なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ウェルニッケ脳症

2023年10月25日 | 脳神経疾患

 内科の先生が非常勤の脳神経内科医に、入院しているウェルニッケ脳症の42歳男性の相談をしていた。記憶障害(短期記憶)で、ついさっきのことを忘れてしまうのだという。何とかなりませんかねえ、という相談だった。

 

 長年実家暮らしだったようだ。一人暮らしをしたいと、実家を出て新聞配達の仕事をしていた。3か月前の7月から仕事をやめてしまった(勤まらなかったのだろう)。

 お金がなくなり、食事がとれず、水ばかり飲んでいた。徐々に体力がなくなり、9月28日に動けなくなって倒れているところを発見された。

 地域の基幹病院に救急搬送された。傾眠状態で、画像としては頭部CT、胸腹部CTが行われたが、有意な所見はなかった、頭部MRIで視床~中脳水道~延髄にかけてFLAIRで高信号を認めて、ウェルニッケ脳症と診断された。

 

 ビタミンB1は11ng.mL(24~66)と低下していた。血液濃縮があり、脱水状態でもあった。ビタミン補充療法と点滴で回復した。

 10月5日の頭部MRIの再検が行われて、FLAIRでの高信号は軽減している。

 10月19日に当院の回復期リハビリ病棟に転院してきた。自力歩行はできるが、ふらつきがある(下肢の運動失調)。会話は可能だが、ナースコールを引っ張ってみたり、変な態勢(何故か壁にへばりつく)でいたりする。

 ついさっきのことも忘れてしまうので、病棟の看護師さんとは常に初対面のようになってしまう。

 10月23日に頭部MRIを行っていて、放射線科の読影レポートでは病変は指摘できないくらいになっている、とあった。ビタミンB1は56ng/mL(20~50)と正常域だった。

 

 

 脳神経内科医のアドバイスは、認知症のテストをして下さい、だった。今後は実家(当院の隣の市)に戻るしかないのだろう。

 

 

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