10月10日(火)に別の内科の先生に相談された。患者さんは、前日の9日(月、休日)に日直をしていた時に診察した67歳女性だった。10日にも受診して、PCRの結果待ちだという。
経過は長く、発症9日目になる。10月2日に発熱(37℃台)があった。3日に市販のコロナ迅速キットを行って陰性だった。4日から発熱が38℃台になった。咳、痰、頭痛もあり、嘔気で食欲不振となっていた。
8日に急患センター(他市)を受診して、コロナの迅速検査を受けたが陰性だった。肺炎疑いとして、抗菌薬(クラビット)が処方された。9日にまた自宅でコロナの検査をして陰性だった。
9月に当院の発熱外来を受診している。以前にオーグメンチンで薬疹が出たそうだ。処方されたクラビットでも薬疹が出ているらしいということだった。当院からグレースビットを処方した。(同じ系統の抗菌薬だが)
10日に胸部X線を行い、淡い陰影を認めた。胸部CTで精査した結果がコロナらしいということだった。確かに両側肺に陰影があり、基本的には胸膜直下の陰影ですりガラス様に見える。右肺中葉の陰影ははっきり浸潤影で、全体的にはすりガラス陰影と浸潤影の混合のような陰影だった。
確かにコロナらしい陰影でもあったが、その後コロナのPCR検査の結果が出て、陰性だった。ここまで検査を繰り返して出ないというのはコロナではないのだろう。
血液検査の結果は白血球6400・CRP11.7で、血小板が7.7万と低下していた。コロナらしい単球増加はない。クラビットで解熱していないということは、(薬剤熱の可能性もあるが)感染症ではないのかもしれない。
両側の奇異な陰影で、抗菌薬が効かないとすれば、器質化肺炎だろうか。当院は呼吸器外来(大学病院から応援)が週1回しかない。患者さんは看護師さんということもあり、地域の基幹病院呼吸器内科に紹介することを勧めて、翌日受診となった。
翌日確認すると、放射線科の読影レポート(大学病院の遠隔診断)は「陰影の分布から器質化肺炎を疑う」となっていた。