なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性喉頭蓋炎

2023年10月21日 | 耳鼻咽喉科疾患

 10月18日の夕方、入院していた心不全・高血圧症の90歳男性が頻拍発作となり、治療を開始した。その日は当直だったので、何度か病棟に行って治療に対する反応を確認していた。

 

 その日の日中に耳鼻咽喉科で急性喉頭蓋炎の59歳男性を入院させていた。ステロイドと抗菌薬(セフトリアキソン)を開始して、アドレナリン(ボスミン)入りの吸入もしていた。

 患者さんが痰の絡みがとれないと訴えた。入院していた病室(4人部屋)からナースステーションに隣接した集中治療用の病室に移動させて、吸入をしているところだった。

 耳鼻咽喉科のカルテ記載を確認した。10月16日から咽頭痛がひどくなり、18日に市内の耳鼻咽喉科クリニックを受診して、扁桃周囲炎として当院に紹介になっていた。

 喉頭鏡の所見では、右口蓋扁桃の腫脹もあるが、喉頭蓋が肥厚して発赤している。気道狭窄はあるだろうがすぐに閉塞するほどではないように見える(喉頭蓋の評価は自信がないが)。いきなり窒息まではないかと、若干安心した。

 

 翌19日に診療開始時に、耳鼻咽喉科医は再度喉頭鏡で喉頭蓋を観察した。前日より若干の腫脹の進行を見て、気道確保処置の可能性もあるとして、地域の基幹病院耳鼻咽喉科に転院搬送とした。(翌日の金曜日は耳鼻咽喉科医が毎週不在という事情もある)

 

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尿管結石

2023年10月20日 | 泌尿器科疾患

 10月18日の当直の時、午後10時過ぎに左下腹部痛の34歳男性が救急搬入された。7月に泌尿器科外来を受診していて、左腎結石を指摘されているという。尿管結石と思われた。

 健診の腹部エコーで右腎臓内に10mmの高エコーの病変を指摘されて、泌尿器科外来を受診している。腹部CT・腹部MRIが施行されて、右腎良性腫瘍と診断されていた。その時に、症状はないが、左腎結石(小2個)を指摘されていた。

 右腎腫瘍はCT を見てもMRIをそのつもりで見てもよくわからない。腹部エコー(当院では施行していない)の方がわかるのだろうか。経過観察で外来予約が入っていた。

 

 腹部CTで確認すると左尿管下部に結石を認めた。これも小さいが、さらに小さい結石は左腎臓内にまだあった。ジクロフェナク座薬を使おうとしたが、気管支喘息の既往があった。小児期と成人になってからも症状があった。現在は治療はしていない。

 アセリオ注(1000mg)を点滴で入れることにした。入れた後に経過をみると 疼痛は治まり、帰宅を希望された。カロナール500mg錠を屯用で持たせて帰宅とした。

 

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前胸部の皮疹

2023年10月19日 | 消化器疾患

 10月18日に糖尿病・高血圧症・高脂血症で通院している77歳女性が受診した(定期の予約日)。HbA1cは6%台後半で推移していて、その日はHbA1c6.7%だった。

 3か月前に右前胸部(乳房部)に細かな皮疹(丘疹状紅斑)が散在して、チクチクしていたそうだ。まだ皮疹の後が薄く残っている。

 1週間前からは左前胸部(乳房部)に同様の皮疹が出現して、チクチクするのも同じだった。水疱ではなく、痂疲にもなっていない。肋骨に沿っているといえなくはない。

 患者さんとしては、これは帯状疱疹ではないでしょうかというのが一つ、それと帯状疱疹ワクチンを接種した方がいいでしょうかというのが訊きたいことだった。

 症状と部位は帯状疱疹様ではあるが、皮疹が違うように思える。皮膚科外来に連絡すると、診てくれるというので他科紹介とした。

 お昼に皮膚科医と食堂でいっしょになったが、「あれは帯状疱疹ではないでしょう」ということだった。通常の湿疹としてステロイド軟膏が処方されていた。

 

 患者さんは帯状疱疹ワクチンのCMを見たそうだ。確かに盛んに宣伝している。「チクチクします」というのは、CMでやっていた症状をいっているのかもしれない。

 皮膚科医は、当院の院内薬剤としては帯状疱疹ワクチンは入れていない。値段が高くてあまり希望者がいないだろうから、という理由だった。22000円が2回で44000円になる。

 皮膚科医自身は、市内のワクチンを扱っているクリニックで帯状疱疹ワクチンを受けてきている(2回接種済み)。

 当方は2012年に帯状疱疹が出た(左前胸部から側胸部)。感染症学会と化学療法学会の合同学会が東京ドームで開催されて、参加している最中に症状が出た。痛痒い感じで、痛みとしては強くはなかった。学会から帰って来て、病院で日直をしていて外科医(当時)にバルトレックスを処方してもらった。

 気づくとすでに10年以上経過していた。帯状疱疹ワクチンを接種すべきなのだろう。

 

帯状疱疹ワクチンのご案内 | 医療法人聖俊会 樋口病院

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摂食嚥下リハビリテーション

2023年10月18日 | 呼吸器疾患

 10月15日(日)に摂食嚥下リハビリテーション研究会に初めて出席した。摂食嚥下リハビリテーション学会があるのも初めて知った。

 感染管理の院内勉強会で誤嚥性肺炎を扱ってみるか、と思って誤嚥性肺炎の本を集めてみたが、どうもわかった気がしない。講演を聴いたり、動画をみないとピンとこないだろうを思っての参加だった。

 学会でも研究会でも、興味深く聴けるのは、演題のうちの1/3くらいだろう。1/2ならばかなり有意義な会に出たと判断される。

 今回は前田圭介先生(国立長寿医療研究センター)の「サルコペニアの摂食嚥下障害」の講演が良かった。前田先生は日本医事新報社のjmed「誤嚥性肺炎 治療と予防の新常識」を編集された先生だった。

 サルコペニアは全身の筋量減少と筋力低下のこと。原因は、加齢(原発性)・低活動・低栄養だが、医原性(入院、薬物)もある。入院するだけで、非サルコペニアの患者さんの15%がサルコペニアになる。

 摂食嚥下障害の原因は脳卒中・神経難病・認知症(AD)だが、神経学的異常だけではない。サルコペニアによる摂食嚥下障害がある。四肢体幹部筋のサルコペニアがあると、嚥下関連筋のサルコペニアも伴う。

 「老嚥」の患者さんが入院すると、床上安静・禁食(絶食)・栄養不足・炎症によりさらに嚥下が低下してしまう。「老嚥」はそのまま「加齢による嚥下機能の低下」だが、この業界の専門用語らしい。

あなたも名医! 最新知見を現場に活かす! 誤嚥性肺炎 治療と予防の新常識(jmedmook 79)―電子版付―

誤嚥性肺炎の予防とケア(7つの多面的アプローチをはじめよう)

 それから嚥下造影(VF)嚥下内視鏡(VE)の画像供覧があって、参考になった。大抵の病院ではVF・VEはできないので、聴覚言語療法士(ST)が飲み込みの評価を行うが、VF・VEでないとわからない誤嚥がある。(ムセや咳き込みがない誤嚥、嚥下前の誤嚥=咀嚼時に口腔内に食物を維持できない、嚥下後の誤嚥=梨状窩の残留物を誤嚥)

 上の本は多数の著者によるのでわかりにくい。前田先生の単著である下の本で勉強することにしよう。

 

 研究会の事務局は耳鼻咽喉科の教室になっていた。呼吸器内科は誤嚥性肺炎そのものにあまり関心がないようだ。摂食嚥下となると、原因は神経疾患で脳神経科の問題、検査は耳鼻咽喉科の問題、治療はリハビリテーション科の問題になる。

 

 

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心原性脳塞栓症

2023年10月17日 | 脳神経疾患

 10月13日に脳血管障害の専門病院から82歳男性が転院してきた。住所は隣の市内だった。

 8月24日の午前5時に自宅の台所で倒れているのを妻が発見して、救急要請をしていた。地域の基幹病院に救急搬入された。

 頭部MRIで右基底核から放線冠の脳梗塞を認めて、MRAで右中大脳動脈M1の閉塞があった。心電図で心房細動を認めて、心原性脳塞栓症と診断された。血栓回収目的で先方の専門病院へ転院搬送されていた。

 脳血管内科で血栓回収が行われたそうだ。しかし右放線冠の梗塞が残り、左半身完全麻痺が残った。経口摂取困難ということでNGチューブ挿入による経管栄養が行われていた。(当院転院時の頭部CT)

 診療情報提供書には、「貴院での回復期リハビリテーションをお願いします」になっていた。当院の回復期リハビリテーション病棟は胃瘻造設による経管栄養は引き受けるが、NGチューブでは受けないそうだ。急性期病棟に入院することになった。

 転院依頼が来た時に、経口摂取は難しく経管栄養継続になる見込みか、地域医療連携室から問い合わせてもらった。現状NGチューブによる経管栄養というだけだった。

 NGチューブによる経管栄養だと、現在は施設でも嫌がって受けてくれない。胃瘻があれば、施設によるが少数の受け入れはある。

 頭の先生しかいないので、胃瘻造設はできない病院だった。胃瘻造設できるかどうかの判断もできないと思われたので、転院後にこちらで判断することにした。

 リハビリといっても完全麻痺が1か月以上変わらないので、狭義のリハビリ(歩行訓練)の適応はない。関節拘縮予防や座位保持できるかの訓練もりっぱなリハビリではあるが。

 

 転院後に誤嚥性肺炎の有無と胃の位置を確認するために、胸腹部CTを行った。胃の腹側に大腸(横行結腸)大きくかぶさっていて、内視鏡的胃瘻造設術は施行できない。

 ただ患者さんは会話可能だった。肺炎もなかった。経口摂取できそうだ。先方の病院では嚥下訓練を何故進めなかったのだろうか。

 言語聴覚士(ST)さんに診てもらうと、これは経口摂取できるということだった。NGチューブを抜去して、昼のみ嚥下調整食3で開始となった。3食摂取できるまで、点滴2本を併用することにした。

 利き手交換は不要なので、座位保持で自力で食事摂取できるようになれればいいが、このまま順調にいくだろうか。

 

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MRAの効果

2023年10月16日 | MRA

 心房細動・心不全の90歳男性が、血圧不安定と両下腿浮腫で9月29日に入院した。認知症で施設に入所したが、血圧が200になったり、80になったりと不安定だった。血清カリウムが2.6~2.7と低カリウム血症もあった。

 血圧が高いだけならば、降圧薬を追加するだけだが、急に低下した。前立腺肥大症でα1遮断薬のシロドシンが処方されていて、それによる起立性低血圧症が疑われた。起立性といっても臥位から座位だが。PDE5阻害薬のタダラフィルも併用されているので、シロドシンは休止とした。

 それにCa拮抗薬に対する反応が過敏なのかもしれない。アムロジピン(5mg)をいったん休止して、Ca拮抗薬は血圧高値の時に少量屯用で使用することにした。

 外来ですでにARBをARNI(エンレスト)に変更して、ミネラルコルチコイドレセプター拮抗薬(MRA:mineralocorticoid receptor antagonist)のミネブロを追加していた。入院後低カリウム血症はしだいに改善して3.2から3.9になった。

 浮腫はあるが、低カリウム血症があるのでループ利尿薬は使用していない。低カリウム血症の原因がわからないが、MRAで改善したことになる。

 

 7月から8月まで低ナトリウム血症で入院していた83歳女性は、鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム血症mineralocorticoid response hyponatremia of elderly(MRHE)と診断して、フロリネフ0.05mg/日で改善していた。

 フロリネフを調剤薬局が出してくれるかという心配はあったが、かかりつけの内科医院に診療情報提供書を出して、処方継続を依頼していた。

 その内科医院から低カリウム血症2.9があり、当院で調整してから戻してほしいと紹介されてきた。両下腿浮腫がごく軽度にある。

 この患者さんは発作性心房細動で、心電図をとるたびに心房細動だったり、洞調律+PAC散発だったりしていた(DOAC=リクシアナ30mgの処方あり)。今回は洞調律だった。ループ利尿薬などの低カリウム血症を来す処方は入っていない。

 βブロッカー(ビソプロロール2.5mg)が入っていたが、血圧が高値だったとして医院の方でCa拮抗薬(アムロジピン5mg)が追加処方されていた。

 アムロジピンを中止して、ANRIとMRAいずれも少量に変更して、14日後の外来予約としてみた。血圧が不安定だったり、症状があれば予約前に受診としていたが、今週きていないのでそれはないのだろう。MRAがどのくらい効いてくれるだろうか。

 

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誤嚥性肺炎だけではなく

2023年10月15日 | 消化器疾患

 10月13日に地域の基幹病院呼吸器内科から90歳男性が転院してきた。診療情報提供書は呼吸器内科のよりも、消化器内科の方がぶ厚かった。

 9月13日に誤嚥性肺炎で入院したそうだ。臀部褥瘡とあったが、両側転子部にも深い褥瘡があった。最初に転院依頼があったのが9月28日だった。

 その後、貧血の精査でCTを行ったところ、多発性肝腫瘍を認めた。9月29日に消化器内科に紹介されて、造影CT・腹部MRIを行って膵頭部癌・多発性肝転移と診断された。両側胸水・腹水もああり、低栄養・貧血も影響しているかもしれないが、通常は癌性胸膜炎・腹膜炎を考える。

 呼吸器内科の診療情報提供書は、癌発覚前のものがそのまま来ていた。リハビリをして自宅退院か施設入所を目指すことを家族に説明した、とある。

 

 10月13日に介護タクシーで来たが、血圧60mmHg・酸素飽和度88%(室内気)だった。全身に浮腫と皮下出血、それによくわからない紅斑も多発していた。

 基幹病院からの転院では、転院してきた日に急変死亡ということもあった(転院後3時間で、これが最短の記録)。今回の患者さんも、翌日まで保証しかねる病状だった。

 家族にその旨を伝えて、先方の病院に入院してから面会していない妻を呼んでもらうことにした。患者さんの妹にも会わせたいというが、他県在住だった。

 もともと関節リウマチでプレドニン5mg/日が使用されていて、内服不可能なので点滴静注で入っていた。ステロイドがどのくらい効くかわからないが、デキサメサゾン(癌性腹膜炎・胸膜炎・悪液質に)に変更して投与することにした。

 

 腹部を含まない胸部CTだけでも肝臓の多発性腫瘍は写っていたはずだが、入院時にはわからなかったのだろうか。

 

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脳梗塞

2023年10月14日 | 脳神経疾患

 10月13日(金)に97歳女性が脳梗塞で入院した。脳幹部の小さな梗塞巣だった。

 住所は隣の市内で、一人暮らしをしている。症状はめまいがして動けないというものだった。一人暮らしなのでふだんはADL自立なのだろう。BPPVのような回転性ではない。

 救急隊から当院に搬入依頼があった。救急担当の先生が急性期病棟に訊くと、いっぱいで無理といわれた。事情を伝えて、おことわりとなった。市内の病院に連絡すると、MRIがないのでMRIをどこかの病院で施行してからなら引き受けるといわれた。地域の基幹病院は当院でMRI撮像をして、所見があれば引き受けるという返事だった。

 また当院に連絡が来て、搬入となった。頭部MRIで延髄の左外側にポチッと脳梗塞を認めた。その時点で病棟に入院できるかまた訊いたところ午前中に退院予定だった患者さんがちょうど帰るところで、引き受けられるという。当院入院となった。

 

 放射線科の読影レポートは、大学病院の遠隔診断と、応援医師2名が直接当院での読影になっている。その日は放射線科医がいて、すぐに読影してくれた。まあ、撮像した放射線技師さんもオーダーした先生も普通に読める。(以前当院の放射線科常勤医だった先生で、定年後(延長を含む)なって、その後は週に2日だけ読影に来ている)

 MRAでみると脳幹部の動脈の狭窄があり、めまいはこの梗塞と椎骨脳底動脈の血流不全の症状でいいのだろう。

 

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腸骨骨折

2023年10月13日 | 整形外科疾患

 10月5日(木)の午後8時前に体動困難の88歳女性が救急搬入された。当直は消化器外科医で現在は内科の診療をしている先生だった。

 その日の午後0時半ごろに、自宅のベットから50㎝下の床に転落した。家族が見つけてベットに戻した。その時は特に痛みを訴えていなかったが、夜になってオムツを交換しようとしたら、痛みを訴えて身体を動かせなくなった。

 単純X線撮影後にCTで確認していた。右腸骨翼に骨折を認めて、その内側に出血と判断される陰影を認めた。搬入時はHb12g/dlで貧血は(まだ?)認めない。

 骨盤骨折で大量出血に至る可能性もあると説明されて、入院となった。入院後も幸いバイタルに大きな変化はない。

 

 骨盤骨折は高齢者の転倒後の坐骨骨折・恥骨骨折は見るが、腸骨骨折は見たことがない。大量の出血を来すほどの交通外傷などの高エネルギー外傷は経験していない。

 

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陰影はコロナ様

2023年10月12日 | 呼吸器疾患

 10月10日(火)に別の内科の先生に相談された。患者さんは、前日の9日(月、休日)に日直をしていた時に診察した67歳女性だった。10日にも受診して、PCRの結果待ちだという。

 経過は長く、発症9日目になる。10月2日に発熱(37℃台)があった。3日に市販のコロナ迅速キットを行って陰性だった。4日から発熱が38℃台になった。咳、痰、頭痛もあり、嘔気で食欲不振となっていた。

 8日に急患センター(他市)を受診して、コロナの迅速検査を受けたが陰性だった。肺炎疑いとして、抗菌薬(クラビット)が処方された。9日にまた自宅でコロナの検査をして陰性だった。

 9月に当院の発熱外来を受診している。以前にオーグメンチンで薬疹が出たそうだ。処方されたクラビットでも薬疹が出ているらしいということだった。当院からグレースビットを処方した。(同じ系統の抗菌薬だが)

 10日に胸部X線を行い、淡い陰影を認めた。胸部CTで精査した結果がコロナらしいということだった。確かに両側肺に陰影があり、基本的には胸膜直下の陰影ですりガラス様に見える。右肺中葉の陰影ははっきり浸潤影で、全体的にはすりガラス陰影と浸潤影の混合のような陰影だった。

 確かにコロナらしい陰影でもあったが、その後コロナのPCR検査の結果が出て、陰性だった。ここまで検査を繰り返して出ないというのはコロナではないのだろう。

 血液検査の結果は白血球6400・CRP11.7で、血小板が7.7万と低下していた。コロナらしい単球増加はない。クラビットで解熱していないということは、(薬剤熱の可能性もあるが)感染症ではないのかもしれない。

 両側の奇異な陰影で、抗菌薬が効かないとすれば、器質化肺炎だろうか。当院は呼吸器外来(大学病院から応援)が週1回しかない。患者さんは看護師さんということもあり、地域の基幹病院呼吸器内科に紹介することを勧めて、翌日受診となった。

 翌日確認すると、放射線科の読影レポート(大学病院の遠隔診断)は「陰影の分布から器質化肺炎を疑う」となっていた。

 

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