何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

みんな大好きな食品添加物

2006-07-11 23:09:57 | Book Reviews
 このタイトルは、『食品の裏側』(安部司・著、東洋経済新報社)のサブタイトルにあったものだ。
 ある日、この著者がTVで講演している姿が放映されていた。親子連れを前に、白い粉を混ぜて、無果汁ジュースやら何やらを作ってみせる、まるで魔法でもしているようなシーンだった。そのくらい、無から有を生むかのように、添加物は食品を変えてしまう。その業界では「クスリ」と言われる所以だ。

 そんな著者が、自分の子供が食品添加物まみれの食品を美味しそうに食べているところを見て、愕然とする。知る人ぞ知る、その製造過程を知る者なら、決して口にしないようなシロモノなのだ。

 食品添加物は、毒だ、異物だ、という側面だけとらえていると、それは偏った見方だと著者は言う。その恩恵も、また計り知れないからだ。
 しかし、食品添加物を平気で使う食品加工業者の多くは、利益優先、手間削減、いいものを作ることを捨て、その道の職人であることを諦め、いつのまにか良心を亡くし、食品もどきを作っていく。まるで「魂」を売ってしまったのか、と著者は嘆く。

 本物志向はどこへ行ってしまったんだろう。消費者の目や食感、味覚をごまかし、まがいものを作って、済ませている。手間をかけるところにこそ、相手に心が伝わる何かがあるのだろう。

 やってもいないのに、あたかもやっているかのように見せかけて喜ぶ経営者。小手先でお茶を濁しておいて、その貧しく、卑しい心に、恥ずかしいと思わないのか。恥ずかしさなんて、とっくに忘れてしまったのだろうか 
Comments (2)
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