庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

輸出を促進する政策は円高を招きデフレを深刻にする。

2011-10-24 | 国創り政治問題
国内産業の空洞化の懸念を強調する経済関係者は、今までも「海外移転を止める為の政策」を優先すべきだと主張してきた。
しかし、商品競争力を維持するために、各種の補助金政策や、雇用を維持するための臨時雇用の助成をする様な、膏薬貼り的な政策ばかりであった。
本来は、日本での生産に適さなくなった産業は、海外への生産移転を戦略的にすすめて、その代わりに『新産業を創出して雇用を生み出す』ことを本命の政策としなければならなかった。

だが「世界の流れに沿うのが当然」と頭から信じ込んでいる「自由貿易礼賛主義者」と、「グローバル化こそ善」との「世界標準主義」を信奉する【欧米権力追従者】は、日本の『高付加価値化に向けての将来ビジョン』は、一切ない。
日本独特の価値や慣習を、遅れた考え方として軽蔑して「ガラパゴス現象」として排除しようとしてきた。
だから、アメリカが覇権を回復しようとしている「自由貿易、アメリカ標準」を最善とするための[TPP]構想にたいして、中身の検討も不十分なままに、バスに乗り遅れないためだけに参加を急ぐ。

野田政権は、海外展開が遅れた旧産業界の代弁をして、国内産業の輸出競争力を維持するには、[TPP]参加は不可欠との前のめり姿勢に終始している。
関税ゼロ化、世界標準(アメリカ流標準化)が、どの様な影響を及ぼして、国内の地域産業や地域社会の文化に、どう影響するかの分析も一切できていない。
ただ、関税ゼロとなると全く成り立たない農業分野の強烈な反対運動に戸惑って、付け焼刃の「農業再生構想」の様な、看板だけは掲げようとしている。
こんな表面的な政策を打ち出すだけで、「日本の高付加価値産業立国」が、進みだす訳がないことは明確である。

当面の最優先課題は、輸出の支援ではなく、国内需要創出の優遇策である。
輸出総額は、日本のGDPの11.5%程度であって、輸出を増やせば貿易黒字は増加して、一層の「円高傾向」が増幅されデフレが深刻化する。
アメリカや欧州の経済不安が解消するまでは、意図的にでも輸出額を減らして、円安への誘導が不可欠である。
これを実行すれば、「経団連などの旧産業界」は、円安になってひとまず落ち着き、将来への適切な経営戦略を立てる時間的余裕が出来る。

それだけの機会を与えても、対応出来ない経営者は退陣してもらうしかない。