なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

偽痛風

2020年04月12日 | Weblog

 1か月前に肺炎で入院した87歳男性は、肺炎軽快後も酸素飽和度の改善が遅かったが、なんとか酸素吸入を止められた。

 認知症で在宅介護は困難となり、地域包括ケア病棟に移動して施設入所待ちになっていた。先週から発熱が断続的にあり、胸部X線では新規の肺炎像を指摘しがたいが、誤嚥性肺炎の再発が疑われた。

 末梢血管が見えにくく、また自己抜去するので、抗菌薬内服で経過みていた。解熱傾向かと思われて、抗菌薬は1週間投与で中止する予定だったが、金曜日にまた発熱した。胸部X線ではやはり明らかな新規の肺炎像は指摘しがたい。血液検査は白血球7700・CRP10.8だった。

 もともと変形膝関節症で整形外科に通院した既往があり、膝関節内に石灰化があった。膝はどうかと訊くと、痛いという。足関節も痛いようだ。触診では両側膝関節に(軽度だが)熱感があり、他動的な屈曲によりはっきり痛みを訴えた。

 話かけないと自分からはしゃべらないが、痛いのは言いそうなものだ。難聴があるので、耳元で大声で話かけても、聞き取れていないので、ただ「大丈夫」としか言わない。

 偽痛風による関節炎として治療することにした。ただし、血清クレアチニン3mg/dl前後の慢性腎臓病CKDがあり、NSAIDsは使えない。CKDがなければいつものセレコックスだが、ステロイドの短期漸減使用にするしかない。

 いつもの、「すぐに使える リウマチ・膠原病診療マニュアル」(羊土社)に記載されている投与法にした。プレドニゾロンを20mg/日を2~3日、10mg/日を2~3日、5mg/日を2~3日、2.5mg/日を2~3日、その後中止となる(あくまで1例で、裏づける文献はないと記載されているので、経験的なもの)。今回は15mg/日からの開始にして、翌日には解熱した。

 

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