Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです




 7月14日、白川郷から郡上八幡方面へはバスで抜けます。
 …と書くと簡単そうですが、バスはなんと1日に1本!しかも案内所兼切符売り場で貰った時刻が、7月1日のダイヤ改正前のもので、信じてバス停に行ったら出発時刻の3分後でした。
 実際は渋滞でバスが20分近く遅れて事なきを得ましたが、案内所というからには最新の情報を置いてもらわないと困ります。


 最新型のノンステップバスに、僕ら以外の乗客は2人。三連休でこの状態ですから、日頃は空気輸送なのでは?


 でも車窓は素晴らしいです。高さ131メートルのロックフィル式ダム「御母衣ダム」の威容に圧倒!


 広大な御母衣湖の周囲を走って行きます。
 ちなみにバス運賃は、初乗り100円。短距離利用促進のためだと思いますが、1日1本では、なかなか100円運賃を使う機会もなさそうです。


 1時間20分で、長良川鉄道北濃駅着。延長72キロを誇る、長良川鉄道の最果ての駅です。
 終着駅を始発駅に鉄道の旅を始めるというのも、オツなものでしょ?


 無人駅ですが、かつての有人窓口の上には国鉄の「エキゾチック・ジャパン」キャンペーンのステッカーが!


 駅構内には、転車台も残ります。ディーゼルカーは単色塗装で、新型車両ながら渋い味わいを醸し出しています。


 セミクロスシートの車内には、郡上市の観光ポスターがずらり。どのポスターもセンスがあり、旅気分が盛り上がります。これから郡上八幡に向かう観光客としては、歓迎されている気分に。
 車内で貰ったパンフレットは、のちのち役に立ちました。


 長良川沿いを、のんびりと走る長良川鉄道。乗客の子どもたちにとっても、輝く夏の思い出になることでしょう。


 国鉄の雰囲気を色濃く残す、郡上八幡駅着。ここで途中下車です。
 ちなみに僕が手にしている切符は、白川郷~北濃の白鳥交通と、北濃~美濃太田の長良川鉄道を乗り継いで利用できる割引きっぷ。通常運賃3,850円が3,000円になる上、途中下車自由。しかも2日間有効と、僕の旅のためにあるような切符でした。


 八幡町の中心部へはコミバスも出ていますが、夕暮れの涼しい時間なので、川沿いをぶらぶらと登ることに。長良川から、吉田川へと進みます。
 水遊びする家族連れ、BBQに興ずる若者グループ、夕涼みを楽しむカップル、アユと真剣勝負中の釣り人…それぞれが川と親しみ、遊んでいます。いい風景です。


 まずは、今宵の宿にチェックイン。町屋の民宿、小川屋さんです。
 歩くときにはミシミシ音を立てないよう注意せねばなりませんが、昔ながらの町屋が「粋」な雰囲気です。部屋からは通りを見下ろすことができて、昔ながらの下町情緒に浸れます。


 夕方7時、夕暮れの街中へ。路地にはあちこちに沸き水があり、喉を潤すことができます。


 こちらも、どこを切り取っても絵になる街並みです。


 郡上八幡名物、子どもたちが川へ飛び込む橋には、安易な飛び込みを自制する看板が。
 慣れない飛び込みは、命に関わるそうです…。


 無理無理、こんな高さ!


 メインストリートも、いい雰囲気になってきました。


 夕ご飯は、名物の うなぎのかば焼き!
 筑後人としては せいろ蒸しに馴染みがあるのですが、香ばしい かば焼きは美味のひとこと。豊かな川の恵みです。…国産かどうかは分かりませんでしたが。


 食後のもう一杯は、メインストリートにあった町屋バルに。和の空間に、カウンターバーが不思議と似合っていました。観光客と地元の人が さらっと仲良くなれる雰囲気も、旅人には嬉しいお店です。
 ハイボールが280円とやたら安かったのですが、実はまだ開店一週間。試行錯誤している段階で、毎日値段は変わっているところだそうです。次に来る時は、いくらになってるかな??


 提灯や灯篭が並び、夜の雰囲気を楽しめるのは、お泊りの旅人の特権。郡上踊りの開催日ではないのが残念でしたが、その分、落ち着いた佇まいを堪能しました。


 翌朝は、格子越しに通りを眺めながらの朝食をおいしく頂き、まずは郡上八幡城へ。
 復元天守ではありますが、今年80周年を迎える木造の天守閣です。大きな城ではありませんが、山上に凛とたたずむ存在感は充分です。
 城への公共交通機関はないので、タクシーに頼らないのであれば、信じるのは自分の足のみ。


 しかし夏の陽に照らされた郡上八幡は、街並みも山も川もキラキラと輝き、疲れも吹き飛ぶような眺めでした。


 乾いた喉をうるおすなら、ビールよりこれでしょう。郡上八幡の清らかな水で仕込まれた、名物サイダー!郡上踊りを踊るラベルの女性も、サイダーを手にしています。


 麓に降り、旧町役場へ。郡上八幡のお土産品が各種揃っている他、この日は大正時代の大火の展示も行われていました。
 実は郡上八幡の景観を作る建物の多くは、大正の大火の後に再建されたもの。縦横に張り巡らされた水路も、大火を教訓にしたものです。


 川や水路には、洗い場が設けられています。上流が調理、下流が洗い物という序列があり、皆がきれいに使えるよう工夫されています。豊富な水も大切に使う「文化」が根付いた街です。


 上流へ5分も歩けば、乙姫渓谷へ。


 さらに400m登れば、乙姫の滝です。街中から、散歩気分で行くことができる場所に渓谷と滝があるのですから、いろんな意味で水に恵まれた街です。
 川に足をつけてみれば、1分も耐えられないほどの冷たさでした。


 散歩の疲れを、吉田川を望むオープンカフェで癒します。名水で淹れたアイスコーヒー、すっきりした後味が美味でした。
 こちらも夜にはバーに代わり、若い世代でもいい夜を過ごせる街です。


 名古屋では35度を超えたこの日、川遊びをする子どもたちの姿があちこちに。
 川に張り出した家の「人工地盤」の上には庭があり、特徴ある風景を作っています。


 水がもたらす清涼感のまわりには、人々が集まってきます。


 お昼ごはんは、郡上名物のB級グルメ「鶏ちゃん」。地元ではテイクアウトがメインみたいですが、食べさせてくれるお店も何店舗かあるようです。
 みそで味付られた鶏肉に、ごはんも もりもり進みます。


 列車の時間を考えると、街中で過ごせるのもあと20分。この時間も無駄にしたくなくて、「カフェ町家さいとう」で、庭を眺めながらの抹茶タイムを楽しみました。


 名残惜しくも、徒歩で郡上八幡駅へ。


 駅内には小さな鉄道資料館が。廃止に揺れていた当時の「百回の陳情より一回の利用」というキャッチフレーズは、再びローカル線が危機にある今も通じるのではないでしょうか?


 14時52分発の列車を、多くの乗客が待ち受けます。実はほとんどがツアー客で、景色のよい一部区間を「体験乗車」するコースなんだそうです。
 九州でも南阿蘇鉄道や、かつての高千穂鉄道が、同様の手法で集客に努めていました。のんびりしたい個人客には残念な喧騒も、鉄道が明日も走るために必要なものです。


 この列車は「ゆら~り眺めて清流列車」の名前が付いており、景勝地では30キロに速度を落として走ります。
 専用の速度制限標識も立っており、列車が減速を始めたら絶景のサインです。






 確かにキレイ。長良川の美しさを、ゆっくりと楽しめます。
 ただ案内放送は一切なく、団体さんの乗客の中には車窓に関心を示さない人も。アテンダントさんの乗務は無理だとしても、テープででもいいから一言二言「解説」があると、より楽しめるのではないかなと思いました。車窓を楽しむ列車なのに、2両ともオールロングシートというのも、解せない運用です。


 子宝温泉で団体さんは降りましたが、美濃太田に近付くにつれて日常の利用客が増えて行きました。
 美濃太田は非電化の高山本線の駅ながら、近代的な橋上駅に、TOICA対応の自動改札が並びます。少しずつ都会に、そして日常が近づいてきました。


 名古屋までは、特急「ひだ」でプチ贅沢。新幹線の乗り継ぎ割引が効くので、指定席でも大きな負担ではありません。


 最後は、名古屋駅前の地下街で味噌カツを食べてフィナーレ。4日間の旅を共にした旅の相棒とも、ここで解散です。


 18時32分発の東京行き、博多行きそれぞれの「のぞみ」に乗り、それぞれの帰路へとつきました。

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 旅の実質2日目・7月13日は、残念ながら雨になりました。
 2人とも傘の持ち合わせがありませんでしたが、ホテルに「引き取り手のない忘れものの傘はないか?」と聞けば、快く2本持たせてくれました。旅先で迎えた雨の朝、「傘ならあちらの売店で売っています」と断られた1軒を除き、この方法で傘を手にできなかったことは ありません。


 富山駅から、高山本線に乗り込みます。大駅の有人改札も、貴重な風景になってきました。


 高山本線は、富山市内の猪谷までがJR西日本の区間。三セクタイプの軽快気動車・キハ120系が活躍します。富山市による増発社会実験は終わりましたが、2両編成の気動車は満員状態でした。
 大雨で遅れてきたトワイライトエクスプレスに続き、富山駅を発車します。


 猪谷からはJR東海の区間。国鉄形のキハ47系気動車が活躍します。


 青色のシートは、国鉄時代そのまま。ただ決して「ボロ」ではなく、リニューアルしないかわりに徹底して清掃し、限りなく新造状態に近いまま車齢をまっとうさせるのがJR東海の流儀です。
 この区間のキハ47系も、近い将来の車両置き換えが計画されています。


 高山本線は6年前に全線走破していますが、当時は豪雨災害で猪谷~角川が不通になっていたため、鉄道としてのこの区間は今回が初乗り。
 美しい渓谷の眺めは、自然の猛威と隣り合わせということと、裏腹ではあります。


 アユ漁が解禁になったばかりで、釣り糸を垂らす人々の姿が あちこちで見られました。


 高山着。白川郷へのバスの乗り継ぎ時間を利用して、飛騨牛の鉄板焼きを食す!唇で切れてしまうような、とろける味わいでした。
 古いお店でしたが、その分お安く提供するがモットーなのだとか。おばちゃんの飛騨牛うんちくも楽しく、今度はすき焼きを食べに来たいです。


 高山の古い街並みも魅力的なのですが、今回は10秒見ただけでバスセンターに戻りました。


 高山から白川郷へは、濃尾バスの路線バスを利用。高山市内は初乗り運賃100円と安いのですが、市内の病院を出ると、運賃表は2,400円に跳ね上がります。
 わずか50分のバスに2,400円だなんて、観光客の足元を見た暴利だ!なんて憤慨していましたが、東海北陸道に入ったバスは、延々と続くトンネルを走り抜け、白川郷へたどり着きました。道路トンネルとしては国内2位の長さとかで、想像以上に大変な場所へ走るバスだったのかと反省。


 白川郷中心部の一つ手前・荻町で下車。時間は15時前ですが、とりあえず荷物を置きたいので、今夜の宿に向かいました。合掌造りの民宿、伊三郎さんです。
 観光協会のホームページで部屋の条件と値段を入力して申し込んだところ、こちらが指定されてきました。街外れではあるけど、その分落ち着いた いい雰囲気の集落です。


 荷物を置いて、さっそく宿の裏手にある城山展望台へ。雨に煙る合掌造り集落も、また絵になります。


 シャトルバスで麓に降り、明善寺へ。大きさにまず圧倒されます。


 囲炉裏では、夏でも火を絶やしません。茅葺の建物では防虫のため、煙でいぶし続けなければならないのです。


 表通りに出ると、観光客が多くて「田舎らしさ」は感じられません。いつしか都会になってしまった、由布院の富士見通りを思い出しました。
 とはいえ名物を気軽に飲み食いできるのは、観光客向けの店があってこそ。賑わう通りを眺めつつ、微炭酸の爽やかな味わいが広がる「どぶろく」を一杯頂きました。


 カウンターには、韓国の世界遺産集落「ハフェマウル」の仮面がかかっていました。特に説明書きはなかったけど、姉妹集落?にでもなっているのかな。






 表通りは落ち着きませんが、裏通りに入ると絵になる風景があちこちに広がっています。


 18時からの宿の夕食は、ずらりと山の幸が並ぶ豪華版。さらに飛騨牛まで出てきました。
 1泊2食8,500円とはいえ、名だたる観光地の3連休。しかも維持管理も大変な合掌造りの宿ということで、食事にはほとんど期待せずにやって来ていたのですが、この夕食にはびっくりでした!


 夕暮れの合掌造り。白川郷には小規模な民宿・旅館しかないため、夜は観光客の姿もまばらになります。
 韓国のハフェマウルでも感じましたが、泊まって夕方~夜~朝の移り変わりを見てよかったと思える集落でした。


 エアコンもない民宿の部屋でしたが、心地よい風が吹き込み、快適に迎えた朝。縁側に、朝陽が差し込みます。


 朝の時間は観光客の姿もまばらで、ゆっくり散歩を楽しめます。


 モーニングコーヒーは、明善寺を望む合掌造りカフェで。


 朝10時を回り、観光客が続々と訪れ始めました。


 駐車場も満車状態で、早くも空車待ちの列ができあがっていました。






 観光客も増えはじめた時間ですが、集落東側では来る人が少ないのか、のどかな風景が広がっていました。
 このエリアにも民宿があるようで、今度はこっちにも泊まってみたいな。


 和田家を見学。


 天気もよくなってきたので、陽に輝く集落も眺めてみたい!というわけで、再び展望台へ。
 しかし展望台に着くころには曇り、やがて大雨に。ビールを飲みつつ雨宿りしていましたが雨は上がらず、小雨になったタイミングを見計らってバスで下りました。
 下って十分も経つと、再び日差しが…。


 昼食は行列して、大盛り蕎麦をズルっと頂きました。








 24時間近くを過ごした白川郷も、14時半のバスで発たねばなりません。
 最後はバス乗り場に隣接した、合掌造り民家園を見学。移築されてきた民家ばかりなので、建物の並び自体は作られた感がありますが、見学者が少なく落ち着いて散策できるのがいいところ。蕎麦打ち体験もできるようです。

 少し観光地「過ぎる」面はあったけど、どこを切り取っても絵になる風景は代えがたい魅力です。季節を変え、また訪れてみたい街でした。

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 7月の3連休、1日の休暇をくっつけて、4泊4日で富山・白川郷・郡上八幡を巡ってきました。


 7月11日木曜日、仕事を終えていそいそと荷造りし、快速電車で博多駅へ。「みずほ」で一気に大阪へと上ります。
 4列座席で快適な上に、のぞみよりも停車駅が少なく早い「みずほ」は、山陽区間でも人気。夕方の車内は、観光客・用務客ともに弁当を広げる人が多く、なごやかな雰囲気でした。
 食堂車とは言わずとも、簡単なビュッフェでもあれば豊かな時間になりそうだなと思いつつ2時間25分、新大阪に到着。


 JR京都線で大阪駅へ。日曜日以来4日ぶりの大阪駅に立つと、先週の旅の続きという気がしてきました。
 北口からは、各方面への夜行バスが次々に発着します。夜行列車のほとんどが消えた今、夜の旅の主役です。


 今回利用したのは、JRバスの北陸ドリーム大阪号。富山までは阪急バスが直行していますが、朝5時半に着いても早すぎるだけなので、金沢に寄り7時着となるこちらのバスを選びました。
 名神を降り京都駅にも立ち寄ったバスは、満席に。深夜1時の多賀サービスエリアで休憩になりましたが、深夜時間帯の休憩で起こされた人も多かったようです。
 普通に走っていては早く着きすぎるのか、途中のサービスエリアで長時間休止を挟みつつ、朝7時前、富山に着きました。


 東京から同じく夜行バスでやって来た旅の相棒と合流、富山地方鉄道(地鉄)の電鉄富山駅に向かいました。荷物をロッカーに預け、地鉄沿線巡りに出発です。
 モータリゼーションで乗客は減少傾向と聞く地鉄ですが、早朝7時過ぎに着く電車からは、大勢の乗客が降りてきました。


 まずは本線の電車に乗って、宇奈月温泉に向かいます。
 富山方面は、通勤通学客でラッシュ状態。一方、逆方向となる宇奈月行きも滑川への通学需要があり、混みあっていました。
 黒部に着くころには余裕も出て、ローカル私鉄らしい雰囲気に。地鉄には古い駅舎が多く、絵になる風景に出会えます。


 一方で、沿線では新幹線の工事が進んでいて、黒部宇奈月温泉駅も姿を現していました。
 地鉄でも駅を設ける計画とかで、魚津、黒部、宇奈月方面へのフィーダー輸送を担います。ただ地方だと、地元民は直接駅に送迎するパターンが多いし、観光客もレンタカーを借りてしまいがち。新幹線客を取り込むには、積極的な誘客策が必要でしょう。


 宇奈月温泉着。さっそく温泉ホテルのフィール宇奈月へ。宇奈月温泉で朝風呂の日帰り入浴をやっているのは、ここだけとのことです。
 露天風呂からは、黒部峡谷鉄道の宇奈月温泉駅構内が一望。列車の入れ替え作業を眺めながらの温泉は、鉄っちゃんならずとも楽しめるかも。
 機関車に押されて勢いを付けた客車が、切り離されて惰性で走る入れ替え作業は、なかなか見られるものではありません。高校物理のエネルギーの項を思い出しました。


 湯上りは、地ビールで一杯。夜行バス明けの寝不足で、朝からビール。妙なテンションになりました。


 黒部峡谷鉄道には乗ったことがあるので、次の電車まで駅の周辺を散策。酒屋のおばちゃんに勧められ、宇奈月ダムまで歩くことに。
 峡谷にかかる目もくらむ高さの橋を渡っていると、ちょうどトロッコ列車が橋を渡って行きました。


 ひんやり涼しい隧道をくぐり徒歩25分、宇奈月ダムへ。見事な放水が続いていました。


 折り返し電車を新魚津駅で降りて、昼食。今朝港に上がったばかりという刺身の定食と、「富山湾の宝石」と呼ばれる白エビの天ぷらを楽しみました。


 お腹も満足して、再び地鉄の人に。
 魚津~滑川間ではJRと完全併走します。富山へはJRが安くて早く、地鉄としては苦しい戦いになっている模様。
 ただJRは、新幹線開業と同時に第三セクター「あいの風とやま鉄道」への移管が決まっています。地域密着の三セクだけに、鉄道利用そのものを増やすような共存策がとられることを期待しています。


 寺田駅で、立山線に乗り換え。この駅を境に、両線はY字に分岐します。ここもまた古くて、いい雰囲気です。


 駅舎内も、ICカード「えこまいか」のカードリーダーが極端に浮いてみえるほどでした。


 立山線の電車は、富山平野の田園地帯をのんびり走っていましたが、岩峅寺駅を出ると次第に登山鉄道の雰囲気に。
 常願寺川を渡る鉄橋では徐行運転と、運転士からの案内放送が。乗客からは歓声が上がりました。


 川沿いの爽やかな車窓に目を奪われているうちに、立山着です。


 立山は信濃大町へ抜ける、アルペンルートの富山側の拠点。今回はアルペンルートを超える時間はなかったけど、一駅目の美女平までの立山ケーブルを「試し乗り」することにしました。山越えルートが基本のアルペンルートですが、美女平までの往復きっぷも用意されていました。
 麓側に貨車がつながれているのが、立山ケーブルの特徴。登山客の大荷物だけでなく、建設資材を運ぶこともあるのだとか。


 前方の車窓に注目していると、ケーブルカーの前を横切る二匹の動物が。イノシシ?いや、カモシカだ!
 ケーブルカーの運転操作は頂上で行われているので、保安員が無線で連絡。ケーブルが急停止しました。警戒心のないカモシカはなかなか逃げてくれず、警笛を何度か鳴らされても無心のまま、のっそりと山へ帰って行きました。


 美女平駅の屋上からの眺め。この日35度を超えた平野とは、まったく温度が違う風が流れて行きます。
 柵に「いろはす」を置いていたら、甘い匂いに誘われたミツバチ君が寄ってきました。




 美女平駅の周辺の原生林を散策。標高900m程度なので、際立って珍しい植生があるわけではありませんが、人手の入っていない原生林らしく多用な木々を見ることができました。


 立山からの帰路は、岩峅寺で上滝・不二越線に乗り換え。
 立山線沿線より沿線人口は多そうですが、乗客は高校生ばかり。魚津の食堂のおばちゃんも、地鉄には何年も乗っていないと言っていましたが、彼らも卒業したら乗らなくなってしまうんだろうな…。


 田園地帯の家は集落を形成しておらず、ポツポツと建つ家の周りには木々が茂ります。いわゆる「屋敷林」。九州ではなかなか見られない風景の一つです。


 電鉄富山着、地鉄の郊外電車は全線走破です。
 市内をぐるりと巡る、新しい路面電車「環状線」に乗り、都心を一周してみました。線路や車両は富山市が保有、地鉄が経営に当たる上下分離方式の先鞭を告げた路線です。


 車窓には富山城址も流れ、車窓観光を楽しめます。


 県庁近くの居酒屋で、沖漬けのホタルイカを味わい…


 シメは名物ラーメン「富山ブラック」で。なかなかおいしかったです。


 昔ながらの路面電車に乗り、富山大学へ。さらに路線バスへ乗り継ぎたどり着いたのは、昔ながらの温泉観光ホテルです。


 ちょっと古めの15畳の部屋は、修学旅行向けなのだとか。
 枕投げをしたい衝動を抑えつつ、大浴場にゆっくり浸かって夜行バス疲れを癒したのでした。

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 7月7日、関西2日目。この日は京都・桂の後輩ファミリーとともに、貴船の「川床」に行くことになりました。
 鞍馬・貴船には叡山電車で訪れたことがありますが、川の上でご飯を食べられる「川床」は、独りじゃ寂しいなあ…とパスしていたので、願ってもないチャンス。
 阪急、地下鉄、京阪、叡電を乗り継げば電車でも行けるけど、まだ0歳児を抱えての乗り継ぎは大変ということで、ファミリーカーで出発です。








 京都で興味深いのは、全国チェーンのお店や会社でも、看板が微妙に違うこと。厳しい「景観条例」をクリアするための工夫です。
 看板の白の面積を増やしたり、彩度を落としたり。建物のデザインそのものを大胆に変えている所もあります。

 1時間で着いた貴船は、すでに駐車待ちの車でいっぱい。ひとまず上流まで上がったものの空いている駐車場はなく、数十分かけて折り返してきた挙句、結局 貴船口駅近くの駐車場に止めました。
 しかしその駐車場も僕らで満車に。後から来た人は、夕方か別の日に出直すように勧められていました。


 シーズンの貴船は電車で行くか、どこかの駅で「パーク&ライド」するのが得策のようです。
 展望電車「きらら」が誘います。


 シャトルバスで上がり、さらに後輩の子どもを抱っこして上がること20分。さきほど上がった時に順番を抑えておいた「ひろ文」さんに到着。
 人気の流しそうめんは2時間待ちとのことでしたが、すでに駐車のため1時間を使っていたので、あと1時間。
 ベンチで待つなら苦行だけど、川床でごろごろしながら待てるので気持ちがいいです。


 待ちに待った、そうめんの時間。
 川の音を聞きながら、目で口で、耳で涼を感じることができました。


 地下鉄国際会館前駅で後輩ファミリーと別れ、河原町駅へ。阪急の京風イベント列車「京とれいん」に乗りたかったけど、タッチの差で間に合わず!ロングシートの特急で、梅田に出てきました。
 阪急梅田駅の「奥深さ」には、毎度ながら圧倒されます。


 阪急百貨店の広大な通路は、人が途切れることがありません。


 JR大阪駅からグランフロント大阪へも、今日も大きな流れができていました。


 大阪駅ホームを眺めていれば、鉄っちゃんなら何時間でも飽きません。
 今回の週末旅行はここまでですが、この4日後には再び大阪駅経由で旅立つ予定。一旦仕事に「もどる」感覚で、九州へと帰りました。

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 新大阪に着いた僕は、堺東へと向かいました。新幹線から南海線方面であれば、地下鉄御堂筋線で難波に出れば、乗り換えは1回で済みます。
 でも僕の持っている「こだま早特きっぷ」は大阪市内のJR駅まで有効なので、JR京都線で大阪へ、大和路快速に乗り新今宮へ、さらに南海高野線と乗り継いで行きました。こうすれば乗り換えは1回増えますが、新今宮まで「こだま早特」を使えるので、地下鉄代の全額と南海電車の一部運賃が浮くのです。
 地上を走る大阪環状線が好きという、趣味的な視点もあります。

 堺東駅で、堺在住の大学の後輩と合流。今日は彼に、堺の案内をお願いしました。
 堺市といえば歴史の街であり、商都であり、最近では政令市に昇格した都市という予備知識はありますが、持っている知識はそこまで。最近では大阪都構想の中で「分割」も想定されており、どんな街か気になっていたのです。


 集合場所は堺東駅。南海本線の堺駅ではないのか、街外れなのかなと思っていましたが、なんのなんの。ターミナルデパートとして高島屋を擁し、市役所も目の前に位置する、堺市の中心駅でした。鹿児島駅より西鹿児島駅の方が栄えているという、かつての鹿児島市と似たような状況のようです。


 さすがは政令市、市役所も立派な超高層ビルです。


 展望台からは、堺と大阪の街を一望できます。遠く天王寺にそびえるのは、目下日本一の高さを誇るあべのハルカス。眼下に点々と点在する緑のかたまりが、いくつもある古墳とのこと。
 黄色のジャンバーを来たボランティアガイドさんがあちこちにいて、時には人生の話を交えつつ気さくにガイドしてくれます。


 タクシーで、江久庵へ。小売業のエクセルヒューマンが運営する、カステラと和菓子の工房兼直売店です。お茶所「利休」では、庭園を眺めつつ上品な雰囲気の中でランチを楽しめます。お値段も、雰囲気を考えればお手頃なレベルかも。にゅうめんは、カステラ付きで800円です。


 お庭には茶室「朝雲庵」があり、予約すれば無料で使えるのだとか。金の茶道具も、大切に飾られています。


 お隣の方違神社へ。今回の週末旅行と、来週の岐阜旅行のスタートを飾るのにふさわしい神社です。交通安全のお守りはあまたにありますが、旅行安全のお守りを見たのは初めて。あちこちへフラフラしている僕には、必須のお守りです。
 友人にプレゼントされた朱印帳に、朱印も頂きました。これ以上お金のかかる趣味は増やすまいと思っていましたが、集めるきっかけができてしまいました。


 阪神高速の高架下へ移動し、コミュニティサイクルを借りました。1日300円で使えるレンタルサイクルで、他のサイクルステーションに返却してもOKというのがミソ。


 堺市は自転車の生産量が日本一の「自転車の街」。市も率先して、普及促進に努めているようです。観光マップとウエットティッシュを貰い、さっそくペダルを漕ぎ始めました。


 ステーションから歩道橋を渡り、1分もかからない場所にある線香の製造販売元「奥野晴明堂」へ。堺は線香も特産品の一つで、「街角博物館」にも指定されているこちらにはズラリと商品がラインナップされており、その場で買うこともできます。
 線香なんて、大手メーカーの大量生産品を適当な所で買うものと思っていましたが、さすがは専門店。さまざまな香りの商品があり、パッケージもしゃれています。気分や気候に合わせて香りを選べば、ご先祖様も喜ばれることでしょう。
 日本酒の香りの線香を、酒豪だった亡き祖父にあげようかとも思いましたが、あちらで悪酔いされても困るので、友人おすすめのものを買い求めました。


 チャリで南宗寺へ。大坂夏の陣で焼けた家の瓦を積み重ねたという塀が、印象的です。


 重文の山門、甘露門。よく手入れされており、気持ちのいい境内です。


 方丈枯山水庭園は、国の名勝に指定されています。何時間でも佇んでいたい、心休まる庭園です。


 南宗寺からチャリで約20分、市立博物館の前には、市の茶室「伸庵」「黄梅庵」があります。


 国の登録有形文化財ですが、立礼席で気軽にお抹茶を楽しむこともできます。300円也で、落ち着いた時間を愉しむことができました。


 博物館の特別展では籔内佐斗司作品展「やなとぢから」が開催されており、実物大?のせんと君にも出会えました。常設展では堺の歴史をよく学べました。


 堺市の観光ハイライトともいえる、仁徳天皇陵へ。地上からだと なかなか全容を掴めませんが、世界でも有数の規模の墓地になります。
 管轄が宮内庁というのも、歴史が今に続いている証。市内の古墳の多くが、宮内庁の管轄なのだそうです。


 仁徳天皇陵から最寄はJRの中百舌鳥駅で、こちらにもサイクルステーションがあるので返却。堺東駅近くの居酒屋で一杯やって、堺半日駆け足観光は終わりました。

 思いの他みどころが多く、大阪市とも違う気質も感じた堺市。今後の大阪都構想の流れを見つつ、また訪れてみたいと思います。

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 九州新幹線との直通運転開始以来、好調を維持していた山陽新幹線も、昨年就航したLCCの攻勢に悩まされています。

 そこで挽回策としてこの春、二つの割引きっぷが発売されました。一つは14日前までの購入で、福岡~大阪間の「のぞみ」「みずほ」等を片道1万円で利用できる「スーパー早特きっぷ」で、これは5月に利用してみました。
 そして、もう一つの目玉商品が「こだま早特往復きっぷ」。同じく14日前までの購入が条件で、「こだま」の利用に限られる代わりに、往復15,000円という激安価格。西鉄高速バスの往復運賃17,800円も下回る設定です。

 しかし博多~新大阪は5時間前後かかり、一般の旅行者に受け入れられるのかはなんとも未知数。そこでこだまの5時間を体感すべく、一応の発売期間最後の週末となった7月第1週に、関西往復週末旅行を企ててみました。


 7月6日は早起きして、始発「つばめ」に乗るべく久留米駅へ。前日の飲みすぎがたたり、ひどい二日酔いの体をひきずりつつ、なんとか駅にたどり着きました。
 「こだま往復早特きっぷ」は福岡市内発なので、在来線用の券売機で(福岡市の末端駅の)南福岡までの乗車券を、新幹線の券売機で新幹線特急券を購入。3枚を改札に投入したところ、見事認識してくれました。


 上り始発の「つばめ」に乗るのは、九州新幹線の開業日と、1周年の日以来。いずれも空いていましたが、今日は土曜日ということで、早起きのおでかけ客を中心に自由席へ列ができていました。


 博多で6:34発の「こだま730号」に乗り換え。700系「ひかりレールスター」型の車両です。
 なお次の設定列車は11:23発で、新大阪着は16:05と、もう夕方といえる時間。こだま早特で当日に関西観光を楽しみたければ、早起きは必然になります。


 二日酔いのためこんこんと眠り(笑)、ようやく9時前の三原付近で目覚めました。「のぞみ」に追い抜かれます。


 レールスターの8号車には普通個室の設備がありますが、8号車が自由席となるこだまでは「業務用室」と表示され、閉鎖されています。こだま早特は子ども料金が3,000円と安く抑えられており、家族で利用する人も多いはず。個室の開放を望んでいるファミリーも、多いと思うのですが。


 新倉敷では、同じくこだまとして活躍する500系と並びました。いずれも第一線を退いてしまった車両ですが、文句なくかっこいい500系、ゆとりのレールスター、どちらの持ち味も失われていません。


 相生でも、のぞみが追い抜き。もう慣れっこになってきました。


 博多から4時間31分、定刻に新大阪駅着。5時間を要するこだまが多い中で、比較的俊足?を誇るこだまでした。



 帰路は7月7日日曜日、新大阪17:38発のこだま755号を利用しました。こちらもレールスターで、本当は1本前の500系こだま753号を利用したかったのですが、団体の予約が入っており満席とのことで、1本後のこの列車に移りました。
 こだまのすぐ前には、鹿児島中央行きさくらが発車。これに乗れば3時間早く久留米に着けるという雑念を追い払い、ホームへと急ぎます。


 山陽本線の新大阪折り返し列車専用ホームとなる20番乗り場は、どこかのんびりしたムードが漂います。


 レールスターのゆったりシート。近年の車両に比較すると、座席まわりにはどこか「ごつさ」を感じます。またパソコン用コンセントも車端部のみです。ただ13年前の設計思想としては、最先端の先を行くといえるレベル。この成果が、さくらなど他の新幹線車両にフィードバックされていきました。


 30分後の西明石で、さっそく数分の停車。500系とちがって車内に喫煙室がないレールスターでは、停車時間はスモーカーにとって貴重なスモーキングタイムになります。喫煙所が埋まる風景が、停車の度に見られました。


 岡山駅では、かつての鈍行列車を彷彿させる25分停車。この時間を利用して、改札内の喫茶店で夕食にしました。売店も品揃え豊富です。この先の駅では自販機でくらいしか物を買えないので、酒類や食べ物は岡山駅で仕入れておきましょう。


 隣のホームに到着した岡山終着のひかりから、少なくない乗り換え客を受けます。
 なお岡山発車時点で、3両の指定席は3割程度の乗車率に。指定席車両が1両増えた中での3割ですから、山陽こだまとしては まずまずの乗り具合では?自由席は2割程度で、編成前半の5列シート、後半の4列シートの乗車率に顕著な差はありませんでした。


 多彩な設備が自慢だったレールスターですが、自販機すら使用停止に。ただこだまの場合、各駅の停車時間にホームの自販機を利用できることから、割高な車内の自販機は利用が伸びないのかもしれません。


 福山では、上りレールスターと並びます。


 東広島でも通過待ち。高架駅といえるほどの高さはなく、半フロア程度の階段を降りたところにあるのは、木造平屋建ての小ぶりな駅舎。ホームもフルオープンになっており、新幹線の駅らしくありません。


 マツダスタジアムを見れば広島着。残りコースも2/5程度になりました。
 スタジアムは試合終了からしばらく経っていたようですが、終了後の余韻を楽しんだ人たちでしょうか、カープのユニフォームを着た人が数人乗り込んできました。


 広島から先は先細りになる一方で、最後尾の自由席は無人車両に。その分のんびりした旅を楽しめるのは間違いありません。席を向い合せにして足を投げ出し、長時間停車を楽しめるこだまの旅は、普通列車より「鈍行」らしい旅なのかも。


 新大阪から5時間10分、博多着。二日酔いで眠ったり、大量の本を持ち込んだりしていたおかげで、思いの他退屈しない往復10時間でした。
 指定席の3両からも、大阪から乗りとおしたと思しき大荷物のグループも何組かいました。当面の発売期間となっていた7月以降も、10月までの継続発売が決まっており、それなりに支持されたようです。

 願わくば「スーパー早特」と同様に片道で売ってほしい切符ではありますが、今のままでもまた使うかも。その機会があるなら、今度は500系の旅も楽しんでみたいと思います。

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