『「心の時代」にモノを売る方法 ―変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来』 小阪裕司・著、角川oneテーマA21、2012年11月10日
p.24 「本質」とは、新しい消費社会が求めているものの本質である。
p.30 中嶋氏はそこで、食品経済の観点から食の消費の推移を見ると、単に胃袋を満たす時代から、舌で味わう時代へと移行し、現在は頭で楽しむ段階に移行していると指摘しており、頭で楽しむ典型的な例としてワインを挙げている。
p.34 ネオポストモダン消費では、より成熟した消費者が存在し、そこで消費者の関心は、品質条件(味・外観・鮮度)だけでなく、健康要件(安全・栄養)、そして倫理要件(環境・人権・地域)といったことにまで広がっていると指摘する。
p.35-6 第四の消費への代表的な変化
1.個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ
2.私有主義からシェア志向へ
3.ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ
4.欧米志向、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
5.「物からサービスへ」の本格化、あるいは人の重視へ
p.39 そしてその一方で今、現代の消費者が喜んでお金を支払う「価値」がある。その「価値」を重視する消費者は年々増加し、それに該当する商品やサービスは、がぜんお金を支払いたいものとなる。その「価値」とは、「心の豊かさ」と「毎日の精神的充足感」である。
p.49 彼にとって食品は、必需品として地域の食生活を支えるために揃えなければならないものと、心の豊かさをもたらすものがある。どのような商品が後者であるかに一般的な定義はないが、彼によればこだわりを持ったものや社会貢献につながるものなどだ。高品質というだけでなく、買うことや食べることを通じて、お客さんが精神的な充足感を得られることが要件だ。店長は、前者は品揃えに不可欠だが、後者はこれから力を入れていくべきものと考え、近年拡充し続けている。
p.73 身内集団原理とは、分かりやすく言えば身内の原理原則を最優先して身内にだけ目が向く考え方のことだ。きわめて閉鎖的で、身内のなかでどれだけ忠義を尽くしているか、身内の価値観のなかでどれだけ貢献できるかがその身内に属する人たちの行動原理となる。
身内集団原理によって人々の動機が身内の忠義に向かうと、当然ながらそこは閉じた社会になってしまうこと、また、身内以外の者に対しては何をやってもいい、身内以外がどうなっても知らないという発想になる危険性を訴えている。
p.77 「今日は売り上げが悪い。お客さんが来ないからだ」というのは直接的な因果だが、お客さんが来ないのはなぜかと因果を突き詰めていくと、見えない因果がいくつも隠れていることに気づく。
p.83-4 「習慣的な防御的行動」
私たちは、自分の仮説や見解を人前で検証することを避け、人から切りこまれそうな話を避ける。そして何より、防御的な行動に依って、防御姿勢を隠すとともに、全員が問題の存在を知っていてもそれを論じようとしなくなる。
p.84 たとえば社内で、あなたが現場で見つけた新しい消費社会に特有の現象を、これは新しい消費だという仮説や、この芽を伸ばすにはわが社ではこうしたらいいんじゃないかという見解を述べたとしても、述べた相手が習慣的な防御的行動を取るとすれば、その「現実」は顧みられない。そして、実は多くの人が問題の所在を知っていても、誰も論じようとしないかもしれない。
p.90 価値が「心の豊かさと毎日の精神的充足感」つまり「Being」なのだから、多くの商品・サービスはこれに向かって意味合いを変え、価値を構築し直し、提案し直すことになる。
p.116 第1章で「需要のないとこりに需要を創る」と言ったが、その意味では需要がないのではなく、文字通り「心の豊かさ」という需要があるのである。
p.118 「心の豊かさ」は常に抽象的なのである。だから、何をもって心が豊かになるのかはっきりとはわからない。心の豊かさを求める消費者自身、自分が何を買いたいのか具体的にはわかっていない。
また、第1章で取り上げた山崎氏の商人の話のように、売り手は売り手で、何がお客さんの心を豊かにできるのか、やってみなければわからない。また、それが今日豊かさをお届けできたとしても、では明日も同じものが通用するかというとその確実性はなく、常に動いている状態なので、これで決定とはならあず、決定打は毎回変わる。そのやり取りは、まさに「一回ごとの冒険」となるのである。
p.136 「どうでもいいところにぬかりがない」
p.144 自己開示すればするほど人間関係は深まる。ビジネスにおける自己開示では、商売に対する姿勢やポリシー、商売哲学、自社の歴史や将来のビジョンを語るのもいいだろう。要は、顧客との対話を売り買いの話、商談だけで終わらせないということだ。
p.184 そこはまさに「サロン」である。と同時に、それらの店の共通項は、店で交わされるコミュニケーションを通じて、どんな靴をはくべきか、魚はこう食べるとおいしいよ、ということを学び、その結果として「買う」につながる店だった。
p.186 新しいビジネスは心の豊かさを提供するので、そこでも「今すぐに、即座に」という需要は少ない。もちろんお客さんは今すぐ心豊かになりたいと思うだろうが、大概のものは待つことができる。差し迫っていないからだ。
p.24 「本質」とは、新しい消費社会が求めているものの本質である。
p.30 中嶋氏はそこで、食品経済の観点から食の消費の推移を見ると、単に胃袋を満たす時代から、舌で味わう時代へと移行し、現在は頭で楽しむ段階に移行していると指摘しており、頭で楽しむ典型的な例としてワインを挙げている。
p.34 ネオポストモダン消費では、より成熟した消費者が存在し、そこで消費者の関心は、品質条件(味・外観・鮮度)だけでなく、健康要件(安全・栄養)、そして倫理要件(環境・人権・地域)といったことにまで広がっていると指摘する。
p.35-6 第四の消費への代表的な変化
1.個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ
2.私有主義からシェア志向へ
3.ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ
4.欧米志向、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
5.「物からサービスへ」の本格化、あるいは人の重視へ
p.39 そしてその一方で今、現代の消費者が喜んでお金を支払う「価値」がある。その「価値」を重視する消費者は年々増加し、それに該当する商品やサービスは、がぜんお金を支払いたいものとなる。その「価値」とは、「心の豊かさ」と「毎日の精神的充足感」である。
p.49 彼にとって食品は、必需品として地域の食生活を支えるために揃えなければならないものと、心の豊かさをもたらすものがある。どのような商品が後者であるかに一般的な定義はないが、彼によればこだわりを持ったものや社会貢献につながるものなどだ。高品質というだけでなく、買うことや食べることを通じて、お客さんが精神的な充足感を得られることが要件だ。店長は、前者は品揃えに不可欠だが、後者はこれから力を入れていくべきものと考え、近年拡充し続けている。
p.73 身内集団原理とは、分かりやすく言えば身内の原理原則を最優先して身内にだけ目が向く考え方のことだ。きわめて閉鎖的で、身内のなかでどれだけ忠義を尽くしているか、身内の価値観のなかでどれだけ貢献できるかがその身内に属する人たちの行動原理となる。
身内集団原理によって人々の動機が身内の忠義に向かうと、当然ながらそこは閉じた社会になってしまうこと、また、身内以外の者に対しては何をやってもいい、身内以外がどうなっても知らないという発想になる危険性を訴えている。
p.77 「今日は売り上げが悪い。お客さんが来ないからだ」というのは直接的な因果だが、お客さんが来ないのはなぜかと因果を突き詰めていくと、見えない因果がいくつも隠れていることに気づく。
p.83-4 「習慣的な防御的行動」
私たちは、自分の仮説や見解を人前で検証することを避け、人から切りこまれそうな話を避ける。そして何より、防御的な行動に依って、防御姿勢を隠すとともに、全員が問題の存在を知っていてもそれを論じようとしなくなる。
p.84 たとえば社内で、あなたが現場で見つけた新しい消費社会に特有の現象を、これは新しい消費だという仮説や、この芽を伸ばすにはわが社ではこうしたらいいんじゃないかという見解を述べたとしても、述べた相手が習慣的な防御的行動を取るとすれば、その「現実」は顧みられない。そして、実は多くの人が問題の所在を知っていても、誰も論じようとしないかもしれない。
p.90 価値が「心の豊かさと毎日の精神的充足感」つまり「Being」なのだから、多くの商品・サービスはこれに向かって意味合いを変え、価値を構築し直し、提案し直すことになる。
p.116 第1章で「需要のないとこりに需要を創る」と言ったが、その意味では需要がないのではなく、文字通り「心の豊かさ」という需要があるのである。
p.118 「心の豊かさ」は常に抽象的なのである。だから、何をもって心が豊かになるのかはっきりとはわからない。心の豊かさを求める消費者自身、自分が何を買いたいのか具体的にはわかっていない。
また、第1章で取り上げた山崎氏の商人の話のように、売り手は売り手で、何がお客さんの心を豊かにできるのか、やってみなければわからない。また、それが今日豊かさをお届けできたとしても、では明日も同じものが通用するかというとその確実性はなく、常に動いている状態なので、これで決定とはならあず、決定打は毎回変わる。そのやり取りは、まさに「一回ごとの冒険」となるのである。
p.136 「どうでもいいところにぬかりがない」
p.144 自己開示すればするほど人間関係は深まる。ビジネスにおける自己開示では、商売に対する姿勢やポリシー、商売哲学、自社の歴史や将来のビジョンを語るのもいいだろう。要は、顧客との対話を売り買いの話、商談だけで終わらせないということだ。
p.184 そこはまさに「サロン」である。と同時に、それらの店の共通項は、店で交わされるコミュニケーションを通じて、どんな靴をはくべきか、魚はこう食べるとおいしいよ、ということを学び、その結果として「買う」につながる店だった。
p.186 新しいビジネスは心の豊かさを提供するので、そこでも「今すぐに、即座に」という需要は少ない。もちろんお客さんは今すぐ心豊かになりたいと思うだろうが、大概のものは待つことができる。差し迫っていないからだ。