(前回からの続き)
上のグラフを見れば一目瞭然、わたしたち日本人が安全確実にドル価値=石油購買力を増やすのに有効な手段は、円預金(=日本国債投資)あるいは円のキャッシュをホールドすることになります。そしてその円のリスクヘッジには、前回書いたように(ドル等外貨ではなく)「金」(ゴールド)の所有が推奨されるべきでしょう。このあたり、本ブログのあちこちで書いているように、長期的には実質金利(≒成長の配当)は「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」の順になるところ、円以上にこれをもたらすのは・・・金しかない、というわけです。
というように、理詰めで考えていくと、こうなる、といういつもの結論に至ります。しかし・・・しかし、です。以下に綴る点を考えると、円はその金よりも強くあるべき、なのではないか・・・?
「円が金以上に価値があるべきって?さんざん金の価値を認めておいて、それはないのでは?」たしかにそうなのですが、金は他方で・・・これを持つ者には強奪されるリスクをもたらし、持たざる者には強奪したいというインセンティブを与えるような気がするわけです・・・
大航海時代、中米のアステカ帝国や南米のインカ帝国を滅ぼしたスペインはこれらから大量の金を奪いました。最近ではアメリカが終戦直後のどさくさに紛れて日本やイラクから金を持ち去ったといわれます。「それは昔の話、いまはそんなことにはならないよ」本当にそうでしょうか? かりに近い将来、金本位制が復活して、国家間の決済に金が用いられるようになるとしましょう。おそらく、そのときは日本に多くの金が集まり、いっぽうで現在は国際収支赤字を垂れ流しているアメリカやイギリスなどの国々は金を失います。それは日本が実質的な世界経済の覇権国になることを意味し、いっぽうでアメリカ等はこれまでの特権的地位から転落し、激しいインフレに襲われて、国家国民ともに窮乏化していくことになりかねない・・・。となれば、同じ境遇の仲間と連携して・・・
ということで、米欧(&中?)諸国は一致団結して、力づくで(?)日本には金を持たせまい!とするかも!? 具体的には、上記決済に金の支払いを履行しないとか、「たくさん持っているとアブナイだろ?だから預かってやるよ」などといって事実上、盗っちゃうとか・・・。残念ですが、いまの(って、じつは昔から?)日本政府・日銀は、この手の外国の理不尽な要求等に簡単に屈してしまうように思えてなりません・・・?
「猫に小判」のたとえのとおり、わたしたちの生命維持に必要なのは衣食住を満たすモノやサービスであって、金塊ではありません。原材料を除けば、メイド・イン・ジャパンはこれらのほぼすべてを網羅しているわけです、しかも世界一の品質付きで。であれば、その交換券としての円の価値を維持向上させれば、たとえ金が国際通貨に復帰しても、そしてこれを水面下で(ときに暴力や恐喝等、キタナイ方法で?)奪い合うような世界になっても、やっていける―――円で原油などの原材料を確保できる―――と信じるものです。だからこその「強い円はやはり最大の国益だ」―――本稿のタイトルには、そのような思いが込められています。
(「強い円はやはり最大の国益だ」おわり)
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