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延岡と高速交通

2008-02-24 00:30:27 | 交通
道路特定財源と暫定税率をめぐり、宮崎県の東国原知事が暫定税率廃止、一般財源化を訴える民主党にかみついたことが波紋を呼んでいます。

まあ世間受けするキャッチフレーズで切り込む民主党にかみついたことから、抵抗勢力だなんだという批判が急に集まった感がありますが、よくよく見れば知事の言い分ももっともなわけです。

その舞台は宮崎と言っても県北の延岡市。別に県境の寒村と言うわけでもなく、人口13万人、旭化成発祥の地として同社の工場も多く、新産業都市の指定も受けていたほどの「都市」です。

この延岡ですが、とことん高速交通に見放されているわけです。そりゃ知事が怒るのも無理はありません。高速道路は東九州道が通る予定ですが、九州道えびの経由での宮崎道から伸びる西都と、大分道から伸びる津久見までとなっており、あとは高千穂を越えて九州道松橋に出るしかない状態で、高速まで1時間から2時間コースになっています。

鉄道も似たようなもので、宮崎、宮崎空港までの高速化が完成したといっても110km制限ですから、それまでの85km制限が話にならないとしても、日豊線北部の130kmと比べると大きく後れをとってますし、そもそも宮崎空港に出てあとは空路と言うのも対大阪、東京はともかく、対福岡ではあんまりでしょう。

大分方面は県境を越えた佐伯までは何と85km制限。完全無欠なローカル線で、宗太郎の峠越えもあり、宮崎までこそ1時間に短縮されましたが、大分まで2時間。博多までは4時間かかるわけで、冗談抜きで特急+航空機が速いのです。

宮崎空港までの高速化についても、89年に旭化成が就航させた延岡°{崎空港の自社ヘリ(4往復)が90年に墜落事故を起こし、10人を超える犠牲を出したことから運行を断念。高速化へ1企業が12%の出資と言う異例の対応(県出資は50%)をした経緯があるわけで、延岡への高速交通は官民の悲願であり、金も血も流しているのです。

そういう意味では道路事情の悪さを訴える相手に高速化なった特急電車で延岡入りする民主党議員団の無神経さは話にならないわけで、次いでやってきた菅代表代行は「大分からクルマで来て必要性はわかった」と苦しいフォローを強いられていますが、そもそもちょっとでも知っている人なら高速道路の必要性を議論する時、「不要」サイドが舞台に延岡を選ぶということがどれだけセンスがないか、一目瞭然です。

このあたりは交通論的には「俗耳に入りやすい」議論にとらわれない判断が必要な分野であり、かつ同様のエリアがまだまだこの国には多数あるということを認識すべきでしょう。
自分のクルマで走ってみる、また路線バスを使ってみれば、容易にわかる話です。




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