何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

会社の目的は利益じゃない

2013-10-27 10:15:08 | Book Reviews
『会社の目的は利益じゃない 誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは 横田英毅・著、あさ出版 、2013年7月31日

p.3 しかし私は、「質のよい会社をつくって、その結果として量を増やしていく」ことが、本来の経営の在り方だと思います。それが、働く人にとって、お客さまにとって、地域にとって最も幸せな形であり、永続をも可能にすると考えるからです。

p.17 一人ひとりがもっている可能性を、人生で最大限に発揮できる――。それができた人こそ、勝利者です。すべての社員に、会社でそれを実現してもらい、辞めるときに「この会社で働けて本当によかったな」と思える自分になってもらう――。会社とは、そのためにさまざまな工夫をしなければならないところである、と私は考えています。

p.21-2 結果ばかり評価すると、社員は当然、結果のみを求める働き方をし始めます。つまり、プロセスである顧客満足などはあまり意識しなくなってしまうのです。ところがお客様の満足は、自分たちのやりがいである社員満足につながっています。お客様が満足してくださり、感謝と信頼の言葉をかけてくださる。その言葉が、社員たちの満足になるのです。
 ですから、結果だけを求めて顧客満足度をあまり考えない仕事のやり方をすると、自分たちも満足できず、やりがいもなくなってしまいます。つまり結果を追い求めながら、逆に、結果を遠ざけていることになります。結果を求めるのであれば、プロセス、つまりお客様の満足を求める必要があるのです。

p.31 そして真の原因を取り除いても、結果が出るまでにはさらに時間が必要です。このように、問題解決には多大な労力がかかるため、多くの人はとりあえず、「問題対処」を選んでしまうのではないでしょうか。

p.38 会社の目的は、売上げや利益ではありません。売上げや利益は目標です。会社の目的は、「社員を幸福にする」などのように、そうなりたい、そうありたいと思う姿なのです。会社は売上げや利益などの目標などではなく、それらの目的を大事にしなければなりません。

 売上げや利益は「手段」とする人もいる。どちらもしっくりこないが、同じようにどちらもなんとなくわかるような気がする。利益や目標だとすると、それは追っていくものであり通過点とも捉えられがちだが、参考値程度にすぎず、目的の達成度を示す他の指標が目標ではないかと考える。

p.40 会社の場合、どうして売上げが上がらないのか、どうして利益が出ないのかを突き詰めていくと、「社員がいやいや仕事をやっているから」ということが原因である場合が多々あります。なぜやる気をもてずに、いやいや働いているのか? それは、彼ら、彼女らが、給料のために働いているからです。給料をもらうという目標のために働くのでは、仕事への情熱など生まれるはずがありません。いやいや、しぶしぶの、やらされ仕事になってしまいます。

p.41 経営者は、売上げや利益などの目標を後回しにすることに不安を感じるかもしれませんが。しかし実は、いくら目的を強く意識しても、目標をおろそかにすることにはなりません。目的を10でやっていると、目標は8でもよくなってくるのです。そして目標を8、7、6とどんどん少なくしていくと、目的のウエイトが高くなり、社員が幸せになれ、組織が活性化し、その企業は永続化します。

p.43 「なぜ会社の規模をもっと大きくしないのか?」という質問の背景には、「それほどいいモノだったら、もっとたくさんつくって売ればいいのに」という考えがあるのでしょう。
 「いたずらに量を拡大すると、ほかの人のシェアを食ってしまう。するとほかの人は値下げをする。そうなるとこちらも値下げさざるを得なくなる。そんなことをしているうちに、全体の質が下がる。その結果、全体の量が減っていく。だれも、得するものはいない」と。

p.44 混乱する材料が山ほどあるので、本来の「質をよくしていき、その結果として量を増やしていく」という、いちばん正しいやり方を見失いがちになるのでしょう。

p.50 完成度の高い経営理念を形成するためには、「何のためにするのか」という企業の使命(目的)を明確にしていくことが必要です。

p.58-9 中小企業は一つの拠点に力を注ぎ、他に類を見ない卓越したサービスを提供することに徹したほうがよいのではないでしょうか。そうすれば、たとえ一店舗でも、複数の店を合わせたくらいの成果を得られるでしょう。
 多店舗展開そのものを否定する気はありませんが、店を増やそうとする前に、遠方からわざわざお客様が足を運んでくださるくらい、とことんお客様に愛される存在になる。こうした努力をし続ける店が魅力ある店なのであり、景気に左右されない店になると思うのです。

p.73-4 不人気業種というのは、採用には有利です。待遇や給料ではなく、仕事そのものに魅力を感じた人が来てくれるからです。わが社は不人気業種であるだけでなく、低賃金で働き放題ですから、お金がほしい、楽をしたいという人ではなく、やりがいがほしいという人だけが残ります。

p.81 質を高めるというのはどういうことでしょうか? 会社のすべては、人が生み出します。だから、人の質が、会社の質です。

p.91-2 リーダーシップとは主体性のことで、ひいてはまわりから信頼される人、という意味なのです。よってリーダーシップは、リーダーであろうとあるまいと、仕事をするうえで必要なもののひとつです。
 本来、リーダーシップは、部下を統率したり、指示命令して人を動かしたりすることではないのです。

p.93 経営とは、変えることです。多くの人がやっているのは、管理ではないかと思えてなりません。

p.100 つまり、上司からの指示を受けることが多い一般社員の多くの仕事が、主体性のないロボットのようなものになっているということではないでしょうか。それぞれの社員が自分の人間力を発揮する機会を与えられていないため、「やらされている」という思いが強くなっている気がするのです。

p.101 幸い、わが社の場合は、成長の実感があり、自分で考えて仕事ができ、自由に意見が言えて、努力は評価され、職場の人間関係やコミュニケーションも良好で、セクショナリズムもない、と感じている社員がほとんどだということになります。
 なぜ、わが社の場合はこのような結果になっているのかというと、それは意識して、社員の主体性、すなわち人間力を失わせないよう心がけているからです。

p.112 今も大事ですが、将来も大事だという価値観。お金も大事ですが、お金以外にも大事なものがいっぱいあるという価値観。自分を大切にしようと思ったら、自分以外の人を大切にしないと自分を大切にしたことにはならない、という価値観です。

p.122 人は誰でも、人に喜んでもらうことに喜びを感じる気持ちをもっています。そしてそれが、自分を成長させることになることを知っています。ですから、社員の幸福を本気で実現しようと思うのなら、お客様に喜んでもらえるかどうかがわかるしくみをつくり、自分を成長させる機会が十分に組み込まれている形をつくるのです。

p.128 むしろ恐れるべきは、販売している商品のおかげで売上げだけがどんどん伸びていくような状態だと私は考えていました。
 質の高い成長のためには、一人ひとりの社員や組織にチームワーク、お客様との信頼関係などが、売上げの伸びとともに成長していかなければなりません。

p.139 やはり、何気ないように見える日常業務のなかで、社員自身が「問題を発見し、解決する」というプロセスを、自ら学びとっていくことが最も重要です。わが社の場合、人材を育成する方法として重視しているのは、社員への権限委譲と、プロジェクトチームの運営です。

p.141 権限委譲なしに人のやりがいは育めません。ここは勇気が必要なところだと思います。

p.145-6 実際、(プロジェクトチームによる問題解決は)まどろっこしくて時間もかかるのですが、このやり方には、そうしたデメリットをはるかに上回る効果があるのです。
 最も大きなメリットは、「コミットメント効果」で、能動的な公約が生まれるということです。プロジェクトチームでは、立場やキャリアに関係なく、参加者みんなが意見を述べ、全員が納得したうえで意思決定をしていきます。このプロセスを通じて、社員それぞれに「会社の意思決定に自分も参画した」という意識が生まれ、決めた約束を果たそうとする意欲が高まっていくのです。

p.149 (上司への)報告を義務化したら、権限委譲になりませんし、せっかくの自主性を取り上げることになってしまうからです。

p.150 「経営会議の主導権を社員に与えて、自分たちの都合のいいように物事を決められたらどうするのか?」と疑問を持つ人もいるでしょう。
 しかしわが社では、社員たちが集まって重要なテーマを議論するなかで、明らかにおかしな主張をする人がいたら、「『レベルの低い社員がいる』という問題が顕在化した」ととらえます。つまり、経営会議は、問題発見の場でもあるのです。

p.157 要するに、その会社の社員は乗組員ではなく、乗客のつもりだったんでしょう。乗組員だったら、難関を切り抜けようとして力を出しますが、お客さんだったら暗くなって、誰かが何かをうやってくれるのを待っているだけです。会社の社員がお客さんのつもりでは、それは元気もなくなりますよ。

p.161 つまり「社員を大切にする」ということが方便になってしまい、「業績を上げたいから、社員をいちばん大事にしよう」と思っているのです。
 「業績を上げる手段として、社員を大切にする」と考えるのであれば、その人は、元の「業績第一」の考えから、まったく抜け出せていないということになります。
 よい会社をつくりたいのであれば、本気で「社員を大事にしよう」と思わなければなりません。「社員とその家族を幸せにすつ」lことが目的で、業績がそのための目標にならなければなりません。その逆ではないのです。

p.163 働く人の幸せはやりがい以外にありません。そしてやりがいが高まるのは、自分が、自分のもっている人間力をフルに発揮したときです。ですから、社員が自分の人間力をぜんぶ発揮して、深いやりがいを感じるようなしくみをつくり、その結果、売上げや業績がよくなっていく、というのが本来の順序ではないかと私は思います。

p.170 この(お客様からの)信頼感や期待感は、「自分たちの要望が無視されることはない。サービスに必ずフィードバックされるはずだ」とお客様が感じることからつくられます。自分たちの声が、その会社のサービスを変えていくという、実感が必要なのです。

p.178 「みなさんやらされていないですね」 そうか、内側から沸き上がってくるサービス精神でやりがいをもって働く人々がお客様を感動させるのだと、このとき気づかされました。

p.187 自分の担当ではないお客様には、120%で対応する」 よく知らないお客様だからこそ、さらに気を配るのです。

p.196 わが社のイベントおよびサービスの最大の特徴は、「車の販売にはこだわらない」こと。モットーは、「今日の一台より、将来の100台を!」です。

p.208 経営者がいくら「プロセスを重視する」と言っても、社員がプロセスをないがしろにして自分の成果を追い求める、という現象が発生しているようです。
 それはなぜかというと、多くの場合、プロセスを評価するしくみができていないからです。「プロセスを重視する」と言っておきながら、ほとんど売上げなどの結果だけで評価してしまっているからです。


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集客は「地域のお客様」からはじめよう!

2013-10-20 14:28:12 | Book Reviews
「集める」から「集まる」店へ 集客は「地域のお客様」からはじめよう!』 望月まもる・著、同文舘出版、2013年3月13日

p.1 売りっぱなしの店には魅力を感じませんが、自分を大切にしてくれる店には、また行きたいと思えるものです。店側の働きかけが伝わるからこそ、地域の隣人に愛され、お客様が「集まる店」は成立します。これこそ地域集客の目指すところなんです。

p.14 お客様をだましているのなら、顔も名前も出せないでしょうが、公明正大、朝から晩までお客様のために尽力しているにもかかわらず、地域で知られていないというのは、あまりにももったいないのです。
 それに顔も名前も出さずして、地域の方たちからお金をいただこうとするのは、アンフェアだと思います。正々堂々、「○○屋のおっちゃん・おばちゃん」を名乗る、知ってもらうことは、地域の方たちから選んでいただく第一歩なのです。

p.16 そもそも大手と中小は商売の仕方が異なります。他店舗展開、大量販売を行いながらスケールメリットの中で行う商売と、地域密着型で地域と共に歩む商売では同じ土俵に立つこと自体が間違いなのです。なるべく手間と時間をかけず、薄利多売で利益を出す方法と、大量に売れなくとも手間と時間をかけながら丁寧に商売し、利益をいただくやり方では、「そもそも」の部分が異なるのです。

p.17 「お客様は神様です」と言われていた時代がありました。しかし、現代は利益優先のために合理化、効率化、数値化が進み、この「お客様を大切にしていこう」という精神が損なわれた気がします。

p.22 商売人は、お金と商品(サービス)を等価交換しながら、お客様に「商品(サービス)を媒介とした幸せや解決」をお届けすることが責務です。

p.26 「お客様が集まる理由をたくさん持っている店」があれば、必然的にその地域は活力を増していくと思っているくらいです。

p.40 地域の住民にすれば、暮らしの中で教えてもらえる生きた情報は、教えてくれるあなたへの敬意につながり、それがプロ(あなた)の価値になるのです。

p.42 その商品(サービス)を用いると、お客様の「どんな悩み」が「どう解決するか?」を伝えると響くものです(一部の商売では宣伝文句に法規制があります)。また解決するだけではなく、どんな利便性が手に入るのかということもつたえると、「マイナスからプラスになる効果」を感じてもらえます。

p.44 現代のお客様は「どこで買うか、いくらで買うか」だけではなく、「誰から買うか」も価値として選択しているのです。

p.60-1 リピート客は、もしかすると「妥協の買い物」をしぶしぶ行っている可能性があるということです。だからこそリピート客の多い店は、これからのお客様をどうやってファン客にするかという明確な課題があります。

p.70 商売人にはこだわりや姿勢、お客様への想いなどの「熱」が存在するものです。「熱を伝えたい!」と街に飛び出し、直火で熱する商売人に比べ、「仕事だから」という気持ちで間に入った人たちの熱はいかがでしょう?

p.71 集客の技術などではなく「地域のお客様にダイレクトに届く商売人の熱」が成果の理由だと確信しております。

p.88-9 このように(「ご挨拶」と「初売り」とで)、きちんと目的と分けて言葉がけをしている姿勢を見ると、「お客様を大切にしている店なんだな」と深く感じるのです。地域のお客様たちに昨年のお礼を伝え、今年のご挨拶をする。たったこれだけでも、チラシに「心」を感じます。

p.93 「俺は5年後のために、チラシをつくって配っている」

p.120 サービス業に関わる方たちは、自分も立派な商品です。

p.148-9 繁盛店といわれる店では、「誰に来て欲しいのか」という基軸から組み立てた色々なイベント、しかも「販売」を目的にしていない(結果として売れていく)接触機会を定期的につくっており、好評を博しております。
 彼らは、お客様たちと共に楽しもう、楽しませようと言う基本姿勢を持っています。緊張感のない場を創造し、そこに集う方たちと語らい、仲よくなるという自然な場です。

p.149-150 店からのお誘いが販売に偏っておらず、楽しそうだったり、役に立ちそうなお知らせならば、お客様は読んでくれます。それだけではなく、「買わされる」という警戒もなくなり、店との垣根がなくなるため、容易に足を運んでくれますし、何よりも「店とお客様」「スタッフとお客様」の距離が近づくという効果があります。
 「楽しそうだから」「役立ちそうだから」という動機があれば、お客様は自然に集まり、来店するハードルがどんどん低くなります。また、貴族意識(「私のお店」という感覚を持つと、「自戒はお友達も誘って来よう」とか、「用はないけど来ちゃった」ということも起こるのです。

p.153 お客様は、店や商品、サービスに対する理解度が増したり、感動体験があった時に、「帰属意識」が生まれます。
 まずこちらから率先して誘い続け、「あなたともっと仲よくなりたい」をいう意思表示を続けることはとても大切なのです。つながろうとする意識、縁を大切にする姿勢を提示することで、お客様も店を理解してご来店してくださいます。

p.176 多少気にいった店であっても、きっかけがない限り、「最近そういえば、行ってないなあ」と思い出すことは、なかなかないものです。他店にも魅力的な商品やサービスがたくさんあるので、人は「思い出す機会」がなければ、忘れていくものです。だからこそ、ニュースレターで「店を思い出させる」機会を定期的につくるのはとても大切なことです。

p.180 ニュースレターを発行している会社は間違いなく売上が伸びています。しかし、売上を伸ばすことを目的としてニュースレター制作に臨むと、結果が上がらなかった際に、モチベーションダウンが起こるので、長続きしなくばることも少なくありません。

p.188 あなたの商品やサービスを購入している方たち向けに発信する場合は、あなたの商品を120%活用してもらうために、「え? そんな使い方があるの?」「そう食べるとおいしそうね」などのように、さらなる提案をすると、とても喜んでくれます。

p.191 店、会社を超えて、業界の最新情報なども立派なニュースです。一般の方はなかなか知りえない情報はお客様の興味をひきます。社会のニュースが、自分の業界にどう影響を与えるのかを示せば、それだって立派なニュース。

p.215 「やってみよう」と気軽に始める人は多いですが、やめる人も多いので、やり続けている残った人に「福」がやって来るのです。


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お客様に喜びと感動を届ける会社

2013-10-20 10:17:08 | Book Reviews
「お客様に喜び感動を届ける会社 心をつかむ本気のCS PHP研究所・編、PHP、2012年4月12日

p.18 世間には“お客様第一”と言いながら、自己の利益・地位を優先する“自分第一”を押し通す企業・人間がまかり通っています。そうした人たちは“顧客満足”と“自己満足”を取り違えているのです。儲けるための“自己満足”から発想してつくった“顧客満足”をいくら唱えてみても、お客様が離れていくのは当然のことでしょう。

p.37 メーカーは技術と技能を売るが、同社は情緒と感性を売り込みながら、顧客に対する提案を行っていく。メーカー側に対しては営業視点をもってカバーする一方で、『お客様がこれを扱ったらどうなるか』という顧客視点で物事を考えつつ、お互いに“キャッチボール”を進めながら、ベストのソリューションを見出していくのだ。

p.44 先に安並は「答えは、お客様が持っています」と語ったが、社員たちがその「答え」に近づいていくには、顧客先のビジネスに関連する市場の動向や流行、ユーザーおよび最終消費者に対する深い理解が欠かせない。その意味で、同社の社員たちが、さまざまな業種業態のビジネスを、一人の顧客として理解していくことは、ビジネスの現場を起点にした戦術・戦略眼を養うとともに、顧客先に対する提案の質の向上にも大きく役立っているようだ。

p.82 「いかに才能があっても、知識があっても、熱意の乏しい人は画ける餅に等しいのです」

p.86 「運命は、変化するものである。それゆえ人間は、自分流のやり方をつづけても時勢に合っている間はうまくいくが、時代の流れにそわなくなれば、失敗するしかない」

p.100 クア・アンド・ホテルのメインの仕事は、お客様から寄せられた声に基づいて改善を実施することである、といっても決して過言ではないほどである。
 ただし、改善をしたからといって、それがよいほうに転がるとはかぎらない。いったん改善したことがものの一週間も経たずして元に戻ったり変更が加えられたりすることもよくある。

p.101 むずかしさはあるものの、そのなかでよりよいサービスを実現するためには、すべての従業員が「お客様の喜びは、自分の喜び」と感じられるかどうかにかかっているといえるだろう。

p.133 リフォームのスタートはお客様に関心を持つこと。ゴールはお客様の笑顔。これが顧客に喜んでいただくための澤口の信念なのである。

p.143 顧客満足の考えもさらに進め、顧客の未来のライフスタイルや生活環境、さらには将来的に住まう人が変わったときの建物にまで目を向けるようになっていった。

p.150 「お客様には便利屋さんと思われているかもしれませんね」

p.154 CS向上のうえで、顧客の話に真剣に耳を傾けることはもちろん大切だが、たんに「お客様の要望に合わせる」だけでは、CSが実現しないのも否定できない事実。

p.164 私は『立派な家』と『良い家』は違うのではないかと思います。多額の予算を使い、高価な材料を使えば『立派な家』ができるのかもしれません。でも『良い家』は住まわれるご家庭の最適な住環境をご提案する設計でつくるものだと思うのです。

p.165 「『立派な家』が『良い家』とは限らない」という橋本の言葉は、住宅メーカーが、顧客それぞれのライフスタイルやニーズに応えるよりも、自分たちが考える「高機能、高品質な家」を提供したいと考えがちな、つくり手主導の昨今の風潮に対する、自戒や反省の言葉ではないかとも思える。

p.168 「この会社は信用できない」と一度でも思われたら、いくらCSをやっても顧客は離れていく、というのがハシモトホームの共通認識だ。

p.177 「店はお客様のためにある」
 「お客様のための店舗」をつくるためには「お客様が喜ぶことは何か、どんなことに温かさや豊かさを感じていただけるのかを考え、実践することが大切」

p.179-180 「お客様がよく買っている好きなパンを覚えなさい。パンを交えた会話を通じて、『いつも店に来ていただいていることを、きちんと覚えていますよ』という意思表示をしなさい」

p.181 店舗に対する顧客の愛情、あるいは愛着(ロイヤリティー)が向上することは、企業にとって歓迎すべきことである。だが、その反面、店舗をこよなく愛する顧客は、より高い水準のCSを求め続けていくということなのだろう。

p.187 「『あの時が一番幸せだったなあ』という思いが込み上げてきて、そのとたん、私は自分が何をしたいのかを悟りました。それは、規模を拡大するとかお金儲けをすることではない。お客様に認められたい、褒めてもらいたい、そんな毎日を送ることができたら幸せだろう、同じやるなら理想的なパン屋をやろう、と――」


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カリスマ社長の大失敗

2013-10-06 10:52:37 | Book Reviews
「カリスマ社長の大失敗」 國貞文隆・著、メディアファクトリー新書、2013年6月30日

p.16-7 経営学者であるドラッカーは、成功した経営者を取材して、ある共通項を見出した。彼らの性格はそれぞれバラバラでなんら共通したところがない。「成功するために共通した性格や欠点」なんてものは、見つけられなかった。ドラッカーがただ一つだけ見つけた共通点、それは「最後まであきらめずに成し遂げる力」だったという。

p.24-5 「なぜこんな大ピンチのときに、都合よく救世主が現れるのだろう」「どうせ最初から恵まれているからうまくいったのだろう。俺とはやっぱり違うんだ」。そう思うこともあって、成功した起業家をインタビューしたとき、その疑問を投げかけてみた。人生そんなにうまくいくはずないじゃないか、と。
 だが、生来「私の履歴書」に登場しそうなその起業家からは、思いがけない言葉が返ってきた。
 「それが不思議とそうなるんだ。困っていたら、誰かが突然現れて手を差し伸べてくれる」「よく『成功したければ、ドアをこじ開けてでも』、というけれど、私はそうじゃないと思う。ドアは自然と開くものなんだ。では、どうしたらドアは開くのか。それは目の前の仕事をおざなりにせず、何度失敗しても一生懸命に取り組むこと。そうすれば、ドアは開くんだよ」

p.29 なぜ彼らが愚直なまでに試行錯誤を繰り返して、長い雌伏のときを耐え、成功をつかめたのか。彼らには対象へ向かう「負けたくない」「自分にウソをつきたくない」「この仕事しかできない」というブレない気持ちがあったからだ。
 意外と思われるかもしれないが、そのブレない気持ちは、たいてい「自分は他者よりも劣っている」というコンプレックスから生まれる。私が取材してきた創業者や経営者は必ず、大きなコンプレックスをもっていた。

p.34 (環境や状況に恵まれなかった)そんなとき、彼らはどう対応したか?
 「くさらなかった」のである。自分を嘆いてずっと落ち込むこともなかった。一時的に落ち込むことはあっても、引きずらなかった。与えられた境遇なら受け入れるしかないと、彼らはそこから考え、動いている。マイナスな場所にいるなら、プラスの場所に行けるように努力しているのである。
 倒れても倒れても前に進もうとする。「七転び八起き」という使い古された言葉を文字どおりに生きるその姿は、意外にカッコ悪くない。

p.58 今、いつか世間で脚光を浴びるときを密かに待っているビジネスマンだって、少なくないのではないだろうか。ただ多くの人が、そっとその野望をあきらめてしまうだけだ。しかし石井(久)は違った。できる手をすべて尽くして世に出ようと踏ん張った。

p.75 そもそも「大失敗」は、本人が有頂天になっているときによく起きるものだ。

p.82 困難な道とそうでない道の二つの選択肢があった場合、多くの成功者はあえて困難な道を選んでいる。

p.90 勘違いされがちだが、成功はだんだん近づくのではない。ある日突然やってくるのである。「突然やってくる」背景に継続的な努力がある。日常を真剣に過ごさずに訪れる成功などない。もし訪れたとしても、すぐに過ぎ去っていくものだ。成功するところまで努力を重ねれば、成功は必然的に訪れる。

p.103 鮎川(義介)は常に「俺は生きている間にほめられる人間ではない」と親族に語っていたという。決して言い訳めいたことは言わなかった。ときに大言壮語にも思えたという鮎川の言葉は、私利私欲を考える人間には奇異に聞こえたことだろう。

p.104 私心のない人が、今の日本にもいるだろうか。誰のために、なんのために「失敗」し、試行錯誤を繰り返すのか。失敗してはあがき続ける行為は、人間の度量が試される鍛錬の場でもあるだろう。
 「疲弊した日本を立ち直らせたい」――戦後、多くの経営者のモチベーションはそこにあったように感じる。

p.123 「大きくなるための過程には、必ず失敗というリスクがついてくる。成長と失敗は紙一重ということなのだ」

p.129 創業者は基本的にマイノリティーである。つまり成功者はマイノリティーだ、ともいえる。

p.134 成功者に共通していたのはただ一つ。「なすべきときになす」能力を発揮することだった。つまり、成果を上げるリーダーとは、執拗なまでの集中力を保てる人間だということだ。

p.144 「なんとか黒字は確保しなければと思っているのですが・・・・・」「いいよ、そんなの。もっと中長期の経営を目指しているんだろ? だったら、自分の信念を貫けよ」

p.165 ベンチャービジネスは、「ヒト」「モノ」「カネ」のすべてが“ないない尽くし”のなかで始めなければならない。だから、成功よりも失敗が先にやってくる。小さな失敗を重ねながら続けていると、ある日突然大きく伸び始め、そこからまた、足りないものが見つけられて改善が図られていく。ベンチャービジネスは、その繰り返しだ。

p.204 経営には覚悟がいる。

p.208 商売というのは、現状があまりうまくいかないときに、『だったら、どうやればうまくいくのか』ということを徹底的に考えるということであり、成功したと思った時点でダメになるのだと思う。

p.209-10 経営とは非常に難しいものだ。失敗から学んだと思っても、また失敗してしまう。それだけ経営は人やモノの組み合わせの妙でできている。その妙が偶然でも達成できれば成功、戦略的、意識的に組み合わせてもダメなら単純に失敗する。いくら理論を学んでもこれだけは結局のところ、試行錯誤を続けるしかない。重要なのは、うまくいく方法を探して修正し続け、決してあきらめないことである。

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