(前回からの続き)
こちらの記事等で書いているように、日銀の「異次元緩和」にはアメリカにとっては米FRBの量的緩和策(QE)と同様の効果があると考えています。日本国債を大量に買う(日本側の金利を人為的に引き下げる)ことで日米金利差の拡大を促し、円キャリートレード等を通じた投資家のドル資産購入へのインセンティブを高め、米株式や米国債投資を活発化させることでアメリカの「双子のバブル」(株と債券)のさらなる膨張に貢献する、といったあたりです。
この日銀の意図がハッキリ感じられた(?)のが昨年10月末日の追加緩和の発動。この日、FRBはQE第3フェーズを終了していますから、まさにジャスト・オン・タイム。「FRB様、後はお任せください。市場への低利マネーの供給はわれわれ日銀が引き継ぎます!」といわんばかりです。そのおかげか(?)、米株価は再び騰勢を取り戻し、これまでの7か月間に6%近く上昇しました(S&P500種:1995[2014/10/30]⇒2111[6/1])。こうして追加緩和は結果的にFRBのQEのように作用した(アメリカの株価押し上げと金利上昇抑制に寄与した)わけで、まさに日銀によるQE4(第4弾)といったところです。このあたりが「日米同盟」における日本によるアメリカ支援の本質ですね~(けっして「安保タダ乗り」なんてことはなく、日本はむしろアメリカに払い過ぎているくらい?)。
もっとも、本稿前段で綴ったとおり、すでに昨年9月中旬時点で米株価は十分にバブリーだったから、この上昇分はバブルがますます膨らんだだけ、という見方もできそうです。その意味でこの日銀QEにはアメリカの資産バブル依存からの脱却をいっそう難しくしたという面もありますね。ヤク中患者にさらに麻薬を差し出すみたいな・・・。まあそれこそ―――ジャパンマネーで米バブルを持続不能なレベルにまで巨大化させ、その自壊を促すことで、アメリカ金融帝国を破綻に導くことこそ、「黒(田)魔術」(日銀「異次元緩和」)が真に狙うところなのでしょうが・・・って、違うかな(?)
ことの真偽はともかく、こんなふうに日本はアメリカの金利上昇を食い止める役回りをさせられている、と考えるわけです。つまり、FRBの金融引き締めに呼応するかたちで日銀がアメリカの金利が急に上がったりしないような手を打つ、といったこと。上記QE3終了時の追加緩和がその具体例になります。
ということは・・・次に金利上昇が懸念されるタイミング―――FRBの利上げ決定時も日銀はFRBをサポートしようとするでしょう(?)。それこそ先日、こちらの記事で書いた日銀当座預金の「付利撤廃」だと予想しているのですが、どうなることやら・・・。