(前回からの続き)
28日の東京株式市場は反発し、日経平均は一時2万4286円台と1991年11月以来のレベルに達するなど高値圏を推移し、終値は前日比で約323円高の2万4120円、TOPIXは17.14ポイント高の1817.25で終えました。日米通商交渉直後のこの株価の動きが意味することはマーケットが、「アベノミクス」つまり日銀の現金融政策は米トランプ政権に修正を迫られずにすんだ、と解釈したということなのでしょう。実際、安倍・トランプ両首脳会談は日米物品貿易協定の交渉開始で合意、といった何ともファジーな(?)結末に終わり、日本側が懸念していたアメリカによる輸入日本車等への追加関税措置の発動も、為替操作的な意図を含む上記政策に関するネガティブな言及もなかったようで・・・
株価上昇という上記結果は、アベノミクスの唯一の取り柄(?)「カブノミクス」的には非常にポジティブであり、ゆえに日本政府としてはこのあたりを捉えて日米会談および安倍政権の外交は成功だった、と大いに国民にアピールしたいところです。
反面、外国為替市場では円安が進み、28日の終値は1ドル113.7円と、9か月ぶりの円安ドル高水準になりました。アメリカを含む日本以外のすべての国々では為替と株価は通常、正相関となりますが、わが国は逆相関(株価↑通貨↓)となるのはこちらの記事に書いたとおり。この円安は上記の株高にともなうもので、ようするに外国人投資家の円キャリートレードがもたらしたものであり、本来の日米の実体経済≒ファンダメンタルズの違いを正しく反映したものではありません。ということで日本ではカブノミクス、つまり本稿で述べる金融経済がまたも優先され、株高に必然的にともなう通貨安が原材料高騰を引き起こして実体経済(≒個人消費)がダメージを被る、といった、安倍政権・黒田日銀のもとで、もう何年も続いている構図が生き残る、ということに・・・
おそらく日米両国は、あまり表には出さないという前提で?日本がアメリカ産の武器兵器の類(「防衛装備品」などと耳ざわりの良い?言い方にしている)とかを大量に購入することで対米貿易黒字の削減を図り、その代わりにアメリカは日本からの輸入車に対する関税措置発動を差し控えた、あくまでも今回は・・・といったあたりが真相でしょう(???)。このあたりを示唆するような発言をトランプ大統領も以前からしていますからね。たとえば同氏は、安倍首相が「軍用機など何十億ドルもの追加の物品(billions and billions of dollars of additional products of all kinds- military jets, airliners from Boeing, lots of farm products)を買うと言ってくれた」なんて、6月の日米首脳会議後の会見で語っていますし・・・
もっとも、武器兵器をもっと買え!と日本に強く迫るのも、モノの取引での不均衡を是正したいという意味で、トランプ氏が実体経済重視派であることの表れということもできそうですが・・・?