昨日の日直の時に、嘔吐・腹痛の90歳女性が受診した。昨年11月に当院の外科で回盲部癌の手術を受けていた。遠隔転移はなかったが、リンパ節転移が著明で、再発する可能性が大きいとされていた。
腹部はやせた背中の曲がった高齢女性でみられる、下腹部の膨満がある。臍部から下腹部全体にかけて圧痛があるが、程度は軽度だった。腹膜刺激症状はない。
術後の腸閉塞を疑って、腹部立位単純X線を確認した。ニボーがあり、腸閉塞になっているようだ。胸部X線には肺炎像もあり、午前6時に家族が嘔吐に気づいたというが、夜間に嘔吐してから時間が経過して誤嚥性肺炎の像が出現してきたのだろう。
血液検査の結果をみて、腹部造影CTを行った。右下腹部に造影される(中心部は壊死だろう)腫瘤を認めた。局所再発(リンパ節か)だった。腫瘍が腸管を巻き込んでの腸閉塞だった。腸管壁は造影されていて血流は保たれているようだ。腹水も少量あった。
外科外来のフォローには入っていなかった。何か症状があった時の対応にしていたのだろう。外科の当番の先生に連絡して、外科で入院にしてもらった。経鼻胃管が挿入された。もう手術はできないので、そのまま緩和ケアになるのだろう。
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