世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【FRB「長期金利は制御不能、でも利上げするしかない」の苦しさ】米FRB「景気が回復で利上げ」の勘違い③

2017-03-21 00:00:22 | アメリカ

前回からの続き)

 今般、利上げを決定した米FRBの本心は、膨張し過ぎたバブルのガス抜きを金融政策によって行いながら、何とかバブル大崩壊と底なしの(?)資産デフレの発生を回避したい、といったあたりでしょう(?)。でも・・・そんなコントロールがまったくできそうもないくらい、アメリカの資産価額はバカ高くなってしまいました。これが少し下がっただけで米家計の借金負担&含み損、そして金融機関が抱える不良債権は急増するはずです・・・

 先述のとおりアメリカでは、ドナルド・トランプ新政権の減税&インフラ投資政策実行にともなう財政規律悪化への懸念を受けて長期金利が急上昇しています。その影響が早くも(?)実体経済に表れてきました。

 まずは不動産市場。ブルームバーグによれば、1月の米商務省の発表では、昨年12月の新築一戸建て住宅販売戸数は53.6万戸と、前月比の減少率が20137月以降で最悪の10.4%になりました。これはおそらく米大統領選が行われた11月上旬以降に急激に上がった上記長期金利・・・に連動する住宅ローン金利の急騰のためと考えられます。実際、大統領選直前に3.54%だった30年物住宅ローン固定金利は12月最終週に平均4.32%と、20144月以来の高水準に達しました(データはフレディマック[連邦住宅貸付抵当公社])。住宅販売に対する在庫比率は5.8か月、新築住宅在庫は同月末時点で25.9万戸と、それぞれ20159月以来、2009年以来の高いレベルになっています・・・

 つぎに自動車市場。同じくブルームバーグによると、米サブプライム(信用力の低い個人)層の自動車ローンの貸倒率は今年1月に9.1%と、前月8.5%や前年同月7.9%から上昇し、2010年以降で最高に達しました。また、少なくとも60日間は債務が不履行となっているローンの割合は1月時点で5.09%と、前月の5.06%や前年同月の4.66%から上昇しています。こちらも住宅の場合と同様、ローン金利の上昇が米自動車市場に影を落としている様子が窺える結果となっています。

 不動産&自動車マーケットのこうしたネガティブな状況は前述のように長期金利の上昇、つまり金融政策のグリップが利かないところで引き起こされた現象です(今回は米新政権の政策が高めるであろうインフレリスクを映している)。ということは・・・米FRBにはこのあたりに働きかける手がないわけです。たしかに短期金利のほうは政策金利(フェデラルファンドレートなど)の上下である程度の操作はできるけれど、長期金利はそうはいかないということ。そこでジャネット・イエレンFRB議長の現在の胸の内を忖度すると・・・「自らの金融政策で長期金利がどうなるか、そして各種長期ローンさらに実体経済がどのような影響を受けてしまうのか正直、分からない。けれど、米株式市場の熱狂ぶりに表れているとおり、いまのまま超低金利を放置するのはあまりに危険なのは事実。だから、目先は政策金利を引き上げていくしかあるまい・・・」といったあたりでしょう。もっともその「行く末」がどうなるかは・・・さすがのイエレン議長でも読み切れない・・・?

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【短期&長期の金利がじわり... | トップ | 【米住宅価格はこの先も巡航... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アメリカ」カテゴリの最新記事