goo blog サービス終了のお知らせ 

なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

うつにみえる

2020年02月16日 | Weblog

 水曜日に地域の基幹病院呼吸器内科から90歳男性が転院してきた。

 3年前に消化器内科で総胆管結石の内視鏡治療を受けている。その時に早期胃癌Ⅱaを指摘されていた。内視鏡治療(ESD)を提案されたが、拒否していた。

 2年前には腹部大動脈瘤に対して、大学病院血管外科でステント留置の治療を受けていた。昨年の11月に右上葉肺癌を指摘され、気管支鏡検査は拒否したので画像診断だけだったが、ほぼ100%肺癌とされて、12月にがんセンターで放射線治療を受けていた。

 今年の1月24日に食欲不振・嘔気嘔吐で入院したとある。消化器症状だが、直近が呼吸器内科の扱いだったので、呼吸器内科入院になったらしい。もっとも上部消化管内視鏡検査も拒否していたので、消化器内科でもどうしようもない。

 入院後も食欲不振と腹痛(発作的に相当痛がったらしい)が続いた。おそらく胃癌の症状だろうと家族に説明された。癌の緩和治療としてステロイド(デカドロン8mg/日)が開始されて、少し食欲が出たかもしれないとあった。

 対処法として、そのまま食欲不振が続いた場合、経管栄養はしない、高カロリー輸液は保留ということで、末梢静脈からの点滴500ml1本を継続していた。

 

 貼付されてきたCT画像を確認した。胃に進行癌らしい腫瘤は認めない。肺癌の放射線照射部位は瘢痕になっていた。

 腹部は平坦・軟で圧痛・腫瘤はない。CT上は腹痛をきたすような疾患を認めない。患者さんは認知症はないようだが、印象としてはうつ状態(と思いこみ)のようにみえる。発作的な腹痛は見舞いに来た家族が帰ろうとした時にあったという。

 家族の話では、近所に占い師のような人がいて、手術などをしてはいないと言われて、それを信じているという。占いというよりは、お告げを伝えるというような怪しいものらしい。こちらも三輪さんのように、あなたは食事をとれるようになるだろうと、厳かに言い続けるといいのだろうか。

 とりあえず末梢の点滴を500ml2本で経過をみることにした。デカドロンは癌終末期で予後3か月以内でなければ使用しないので、漸減中止することにした。よくわからない腹痛もあり、抗うつ薬はサインバルタ20mgから開始した。

 先方の病院の食事は粥食で気に入らなかったというので、小盛りの普通食にした。少しずつ食べているが、どうなるか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする