何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

クレーム軽視が事故を招いた

2006-07-22 01:08:53 | ISO9001奥が深いか浅いのか
きょう業務改善指示 欠陥放置、トヨタ社長謝罪

〈前略〉 国交省ではユーザーやディーラーから寄せられた不具合情報が社内で共有されておらずリコールの遅れにつながった恐れがあるとして、社内の連携を強化し、再発防止策の提出を求める。
 82件の不具合情報のうち国交省が特に問題視しているのは、問題の部品を改良した平成8年までに見つかった5件の折損報告。これは、ディーラーからリコールの判断材料となる「市場技術情報」としてトヨタの品質保証部に情報が上がっていた。
 だが、同部ではこのうち4件はハンドルを停止状態で目いっぱい切る「据え切り」をした状態で起きたとして、「特異なケース」とみて原因調査の対象から排除していた。 (産経新聞) - 7月21日8時2分更新

 クレームは、寄せられたほうとしては気持ちのいいものではないが、その相手が
・以前からしばしば折り合いがうまくいっていない
・スタッフと波長が合わない

 ような場合、クレーマーのような者だろうと、その相手を一種の性格異常か変わり者扱いして、相手の主張を意味のないものとしてとらえ、さらに結局は金銭目当てではないか、ゆすりが目的じゃないか、むしろ被害者はそんな「異質な者から」クレームを言われたこちらではないかと、いつのまにか迷惑を受けているのはサービス提供側であるかのように、逆転したような発想になっていることすらある。

 たくさんの相手(顧客)と接する中には、確かに本当に難癖をつけなきゃ、生きていけないように思える人がいないわけじゃない(これも既にバイアスが入った見方かもしれないが)。
 しかし相手が“少数派”の者だからと決めつけて、クレームそのものが既に意味の薄いものだと、本質を軽視・無視して、訴えは無効だなどと、改善をしなかったら、やがて大事故につながるかもしれない、ということは真摯に受け止めておかねばならないだろう。

 相手はクレーマーだ、という見切りの早い“診断”は、危険だということだ。

 副作用もそうだ。1例目は、まさか、そんなことは聞いたことがない、そうじゃないとは断定できないまでも、たぶん違うのではないかと、「特異なケース」扱いしがちなのではないだろうか。
 確かに副作用でない可能性が高い、という思いが強いのだろうが、ひょっとしたら本当に副作用かもしれない、という思いもかたや一方に置いて、常に検証する目でその後の様子にあたっていかねばならないだろう。

 その後、類似例が見られた時に、ビビビっと「以前もこういうことがあった!」と、気づいて、早期に手を打てるかどうかだろう。
 担当者が「これは怪しい」と訴えても、判断権限のあるものが、それを握り潰そうとするかもしれない。そんなセンスの者を、要職につけてはならないし、つけてしまったとしたらすぐに解くとともに、任命した者にも責任をとってもらわねばなるまい。
 1人に判断権限を持たせるのではなく、安全管理には、判断能力のある者を複数人揃えて、冷静かつ適切な判断ができるようにしておくと、組織にとっても、利用者にとっても好ましいことだろう 
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品質管理部長のモラル

2006-07-22 00:39:19 | ISO9001奥が深いか浅いのか
不正改造周知「効果少ない」=パロマ工業部長証言-6年前、事故めぐる民事訴訟で

 北海道恵庭市で起きたパロマ工業(名古屋市)製湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故をめぐる民事訴訟で、事故原因となった不正改造の発見方法について、当時の同社品質管理部長が「利用者に知らせても効果は少ない」と証言していたことが21日、分かった。
 不正改造の危険性を伝えたのは直接取引のある販売業者のみだったといい、一般顧客への周知を軽視し、事故の続発を許した同社の姿勢が改めて浮き彫りになった。
 恵庭市の事故は1995年1月に発生。重症になった女性らが97年、同社などを相手に賠償を求め、札幌地裁に提訴した。
 2000年10月の法廷で、品質管理部長は、事故の一因とされる湯沸かし器のコントロールボックス(制御装置)の不正改造について、コンセントを抜いた際、燃焼を続けるかどうかで判断できると説明した。 (時事通信) - 7月21日8時1分更新

 パロマが相当病んでいるのは、ここ数日の報道でわかったが、品質管理部長たる者が、安全管理においてこのような判断をしていたのは、ショックだった。他の者がこのようなことを思っても、品質管理部長だけはユーザー第一の、真っ当な判断をする・できるはずだろう、と思うからだ。

 でも、品質管理部長の判断が・・・というと、先日のトヨタのリコール隠しの件でも、同様のことがあったばかりだ。3代にわたって、品質管理部が機能していなかったのだ。
 自分もまがりなりにも「品質管理責任者」たるものを拝命してきて、組織が崖から落ちそうになったら、道を踏み外そうとしても、内部品質監査員とともに自分はそれを防止できるよう、機能しようと思っていたからだ。

 「利用者に知らせても効果は少ない」だなんて、知らせることに対する手間や機能と、それによって被害を防ぐことのできる人命の多さとを天秤にかけての言葉だとしたら、悲しいことだ。ユーザーもバカにされたものだが、こういう幹部がいる会社に勤めてしまった社員も哀れなことだ。
 類似の事件が再発しないためにも、過激すぎると聞こえるかもしれないが、こういう会社は生き残れないんだ、ということが社会に浸透していって欲しいと思う。幸運にも存続することが、JR西日本のように、喉元すぎて熱さを忘れた頃、事件を繰り返すことになるのではないだろうか 
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