何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

タイヤの摩耗

2007-08-30 19:49:30 | 思いつくまま
リース会社幹部ら逮捕=摩耗認識、交換怠る-男児重傷のタイヤ破裂事故・大阪府警 (時事通信) - goo ニュース

 調べによると、石堂容疑者は、従業員の報告でタイヤの劣化を認識していたのに、交換など適切な整備を怠った結果、男児に重傷を負わせた疑い。山下容疑者もタイヤの摩耗に気付きながら、「会社まではもつだろう」と運転を続けた疑い。

 破裂したタイヤは、接地面の溝がほとんどなくなるほど摩耗していた。同社では事故の1カ月前にも、同じクレーン車の右前輪タイヤが破裂。従業員は石堂容疑者に「左前輪タイヤも同じように劣化しており、破裂の恐れがある」と報告していた。

 先日、娘の自転車修理のため、付き添って自転車屋に行った。修理の最中に、爆竹でも鳴ったような音がして、気がついたら自分の自転車の後輪が見事にパンクしていた。いや破裂して、タイヤが裂けていた。

 そういうことがあると聞いたことはあったが、まさか自分の自転車がそうなるとは思わなかった。もうかれこれ10数年乗っている老朽車だ。
 「今日、空気を入れませんでしたか?」「ここ最近、車輪の回転に合わせて音がしませんでしたか?」 いずれもYES、まさに自転車屋の推察通りだ。

 新車に変えることも考えたが、とりあえずタイヤ交換で済ませてしまった。おそらく、前輪も時間の問題でダメになるだろう。

 自動車だったら車検のときにチェックもされるが、自転車はまずしないし、気づかない。スポークも相当錆びており、これが折れたときは買い替えかと思っていたが、その前にタイヤがまた破裂するのかもしれない。

 自転車とクレーン車ではタイヤのサイズや周囲への影響度は違うとはいえ、摩耗軽視という原因は同じだ。自転車だって、かなりの破裂音だった。ましてやクレーン車なら、まさに爆弾にも匹敵するだろう 
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レバレッジ・シンキング

2007-08-29 12:59:37 | Book Reviews
無限大の成果を生み出す
4つの自己投資術
『レバレッジ・シンキング』 本田直之・著、東洋経済新報社、2007年7月。

 「レバレッジ」という単語、これまであまり耳慣れない言葉だが、なんか目につくようになった。
 横文字はとかくわかりにくい。日常会話で使われない単語はとくに、辞書的に意味がわかっても、感覚的にどうも入ってこないというか、染み込みにくい(ワタシの場合は)。

 「レバレッジ」もそうだ。「てこ」の意で、少ない労力で大きな成果を生み出す考え方や取り組みをさすという。なんとなくわかるのだが、具体的にどう行動を起こすのか、身体をねじ曲げてみたところで始まらない。

 労力、時間、知識、人脈の4つの側面で「レバレッジをかけろ」という。または「レバレッジを効かせろ」という言い方もされている。

 レバレッジ・シンキングだが、何をすればいいか、その動きはレバレッジが効いているか、いちいち考えているようでは、レバレッジのかかりかたが不十分なのだろう。
 蓄えたパーソナル・キャピタル(自分資産)を活かして、さらにそれをその後の自分にフィードバックをかけて、これまでと同じ行動をしてもよりプラスアルファがもたらされるように、工夫を図れということのようだ。

 単なる日常の繰り返しも、文字通り、進歩のない繰り返しのままでいるか、磨きがかかって成果を現すことにつながるのか、テクニックというより、そういう思考に基づいた行動様式の勧めであるようだ。 

 もっと実例として、レバレッジのかけかたについて、著者以外からも知りたいと思った 
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アールの介護の実情は

2007-08-28 13:06:25 | よくわからないこと
介護現場を顧みない渡辺美樹・ワタミ社長(ファクタ) - goo ニュース

 介護業界では、外食仕込みの渡辺社長の「手法」にはとかく批判が多い。ワタミの買収後、「アールの介護」の社員3分の1以上が同社を離れる「事件」が起こった。

 3Kの代表例とされる介護職場は職員の頑張りで維持されているが、渡辺社長は何の追加手当もなく、食事、入浴対応などでさらなる負荷を押しつけた。職員が集団で抗議すると「入居者の幸せが自分の幸せでないのだったら、どうぞ辞めてください」と、長年貢献してきた介護職員に自主退職を促したという。「お店はお客様だけのためにある」「施設は入居者様のためにある」。一見崇高な「渡辺語録」も、苛酷な現場に依存し、その苦労を一顧だにしないのだとしたら、途端に色あせる。同じく買収した郁文館中学・高校でも有力教師の離反が相次いでいるという。


 コムスンの破綻を契機とした渡邉美樹社長の言動が気になっていた。なるほどと思わせる部分と、そりゃ違うダロ、と思う面が混在しているからだ。介護といえども、医療をビジネスで捉えているところが疑問だった。それでも日経ビジネスオンラインを見て、介護を志で動かそうとする意気込みに賛同したのだが、やはり内情ではワタミでさえ多くの問題を抱えていたということか。

 コムスンからの譲渡問題に際し、施設系はいいが、介護系は儲からないからやらないと発言していた。採算がとれないからやらないというのは、将来無責任な状態になってしまいかねないことを避ける意味もあったのだろう。しかし収益確保のために介護に参入するような意味だとしたら、出発点が違うのではないか、といった違和感が拭えなかった。

 介護に限らず、医療現場は苛酷だ。志で職員をつなぐことは重要だとしても、維持するための、モチベーションを確保するための現実的方策も無視できない、ということだろう。もっと実態を具体的に知りたいところだ。

 『もう、国には頼らない』を読むか読むまいか迷っていて、先日、やはり読もうと思い立ったのだが、水を差されたようなことになってしまった 
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あなたが創る顧客満足

2007-08-25 12:31:11 | 心に残ること
『基本のキホン あなたが創る顧客満足  佐藤知恭・著、日経ビジネス人文庫、2000年11月。

 高知市の土佐料理店「司」に、福島県会津若松市の消印の手紙が舞い込みました。会津若松の元高校校長、坂田哲三先生からの手紙でした。先生は定年退職後、これまで苦楽をともにした妻の凱子さんと旅をすることを楽しみにしていました。ところが1997年12月、奥さんがガンで亡くなってしまいました。悲しみから立ち直った坂田先生が、妻の冥福を祈るために四国八十八ヵ所の札所巡りを思い立ったのが99年。そして2000年も讃岐から土佐を回りました。

 その帰途、飛行機の時間を待つ間、土佐料理「司」の高知空港店に入りました。ビールを一本、それに土佐名物のかますの姿ずしを注文しました。そして、「あ、グラスを二つ」と付け加えました。注文を受けたウエイトレスの近藤ミカさん。入社二年目の若い女の子です。お客が一人なのにグラス二つとは、と不思議に思いながらも、ビール一本とグラス二つを運んだのです。

 二つのグラスが気になったミカさん。お客さんの方をチラッと見ると、そのお客さんは女の人の写真をテーブルに置いてその前にグラス。そしてそこにビールを注いで乾杯しているではありませんか。きっと亡くなった奥さんの写真を持って札所巡りをしてきたのだと思いました。そこで、お箸と箸置きを二組、小皿を二枚、持っていったのでした。坂田さんの手紙は続きます。

 「こうした旅には必ず家内の写真を持って行っては一緒にビールを飲むのです。しかし、お箸と小皿を出してくれたお店はおたくが初めてです。驚きました。感動で体が震えました。本当に感激し帰りの飛行機の中でも涙が止まりませんでした」 (p.175-177)

 正直、この部分は読んで泣けた  これからというときに奥さんを亡くされ、供養の意も込めての旅だったであろうこと、若い店員にもかかわらず気転の効いた対応ができたこと。

 こういうことはおそらくマニュアルじゃできないだろう。いくら四国はお遍路さんが珍しくないとはいえ、想定された行動ではないと思う。相手の気持ちを汲んで即座の行動がとれるのは、訓練によって身につくというよりも、物やお金よりも気持ちを大切にする心や、相手の笑顔が見れて自分もうれしいという気持ちがそうさせるのではないかと思う。

 子供の命日に老夫婦がディズニーランドに行き、レストランでお子様ランチをとってささやかにお祝いをする際の店員の心遣いの話もこれと似ているが、そういった場面を演出できることは最高に幸せである。

 これに匹敵する、あるいはこれの延長に当たることを、小さなことでいいから日々の中に作っていくことを当面のテーマにしたいと思う 
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標準治療

2007-08-24 17:44:42 | 思いつくまま
米国腫瘍(しゅよう)内科専門医の上野直人医師は、著書「最高の医療をうけるための患者学」(講談社)で「現時点で一番高い確率で患者への利益が確認されているのが標準治療」だと断言する。ただ、標準治療にも幅がある中で、その人にとっての最高の治療を受けるには、「自分の人生で何が優先事項なのか自分自身と向き合い、医師と共有することが重要」だと指摘。〈1〉科学的根拠〈2〉医師の専門性〈3〉患者自身の価値観――の三つの要素が考慮されてこそ、最高の医療になるのだという。 読売新聞 2007.8.24 より

 患者さんにしてみれば、自分が標準治療を基本として、治療が進められているかどうかは大きな関心事だ。ピッタリ標準治療通りである必要なく、患者さん個々の事情によって修正、アレンジがなされていてよい。それらには、「個」に合わせてより最適化する必要性があったということである。

 薬局では、この標準治療を知っておく必要性がある。患者さんに対して最も高い確率で利益を得られるよう、協力する立場にあるからだ。もし標準的治療でないのであれば、それが適用できない理由を確認しなければならないだろう。もし特別な理由も意味もなく、標準的治療とはかけ離れた処方がなされているのであれば、場合によっては軌道修正を打診する立場にあるのかもしれない。

 患者さんの状況や与えられた医療環境において、患者さんにとって最大の利益が得られるよう尽力するのが、医療従事者の役割なのだろう。そこに対して、医療提供者の都合が入り込む余地はないのだろう。患者さんにとって最善の医療レベルが確保される中でであれば、許される部分はあるのかもしれないが。
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組織を伸ばす人、潰す人

2007-08-23 15:25:29 | Book Reviews
人事のプロは知っている『組織を伸ばす人、潰す人』 柴田励司・著、PHP研究所、2007年3月。

 働く人のモチベーションを高めるものは「お金ではなく仕事」。仕事そのものや仕事を通じて得られる成長感などがなくなってくると、報酬が不満要因として浮上してくる、これは人間の心理です。 (p.139)

 仕事が「平凡な日常業務化」する。そうすると、「信じられないようなうっかりミス」や「無意識なる手抜き」が起きます。そうならないように、と「必罰管理」を厳重に行うと、その仕事に就く方々にとっての優先順位は「処罰されないこと」になります。なぜ、決められたことをきちんと遂行するべきなのか、といった本質的な意義はどこかへ飛んでいきます。とにかく、処罰されないように気を使うようになります。 (p.140)

 給料が高くて困る人はいない。だからといって給料のために、まるでそれが我慢代であるかのように、ひたすら給料日だけが楽しみのように働くのでは仕事をしている甲斐がないし、生き甲斐もない。

 仕事が、言われたことを黙々とこなす“作業”的であれば、さぞかしつまらない毎日だろうと思う。作業なら自分でなくてもいいわけで、自分が必要とされているという張り合いもない。責任を持ってその任に当たろうという意識も湧かない。

 その上、作業に近い仕事をさせておきながら、そこにペナルティを課せば、仕事の持つ社会的意義になぞ、ますます意識が向かず、とにかくカタチだけ繕えば、ミスさえ回避していればいいようになってしまう。人事考課がペナルティの代わりになって、ただでさえ作業を、より一層作業にさせていることはないか。

 ある時は仕事の意味や使命を説きながら、実際のところは作業員にすぎない扱いになっている職場・・・。人間なんて自分に都合良く考えるから、建前だけは立派で、実質が正反対の職場て、少なからずあるだろう。
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もう少し人目に晒すことが社会的制裁を受ける意思表示

2007-08-22 13:15:36 | 薬害は人災だ
中華航空、事故機のロゴ消す 事故調が許可 朝日新聞 2007.8.22

 那覇空港で炎上した中華航空機の事故機の残骸(ざんがい)に残っていた「チャイナ・エアライン」の社名や尾翼のロゴが消されていることが22日、分かった。中華航空が会社のイメージダウンを恐れたためと思われる。同社から要請を受けた国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は「事故調査に影響がない」との判断から許可した。

 事故機の残骸には、機体側面に描かれた英語の社名や、尾翼に描かれた台湾の花でもある梅の花が一部、焼け残っていた。20日の事故以来、残骸は連日、新聞やテレビで報道されている。塗装作業は21日夕から始めたという。中華航空は「国際慣例に従って、通常とられる手段を講じた」と説明している。航空関係者からは「会社名を消すよりも、安全性向上に取り組む方が先ではないか」との声も出ている。

 ※写真は、時事通信社ニュース 2007.8.22 より

 乗客、乗務員は無事だったものの、手荷物は戻って来ない人もいるだろうし、同社で繰り返される事故に対して、何らかの問題があると思っている人も少なくないだろう。

 そうは言っても、今日も中華航空は飛び続けているわけであり、沖縄空港を離発着するにあたり、残骸を見て不安を掻き立てられる乗客がいて、心苦しく思うことだろう。

 あの残骸は事故原因究明が済めば、廃棄されてしまうのだろうか。二度と繰り返さないための展示物として、場所を移動して残すようなことには使わないのだろうか。

 イメージダウンを恐れ、社名やマークを人の目から避けたい同社の気持ちはわからないでもないが、まだ事故から日が浅い今それをすれば、事故発生の事実を不明確にすることになり、事故に真剣に向き合い、猛省することが必要な今、その気持ちが十分ではないかのように図らずも伝わってくるようでもある。

 同社がいくら謝罪しようとも、それが十分であるかどうか利用者や社会が決めるのであり、慣例がどうあろうと、事実は事実として今はまだ人目から隠すには時期尚早かと思われる。利用者は、同社が反省する気持ちがあるかどうか、事故を繰り返したことで社会的制裁を受ける用意があるかどうか、知りたいのだと思う。

 「慣例に従う」スタンスで臨むのなら、事故補償だって同社の誠意や意思はカタチばかりのものだと思われても仕方がないように思うのだが 
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カネがないなら知恵を出せ

2007-08-21 08:49:31 | Book Reviews
『貧乏トヨタの改善実行術』 若松義人・著、だいわ文庫、2007年3月。

 トヨタは製造業であり、同社関連書籍の多くは製造ラインに関するものがほとんどで、必ずしもサービス業にあてはまらないような感じのする章もあるが、組織のありかたという点では首肯させられる部分が多々ある。大メーカーなのだが、どこにでもありそうな景色が目に浮かぶのは、著者の筆力によるところも大きいのか。

 主力製品が海外工場に生産移管されることになり、このままでは赤字転落が必至という企業があった。その企業を再建するために社長としておもむいたVさんが目にしたのは、厳しい経費削減で疲弊した生産現場と、社員の姿だった。

 前任者の方針は「生産規模が縮小に向かう以上、生産現場のあまりお金はかけられない」というものだった。そのため、たとえば工場の環境改善がほとんどなされていない。そのため整理整頓が行き届かず、汚れ放題のありさまだった。それでは改善もできない。生産性は低下する一方だった。また、物流についても、不便を感じながらも予算カットによって手を打てずにいた。

 そこでVさんは社員にこう言った。

 「私は今後、経費を削減しろと言いません。もちろん経費はつねに見直し、ムダを出さないように改善していきます。ですが、ある程度のお金をかけなければならないもの、削ってはいけないものもたくさんあります。ムダを省いて、必要なお金を有効に使う。これからは、この方針でやっていきます」

 こうした方針のもと、たとえば社員研修の支出は決して惜しまなかった。外部研修にも積極的に社員を送り込んだし、コンサルタントにも依頼した。
 「たいしたお金じゃないから、どんどん外に行って知識を吸収しなさい。そして、そこで学んだことを改善に活かしなさい」
 
 Vさんのムダに対する目は厳しい。しかし、「元気が出る仕組み」のための投資は惜しまなかった。
 「人や設備にかけるべきお金まで削って「節約しろ、がんばれ」と言っても、人は動きません。まして、元気なんか出るわけがありません。会社を変えるには、元気が出る環境をつくることが大切です」 (p.66~7)


 若者に手厚く教育をしても、辞めてしまう人もいれば、あまり教育費に多くの予算はとりたくない、極力減らしたいと考える薬局経営者に出会ったことがある。そういう経営者は珍しいのではなく、結構多いのではないか。建前では教育や育成は大事で、十分力を入れているようなことを言うが、予算のつけ方、出席や参加への制約など、やっていることを見れば腹の中が透けて見え、それがいかに口先だけのものであるかはバレてしまう。

 そういう風土がイヤで辞めていく者も多いという。投資に見合う成績を挙げられるかどうか、経営者がそのリターンを気にすると、雰囲気はさらにぎくしゃくしていく。すぐに結果が得られなければ、さらに改善や工夫を重ねて、次からは結果を出せるように、多少の失敗を許すような度量がないのだろう。

 どこまでスタッフを大事にしているか、「人が大事」「人が財産」ということを考えているかどうかも、一番反映している部分だ。
 制約の多いその経営者のところでは、結局、利益は芳しくないらしい。
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失敗は予測できる

2007-08-20 18:58:34 | Book Reviews
『失敗は予測できる』 中尾政之・著、光文社新書、2007年8月。

 エキスポランドのコースター事故に関連して、

 驚くべきことに、この遊園地の遊具はエレベータと同じようにビルの付属物とみなされ、建築基準法の工作物に則って検査されていた。つまり、ジェットコースターは「建築物」とみなされ、動く機械に必要なメンテナンスが不十分だったのである。建築基準法が公布された1950年当時は、遊園地にこのような過激な遊具がなかったのだろう。

 幼稚園の子供が見ても、ジェットコースターはビルよりも電車に似ていると感じるだろう。しかも時速75キロで走るのだから、電車そのものである。それなのに、検査は畑違いのエレベータの検査員や一級建築士がチェックしていたのである。この事故は、金属疲労によるものであることには違いないが、人為的な制度疲労という要因も大きい。  (p.18)


 いくら点検しているといっても、足場や視点をどこに置いているかで、実態は全く異なったものになる好例だろう。本書は、失敗について全く新規なものは(まず)ないと繰り返し述べている。一見異なるような失敗もいくつかのパターンに分類でき、ということは過去の失敗に真摯に向き合い、反省していれば繰り返し起こることは避けられるのではないか、というのだ。

 それにつけても中華航空の炎上はどうなっているのだろう。

 薬局はこれまで「株式会社」として扱われてきた。中には上場しているところもある。しかし、いつも言うように薬局は「医療提供施設」である。どちらに立脚しているかによって、運営の仕方や力の入れ方が大きく異なるのは言うまでもない。

 端的に言えば、利益優先で体制整備を図るのか、患者志向で体制整備が図られるのか、ともいえる。効率優先か、顧客志向か。プロダクトアウトか、マーケットインか。

 リスクマネジメントもそうだろう。すべて違うように見える事例も、原因を考えてみれば類似するものが少なくないだろう。それに気づくことができるか、類似するものとして向き合えるではないか。他人のミスも、自分だって起こしかねないと、取り入れることができるかどうかだろう。

 それに学ばない反省は、反省していないも同様なのかもしれない 
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強い企業は絶えず顧客視点で考える

2007-08-17 08:42:18 | 薬局経営
顧客価値マーケティング入門  強い企業は絶えず顧客視点で考える』 岡本正耿・著、生産性出版、2003年11月。

 物事を考える大前提を根本的に変えるのは、そう簡単ではない。なぜなら、今日の仕事は従来の考え方で行っており、その思考と行動を取りながら、新しい考え方に変えなければならないからである。実際に今日の製品は生産志向で作られているから、何とか無理して押し込み販売をしている。しかし、明日のためには顧客志向で売れるものを作ろうとする。そこで、企業の対応は大きく2つに分かれるようだ。ひとつは、完全に従来の生産志向や事実前提の考え方・やり方を否定する方法である。顧客志向のビジョンを新たに作り、そのビジョン実現の方向にすべてを変革してしまう。このやり方には、勇気と徹底が不可欠だが、成功した例も多く、うまくいく可能性が高い。

 もうひとつのやり方は、基本的な考え方や仕事の仕方は従来と変わらず、表面的には顧客志向を標榜するというものである、実際には思考の前提が変わっていないから、物事は事実前提、内部的には効率追求で物事の話し合いが行われている。しかし、対外的には「お客様本位」と表明されている組織や、あるいは販売部門や顧客サービス部など、顧客と接点の多い部門では顧客志向を何とかしようとする。しかし、設計や生産部門、人事や財務部門が昔のままの効率追求、事実前提のままで考えているから、企業目的の二重構造が起きてしまう。いっていることとやっていることが違う、右手と左手の動きが伴わないのである。

 いまだ生産志向で、無理やりの押し込み販売が通用しないのは当然であるが、この建前としての顧客志向と本音としての生産志向のダブル・スタンダードは企業のなかに随所にロスを生み出す。実際には変革する意思がないのに、無目的に行われている顧客満足度調査、顧客ニーズの有無が不確かなままの大量生産の垂直立ち上げなど、目的のあいまいさが生み出す混乱は企業収益をひどく圧迫している。 (p.14~15)

 薬局は医薬分業率の向上で、量的拡大から質的拡大への転換、単なる薬局から「医療提供施設」への転換、会社から真の薬局への転換、医薬品の供給から安全管理への重心移動、など大きな転換期にある。

 しかしいまだに処方せん獲得のための量的拡大思考で変化を乗り切ろうとしている向きが多々見受けられる。それが無理な出店やM&Aに現れている。

 体質変換、時代の変化への抵抗か。現場には「変われ」と言いつつ、自分たちは変化しない上層部の問題。トップから本気を見せなきゃ、二重構造が顕著になるだけだ。事態の悪化はますます深刻になる。

 一気に、全面的に転換を図る。しかし変わりたくないトップ層は、自らに英断を下せない。対外的に、社会的に、その地位にい続けることが許されないきっかけや引き金が起こらなければ、自浄作用は働かない。

 社会がスピード感のある変化をして、ついていけなくなる現実をこれでもかというくらい見せつけられて、さぁどうなるだろうか。
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「白い恋人」の復活はあるか?

2007-08-16 14:47:57 | よくわからないこと
<石屋製菓>大きく傷ついたブランド 不祥事は幹部が主導 毎日新聞 2007.8.15 より

 「白い恋人」のブランドが大きく傷ついた――。14日明らかになった石屋製菓(札幌市西区)の賞味期限改ざんなどの不祥事は同社幹部が主導していた。石水勲社長は「改ざんなど一番嫌いなこと。規範意識が欠如していた」と語気を強めたが、失われた信頼回復の道は遠い。

 改ざんなどを主導したのは取締役の伊藤道行統括部長。同夜の会見で伊藤統括部長は「申し訳ないとしかいえない。(当時の記憶は)薄れている」と言葉少な。バウムクーヘンから黄色ブドウ球菌が検出されたのに出荷したことや、アイスクリーム商品「ミルキーロッキー」から自主検査の時点で大腸菌群が見つかったのにもかかわらず出荷を止めなかった理由について具体的な言及はなかった。

 「白い恋人」の賞味期限は4カ月だが、石水社長は「包装技術の進歩で約半年は味も変わらない」と説明。安全面も問題がなく、このことは社内で常識になっていたといい、返品商品の賞味期限改ざん・再出荷の遠因になったとしている。


「石屋製菓」返品処理で期限改ざん…課長提案、部長が容認 読売新聞 2007.8.16 より

 チョコレート菓子「白い恋人」の賞味期限偽装などが発覚した北海道の大手菓子メーカー「石屋製菓」(本社・札幌市)の石水勲社長(63)は15日、札幌市内で記者会見し、偽装の詳しい経緯を明らかにした。

 それによると、偽装が話し合われたのは4月24日。担当課長から、伊藤道行・取締役統括部長(57)に「30周年記念の『白い恋人』に予想以上の返品が出そうだ」と報告があり、「賞味期限をずらしましょうか」と提案されたという。

 伊藤部長は「日付を替えるのは良くない。工場併設のテーマパークの入館者に配ったり、3個詰めの小売りにしたりするなど、ほかの手法はないのか」と難色を示したが、返品数が多く、結局、偽装を認めた。


期限改ざん常態化 社長も事実把握 「白い恋人」96年から 石屋製菓 北海道新聞 2007.8.16 より

 石屋製菓(札幌市西区宮の沢)の石水勲社長は十六日、札幌市内で記者会見し、「白い恋人」の賞味期限を一-二カ月延ばす改ざん行為を一九九六年から十年以上、行っていたことを明らかにした。石水社長自身もこの改ざん事実を知っていた。「白い恋人」の賞味期限改ざんが会社ぐるみで、常態化していたことが分かった。

 札幌市保健所はこうした行為について、十五日の立ち入り検査で「不適切だ」と指導した。十四日に三十周年記念商品の一部で改ざんが発覚した際に、石水社長は「改ざんは三十周年限定商品の四千三百二十八箱だけ。ほかの白い恋人には存在しない」と断言。虚偽の説明をしていたことになり、経営責任が問われることは必至だ。

 北海道を代表する菓子メーカーの不祥事は「事実隠匿」から「虚偽説明」、「改ざん常態化」と一気に拡大した。

 石水社長は「私も(延長していたことを)知っていた。大変申し訳ない。創業の精神に立ち返りたい」と、あらためて陳謝した。
 

 食品業界の不祥事について、不二家やミートホープ、ニチレイ、雪印等の悪しき前例を知らなかったはずはない。多くの会社はそれを見て自社の再点検をしたであろうに。
 「魔がさした」のはなぜだろう。しかもこのような期に。雪も融け、これから北海道にとって最良のシーズンを迎えるという時期において。

 自主的とはいえ、「4日間の業務停止」というのはいただけない。反省と安全確認を行って業務再開をするまでに「4日間」というのは、あまりにも短すぎる。甘さの一端が残っていることを窺わせた。

 土産物屋も混乱しているというが、今がチャンスと思わないライバル会社はいないだろう。新製品も次々と出ている。

 TVでは内部告発があったというが、その勇気には一縷の望みを期待したい。今後も続いて欲しいのは「白い恋人」ではなく、そういった真っ当な倫理観が生きる社会だ。


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よくわかるCSのすすめ方

2007-08-16 08:15:13 | Book Reviews
『改訂版 よくわかるCSのすすめ方』 武田哲男・著、日本能率協会マネジメントセンター・発行、2005年9月。

 トップが熱心でないと成功しない

 CSは企業の中核に位置する経営理念であり、戦略であり、手法である。
 したがって、トップならびにトップ層が一番の理解者であり、何よりも熱心に推進する牽引者の役割を担っていることが当然の姿なのである。
 とはいいながら実態は必ずしもそのようになっているとは思えない。
 経済の低迷期ほど実は顧客に支持されなければならないのに、目先のノルマに追われ、セルイン(押し込み販売)タイプの精神論による強引な売り込みに終始し、それが顧客の反発を買い、顧客の離脱化を招くといった悪循環により業績を落とし続けている企業が目立つのである。
 顧客をないがしろにした結果としてのツケが回ってくる悪循環の悪魔のサイクルに落ち込んだ姿である。
 だから、売り上げ中心、ノルマ優先、押し込み販売が優先し、大切な顧客に支持される重点的な要素であるサービス分野の諸経費まで、コストダウンの命題のもとに削減していって、サービスの質を落としてしまう。いずれもトップの気持ちの結果としての現れと言えよう。 (p.40)

 これ以上、言う必要もないくらい、経営不振・不調のサービス業の実態、最大の原因を指摘しているのではないか。
 
 「まずは経営が安定しなきゃいけない」などと言う経営者を見ると、大丈夫かと思ってしまう。経営状態がどうでもいいなんて思っている者などいない。顧客の支持なくして、どうやって経営が安定するというのか。

 にもかかわらず「経営」安定などという言葉で、売上げや利益拡大を最優先に掲げ、一方でさも“お金ばかりじゃない”という言い訳か本音のカモフラージュのように他の方針を脇に添える。実は数字しか興味がないクセに、すべては数字のためにあると言わんばかりの活動しかしていないのに・・・。案の定たいした結果は得られていない。この間に、体制がますます疲弊していくのを見るのはつらい。

 こういった経営状態を逆転させるにはどうしたらよいのだろうか。退陣という方法と軌道修正という方法があるが、前者がよいという意見もある。
 石屋製菓だって、「白い恋人」というドル箱商品を抱え、さして経営不振ではないだろうに(実態はわからないけど)、改ざん・隠蔽という手法を使って強引な販売に走ってしまった。まさに「会社は頭から腐る」ようだ。
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そんなことも知らないのか・・・

2007-08-15 08:42:02 | 思いつくまま
 先々月、出張のため羽田から千歳空港までJALホームページでチケットをネット予約した。いつも国内線ドットコムでネット予約していたが、Jクラスが完売だったため、やむなくJALホームページから予約した。

 JALホームページでも同様にネットで手続きすれば、そのまま当日カウンターでチケットを入手できるものだと思っていたら、違うらしい。数日以内に手続きをしないとダメだというのだ。

 それを知らず。浜松町のJALカウンターで当日、“予約していたはずの”チケット購入を申し出ると、既に他の人に販売済みだという。こちらは出張なので、しかも遠方なのでもし乗れないことにでもなればたいへんなことになる。簡単に納得することはできない。

 そこでJALカウンターの女性(名前をここで公表したいくらい!)は、「ANAさんもそうですよ」と呆れ顔。まるでそんなことも知らないのか、アホじゃないの、といった感じの見下し態度。国内線ドットコムのような仕組みじゃないらしいのだ。

 こちらも状況を話す。「初めてのJALホームページからの予約で・・・」「手続き完了のメッセージが出て・・・」。

 できないものはできない、知らない者が悪い。もっとよく勉強して来い。次の人が待っているから、早くしろ。まるでそう“顔に書いてある”かのような目つき。

 「そうでしたか。それはさぞお困りですよね」。これくらい言ってみろと思う。「残念ながら今からではどうしてあげられることもできませんが、それでもできる最善の方法として、こういうものがありますがいかがでしょうか」といった代替案の提示。「次からは、こうするといいですよ」といった次回からトラブルにならないためのアドバイス。これらを申し伝えるべきではないのか。

 JAL内紛の余波か。教育も行き届かない、質の低いカウンター担当者が生まれてしまったのか。こういった対応は、顧客が我慢するというよりも、いっぺんで次から利用しなくなるきっかけとなるものだ。他山の石ならぬ、巨大岩のように感じた 
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「不祥事」を止めるISO思考

2007-08-14 12:53:52 | ISO9001奥が深いか浅いのか
『「不祥事」を止めるISO思考』 有賀正彦・著、光文社、2007年。

 アイフルの営業停止を例に、

 業者としての社会的意義と貸付を望む側(顧客)の心理メカニズムを強く認識し、どういった相手に、どういった方法で貸したり取り立てたりするべきなのかを徹底的に管理しなければ、「成果主義」による負の相乗効果を生むのは目に見えている。

 社員に対し、
(1)自らの持つ業務や意義や価値をどのように認識させて
(2)順法性を担保した上で目標達成のためにどのような役割を期待し
(3)どのように行動させるべきか

 以上をどのように管理していたのだろうか。大手上場企業であることから、社内ルールや規範はそれなりに決められているのではないかと思うが、それが機能していなかった。

 つまり、日常の業務管理や業務監視、内部鑑査などがそれぞれ機能していなかったことになる。業務監視、内部鑑査が機能していれば、少なくとも金融庁の行政処分より前に自社で内部統制が発揮されたはずである。 (p.96-7)

 
 消費者金融業という職業について、社会の中での活動意義をどう考えていたのかが足りなかったというか、欠けていたためにノルマを課して数字を追い、強引な取り立てに走るような運営方法になってしまったのではないか。

 社会における自分たちの活動を、どこに足場を置いて進めるかをないがしろにしていたのではないかと思われる。それがあるとないとでは、同じ消費者金融業を営むにしても、やりかたも進めかたも大きく違ったものとなろう。それは結果として、社会の中で必要とされるか、ダーティなイメージになるかも大きく異なる。

 それについて、社内体制を整備するのに効果的なのがISO9001だ。いびつな運営システムが出来上がっていないか、社会に受け入れられる体制となっているか。それらを客観的に見つめることを忘れて自らの行動だけをひたすら追い求めていくと、知らず知らずのうちに社内体制が歪められていく。転落していく瞬間は、社外からとくに指摘されるものでもないし、介入されるようなものでない。腐敗して初めて気がつくようなことになってしまうのだろう。

 しかし、そこに行くまえに防ぐ手立てはないのだろうか 
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業界推薦の候補に投票するということ

2007-08-02 09:13:21 | よくわからないこと
 薬業界が最も頼りにしていた参議院議員が落選した。目標数には足りなかったが、前回選挙より得票数が伸びていたことがせめてもの救いだったと、敗戦談を語っている。

 郵政民営化の是非が問われた一昨年の衆議院議員選挙で、小泉政権が大勝した。当の本人たちも驚くほどのチルドレンが誕生した。しかし郵政民営化に賛同しても、与党の他の法案、議案まで賛同したわけではない。それを危惧して郵政民営化だけで投票してはいけないと注意する声もあったが、小泉首相の絶叫の前にかき消されてしまった。案の定、それは数の論理となって、強行採決を平気で行い、周りをなぎ倒すかのように次々と不穏な空気を生み出していく。

 業界の候補が、業界のために頑張ってくれるのは感謝もするし期待もする。しかし、全く別の分野では民意を裏切るほうに回ってしまう。そのもどかしさ、やりきれなさ。
 業界のために頑張ってくれているとは思うが、診療報酬・調剤報酬は悪化の一途だ。医療費削減はゼッタイとばかり、厚労官僚は医療現場がどうなろうと、できなきゃフィーを切るだけだと明言する。期待しても光すら見えないのに、果たして貴重な一票を投じるには勇気がいった人も少なくないのではないか。

 議員を失ってこれからは叩かれる一方となり、加速的に環境は悪化するかもしれない。それも困るが、国の将来や生活といった業界とは別の他の分野での暴走も看過できない。業界の将来を憂える人たちは、自分の地位や生活等において、一般よりレベルの高いところにいる人、不安の少ない人たちではないか。
 選挙の争点や関心は一つではなく、その強弱、優先順位もさまざまである。業界の現状すら改善されて来なかったというのに、今後もその候補に業界以外の案件まで託し続けるということに考えてしまう。
 
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