なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

摂食嚥下リハビリテーション

2023年10月18日 | 呼吸器疾患

 10月15日(日)に摂食嚥下リハビリテーション研究会に初めて出席した。摂食嚥下リハビリテーション学会があるのも初めて知った。

 感染管理の院内勉強会で誤嚥性肺炎を扱ってみるか、と思って誤嚥性肺炎の本を集めてみたが、どうもわかった気がしない。講演を聴いたり、動画をみないとピンとこないだろうを思っての参加だった。

 学会でも研究会でも、興味深く聴けるのは、演題のうちの1/3くらいだろう。1/2ならばかなり有意義な会に出たと判断される。

 今回は前田圭介先生(国立長寿医療研究センター)の「サルコペニアの摂食嚥下障害」の講演が良かった。前田先生は日本医事新報社のjmed「誤嚥性肺炎 治療と予防の新常識」を編集された先生だった。

 サルコペニアは全身の筋量減少と筋力低下のこと。原因は、加齢(原発性)・低活動・低栄養だが、医原性(入院、薬物)もある。入院するだけで、非サルコペニアの患者さんの15%がサルコペニアになる。

 摂食嚥下障害の原因は脳卒中・神経難病・認知症(AD)だが、神経学的異常だけではない。サルコペニアによる摂食嚥下障害がある。四肢体幹部筋のサルコペニアがあると、嚥下関連筋のサルコペニアも伴う。

 「老嚥」の患者さんが入院すると、床上安静・禁食(絶食)・栄養不足・炎症によりさらに嚥下が低下してしまう。「老嚥」はそのまま「加齢による嚥下機能の低下」だが、この業界の専門用語らしい。

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誤嚥性肺炎の予防とケア(7つの多面的アプローチをはじめよう)

 それから嚥下造影(VF)嚥下内視鏡(VE)の画像供覧があって、参考になった。大抵の病院ではVF・VEはできないので、聴覚言語療法士(ST)が飲み込みの評価を行うが、VF・VEでないとわからない誤嚥がある。(ムセや咳き込みがない誤嚥、嚥下前の誤嚥=咀嚼時に口腔内に食物を維持できない、嚥下後の誤嚥=梨状窩の残留物を誤嚥)

 上の本は多数の著者によるのでわかりにくい。前田先生の単著である下の本で勉強することにしよう。

 

 研究会の事務局は耳鼻咽喉科の教室になっていた。呼吸器内科は誤嚥性肺炎そのものにあまり関心がないようだ。摂食嚥下となると、原因は神経疾患で脳神経科の問題、検査は耳鼻咽喉科の問題、治療はリハビリテーション科の問題になる。

 

 

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