58歳男性が奇異な行動で救急搬入された。誰もいない会議室で水道で手を洗うようなしぐさをしているのを同僚が発見して、救急要請した。翌々話を聞くと朝から嘔吐がある、頭痛もあった。生年月日は言えたが、年齢は違っていた。見当識障害がある。関西から単身赴任で当地に来ている方だった。体温37.4℃で血圧150/90mmHg。
救急当番は整形外科医で、救急隊から連絡があってすぐに内科の若い先生に声をかけていた。さらにその先生から声をかけられたので、いっしょに救急室に行った。四肢の麻痺はなかった。脳血管障害というよりは、脳炎かのかなと思った。まず急いで頭部CTをオーダーした。神経内科医に連絡して、CTを撮っている時に放射線科に来てもらった。ちょうど画像ができた時で、「くも膜下出血か、診断付いちゃったね。」と言われた。小脳周囲と脳槽に出血があり、脳室内にもあった。
基幹病院の脳神経外科に連絡してもらって、転送となった。救急隊は搬入後もそのまま待機していたので、すぐに収容して出発した。後から神経内科医と画像を再確認すると、脳室が拡大していて脳全体が腫脹して頭蓋内圧亢進がある。脳外科ではどのように治療するのだろうか。
今日の入院は先々月、先月と誤嚥性肺炎で入院している80歳男性だった。今日も誤嚥性肺炎疑いで施設から紹介になったが、はっきりとした肺炎の陰影はなかった。数日前から食事摂取ができなくなったという。頭部CTは以前からの脳萎縮がかなり目立ち、ラクナ梗塞も散在しているが、新規の脳血管障害はなかった。前の入院の時から、嚥下障害で経口摂取できなくなったら、胃瘻かなとは思っていた。数日経過をみて、経口摂取困難と判断したら、胃瘻造設を考えよう。奥さんに胃瘻の説明をして、家族で話し合ってもらうことにした。