Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

[旅] 年末年始、東北へ【6】常磐線・相馬~原ノ町間

2012年01月28日 | ■旅と鉄道
 常磐線の不通区間・広野~亘理間102.2kmのうち、一部区間に当たる原ノ町~相馬間20.1kmが12月21日に運行再開しました。南側は原発事故による警戒区域のため、北側は津波被害のために復旧の目処が立たない中、内陸部を走る短区間での再開です。

 他の路線と結ばれず、離れ小島的に運行するJR線は、この区間が本邦唯一。これまでにも、あまり例がないように思われます。電車を陸送してきて、専用の車両検査場を設けるという、大がかりな工事を経ての復旧でした。

 原発事故に伴う人口の急減という苦境の中、関係者の努力で結ばれた鉄路。再開10日後の12月31日、この区間に乗ってみました。


 仙台からの電車は、現在のところ亘理が終点。相馬までを代行バスが結びます。同区間の代行バスは上下56本と本数が多く、データイムには快速便も運行され、速達性にも配慮されています。
 平野の広がるこの区間は内陸数キロにまで津波が達し、大きな被害を受けました。常磐線そのものも列車が巻き込まれ、線路も駅も壊滅状態。内陸部へ移設しての復旧を構想中ですが、電車が走るのは早くても3年後と言われています。
 代行バスは、浜吉田や駒ヶ嶺駅では鉄道駅に入るのですが、山下や新地など被害の大きかった地域の駅は旧駅に寄ることなく、国道6号線沿いの役場などに停留所を設けています。もはやバスも立ち寄れなくなった平野部の風景は高台の国道から望め、言葉を失いました。


 七十数分をバスに揺られたどり着いた相馬駅は、立派なお屋敷風の駅舎。ここから原ノ町までの20.1kmを、電車が結びます。2回の乗換えが必要になりますが、代行バスに比べ40分の時間短縮になったそうです。


 相馬~原ノ町を結ぶのは、701系電車の2両編成。オールロングシートで、混雑には強い電車です。車内にはトイレがありますが、臨時の検修場には汚物の処理設備がないようで、使用停止になっていました。所要時間は20分なので、さほどの影響はないようです。


 1両目には十数人が乗ったようですが、2両目は僕一人。田園地帯の中へと走り始めます。1月9日までは徐行運転とのことですが、代行バスから乗換えた身には、スムーズな走りに感じられました。1月10日以降は、所要時間が17分に短縮されるとのこと。


 途中駅の日立木、鹿島も営業再開。なるほど、この駅があるから、佐賀の方は「肥前鹿島」駅という名前になったのか…。
 トンネルの手前では、やたら長く警笛を鳴らします。9ヶ月に渡る運休の間に、トンネルや線路は「生活道路」になっていたのかもしれません。


 20分で原ノ町駅到着。


 自動改札機も稼動、日常の駅の姿がありました。


 「スーパーひたち」の車両はまだ、仙台にも上野にも帰れません。
 震災と原発関連の報道で南相馬市の名前は全国区になりましたが、原ノ町駅周辺はもともと原町市という自治体で、鉄っちゃんとしても駅名の由来にもなっている原町の名の方が馴染みがあります。そんな原町の街を歩いてみました。


 夕方5時というのに駅周辺は人通りもほとんどなく、街は深夜のような装いです。もっとも大晦日の地方都市ならばどこもそんなもので、原発の影響と断じるのは早計と思います。
 ただ全国チェーンのファミレスの閉店時間が21時と異様に早くなっていたり、ファーストフードも休止中だったりする様子を見ると、人口減が経済活動に与えている影響は大きいようにも見えました


 台風で停電しても営業を止めないコンビニさえ、最近まで24時間営業を取り止めていたようです。商店街の店先には「営業再開店おすすめMAP」なるものが貼り出されており、個人商店も休んでいた店が多かった模様。少しずつ、日常を取り戻しつつあるようです。


 駅前通りはライトアップされ、音楽も鳴らされていました。人通りは少ないとはいえ、車の流れは活発で、魚屋さんの前には年末年始用の魚を買い求める客で賑わっていました。


 お茶屋さんの前に揺れる「八女茶」の文字に、福岡県人としてはちょっと感動してしまったのですが、店内には「九州産だから安心」の張り紙が。素直に喜んでいいものか、どこか複雑な気分になりました。


 原町へのアクセスは現在、福島駅からのバスがメインとなっているようで、満員で駅前へ向かって走っていました。帰路に乗った原ノ町から相馬の電車も大荷物の人が多く、バスから乗り継いだ乗客のようです。
 特急も走らず、2両編成の電車が往復する姿は、震災前の常磐線に比べると、まだまだ日常とはいえないかもしれません。今は本格復旧への第一歩を記した姿、いずれ仙台へ、そして上野へ直通できる日がきっと来ると信じています。

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