何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

組織が大きく変わる「最高の報酬」

2009-08-25 21:50:15 | Book Reviews
『組織が大きく変わる「最高の報酬」 トータル・リワードを活用した行動科学マネジメント 石田淳・著、日本能率協会マネジメントセンター、2009年8月10日

p.24 単純な成果主義は、結果しか見ずに結果だけで金銭的報酬を与えるものだが、行動科学マネジメントは、行動自体を評価しているのである。ここには「社員は心を持った人間である」という基本的前提がある。
 私たちは、いくつもの行動を起こすことができるし、その行動を繰り返すことも止めてしまうこともできる。それを決定づけるのは、人としていかに報いられているかという思いだろう。

p.27 ひとは「自分を大事に考えてくれている人」のために、高い能力を発揮できるのである。

p.44 「この会社は、私たちが本当に欲しいものを与えてくれるんだ」「この会社は、私たちが本当に欲しいものが何かを考えてくれているんだ」と社員が感じることができたとき、彼らは必ずいい行動を継続してくれる。

p.45 社員にいい仕事を続けてもらうためには、いかにいい「C(結果)」を会社が用意できるかということになる。それを行動科学マネジメントでは「動機づけ条件」と呼んでいる。

p.69 あなたの組織が絶えることなく確実な利益を上げるためには、何が必要なのだろうか。
 ここで、トッププレイヤーを数多く輩出することだと考えると、過ちを犯すことになる。もちろん、トータル・リワードの活用でトッププレイヤーを引き留めておくことは重要だが、それにも増して、残りの人たちの底上げを考えなくてはならない。

p.71-2 起業したことのある人なら、おそらく一度はこう思うことだろう。「パフォーマンスの高い理想の従業員だけで会社を作りたい」
 しかし、これはやってみると不可能に近いことであり、それよりは「いまいるメンバーで全体の業績をいかに上げていくか」を考えるほうが、はるかに現実的で効率的なのだ。

p.79 組織は他人の集まりなので、それぞれ考え方が違うのは当然だ。自分の意に沿わない人がいることに悩むこと自体ナンセンスなのだ。どんなに考え方は違っても、組織のメンバーである限り、業績を上げることができる仲間だと発想転換することだ。

p.89 ピンポイント行動とは、何回な仕事や派手な新規事業のなかにばかりあるのではない。地味なルーチンワークこそ、もっとも成果につながる行動なのである。

p.103 仕事に人をつけるということは、そのときどきで自分に合った仕事のしかたを、従業員が選べるということになる。

p.114 社員たちに業績を上げてほしいのなら、絶望感を学習させないことが重要。

p.133-4 自分が頑張っていることを誰かが見ていてくれて、それを評価してくれる仕組みができあがっていれば、人は誰でもいい行動を繰り返したくなるものだ。

p.137 社員の報われ感を大事にした非金銭的であることが重要だ。私が非金銭的な報酬を積極的に取り入れているのは、それが人間の行動を強化するうえでもっとも効果的だと数々の研究で証明されているからである。

p.152-3 人は、お金をくれるからとか食事ができるからという即物的な報酬があるからでなく、それをすることが楽しいと感じたとき、積極的にいい行動を繰り返してくれる。

p.162 コミュニケーションがうまくとれていない組織では、いい業績を残すことは難しい。

p.172 「やらなくていいこと」とは「やってはいけないこと」とは違うことに注意してほしい。「やってはいけないこと」を細かく指導するリーダーは多いのだが、「やらないでいいこと」を提示できる人は残念ながら少ない。

p.173 組織とは業績を上げるために集められた集団だと、私は何度も述べてきた。そのように割り切った表現をしてきた理由は、ひとえにマネジメントを情緒で考えないでほしいからである。
 私は、部下たちの幸せを考えるなと言っているのではない。ただ、一人ひとりの内面を必要以上に推し量ろうとしたり、自分に服従させようとしたりという感情的な行動に出ると、マネジメントはうまくいかないということを強調したい。

p.205 「ぬるま湯」と「楽しい」は同義ではない。ぬるま湯は、人を弛緩させ望ましい行動を減らしてしまうが、楽しい気持ちは積極的リインフォースとなる。つまり望ましい行動を繰り返させることができるのだ。

p.215 メンバーが個別に顧客開発をするような業種では、下手をすると、間違った個人主義が蔓延してしまう。自分が業績を上げることしか頭になく、他のメンバーを助けることなど損な行動だと考えてしまうのだ。こうした状態でも、トッププレイヤーが成績を上げてくれれば、チームとしては黒字になることもある。だからリーダーとしては危機感を強くしないかもしれない。しかしこれは、トッププレイヤーは自走していても、チームとしては自走していない状態である。
 チームそのものを自走させるためには、トッププレイヤーの仕事を分解してピンポイント行動をメンバーに提示するだけでなく、みんなでその行動をとることが楽しいと感じられる仕組みをつくることも大切だ。

p.220 ポイントは、「クリアできるスモールゴールを明確に提示してなかせ」「それをほめて成功体験を積ませる」ということである。


 本書は業績を上げることを、一般的かつ意図的にいかなる場合も否定されない組織の目標のように掲げている。あえて意図的にそうしているのは、一面でわからなくもないが、薬局において、ストレートに「業績」と考えることはただちに馴染まない。
 果たして薬局において「業績」とは何を指すと考えればよいのだろうか。おそらくそれは、患者からの支持であったり、信頼獲得ではないかと見ている。直截的なものではなく、結果として業績にも反映してくる、国民が医療に求める本質に相当するものではないかと見ている。

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