胃癌の82歳女性が転院してきた。血圧が70~80mmHgと低くかった。あとどのくらい持つだろうか。今年の2月にHb5g/dlの貧血で内科医院から、血液疾患専門のクリニックへ紹介された。ただし小球性貧血なので、どう考えても消化管出血による貧血で、血液疾患は考えにくい。そこでの検査で、進行胃癌・多発性肝転移(肝臓全体)と診断された。家族は積極的な治療を望まなかったとあるが、できるはずもない。
内科医院の往診を受けて経過をみていたらしい。状態が悪くなってから、なぜか基幹病院の腫瘍内科を受診した。子供は息子3人だが、それぞれの病気に対する受け取り方が違っていたらしい。腫瘍内科では、そんな状態で受診されて困ったらしい。PSの良い患者さんの外来化学療法を行っているが、ホスピスケアはしていない。それでも入院として緩和ケア(塩酸モルヒネの投与)が開始された。外来で診て、直接地元の当院へ回さなかったのは、状態が悪くて躊躇したらしい。そうはいっても、最期までみる方針の病院でもないので、入院1週間後に当院に転院依頼がきたという事情だった。当院では癌終末期の緩和ケアで3か月くらい入院しても、全く問題ない(そのくらい余裕がある病床稼働率ということ)。この患者さんは1か月もたない、というか1週間もつかどうかもわからないが。