出すことができる。報われ感のあるもの。

A 感謝と認知
 ほめる。はやく、具体的に。感謝は目に見える形にするとよい。
 認知-存在承認、行為承認、結果承認
 離職率はコミュニケーションの量と直結する。

B ワークライフバランス(仕事と私生活の両立)
 日本では優秀な女性の活用が遅れている。ひとつのラインしかない。少なくとも3つのラインを用意してあげる。

C 企業文化と体質の伝承
 組織に一体感を出す。企業内大学。
 「この人の下で働けて幸せだ」

D 成長機会の提供
 成長を実感させる。

E 労働環境の整備
 職場環境も非金銭的な報酬である。

F 具体的な行動の明確化と指示
 人は評価がないと続けられない。報告を出しただけで評価する。
 何をどのようにすべきか、きちんと示す。
 正しい仕事の仕方、進め方を教えてあげる。


◆「劣後順位」
 やらないことを決めてあげる。やらなくていいことを徹底的に排除する。
 優先順位だけでは疲弊してしまう。
 すべてをやろうとしない。時間がないから、すべてはできない。

◆チームで競争させる
 10km走るのに、1人でマラソンをするより、駅伝のように皆で走ったほうが生産性が上がる。
 ポイント制は有効なツール。すぐに結果がわかる。
 今の20代は、即時強化に慣れている。遅延強化には不慣れ。

◆人ができない理由
1)やりかたがわからない
 知識(を教えて)+技能(をトレーニングする)
2)続けられない
 続けられる環境を作る。意思とやる気だけでは継続しない(これだけで出来る人は約2%)。
 どの行動を徹底するか示す。結果と直結している行動を言語化する。
Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

忘れてはいけないことを思い出してみる日

2009-08-28 23:08:35 | 思いつくまま
 8月24日は薬害根絶デー。「1999年8月24日、厚生労働省の前庭に、「薬害根絶 誓いの碑」が建立され、サリドマイド・スモン・薬害エイズなどの悲惨な薬害を引き起こした反省と謝罪がなされました。」ということで、薬害を繰り返さないよう、同じ過ちを犯さないよう、過去を風化させないよう、この日が設けられているのだ。

 8月25日は福岡で3児を乗せた車が福岡市の職員による飲酒運転で追突に遭い、水中に転落し、幼い命が奪われた命日でもある。福岡県警では、飲酒運転撲滅を願い、組織の綱紀粛正も兼ねて飲酒運転撲滅大会を開催したところ、なんと同日に県警巡査部長による飲酒運転でのひき逃げ事故があった。

 8月は、6、9日には原爆が投下されたこともあり、核廃絶に向けて記念式典が行われ、15日は終戦記念日でもある。

 過去の事実を見据えてこそ、明日がある。

 薬局でも、ある日を決めて、過去の過ちを繰り返さないために、反省をするための記念日を設けてはどうだろうか。創立記念日のような、華やかな記念日ではない。もし、二度と起こしてはいけないようなことを経験したことがあるようなら、たとえば重大な調剤事故を起こしたことがあるのなら、その日を「調剤事故撲滅デー」などとして、メッセージを伝え、振り返ってみるのもいいかもしれない。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薬局の勘違い

2009-07-15 23:35:07 | 思いつくまま
凡人の逆襲』を読み返していて、ハッとした。

 営業マンに、なぜ住宅が売れたのか、尋ねる場面だ。すると、営業マンは「価格が安かった」ことを第一の理由に挙げる。本当か?

p.143 「では、事務員でも、現場監督でも家は安ければ売れるんだね。最後にもう一度聞くけど、なにが決め手となって売れたの?」

 なぜハッとしたかというと、このセンテンスによって「どこの薬局でも、誰が薬を渡しても、待たせずに早く渡せば、患者さんは喜んでくれるんだね?」と問われたような気がしたからだ。“天の声”のようなものが一瞬、聞こえたのだ。

 待ち時間を気にするあまり、早く調製することに磨きをかけることが薬局の役割だとすれば、専門性や職能とは何なのか。処方せん通りに正確に薬を取り揃えることを、“生涯学習”し、日々研鑽を積んできたのか。

 患者さんが「早くして」「私の薬、まだ?」などと口にするのは事実だが、薬局に求めるのはスピードではなく、薬局として、薬剤師としての本質・・・、専門性を活かした薬物療法を進めるうえでの安全の確保だろうと、目先のことに惑わされてはいけないのだと、改めて確信した。

 価格の安さも無視できない理由だ。しかし国民にとって、薬局に求めるのは薬局の本質・・・、専門性や職能を評価し、いざというときに頼りになるかどうかである。そこを追求せずに(または忘れて)、お待たせしないことが一番のサービスであり、最も“売り”にしているのだとしたら見当違いだ。

Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医療に数値目標は馴染まない

2009-07-03 22:38:36 | 思いつくまま
<診療報酬詐欺>心臓カテーテル「月3回」検査ノルマ 7月3日11時29分配信 毎日新聞

 奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」が、生活保護受給者に手術や検査をしたように装って診療報酬を不正受給したとされる事件で、詐欺容疑で逮捕された医師で理事長の山本文夫容疑者(51)が、「受給者1人につき1カ月3回」の心臓カテーテル検査をノルマとしていたことが、病院関係者への取材で分かった。県警は、山本容疑者が収益を上げるために架空請求だけでなく、不要な検査も繰り返していたとみて調べる。

 病院関係者によると、不要とみられる心臓カテーテル検査は山本容疑者がほぼ1人で担当。受給者は、診療報酬が加算される入院1カ月以内で転院や退院させていたため、症状に関係なく、1カ月で3回の検査をしていた。さらに自らの診察日である月曜から木曜の4日間は「1日2人」をノルマとし、週8人の検査をしたという。

 ノルマ達成のため、看護師長らが入院してきた受給者に心臓カテーテル検査を受けるよう、度々促していた。関係者は「心電図で健康な人でもあるようなちょっとした異常があれば、すぐに検査をしていた」と話す。

 判断の権限を持つ者が、経営改善の「御旗」のもと、売上げ・利益に走るとどうなるかの、典型例のようだ。よくある話だ、と言ってしまえばそれまでかもしれない。私利私欲で、自身の立場を維持するという保身が背景にあるのは言うまでもないだろう。シッポをつかまれて、身内から訴えられたのはお粗末ともいえる。が、おかしいと思っても権力者に従うのが“正しい”とした行動をとらざるをえない人もいるから、摩擦を恐れず、通報した人はあっぱれである。医療従事者の倫理として、基本でもあり、当然の行為であろう。

 薬局だって、調剤報酬算定項目のある項目に着目にして、ある一定の件数の算定をノルマ化したり、算定率などの数値目標を掲げて、平気でいるところも少なくない。山本病院を非難する資格はない。同じことだ。

 患者の意向よりも、施設入所の弱みにつけこんで、施設と話をつけて入所者の処方をかき集めるのもそうだし、医者に営業をかけて在宅患者を増やそうとするのも同根だ。応需件数が増えているのは、医療提供施設である薬局の評価ではなくて、無理やり連れ込んだようなものだ。

 そういう薬局は、経営的指標で良し悪し(良い薬局かどうか)を判断する。医療上の評価、患者である国民の評判で良し悪しを考えていない。利益率などを持ちだして自慢しているようなら、まちがいなく医療の質はろくなものではないと注意してよいのではないか。愛想が良くても、医療レベルがお粗末である可能性も高いのではないか。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

著者と議論する読書が発想を生む

2009-06-30 23:06:31 | 思いつくまま
著者と議論する読者が発想を生む  「失敗学」提唱者 畑村洋太郎(68) (朝日新聞 2009.6.30 夕刊)

――「失敗学」は失敗を生かして創造につなげる斬新な分野です。読書法も独創的だそうですね。

 本を読むとき、著者とディベートしています。重要なところに赤線を引き、コメントを書き込む。1度読むと、次に赤線を引いたところだけ読みます。読み終える時間は20分の1ですみ、1回目より深い読み方ができます。それを2回繰り返して、全部で3回は読む。最後は著者との議論が終わり、考え尽くしている。1冊にものすごく時間がかかりますが、著者もぼくも及ばなかった考えにたどりつくことがある。読書は知識を身につけるという面がありますが、ぼくは、どれだけのことを考えるかだと思っています。


 ふーむ、そういう読み方もあったか・・・。しかし、ディベートとはなぁ。対話くらいにしてくれればいいのに・・・。
 これは!と思った本は、少し間をおいて2回読むことがある。そうすることで、新たな発見があったり、その時は見過ごしていたものを拾ってみたりすることがある。しかし、それは絞りに絞る読み方かもしれない。
 考え尽くすことで何かが生まれたり、極みにたどりつく読み方ではないかもしれない。
 まだまだ読み方は改善の余地がありそうだ。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする