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パロマ工業が謝罪しない理由

2006-07-15 09:19:49 | ISO9001奥が深いか浅いのか
「不正改造なければ…」CO中毒死、パロマ弁明に終始 (読売新聞) - goo ニュース

 パロマ工業のガス瞬間湯沸かし器の排気ファン作動不良により、15人もの人が一酸化炭素中毒で亡くなっていた。機械の不良が原因なら、製造メーカーが追求されるのは普通の成り行きかと思うが、単純にそうではないらしく、社長は「謝罪しない」姿勢を貫いている。

 この報道を知って、まさかとは思ったが調べてみると、パロマもISO9001を取得していることを知って驚いた。事故の原因は修理に問題があったからで、製造メーカー側の問題ではないという、まるでシンドラーエレベータ(ISO9001認証取得)が点検業者に問題があると矛先を変えようとしていたのと、同じ体制と理屈ではないか!
 点検を問題にしたのは、ナショナルのオイルヒーターの際にも見られた。

 この事故は昨今初めて発覚したのではなく、経済産業省も含めて10数年前から知っていたという。
 湯沸かし器の不具合が起こることを知りながら、正しく修理されなかったことを、不適切な修理などとは呼ばず、「危険な改造」とか「不正改造」などと、修理業者側が悪者であるかのように表現しているのは、この会社の体質を表しているように思われた。

 自社製造の製品に、そのような修理業者側の不行き届きがあろうとも、
・「改造」の危険性をかなり昔から把握していたのに、修理が適切に行われるようにアクションをとっていたのか
・「不正」改造というのであれば、それは業者のモラルの問題で済ませていていいのか
・安全装置が働いてすぐお湯がでなくなってしまうという製品であるにもかかわらず、修理が発生する自社品に問題がなかったのか
・適切な修理が行われにくく、もっと確実かつ容易に修理ができるよための製品改良の余地はなかったのか

 パロマは、誰を「顧客」としていたのだろうか。フツウに考えれば、自社製品を購入し、使用してくれる市民だろう。製品が適切に使用され続けていくためには、修理業者の存在も不可欠であり、内部顧客に準ずる立場でもある。今回のように矛先を向けるほどの利害関係を起こす間柄であれば、外部顧客としても位置付けて(明記してあるかは別に)おくべきではなかったかと思う。

 自社製品の不具合が発端であるにもかかわらず、「不正」改造という表現を使うところに、まるでパロマもある意味、いいがかりをつけられて困惑している“被害者”であると言わんばかりの経営者の態度に、どうか違和感を抱かざるをえない。ましてやISO9001まで取得していたのであるから、顧客重視の姿勢がもっと随所に見えてよいのだと思うが、悲しいかな、そのかけらも感じられない。

 パロマの社長は、矛先を向けられて憤りを感じると言っている。既に裁判になった時の責任追及を逃れるべく、被害補償額を最小限にしようといった責任回避的な言明に被、害者を始め、国民は憤りを感じ、同社への信頼を捨てるのではないだろうか。

 雪印の社長が「俺だって寝てないんだ!」発言にも匹敵するようにも思える。重大かつ基本的な初動ミス(リスク管理の誤り)でなければいいが。少なくとも、この社長にはISO9001の理解はおろか、社会的責任の視点も乏しいように思われる(経営者の力量不足か?) 
Comments (4)
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