国会が始まった。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」のずさんさが大問題になっている。
聖学院大学講師の柴田武男氏は「問題のそもそもの根源は財界主導の改革にあった」と指摘している(週刊金曜日2019・2月1日号)。
1980年代の第二次臨時行政調査会(第2臨調)のいわゆる「土光行革」の時代までさかのぼるという。
東芝会長などを歴任した財界人の土光敏夫氏は「自助努力」や「自己責任」という精神を国民に押し付ける一方、企業に対しては様々な再生機構が用意され「自己責任」が問われない構造を主導した。「増税なき財政再建」を掲げ、金のかかる公共部門を切り捨て、行政組織の定員削減、経費縮減を強行した。特に86年の労働者派遣法の施行以来今日の日本の劣化が急激に始まったという。今回の「毎月勤労統計調査」の不正はその一つの現れにすぎない。当時旧国鉄の労働者を一部メディアは「国賊よばわり」し、これが公務員バッシングの走りとなり、行政の現場で人員増を要求しにくい雰囲気を生んでいく。中曽根政権と財界の合作による国鉄つぶし・労働組合潰しの成功がその後の小泉政権による「小さな政府」で加速された。
「小泉改革」では国立大学を独立法人にして自前で予算を稼がせるようにしたため研究費が大幅に削減された。医学部の不正入試もこの「改革」と無関係ではない。
昨年のノーベル賞受賞者の本庶佑氏が苦言を呈した「研究体制の貧困」につながっている。小泉純一郎元総理はこのことにもっと責任を感じなくてはならないし、単なる世襲議員でしかない小泉進次郎を持ち上げるマスコミは不見識もはなはだしいのである。
基本的な経済の数値がわからないと経済の実態も解明できない。当然経済政策も立てようがない。
「アベノミクス」なる株上げと金融緩和の小細工で、景気がよくなったという実感が庶民にないのは当然なのである。
70年前の日本政府と軍部のいう数字もほぼでたらめで、国民は最後には何となくそう知りつつも警察の弾圧が怖くて声をあげられなかった。同じことを繰り返してはならない。