イージス艦の衝突事故は海自側の説明が二転三転することもあって心証が非常に悪くなっています。それにしても電子機器の塊、多数のターゲットを同時に処理できると言う素晴らしい性能というイメージなのに、水上艦相手は普通のレーダーだけと言うのが本当だとすると「おいおい」という感じです。
今回のようなケースで、もし漁船を装った不審船の類だったら「命中」していたわけです。
爆装したモーターボートで大型艦船に突っ込む、という作戦は他ならぬ日本が大戦末期に特攻兵器「震洋」で実施しているわけで、商船ならいざ知らず、軍艦がぶつかってしまったというのは、「テロ警戒中」の国家の軍隊としてはお粗末でしょう。
さて、海自の不手際などはともかくとして、今回の事故は単に海自を叩けばいいという話ではありません。
野島崎沖というと東京湾に向かう超主要航路であり、航行量が非常に多いことはいうまでもありません。イージス艦はその航路を横須賀に向かっており、漁船の集団は勝浦から伊豆諸島ですから航路に乗ると言うよりは航路を横断する格好でした。
航路は陸路や空路と違い、立体交差というものがありません。ですから主要国道や高速道路に相当する航路であっても総て平面交差になります。瀬戸内海のように沿岸航路が主要航路で、それを本四間などの航路が横断するケースでは、来島海峡などを中心に事故が多いのも、平面交差と言う航路の特性から来るものでしょう。
航路の場合、平面交差で、しかも「交差点」が特定されておらず、信号もありません。ですから各船がルールに従って自己の判断で交差するしかありません。
そのため東京湾など交通輻輳地帯では水先案内人の乗船や先導船が船種によっては要求されるくらいです。
そういう前提を踏まえて今回の事故を考えて見ましょう。
超大型船も航行する航路を横断する時、ルールでは自船優先であったとしても、それを絶対視して相手が避けると言う前提で航行するのはどうなんでしょうか。
特に今回のケースでは、確かに最終的に衝突した漁船を回避するだけならイージス艦が適切な時期に面舵を切っていれば良かった話ですが、実は僚船がイージス艦の右舷、左舷の両側にいたわけです。
早い段階で回頭をしたら、今度は僚船との衝突の危険性が生じるわけで、単純に面舵、取舵を切れば良いとはいえない、そうなると航路上に残る形の直進もあながち間違いではないのです。
そして最後の最後は後退をかけて停止を試みたわけですが、両舷いずれの回避もリスクがある場合、航路を航海中の船舶が、横断する船舶に停止させられる、という結果になるわけです。
今回は8千トンクラスのイージス艦でしたが、数万トン、数十万トンクラスの商船だったらどうでしょう。進路を塞ぐ格好で横断する行為に問題はないのか。日本海海戦で東郷平八郎が採った「T字戦法」はまさにこういう隊形で、進路を抑えられたバルチック艦隊は連合艦隊と並行する形の同航戦に誘導され、壊滅したわけです。
確かに回避義務を負うのはイージス艦であり、その点において責任を免れることはありません。
しかし、航路の進行と横断において、内海の航路について規定している海上交通安全法だと、航路を進行中の船舶の進路を妨害してはならないとあるように、航行量が多い海域では「航路」航行中の船舶優先というルールもあるわけで、同法の適用がないが航行量が多い「航路」に関してのルールの不備が招いた事故ともいえます。
今回のようなケースで、もし漁船を装った不審船の類だったら「命中」していたわけです。
爆装したモーターボートで大型艦船に突っ込む、という作戦は他ならぬ日本が大戦末期に特攻兵器「震洋」で実施しているわけで、商船ならいざ知らず、軍艦がぶつかってしまったというのは、「テロ警戒中」の国家の軍隊としてはお粗末でしょう。
さて、海自の不手際などはともかくとして、今回の事故は単に海自を叩けばいいという話ではありません。
野島崎沖というと東京湾に向かう超主要航路であり、航行量が非常に多いことはいうまでもありません。イージス艦はその航路を横須賀に向かっており、漁船の集団は勝浦から伊豆諸島ですから航路に乗ると言うよりは航路を横断する格好でした。
航路は陸路や空路と違い、立体交差というものがありません。ですから主要国道や高速道路に相当する航路であっても総て平面交差になります。瀬戸内海のように沿岸航路が主要航路で、それを本四間などの航路が横断するケースでは、来島海峡などを中心に事故が多いのも、平面交差と言う航路の特性から来るものでしょう。
航路の場合、平面交差で、しかも「交差点」が特定されておらず、信号もありません。ですから各船がルールに従って自己の判断で交差するしかありません。
そのため東京湾など交通輻輳地帯では水先案内人の乗船や先導船が船種によっては要求されるくらいです。
そういう前提を踏まえて今回の事故を考えて見ましょう。
超大型船も航行する航路を横断する時、ルールでは自船優先であったとしても、それを絶対視して相手が避けると言う前提で航行するのはどうなんでしょうか。
特に今回のケースでは、確かに最終的に衝突した漁船を回避するだけならイージス艦が適切な時期に面舵を切っていれば良かった話ですが、実は僚船がイージス艦の右舷、左舷の両側にいたわけです。
早い段階で回頭をしたら、今度は僚船との衝突の危険性が生じるわけで、単純に面舵、取舵を切れば良いとはいえない、そうなると航路上に残る形の直進もあながち間違いではないのです。
そして最後の最後は後退をかけて停止を試みたわけですが、両舷いずれの回避もリスクがある場合、航路を航海中の船舶が、横断する船舶に停止させられる、という結果になるわけです。
今回は8千トンクラスのイージス艦でしたが、数万トン、数十万トンクラスの商船だったらどうでしょう。進路を塞ぐ格好で横断する行為に問題はないのか。日本海海戦で東郷平八郎が採った「T字戦法」はまさにこういう隊形で、進路を抑えられたバルチック艦隊は連合艦隊と並行する形の同航戦に誘導され、壊滅したわけです。
確かに回避義務を負うのはイージス艦であり、その点において責任を免れることはありません。
しかし、航路の進行と横断において、内海の航路について規定している海上交通安全法だと、航路を進行中の船舶の進路を妨害してはならないとあるように、航行量が多い海域では「航路」航行中の船舶優先というルールもあるわけで、同法の適用がないが航行量が多い「航路」に関してのルールの不備が招いた事故ともいえます。