何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

すごい通知、生保受給者に後発品を強制

2008-04-30 22:28:34 | くすり雑感
ジェネリック医薬品:使用指示問題 「手当打ち切り」撤回、都道府県に厚労省通知 毎日新聞 2008年4月30日 東京夕刊

生活保護受給者は安価なジェネリック(後発)医薬品を使うよう、厚生労働省が自治体に指導を指示していた問題で、厚労省は30日午後、従わない場合の手当打ち切りなどの対応を撤回する通知を都道府県などに出す。舛添要一厚労相が閣議後会見で明らかにした。

後発医薬品の普及は、国が医療費削減策の一環として取り組んでおり、厚労省は今月1日付で▽先発薬を使い続ける生活保護受給者には口頭や文書で指導する▽指導に従わなければ保護の一時停止や打ち切りを検討する--などの通知を出した。これに対し「患者の選択権を奪う」との批判が上がった。

新たな通知は、後発品は国民全員で使用を進めていくとの趣旨を受給者に説明するとし、強制措置の検討は盛り込まない。舛添厚労相は通知について「役人言葉で書かれており国民の目線に立っていなかった」と不備を認めた。

 役人言葉で書かれており、国民の目線に立っていないというが、言葉遣いの問題ではないのではにか。言葉遣いが流暢でなくても、がぎこちなかろうと構わない。伝えようとする内容、意図する内容に理解が得られなかった、と反省しtもらいたかった。こういう言い回しで本質部分の非を認めないのは、厚労省の体質なのか。C型肝炎患者のリストが地下倉庫で見つかったときに、保管の仕方を反省にしたのと同様だ。

 生活保護受給者であれば、健康問題に意見を求める必要がないのか。強制的にジェネリックを使わせようとし、それが受け入れられないようであれば処分するとした、一方的なやり方をさも当然だとして、平気で通知化してしまうところに違和感を通り越したものを感じる。

 それにしても、4月1日の厚生労働省社会・援護局保護課長通知(社援保発第0401002号)の中身はスゴイ。

基本原則  調剤の給付の決定を行う際には、処方医が医学的な理由があると判断した場合を除き、福祉事務所が被保護者に対して、後発医薬品を選択するよう求めることとする。

 協力や理解を求めるのではなく、そうすることを受け入れろと言わんばかりである。ちなみに、薬剤師が後発医薬品への変更を慎重に進める余地も残されていない。処方医の判断がすべてとしているのも“いいかげんにしろ”と言いたくなる。

(5)改善状況の確認  改善が図られていない場合には、必要に応じ、文書により指導又は指示を行うこと。指導指示後、正当な理由無く先発医薬品を使用を継続している場合には、所定の手続きを経た上で、法第62条第4項に基づく保護の変更、停止又は廃止を検討すること。

 指導そして指示だ。理解を求めるでもなければ、十分説明するわけでもない。誰が「改善が図られていない」と判断するのか。どこまで生保受給者の心情を組みとってあげようとしているのか。

 ここで驚いていてはいけない。生保受給者向けのチラシの文言に驚愕する。

生活保護を受けている方は、後発医薬品が使用できる場合には、後発医薬品を使っていただくことになります。

○同じ効き目・安全性で値段が安いため、生活保護制度では、基本的に後発医薬品を使っていただくことになります。そのため、いままで使っていたお薬を変えていただく場合があります。

○お薬や症状などによって、後発医薬品が使えない場合があるので、お医者さんや薬剤師さんに、後発医薬品が使えるかどうか相談しましょう。後発医薬品が使える場合は、後発医薬品を選んでください。

○後発医薬品が使えるのに、先発医薬品を使っていた場合、福祉事務所から指導される場合があります。

 「使っていただくことになります」とは!、そんなに強行したいのなら、厚生労働省の職員や家族から、率先して取り組んでみたらどうだろうか。使わなかったら、何らかの処分を検討する、としてみたらどうだろうか。

 なぜ、強引に進めるのか。人の気持ちがわからないのだろうか。生活保護受給者は、それすら述べる権限を持たない存在だというのか。一方的に進めるのだとしたら、まさに人権無視ではないか。

 改訂された通知(社援保発第0430001号、平成20年4月30日)では、かなりトーンダウンしている。パンフレットでは、

○お医者さんや薬剤師さんの説明にご納得いただけた場合には、後発医薬品を使うことにご協力ください。

 となった。与党の支持率低下、衆議院解散総選挙を睨んで、年金や後期高齢者医療制度等とともに、これ以上、厚労省絡みの争点ができるのを回避したのかもしれない。
 ジェネリックが進まなければ、この反動というか、仇打ちとばかり、薬局に矛先を向けてきそうで、それまた先が思いやられそうなところだ。
Comments (2)
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部下の「やる気」は上司で決まる

2008-04-29 13:50:31 | Book Reviews
前段に引き続いて)

p.134-6 仕事の意味づけは「抽象のはしご」で。例えば求人広告営業に対して、広告を掲載する仕事<社会に紹介する仕事<人材を通じて企業成長を手伝う仕事<転職者の選択肢を広げる仕事、というふうに。
 上のレベルで言われたら、魅力あふれる仕事、使命感にあふれた仕事となる。

p.170 マネジャーの言動の背景にある動機が、部下に納得できるかどうか。
 「自分の部隊を強くすることで、上司が出世できるかどうか決まるために、俺にいろいろと言ってきているんだろう」と感じた場合は、絶対に人は動かない。「自分の出世の道具ぐらいにしか、部下を思っていないんだろう」としか考えない。動機に不純なものを感じとったら、上司を信頼しなくなる。

p.172 メンバーを活性化するには、日々のコミュニケーションを通じて、本人の「やりたいこと」を把握し、本人に「やるべきこと」を理解させ、本人の「やれること」を見極め、本人に「伝えてあげる」ことであり、もう一つは、「やる気」を高める機会を創り出してあげること。
 まず第一に、さまざまな意思決定の場面に参加できる機会である。

p.186-7 企業は、顧客満足を実現しなければ、熾烈な競争を生き残っていくことはできない。
 これまで企業は、従業員のモチベーションの問題を真剣に考えては来なかった。人材の流動化が進んでいる昨今では、「働く場」としての「従業員満足度」が問われる時代に入っている。

 成果主義の導入は、かえって従業員のモチベーション・ダウンを招いている。
 成果主義を強めれば強めるほど、職場の雰囲気がギスギスしたものになり、セクショナリズムが横行していく。そして、職場全体が「行き過ぎた個人主義」と「機械的人間」の蔓延する場に変質してしまう。

p.190 人事の世界では、T字型人間が求められるようになっている。それは、マネジメントもできて、専門性も深いという人間になれと言っている。
 大事なのは、職場全体でT字型になること。
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部下の「やる気」は上司で決まる

2008-04-29 12:49:35 | Book Reviews
「部下の「やる気」は上司で決まる モチベーション・クリエーターが企業の命運を握る 小笹芳央・著、実業之日本社、2001年12月15日

p.11 企業で行われているビジネスモデルがなぜうまくいかないか。実行する側の従業員に、「お客様にもっといいサービスを提供して喜ばれたい」おお客様の期待にもっと迅速に応えたい」「自分自身のパフォーマンスを高めたい」「会社がいい商品を開発できるように現場からいいアイデアを打ち出したい」というようなモチベーションが与えられていないから。
 これなくして、効率化による高コスト体質からの脱却や、新しい分野への進出をトップダウンで実行しようとしても、一向に成果に結びつかない。

p.12 ビジネスモデルを実際に遂行し、それを実効性のあるものに仕立てていくのは、従業員であることが忘れ去られている。顧客接点を担う従業員の「モチベーション」こそが企業の命運を握る最も重要なファクターである。

p.14 「やる気」とは「ワーク・モチベーション」のことで、「お客様の要望に応えたい」、「自分の個性を発揮したい」、「自分の市場価値を高めたい」といった「前向きな意欲」である。

p.18 企業が競争して生き残っていくためには、顧客との接点を担う従業員に、いかに「顧客に対して貢献したい」とか「自社の強みをもっと明確に築きたい」、「顧客との問題解決を通じて、もっと自分自身を高めていきたい」というモチベーションを持たせるかが、最大の課題である。

p.20 顧客蔑視、顧客軽視、会社の都合を押し付けることに、若い従業員たちは辟易とし始めている。

p.26 モチベーションの高い企業というのは、「あの人の下ならやる気が出る」とか「あの人の一言で目が覚めた」とか「あの人がいる限り、僕はこの会社で頑張ろう。あの人に認められたい」というマネジャーがいる会社なのです。

p.28 「ソリューション(顧客の問題解決)」は、顧客との設置面=接点の面積を増やさなければ実現できないことである。
 組織の「フラット」化というのは、企業が顧客との設置面を増やしたい、そのために管理職に対して「もう管理するだけの人材は不要だ。もう一度現場に下りて、直接顧客を担当しなさい」と言うこと。

p.44-5 人材流動化の時代にあって、企業は成長していく人材を確保し続けなければならない。ところが、採った人間は逃げないという前提のもとに、「こうしろ、ああしろ」という押しつけ方でマネジメントが行われている。部下に対して常に採用活動をするかのごとく接していかなければならない。

p.61 若手社員は直感的に「違うな」と思ったら、もう話を聞かなくなる。
 「この上司を通じて技術を学びたい」、「働くことの意義を感じたい」、「この上司についていけば自分にスキルがつく」「もっとこうしろと教えてくれれば、自分の成果が期待できるのに」ということを期待している。

p.63 部下のモチベーションを下げる上司。イソップの「北風と太陽」に出てくる北風的な上司は、部下の恐怖心をあおる。「言うことを聞かないとこうなるぞ」とか「給料が下がるぞ」とやる。このアプローチは、部下のあきらめ(や反発)を呼ぶ。
 権限で人は動くと思っている上司、「自分がやっと手にいれた権限」と思って上司ほど陥りがちである。
こういう上司ほど、部下のモチベーションの閉塞を生んでいる。

p.88-9 ルールを細かく決めすぎてしまうと、逆に非効率になる。人間がルールに縛られてしまい、すべてルールに従わざるを得ないという形になっていく。
 ルール作りはある程度のところで止めておき、あえて「あいまいな」部分を残しておく。あいまいな部分は、ルールではなくて、マネジャーが部下から信頼されることで補う。

p.93  ある程度のルールは有効であるが、それ以上の行きすぎたルールでは、逆に複雑性が増して、意味のないものになってしまう。ルールである程度まで制御できるものの、残りの部分はマネジャーが、いかにメンバーと信頼関係を築けるかがポイントになる。

p.96 「あの人と仕事をしても、手柄を持っていかれるだけだ」「あと10年、この会社で我慢しても、自分があんなふうになると思ったら、ぞっとする」「顔を合わせれば、数字の話ばかりでやる気を失ってしまう」「自分の出世の道具に使われるだけなので、やる気がしない」「過去の経験ばかり語られるので、うんざりしてしまう」・・・・・、「モチベーション・ブレーカー」。

p.106 「やりたいこと」と「やるべきこと」「やれること」の3つの輪が重なっていることに対しては、何のストレスも感じることなく、そのことに取り組むことができる。

p.126 目標設定の技術で言うと、7割前後の人間が達成できる水準に目標を設定するのがコツ。

続く
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生活保護者は「ジェネリック」を

2008-04-29 10:15:11 | くすり雑感
ジェネリック使わないと生活保護ダメ 厚労省通知 朝日新聞 2008.4.29

生活保護を受けている人に価格の安い後発医薬品(ジェネリック)を使わせるため、先発品を使い続ける場合は保護の停止を検討するよう、厚生労働省が各都道府県への通知で求めていたことが明らかになった。しかし、批判を受けて厚労省は28日、通知を撤回する方向で検討に入った。

厚労省は医療費の抑制のため、後発品の使用を促進している。今月1日付の通知で、「(生活保護の)受給者は医療費の自己負担がないため、後発品を選択するインセンティブが働きにくい」と指摘。医薬品の使用状況を調べ、正当な理由なく価格の高い先発品を使い、後発品への変更指示に従わなかった場合は「保護の停止または廃止を検討する」としている。

舛添厚労相は28日の参院決算委で「とにかく生活保護の方、後発品にしなさい、ととれる文章使いがあった。書き換えさせている」と表明。厚労省は通知を撤回し、受給者にも先発品の使用を認める通知を出し直す方向だ。

 文章の表現が不適切で誤解を招くとしているが、厚労省の文書ほど上手に、ときに巧妙に、用意周到に作られているものではない。有無を言わさずジェネリックに変えさせるという本音があり、強硬に、強制的にするものではない、そう受け取られるのは本意ではないと言いたいのだろうが、事実上の強硬、強制にほかならない。

 医療機関や薬局に対しても使用促進策の実施に協力を依頼。さらに、実際に受給者が後発品を使っているかチェックする体制も整えた。まず、福祉事務所が受給者のレセプトから、慢性疾患などで継続して先発品を使用している受給者を抽出。薬局に依頼して処方せんのコピーを送ってもらい、医師が後発品への「変更不可」としていたかどうか調べる。薬局にはコピーを送る際、後発品への対応が可能だったかを記載してもらう。これらのチェックで、受給者が理由なく後発品を避けているケースを見つけ、後発品を使うよう再度指導する。

政府は後発品の使用促進により、08年度予算で220億円の国庫負担削減をめざす。ただ、医療扶助の受給者は国民の1%程度(126万人)のため、保護課は「財政効果は限定的だろう。むしろ、低所得者が経済的理由で後発品を使わざるを得ない一方で、生活保護受給者がタダだからと先発品を選ぶことはおかしい」と制度的矛盾の是正を取り組み理由に挙げている。 以上、RISFAX 2008.4.25

 最低限度の保障をしているものの、低所得者層ではやむをえずジェネリックを使用していれば、生活保護者は無条件にジェネリックにするべきだ、という。
 
 国の財政的負担、医療費削減のもとには、国民の健康的な生活に影響が及ぶこともやむをえないとする考えは後期高齢者医療制度でも見られる。

 つい先頃まで先発品を使ってきたのに、問題がないから突然ジェネリックにしろと言われても、受け入れるにはそのための時間も必要だ。健康への影響はもちろん、個人の意思や権利にまで踏み込むやりかたは理解が得られないだろう。生活保護者であれば、医療以外でも国のいいなりの生活をしなさい、という論理で次々と生活に制約を課せられかねないという恐怖感もあるのではないだろうか。

 小児でも医療費助成を受けている世帯がある。難病に対する公費助成も含まれるのかもしれないが、生保でこの考え方を適用できれば、今後そういうところにも同様の圧力が及ぶ可能性はないとはいえないだろう。

 ジェネリックに変更しないと生保を停止または廃止させるというのはまさに脅し。理解を求めるにあたり、ジェネリックに変更して浮いた医療費の一部を生活保護者に還元するといったインセンティブを設けるのはどうだろうか。事務処理費を考えると、かえって高くついてしまうのだろうか。

 それにしてもこのくらいジェネリックの使用促進は躍起になって行われていることは改めてわかった。ジェネリックの使用促進に寄与できない薬局や薬剤師は、保険では面倒をみない、免許をはく奪されても仕方ない、とも言われている。国民の健康を守れないからではない。健康を守ることを前提に、ジェネリックの使用促進を支援してもらいたいと思う。
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口コミ伝染病

2008-04-27 22:55:48 | 薬局経営
お客がお客を連れてくる実践プログラム 口コミ伝染病」 神田昌典・著、フォレスト出版、2001年3月10日

p.20 勝ち組と負け組みには、はっきりとした差がある。その差とは何か?
 勝ち組は、変化を楽しむことができるのだ。過去のルールや、成功体験を捨て去るいさぎよさを持っている。
 一方、負け組は、いままでの成功体験にしがみつき、過去の延長で競争をしている。これでは頑張れば頑張るほど、体力を消耗させる。

 そう言えば確かに、それだけは絶対間違いない考えだと信じて、すべてそれを根底にしようとする経営者がいる。それがロクな結果になっていないにもかかわらず、それをしないと心の拠り所を失ってしまうというか、過去を自己否定するかのようになってしまうと考えているようだ。

p.43-4 成長期には、品揃え重視のほうが売上が上がる。しかし成熟期に入ると、成長している商品だけに絞り込んで専門家していったほうが、お客からの反応がとれる。
 「販売する商品を絞り込んで欲しい」と言っているわけではない。広告する商品を絞り込んで欲しいのだ。

 ジェネリックは、薬局において今、集中して売り込むサービスのようだ。

p.48 何年も前のお客への対応が、成約率に大きく影響する。
 成長期には、好調なときほど、次の次期に向かって準備を開始しなければならない。なぜなら、好調なときも、必ず数年で終わりがくるからだ。その成長がかげったときに、「新規、新規」と新しい客を追い求めるのは、いばらの道を選択するということになる。

 日頃の患者サービスを十分できないまま、“それなりにやった”ことにして、言われたことを指示に従って動く。それではその薬局を「かかりつけ」になどしないことは当たり前のことだ。制度や仕組みが変わって、働きかけようとしても、そう簡単には向いてくれないだろう。

p.52 「顧客満足を高めることにより、口コミは起こる」「商品品質を良くすれば、口コミは起こる」これらは誤りである。

 うーん、このような考えかたでは口コミになりにくいとは! あまりにも建前で、容易すぎる考え方だったか・・・。

p.58 サービスが悪いからクレームになるのではない。期待が高いから、クレームになるのだ。

p.66 ビジネスの常識では、3対33の法則というものがあり、満足な場合は3人にしか話さないが、不満な場合は33人に話すといわれている。簡単に言えば「悪い噂は、いい噂よりも10倍早く伝わる」ということだ。

p.73 顧客満足度調査と、お客様の声を聞くこととは根本的に目的が違う。満足度調査は、あくまでも客観的な調査が目的。お客様の声を集めるのは、お客とのコミュニケーションを取るのが目的である。

p.73-5 会社でのアンケート調査、最後に、「ご意見・ご批判があれば、ご自由にご記入ください」となっている。これは致命的な間違い。
 否定的な意見ばかり、毎日聞かされると、社員は、会社の商品について、自信を持てなくなる。
 逆に、お客から喜びの声を積極的に集めると、どうなるか? クレームの数に比較して、感謝の声は数倍多く入ってくる。すると、社員は、クレームに対して、自信を持って対応できる。「これだけの満足の声があるんだから、このクレームは解決可能だわ」と建設的に取り組めるようになるのだ。

 顧客から不満を集めて、改善につなげようとするのも、毎回、ダメなところを聞かされていると、やる気もなくなってしまうだろう。真面目すぎたか。顔色をうかがう意識が強すぎたか。

p.107 良い商品を開発するには、必ず苦労話がある。その苦労話を語ればいいのである。
 商品のスペック・仕様には、人は感動しない(オタク以外には)。

p.124 お客の持つ「裏の欲求」を理解されると、お客は「私のことを、分かってくれる」と共感することになる。
 「一体、お客は、どんなことにも夜も眠れないほど、怒りや不安を感じているか?」
 「一体、お客は、どんなことに抑えきれない喜びを感じているか?」
 このように、お客を理解しようと、ほんのちょっとの努力をするだけでいい。それで、共感が生まれる。お客の立場に立って考えよう、という標語は唱えるが、そのための具体的な質問ができない。

 「顧客のため」ということは「顧客の立場になる」ということ考えていたが、「共感」を得ることだと、さらに一歩開かれたようだ。それにしても「共感」とは!

p.127 お客をヒーローにするのである。ヒーローになったお客は、しゃべりたい。しゃべらないとガマンできない。禁断症状に陥る。
 ヒーローになったお客がしゃべるだけではない。それは、友達の話題になる。友達の噂ほど楽しいものはない。だから口コミになりやすい。

p.141-2 「一流の商品を、一流のサービスで、そして一流のお客様へ」を店のコンセプトにした。つまり「値段だけの安物買いをしたい方は、どうぞ量販店にいってください」ということだ。
 潔く対象外のお客を手放したとき、お客の姿勢が見えるようになる。そして、その姿勢に共感するお客が集まる。そこで、一流のお客のコミュニティが形成しはじめられるのである。

 これに似て、情報提供や服薬指導を“売り物”にして、モノとしての薬だけを早くもらえば薬局に用はない、という考えの薬局があった。そこの薬局は次第に客層が変わった。初めてくる患者は、最初は戸惑いを感じることもあったが、薬局の想いに共感すると、いい関係ができ、患者も増えていったという。その薬局のコンセプトが、理解されたのだろう。
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お薬手帳を使いこなそう

2008-04-25 23:29:17 | くすり雑感
 お薬手帳を適切に使えていない薬剤師が少なくない。

 シールを貼って渡しているだけ。たいして説明もしない。これがあると、お医者さんや他の薬局で見せれば何を飲んでいるかわかるので、飲み合わせやムダなお薬の処方が避けられますよ、などと勧誘して交付を開始する。しかし、その後は貼って渡すことができれば、それ以上介入しない薬局が多い。

 自分も使えよ、と思う。

 患者さんにも見せながら、「いつもと同じ薬ですね」、「今日は新しいお薬が出されていますね」とか、「先週、○○医院におかかりになって、5日分のお薬をもらわれたのですね」などときっかけをつくりながら、相互作用や重複投与に関する服薬指導をすればいいのだ。
 
 そこで「このお薬だったら、一緒に飲んでも大丈夫ですよ」、「一緒に飲まれてもいいですが、眠気が前より強く感じるようなことはないですか?」、「一緒に飲むにあたり、何か注意事項をお聞きになられていますか?」と、併用に関する注意をする、すなわち安全使用の姿勢を見せればいいのだと思う。

 他の医療機関に受診したら(あるいは違う薬局で薬をもらうと時も)、しっかり見せるようアドバイスするのもいい。
 服用期間中に気づいたことがあったら、追記していってもらうよう勧めるてもよい。

 使い方に堅苦しい決まりなどないのだから、使えばいいし、使うようきっかけを作ってあげればいいと思うし、使いやすく工夫してあげるのもいいだろう。

 少なくとも、「シールを貼っておきましたからね」程度で閉じて渡してオワリ・・・・・、そういう実情から脱却してもらいたい。ジェネリック使用後のフィードバックや、後記高齢者に対する服薬指導管理料算定を睨むのではなく、メリットを最大限引き出してあげるべきではないか、と思う。
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後期高齢者医療制度、厚労省本音

2008-04-24 22:56:37 | よくわからないこと
<後期高齢者医療制度>終末期の「抑制」重要 厚労省本音 4月24日11時25分配信 毎日新聞

 後期高齢者(長寿)医療制度を担当する厚生労働省の職員が、自ら執筆した解説書の中で、死期の近づいたお年寄りの医療費が非常に高額として終末期医療を「抑制する仕組み」が重要と記していたことが分かった。23日の衆院厚生労働委員会で長妻昭議員(民主)が指摘した。制度導入の本音の一端が浮かんだ形だ。

 解説書を書いたのは高齢者医療企画室長補佐。今年2月刊行の「高齢者の医療の確保に関する法律の解説」(法研)で、75歳以上への医療費が「3日で500万円もかかるケースがある」としたうえで、「後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が1時間でも1分でも生かしてほしいといろいろ治療がされる」「家族の感情から発生した医療費をあまねく若人が負担しなければならないと、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある」などと記述、医療費抑制を訴えている。

 また、補佐は今年1月に金沢市内で開かれた一般向けフォーラムで講演し、独立型の保険とした理由について「医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくことにした」とも発言していた。

 単純に、どこの出費が多いかをもとに、その抑制を図れば後期高齢者医療制度のようなものができるが、問題はこれは国民の生命や健康に関する経費であること。
 予算や医療費の数字を見て、国民のほうを向いていないばかりか、「文化的で健康な生活」のことなど、忘れ去られていたようなものだろう。

 ある問題を見ても、何を基本に(根底に据えて)解決を図ろうとするかどうかで、取りうる行動が全く逆になる。医療費抑制という財源の安定を考えればこういう制度を平気で押しつけるだうし、国民の生活や暮らしを考えれば無駄な支出や税金の使われ方のほうにメスが入るのだと思う。

 まるで利益確保で安全軽視をしてきた企業と同じ発想にも見える。
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仕事の思想

2008-04-24 22:42:50 | Book Reviews
「仕事の思想 なぜ我々は働くのか 田坂広志・著、PHP文庫、2003年9月17日

p.61 「仕事の報酬は、成長である」

p.72-4 「成長の方法」、それは「夢」を語り、「目標」を定めること。夢を語り、目標を定めることが、人間が成長していくための最も大切な方法であり、最高の方法なのです。

p.98-100 成長していくためには、ときおり、自分の姿を映し出す「鏡」を見ることが必要なのです。
 ビジネスマンにとって「成長の鏡」とは、「顧客」です。

p.128 営業担当者のこころのなかにある無意識の「操作主義」は、顧客も無意識に感じてしまいます。敏感に感じてしまいます。
 そして、その結果、顧客はその営業担当者に無意識に反発します。だから、営業担当者が、こちらの立場で「顧客を説得してやろう」「顧客を動かしてやろう」と考えているうちは、顧客は説得されることもなければ、動いてくれることもありません。

p.133 操作主義的な発想で、「顧客を説得しよう」「顧客を動かそう」と考えるのではなく、まず、無条件に、顧客に深く共感する。

p.180 マネジャーが「部下の人生」に責任を持つということは、具体的には、部下としてあずかる人々の、職業人としての成長や人間としての成長を支えるということです。
 「部下の成長」に責任を持ち、それを支えることによって、間接的に「部下の人生」に責任を持つのです。

p.181-2 どうすれば、マネジャーは、「部下の成長」に責任を持ち、それを支えていくことができるのでしょうか。
 マネジャーに求められるものは、自分自身が成長すること。マネジャーが、ひとりの職業人として、ひとりの人間として、どこまでも成長し続けていくkとお。
 もしマネジャーが、どこまでも成長していきたいと願い、どこまでも成長していくことができるならば、部下は、黙っていてもその姿から何かを学んでくれるでしょう。
 そして、「成長するマネジャー」のいる職場には、黙っていても「成長のエネルギー」に満ちた空気が生まれてくるでしょう。「成長の場」とでも呼ぶべきものが生まれてくるでしょう。その「場」こそが、部下の成長を支えるのです。

p.219 工場やメーカーの仕事においては、出荷する製品そのものがひとつの「作品」であることを教えられました。

p.225 我々は、タンポポだ。どこかに飛ばされたら、そこでまた、大きな花を咲かせればよい。

p.240-1 仕事の作品とは何か。
 夢と共感にあふれた「職場の仲間」です。それもまた、仕事を通じて私たちが創りあげていくべき「かけがえのない作品」なのではないでしょうか。

p.259 人生とは、かならずしも描いた夢が実現する世界でないのであれば、夢を描く私たちに問われるものは、「その夢を実現したか」ではなく、「その夢を実現するために、力を尽くして歩んだか」ということなのです。

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非常識な成功法則

2008-04-23 22:37:32 | Book Reviews
「非常識な成功法則」 神田昌典・著、フォレスト出版・発行、2002年6月29日

p.124 「お前が独立してうまくやってきた、最大の秘密を吐け。さもなければ命はない」
 そう、脅されたとすれば、何を挙げるだろうか?
 私は、躊躇せず「はい、テープを聴く習慣です」と答える。

 テープとは、やや意外だ。次善は「講演」かもしれないが、繰り返し聴く効用もあるという。英会話のテープではない。書籍に活字として載らないものも、ニュアンスによる微妙な情報も、テープならではなのだそうだ。
 テープやビデオなどの資材は、一般に高額だ。これまで横目で見て通り過ぎていた部分だ。これから意識しよう。


p.161 どうすれば、(チラシの)紙一枚で、お客が行列となる店を作ることができるのか?
 そのカギは、お客の「感情」。

p.164 「高確率セールス」
 ・セールスの目的は相手を説得することではなく、相手が買う確率が高いかどうかを判断すること。
 ・だから、営業マンは、購入する確率が高いお客にだけ時間を使い、購入する確率が低い客は、さっさと断らなければならない。

 このセンテンスはジェネリックの使用促進にあてはまると直感した。特定の薬剤を使用するよう指示されている以外は、ジェネリックを勧めるように言われているが、はじから勧めているのはたいへんな労力だ。その時点で無理に説得に走らず、あるところまでとして、脈のありそうな人にウエイトを置いて進め、その後時期を見て以前はジェネリックにしり込みをしていた人に再チャレンジすればいいのではないか。


p.186-7 「世の中に役立つこと」「ワクワクすること」というのは、成功者の自壊の言葉としては、とても意味があると思う。つまり「いままで自分は、名声や富が欲しいというエゴを原動力としてやってきた。しかし、それだけじゃだめだ。だから、さらにお金を儲けるためには、人のために尽くそう、楽しむことを覚えよう」ってこと。こういった自分に対するアドバイスを、他人に対しても言っているのだ。

 最大に「非常識」と思われたのは、「お金は後からついてくる」ことの否定だ。といってもその考えの完全否定ではない。まず自身の夢を達成するうえで、一時的なことだ。
 むしろ積極的に利益を上げることに肯定的になることだという。金が入ってくる道すじをしっかり作ることを、忌嫌うことなく、現実的にそれも大いに必要なことだと受け入れようというのだ。
 魂を売ってしまうことではない。キレイごとを言って、良く言えば清貧、実際は単なる貧乏になることを戒めているように思われた。ここを修正することで、また新たな道が開けるものと、開かれて欲しいと期待する。
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薬害C型肝炎 女たちの闘い

2008-04-22 23:26:03 | 薬害は人災だ
「薬害C型肝炎 女たちの闘い―国が屈服した日 岩澤倫彦・フジテレビ調査報道班、小学館文庫

 国を相手に、病身で、何度も跳ね返されながら、ついに勝訴に至るまでを描く。

 副作用ではない。受ける必要のない健康被害なのだから。国や製薬会社が国民の健康を最優先に動いていれば、このようなことは起こり得なかったのだから。
 
 ダメだと諦めつつ、どこまでも挫けそうになる原告たち。それを支える弁護団や家族。
 一方で、呆れるほど自己保身に走る政治家や厚生労働省の官僚たち。誰を守るのか、何を守るのか、はきちがえているとしか思えない。

 医師のカルテがなくて、投与記録が見つからないと諦めかけていたとき、病院薬剤部の手元に投与記録が残っていたことで、息を吹き返す原告。結果的ではあるが、その薬剤師がいたからこそ、勝訴があり、多くの被害者が報われることになったのだろう。

 勝訴は救済の始まりだ。これで薬害C型肝炎がすべて終結したわけではない。これを皮切りに、さらに本質が追及されることを願う。
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訃報に接し

2008-04-21 21:45:57 | 心に残ること
 夕方、突然訃報が送られてきた。少し前から体調を崩しているとは聞いていたが、半年ほど前に会合で会っていたので驚いた。

 F先生は、私が大学を卒業した頃、九州の大学病院でDI室を担当されており、F先生が書かれた文献は何度も繰り返し読んだものだ。“大学病院でDIを担当する人というのは、このくらい優秀でなければならないのか・・・”、誌面で一方的に存じ上げていたものの、実際に初めて会ったのはつい2年ほど前だったと思う。

 雲の上の存在だった人だ。気さくで、明るく、エネルギッシュな人だった。年月を経て、そんな人と集まりで同席することになって、まだ間もなかった。これから話をする機会を増やすことができればと思っていた矢先だった。

 ご実家が遠方であり、通夜も告別式も済んだというから、出向くこともできないものの、きっと祭壇では優しく微笑んでいるに違いない。

 これからも一線で活躍されるとばかり思っていた。ご冥福を祈るしかない。
 F先生、たいへんお世話になりました。どうぞ安らかに。どうぞ見守っていてください。
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老化で遊ぼう

2008-04-21 21:29:30 | 薬害は人災だ
「老化で遊ぼう」東海林さだお・赤瀬川原平、新潮文庫、2008年3月1日
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続ける力

2008-04-20 19:08:58 | Book Reviews
「続ける力  仕事・勉強で成功する王道 伊藤真・著、幻冬社新書、2008年3月30日


p.24 続けるためには強い動機があるだけでは不十分、やるべきことをできりだけ少なくして、退屈さのハードルを下げる必要があるということです。

p.48 「やればできる、必ずできる」と信じることが、ものすごく大きな力になるんだと、初めてその重みを実感したのです。
 「やればできる、必ずできる」とは、裏返せば、「やらなければできない。だから毎日しっかりやれよ」という厳しいメッセージでもあります。

p.52 勉強があくまで将来の夢をかあねるための手段である以上、モチベーションの振幅の幅をできるだけ小さくして、最終的に大きな成果を得る道を選ぶべきです。
 では、モチベーションの下げ幅はどうすれば小さくできるのでしょうか?
 やる気がなかなか湧かないとき、多くの人は「とりあえず簡単にできることを進めておこう」と考えます。
 しかし、これは逆効果です。「簡単なこと」は「退屈なこと」である場合が多いので、かえてモチベーションが下がってしまうおそれがあるからです。

p.57 スランプは、その人が目標に向かってがんばっていることの証明です。「自分の掲げた目標よりも到達点が低い」ということですから、そもそも高い目標を持っていない人、なんらかのレベルまで到達していない人は、スランプに陥りません。
 重要なのは、スランプをなくすことではなく、その期間をできるだけ短くすることです。調子のいいとき悪いときの幅をできるだけ小さくして、大きなスランプに落ち込んでしまう前に気づいて正しく対処する。

p.74 自分の過去を、失敗、挫折としてネガティブに評価してしまうと、次の場所でモチベーションを上げていくのが難しくなります。
 ひとつのことを途中で断念しても、気の持ち方ひとつで、「その経験があったからこそ、いまの自分がある」とポジティブに受けとめることはできるはずです。

p.91 「次につながる失敗」や「そこから何かを得られる失敗」は、本当の失敗ではないのです。

p.102 見直しの際のいちばん大事なポイントは、「いかに遅れを取り戻すか」という発想で計画を修正しないことです。積み残してきた分を消化しようとすると、「いまやっておくべきこと」がどんどん後回しにされてしまうからです。
 積み残してしまったものは後回しにして、時間に余裕ができたときに少しずつ消化するようにする。いったん計画そのものをリセットして、優先順位をつけ直すわけです。

p.108 大事なのは、「毎日メモをつくる」だけでなく、「優先順位をつける」点にあります。
 やることの優先順位をつけると、次に何をしたらいいか迷う時間がなくなります。

p.112 私は、よく受験生に、勉強は「皿回し」だと言います。

p.152-3 私は、迷ったときはいつも、自分がワクワクするほうを選ぶことに決めています。
 二者択一を迫られたときの判断基準として、「よりリスクが小さいほうを選ぶ」という考え方もあります。
 リスクの小さいほうを選ぶという生き方ができないなら、主観的に自分が楽しいほうを選べばいい。そこで私は、「うまくいったときに、よりワクワクするほうはどちらか」で選ぶことにしたのです。

p.158 何か問題が生じて、「イエス」か「ノー」かの決断を迫られたとき、「どちらがより一人ひとりの個人を大切にすることにつながるか?」という基準で判断して答えを出す。
 このモノサシがある限り、世間の価値観がどう揺れ動いても、自分の考えがブレることはありません。

p.164 会社をとりまく環境や時代がどう変わろうとも、「自分たちは何のために事業をしているのか」という根本的な目的意識は変えない。そして、その理念を守るために、変えるべきところを変えていくことは、企業が存続するための絶対的条件ではないでしょうか。

p.168-9 「守るべき本質」はどうやったら見きわめることができるのか。私は、そのために必要なのは、「利他の視線」ではないかと思います。自分がそのことで幸せになれるかではなく、他の人が幸せになれるかどうか。
 私たちは、死ねば自分には何も残らないことを知りながら、よりよい人生を送ろうと一生懸命に努力します。それは、個人の利益を超えたところに、何か大切なものがあると信じているからです。
 自分の利益を超えた大いなる価値とは何か。それは、同時代に生きる、あるいは未来に生きる、自分以外の他の人たちの幸せでしかありません。

p.172 経済的な利益が望めないもの、効率の悪いものを否定する、それが現在の社会で進んでいる「改革」の実体です。弱者が切り捨てられ、貧富の差が拡大しても、経済的にプラスにさえなればよりとされます。そこに「利他」という視線はありません。

p.173 少数者や弱者の人の利益にしかならないこと、経済的な効率性でははかれないことに時間やお金を費やせるのは文明国家の証です。
 一人ひとりが目先の効率性以外のところに価値を見出すことで、その人の人生はとても豊かになります。それは「持続可能な社会」を築いていくうえでも不可欠のことです。

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あなたの薬代が半額になる

2008-04-19 09:51:46 | くすり雑感
「あなたの薬代が半額になる こうしたら買える! 話題のジェネリック医薬品 中野次郎・著、祥伝社・発行、2004年5月10日

 今春からジェネリック医薬品が処方される仕組みが変更になったので、患者側があえて希望しなくてもジェネリック医薬品の調剤が受けられるようになったからよいが、それまでは患者側が医師を“動かす”よう、働きかけなければならなかった。その時のコツを解説しているもの書といえる。

 現在、後発医薬品に対して、消極的な医者や薬局を除けば、そのような心配はない。患者側が望まなければ、処方通りで調剤を受ければよい。

 注意すべきは、特定の医薬品だけ、治療の必要上、どうしても先発医薬品のままにしておきたい、という医者ならよいが、どの医薬品ということなく、ジェネリック医薬品には「変更不可」欄にサインしてくる医者である。またそのサインがあるから、変更できないと言う薬剤師である。

 すべてのジェネリックを一律に否定するのは、生理的に毛嫌いしているようにも思われる。またサインがあっても、薬剤師の視点で問題のないと思われるものは後発品に変更するよう、疑義照会が可能だ。薬局がサインを盾にとって拒否するようなら、薬局を変えることも一法だ。

p.102 イギリスでは、医師が新薬・先発品を処方する場合、「なぜ新薬でなければならないか」という理由をちゃんと書かないと処方できません。当然、よほどのことがない限り、後発品になります。患者さんも、医師に「これは、新薬ですか。なぜ後発品を処方なさらないのですか」と質問できるようになっているのです。

 「最近、いい薬が出たから変えてみましょう」などという医者も要注意だ。メーカーから何らかの要請を受けているか、義理を果たそうとしていることもある。
 仮に、体調が変動したとしても、けっして新薬を使う必要性など、ただちにはない。これまである他の薬ではいけないのか、使用経験の少ない新薬を試さなければならないのか、その説明は重要だ。

 新薬は機械のような新製品とは違うから、使ってみるまで何が出るかわからない。予測不可能な部分をたくさん抱えている。それはいくら臨床試験を経てきたとはいえ、解決できないことである。発売されて1年以内の新薬を使おうとする医者には、十分な説明を求めることを勧める。
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すごい会議

2008-04-19 08:58:56 | 薬害は人災だ
「すごい会議 短期間で会社が劇的に変わる! 大橋禅太郎・著、大和書房・著、2005年6月10日

 到達したい目標を具体的に設定し、そこまでに道筋を構造的に考え、担当者が協力しながら運営を進めていくプロセスを、自らの体験を交えて紹介、解説している。

 単に「こうなりたい」「あのようになりたい」と言っていても始まらず、多角的に要点を挙げて、全体で解決を目指そうとする。経営者が、部門の責任者が集まって物事を進めるうえで、この方法は“使える”と思った。目標を具体化することで、到達度が測れるだけでなく、願いや理想に走りすぎることなく、かといってカンタンに誰がどうやっても達成できるようでなく、確実に前進が図れる程度に設定されるところがよい。

 組織運営の方法だと思うが、個人の成長を計画的に達成するのにも使えるのではないかと閃いて、新卒者の研修にこの論理展開を使ってみた。組織運営と個人目標では、個人目標では取り組みはすべて“自身”でなければならないので、この方法(名前は何というのだろうか・・・)を若干、アレンジしてみた。

 そして、あるスケジュールで小目標をクリアするうえで、「続ける技術」のテクニックもジョイントさせてみた。ワークシートにそれらを連結させて、必要なことを書き込ませ、それは自宅の机の前にでも貼っておいてもらう。チラチラみながら、いつまでに自分がどうなりたいか、を目指して取り組みを“続けて”もらう。ところどころで、ご褒美を出しながら・・・。

 この結果、新人の成長にどれくらい役立つかは未知数だが、自身の成長が、給料とは別にもうひとつの「報酬」になることを期待する。
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