Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです




 年末年始の旅行では、三陸沿岸の鉄道各線に乗り降りしました。なかなか進まない鉄道各線の復旧ですが、それでも昨年の冬から1年の間に再開された区間もあります。また春には、さらなる復旧も予定されています。
 少しずつ元の姿を取り戻しつつある、鉄道各線の今の姿です。


 常磐線・原ノ町~相馬、2012年1月10日徐行運転解除。


 常磐線・浜吉田~亘理、2013年3月16日再開予定。


 仙石線・陸前小野~矢本、2012年3月17日運行再開。2013年3月16日、増発予定。


 石巻線・石巻~渡波、2012年3月17日運行再開。


 石巻線・渡波~浦宿、2013年3月17日再開予定。


 三陸鉄道北リアス線・宮古~小本、2012年4月1日徐行運転解除、増発。通常運賃へ。


 三陸鉄道北リアス線・田野畑~陸中野田、2012年4月1日運行再開。


 八戸線、2012年3月17日全線復旧。

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 毎年恒例の春の鉄道ダイヤ改定、ニューフェイスの列車といえば秋田新幹線の「スーパーこまち」が目立つ程度で、今年はあまり多くありません。
 そんな中でも俄然、僕が注目しているのは、南九州の私鉄・肥薩おれんじ鉄道が満を持して投入する観光列車「おれんじ食堂」です。構想は以前から公表されていた列車ですが、1月18日に専用サイトがオープンし、全貌が明らかになりました

 肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線開業に伴い廃止となった八代~川内間のJR鹿児島本線を引き継いだ、第3セクター鉄道。おだやかな東シナ海を望む、美しい車窓が自慢の路線です。僕も九州内では一、二位を争う絶景路線だと思っています。
 ところが車両はと言えば、観光快速やイベント対応車両はあるものの、比較的平凡なワンマンのディーゼルカーばかり。JR九州が各地で走らせているような観光列車に比べると、魅力に欠けるのは否めませんでした。

 今回登場する「おれんじ食堂」はその名の通り、沿線の食材を使った、旬の料理が楽しめるグルメ列車です。さすがに車内で調理とはいかないものの、メインディッシュは沿線の味処からできたてをデリバリー。ご飯やスープはミニキッチンから、温かいものを提供するそうです。大改造される車内には、座席に広いテーブルが設けられており、限りなく食堂車に近い感覚になりそう。海を見ながら温かいご飯だなんて、JRの観光列車にない魅力で、これは楽しみ!

 列車は2両編成で、1号車はダイニングカーとして、食事と全区間乗車をセットで販売。2号車のリビングカーは普通運賃に指定席料金を追加すれば乗れて、オプションで食事も付けられるシステムになるそうです。エコノミークラスで、追加料金を払ってファーストクラスの食事を食べるような感覚かな?

 気になる料金は、1号車だと、ディナータイムの3号で14,600円、ランチタイムの1号でも12,800円と、なかなかのお値段です。一方、2号車は指定席料金(1,400円)と食事(3,500円)に、新八代~川内間の運賃(2,710)を足しても7,610円。1号車では沿線の「食のエンターテイメント」やフリードリンクが付くようですが、それにしては大きな差です。食事の内容もちがうのかな?
 2号車は各種フリーきっぷも利用できるので、たとえば九州全鉄道の普通列車が乗り放題の「旅名人の九州満喫きっぷ」ならば、8,400円(食事込み・3人利用の1人当たり)で福岡から訪れることも可能です。

 たとえば、こんなコース(現行ダイヤが基準)。

【往路】西鉄福岡7:00(特急)8:04大牟田8:12(普通)9:08熊本9:38(普通)10:09新八代10:18(おれんじ食堂1号)13:33川内
【復路】川内14:19(おれんじ鉄道)15:59津奈木…つなぎ温泉色彩…津奈木17:57(おれんじ鉄道)18:55八代19:08(普通)20:51大牟田21:13(快速)22:21博多


 各地の「並行在来線」と同じく、膨大な赤字に苦しむおれんじ鉄道にとって、起死回生の大いなる期待を掛けて送り込む「おれんじ食堂」。 
 明智鉄道や樽見鉄道でもグルメ列車は試みられていますが、いずれも既存の車両にテーブルを持ち込んだもので、料金も5千円程度。いずれも人気を博していますが、都市部に近いのは強みの一つでしょう。
 それに対して「おれんじ食堂」は、車両そのものを改造する大掛かりな試み。運賃もかなり高い上に、大都市圏から距離があります。勝算はあるのでしょうか?前例のない列車だけに、なんとも判断できないところです。

 ホームページには、パスワードの掛かった「旅行会社の皆さまへ」というページがあり、団体旅行に組み込むことが想定されているのでしょう。鹿児島へのバスツアーの途中で、昼食は「おれんじ食堂」…人気を博しそうなツアーです。
 でも個人客も大切にしてほしいところで、JRとの連携が鍵になりそうです。指定席券はJR九州の窓口で扱うようですが、たとえば片道は「おれんじ食堂」、片道は新幹線の往復きっぷなんてあると、だいぶ乗りやすくなります。おれんじ食堂目当てに新幹線でアクセスしてもらえれば、JRにとっても悪い話ではないはず。

 いまのところ九州の列車といえば、JRの豪華寝台列車「ななつ星」が注目を浴びていて、「おれんじ食堂」はあまり注目を浴びている印象がありません。車両が落成したら、福岡方面へもどしどしPRしてほしいところです。

 特急「つばめ」のビュッフェでご飯を食べつつ眺めた海を、ふたたび美味しい食事とともに楽しめるようになる…夢のような列車の成功を、心から願っています。
 春になったら、仲間を募って「九州満喫きっぷ」片手に訪れる計画を立てているところです。

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 1月2日は宮古から久慈へ、三陸鉄道・北リアス線で北上しました。
 昨年は津波の被害で小本〜陸中野田間の35kmが不通で、この間の代行バスは1日2本、しかも休日運休という状態。このため小本で引き返し、一度八戸まで上ってから陸中野田へと下りました。

 昨年の4月には田野畑〜陸中野田間が復旧し、不通区間は小本〜田野畑間の10.5kmにまで短縮。代行バスも1日6本に増発され、宮古と久慈の間もスムーズに乗り継げるようになっています。

 震災数日後には、とにかく動かせる区間から列車を走らせ、全国からの注目を浴びた三鉄。津波に備え高台に線路を作ったことから、他線より被災した区間の長さが比較的短いこと、国からの支援を受けられることなど条件の違いはありますが、地域の足としての熱い自負心を何よりの原動力に、早期復旧を目指す鉄道会社です。


 三陸鉄道宮古駅。リニューアルを終えたJR駅に比べ、ちょっと質素な雰囲気ではあります。


 11:45の列車を待つ列。昨年、宮古〜小本間はわずか4往復の運転でしたが、7往復にまで増えました。徐行運転も解除された代わりに、特別割引運賃も終了。少しずつ、震災前の姿に近づきつつあります。


 著名人から寄せられた、応援の色紙。復興のシンボルとして、全国の注目を集めます。


 小本までの列車は、「手をつな号」。


 有名キャラクターたちが手を携える列車です。


 山の中を走った列車がはじめて海を望むのは、田老駅の前後。田老までの運行再開は震災わずか9日後で、がれきの中を走る列車の姿は驚きでした。
 田老駅出発後も、津波浸水域を抜けるまで列車はしばらく徐行を続けました。アナウンスこそなかったものの、遠来の乗客に、目に焼き付けておいてほしい風景なのだと思います。


 小本着。田野畑までの県北交通バスは、列車代行ではない臨時バスのため、運賃は別払いになります。県北交通バスカードも使えます。


 島越駅を経由するため、海沿いに走るものとばかり思っていましたが、立派な自動車専用道の「三陸北道路」を登り始め意表を突かれました。


 海ははるか眼下で、島越駅との距離もかなりありそう。ただバスの経由する高台こそが田野畑村の中心部のようで、三鉄の駅以外にも細かにバス停が設けられていました。集団高台移転の用地も造成されていました。


 エンジンブレーキを駆使して山を下り、田野畑駅着。カンパネルラ田野畑の愛称が付いた駅舎はメッセージが掲げられ、かわいく改装されていました。


 駅の待合室には、29年前の開業時の新聞記事のスクラップが。この路線もまた、悲願の末に開業した鉄道でした。


 田野畑駅から、島越方面を望みます。来年にはこの先へ、宮古へ、列車が走ります。


 久慈駅行き列車が入線してきました。青い特別バージョンの車両の愛称は、「さんりく・しおかぜ」。その正体は…


 お座敷列車!しかもテーブルがこたつになった、三鉄名物「こたつ列車」です。2006年に走り始め、6年の歴史がある企画列車でしたが、昨年は不通区間が長く1年お休みになってしまいました。今年と来年までは田野畑〜久慈の1時間の旅路ですが、2年後の冬には宮古から乗れることになるのでしょう。


 大漁旗が揺れます。


 こたつといえば、みかん!車掌さんからの無料サービスです。ちなみに、こたつ列車の指定席料金は300円です。


 乗車券は、昔懐かしい硬券。鉄道会社としては駅員を配置せず、委託販売を行う駅で発行したことを示す「ム」印は、国鉄スタイルそのままです。


 トンネルが多くの区間を占める区間ですが、景勝地では徐行運転や一旦停止も。雪が降り始めましたが、あの日の高い波が嘘のような美しい風景です。


 トンネルの区間も、イベントに活かせるもの。真っ暗に照明が落とされ、現れたのは「なもみ」。なまはげの親戚??「悪い子はいねえが〜?」と車内を巡り、こたつに隠れる子あり、先手を打って「ごめんなさい!」と謝る子あり。車内がどっと沸きました。


 野田村に入ると、うずたかく積まれた災害廃棄物の山が現れます。


 女性車掌は、津波の遡上高さや堤防の決壊箇所などもきちんと解説。三鉄では被災地視察へのサポート事業も行っており、会社を窮状に追い込んだ大災害とも向き合い、経験を今後に活かす取組みを進めています。
 このあたり、昨年の段階では線路の敷設もまだ行われていなかった区間で、1年で列車に乗れたことが感慨深かったです。


 久慈駅着。笑顔をつなぐ、ずっと…。

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 三陸沿岸の津波で甚大な被害を受け、不通が続くJR東日本の気仙沼線、大船渡線、山田線。これらの復旧の手法としてJR東日本は、線路を剥した専用道路にバスを走らせる「バス高速輸送システム」、通称『BRT』による復旧を提案しています。

 あくまで鉄道復旧を求める沿線自治体は、「仮復旧」の手法の一つとして同意。12月22日から、気仙沼線にBRTが走り始めました。低床バスや新しい駅舎、高頻度運行など、ローカルバスとしては破格のサービスを提供する裏には、「これで満足してもらえないか」というJRの思いも見えてきます。

 ところで同じ手法のバスの先行事例ともいえるバス路線が、茨城と福島にあります。そこで今回の旅行では1日目に茨城、福島、3日目に気仙沼線のBRTを乗り比べてみることにしました。


★「かしてつバス」石岡駅~四箇村駅

 まず1ヶ所目は、常磐線石岡駅から分岐していた鹿島鉄道の廃線跡を利用した「かしてつバス」。関鉄グリーンバスが運行する路線のうち、専用道路を経由するバスの愛称です。
 鹿島鉄道の代替バスだけではなく、話題の新空港・茨城空港の連絡バスも、この専用道を経由します。


 石岡駅前のバスターミナルから発着します。


 木の床!懐かしい雰囲気がただようバスです。乗客は空港行きバスらしく遠来の人が多く、中国人も混じっています。SuicaやPasmoは使えないのか?との質問を運転士が受けていましたが、今のところ対応していません。
 代わりに?かしてつバス専用の1日乗車券(1,000円)があり、空港往復だけでもモトが取れます。


 石岡駅を出発し、踏切を渡るとすぐに専用道の入口があります。遮断機が設けられており、バスが近づくと自動的に上がるシステムです。
 ちなみにこの道路は関鉄グリーンバスの持ち物ではなく、市の所有・管理なのだとか。インフラは公設、運営は民間という、いわゆる「上下分離」の考え方です。


 バスは30~50kmくらいの、ゆっくりした速度で進みます。しかも一般道路との交差部分は、ほとんどが一般道路側が優先道路…つまり踏切の度に停車を強いられてしまい、あまり早くはありません。所要時間は石岡~小川間で、鉄道時代より5分伸びています。


 四箇村駅で専用道は終わりますが、この先小川駅までは延伸の計画があるようです。
 一般道に移ったバスは、水を得た魚のごとく快調に走り始めます。これなら一般道を走った方が早いんじゃ?とも思いますが、信号停車もあるし、時間帯によっては渋滞も激しいのだとか。専用道は定時性の向上に、大いに役立っているとのことです。
 快調なのはいいのですが、運転士さんが利用者数調査の調査シートを運転しながら記入しており、時々バスがフラついてヒヤリとさせられました。小川駅前の40km制限の狭い道を、55kmで飛ばすのもどうかと…


 35分で茨城空港着。千歳2便、神戸2便、上海1便という本数の少なさですが、帰省ラッシュの時期とあってターミナルビルは大賑わいでした。無料駐車場も盛況です。
 ターミナルは地方都市の玄関駅程度の規模ですが、広いターミナルなど疲れるだけ。歩く距離は最小限で、利用者に優しい空港といえそうです。


 帰路のバスは、都バススタイル。中古車かな?
 僕一人きりだったバスに最初に乗り込んできたのは、ベトナム人。整理券を取らずに乗ったので、運転士さんは「券取って!」と言いますが、キョトンとした様子です。カタコトの日本語で「僕、ベトナム人で…」と返してみたものの、
 「ベトナム人か知らないけど、整理券取らなきゃどこから乗ったか分からないでしょ!」
 とひどい対応。僕が代わりに乗り口まで行って券を取り渡しましたが、国際線も発着する空港行きバスがこんな接客では、茨城、いや日本の印象に関わってしまいます。


 専用道に戻り、石岡南台駅で下車してみました。このバス停に限らず、旧駅のバス停は「駅」と称します。跨線橋も備えた立派な駅ですが、跨線橋は立ち入り禁止になっています。


 南台ニュータウンの玄関口として平成元年に開業したばかりで、開業わずか19年で廃止の憂き目にあいましたが、3年後にはバス停として復活しました。団地周辺では並行する国道も少し離れており、国道を走るバスが一旦団地へ立ち寄るのも無駄が多そうです。
 南台ニュータウンへのアクセス確保も、専用道整備の目的の一つ…だったのかも。


 かしてつバスをバス会社ではBRTと呼んでいませんが、工事看板には道路名称として「BRT」の文字がありました。


 銀色の「かしてつバス」カラーをまとった専用バスで、石岡駅へ。バス停やバスには大きな「か」の文字をシンボルとしてあしらっていて、親しみやすい印象を受けました。

 かしてつバスは速達性よりも、定時性や、廃線跡の駅に近い位置にバスを走らせるための専用道という印象を受けました。優先道路化など、工夫次第では速度向上も見込めそうで、今後の延伸の際にはぜひ実現してほしいです。


★白棚線・棚倉~白石

 JRバス関東・白棚(はくほう)線は、1957年開業と古い歴史を持つ専用道バス。もともと国鉄白棚線という路線でしたが、戦争の激化で1944年に不要不急路線として撤去。戦後、鉄路としての復旧を断念し、バス専用道を走る「白棚高速線」となりました。


 夕方4時を前に、早くも夕暮れの磐木棚倉駅からバスに乗ります。この時点で2分遅れ。


 バスは女性運転士で、やさしい運転と丁寧な案内に好感を持ちました。
 駅を出るとすぐ、左手にバス専用道が折れていきますが、バスはそのまま国道を走ります。開業当初に比べれば格段に国道の整備が進んでいて、専用道から国道への載せ替えが進んでいるとのこと。


 Yの字状に分かれる専用道。ここから「元祖BRT」の旅が始まります。


 丘陵地を切り通し、田んぼの中をゆるやかに走るバスは、まさにローカル鉄道線の感覚。かしてつより速度は高く、ほとんどの道路もバス側が優先になっていて、快調な走りを見せてくれます。
 ただ並行する国道も信号機は少なく、おそらく国道経由でも所要時間に大差はないはず。ここも、旧駅跡にバスを直通させることが、専用道の役割になっているのかもしれません。


 途中「駅」はバス交換ができるようになっており、まさにローカル線の雰囲気です。途中の磐城金山駅には1996年まで「駅舎」も残っていたといいますが、この前後は国道経由に切り替わっています。


 震災の影響か路面には亀裂が多く、バスは結構揺れます。専用道はバス会社の自前管理になり、舗装や除雪の費用も一般路線にはない負担になってしまいます。震災では白棚線専用道の一部で不通区間が出ており、今も一般道に迂回する区間がありました。


 関辺で専用道が終わり、後は一般道で新白河へと思っていたら、「ただいまバスは7分遅れで運行しています」とアナウンスがありびっくり。出発が2分遅れた以外に特に遅れる要素はなく、丁寧な運転が遅れにつながったのでしょうか…?

 この後は、本数の少ない東北本線の普通に乗り継ぐ予定で、その後の約束もあったので、時計とにらめっこしながら間に合うかハラハラ。鉄道ならば接続を取ってくれるのでしょうが、ローカルバスではそれもかなわぬ話です。いくら専用道バスといえども、やはり鉄道並みの存在感と安心感は示しえない…バタバタと東北本線に乗り換えながら、実感したのでした。


★気仙沼線BRT・柳津~気仙沼

 3日目、BRTとしてスタートを切ったばかりの気仙沼線に乗るべく、始発地の柳津に向かいました。
 震災以降、長らく沿線の路線バスに振替え輸送を行っていた気仙沼線が、JRの代行バスとして「暫定運行」を始めたのが8月20日。この時点では中古バスを使用し、専用道区間も2.1kmに留まりましたが、12月22日のBRT本格運行とともに専用道区間が2.3km拡大し、バスも新型のハイブリット式低床バスに切り替わっています。


 区間運行の気仙沼線は、柳津終着。BRTへの乗り換えは、跨線橋を渡り駅前まで出なくてはなりません。この間の乗り換え時間は、わずか3分。今後もしばらくは柳津接続になるはずで、ホームタッチでの乗り継ぎ、少なくとも上下移動を伴わない乗り換えができるような構造が望まれます。


 赤い真新しいバス。


 車内には情報装置も備えられ、バス・列車の運行情報や最新のニュースが提供されます。バスとしては、最先端の設備です。


 しばらく車窓は田園地帯が流れますが、次第に荒涼とした風景に変わっていきます。山の奥深くまで流れ込んだ津波の痕跡に、唖然とするばかり。気仙沼線の築堤や橋梁も、あちこちで破壊されています。
 最終的に気仙沼線のBRTは6割が専用道になる計画で、「たったの6割で高速輸送システムなの?」と思っていましたが、実際に目の当りにすると、6割も専用道にできるのかとの驚きに変わりました。路盤の復旧も大仕事になることが予想されますが、将来の鉄道復旧も見越した構造になることを望みます。


 志津川駅着、ここで一旦下車します。志津川駅はもう少し海側の街中にあったのですが、市街地のすべてを流されてしまい、暫定運行時には夜、真っ暗な中でバスを降ろされるような状況だったとのこと。BRT化とともに駅は仮設商店街の横に移設され、新しい駅舎も営業を始めました。


 こぎれいでコンパクトな駅舎には、駅員さんも常駐。モニタには、バスの運行が表示されています。バスとはいえ、最先端の交通システムというイメージです。


 気仙沼線の路盤。建設年を示すプレートには、1976-2の文字が刻まれ、決して古い路線ではなかったことを伝えています。80年の悲願の末に誕生した鉄路は、わずか35年で破壊されてしまいました。


 再びBRTに乗車。仮役場のあるベイサイドアリーナに立ち寄り、再び津波の爪痕残る街を走って歌津駅へ。この駅から1駅、専用道を走ります。


 この区間の専用道は、ほとんどがトンネルの中。山道となる国道に比べて直線で結ぶ専用道の速達性は高く、この区間の開業で3分の時間短縮を実現しました。「高速輸送」の面目躍如です。


 本吉駅は既存の駅舎を「BRTデザイン」に改装。3分停車し、トイレに行くこともできます。運転士さんもここで交代。掛け合い漫才のような運転士同士の会話に、なごみました。
 ここから先、気仙沼まではバスの本数が倍増し、30分ヘッドのダイヤになります。鉄道時に比べれば3倍増の本数で、他線の列車代行バスが列車の半分程度の本数に留まっていることを考えると、破格の扱いと言えます。


 国道を右に折れ、陸前階上からは再び専用道区間になります。階上駅は駅のホームや跨線橋をそのまま残し、隅にBRTの駅が設置されています。


 この区間の踏切は、ほとんどがバス優先です。


 最知駅で専用道は終了。歌津~陸前港間の専用道出入口には警備員が立っていましたが、こちらは無人で遮断機が昇降。暫定運行開始から4ヶ月が経過し、地元の車も慣れたのでしょう。
 ただ最知駅から一般道へ出る交差点には信号機がなく、右折して国道に戻るまで数分を要しました。これなら国道をストレートに走った方が早く、前後の専用道が伸びてこそ実力を発揮できる区間です。


 気仙沼市街地に入ると、師走の渋滞に掴まりました。市街地の渋滞区間こそ、定時性向上のために専用道化が望まれる…かしてつの例を思い出しました。ただこのあたり、気仙沼線沿線はかなり津波の被害を受けており、乗客を集めるためには国道経由の方ベターなのかもしれません。


 不動の沢駅付近では、専用道化の工事が始まろうとしていました。この他の区間でも、準備が進んでいます。


 気仙沼駅着。沿岸部の主要駅はリニューアルが進んでいて、気仙沼もこぎれいな雰囲気になっていました。


 折り返しのBRT。沿線のゆるキャラが踊ります。


 近くの神社の跨線橋から見た、大船渡線のレール。赤さびたレールに列車が来ないのを知ってか、猫が我が物顔で横切って行きました。

 実際にBRTに乗車して感じたのは、事前の情報で知っていた以上に、最大限の輸送サービスを提供しようと努力しようとしていたこと。被災3線だけでなく、過疎ローカル線の今後の在り方として、モデルケースとしていきたい意気込みを感じました。

 現状では、被災前は快速で50分台だった柳津~気仙沼間に2時間もかかり、BRTの乗客も決して多くないことは気にかかりました。便利な仙台直通快速もなくなり、鉄道の速達性にかなわないのは否めません。
 ただ専用道が広がればスピードアップできそうな区間は多く、高速道路を経由し仙台まで直通する快速南三陸の代替便なんてあれば、都市間輸送もカバーできるかもしれません。サービス改善を重ね、沿線の人からBRTの方が便利と思ってもらえればJRも本望だろうし、喜ばしいことだと思います。

 ただ…一旅行者として、バスの車窓からも美しかった三陸の海を、いつか気仙沼線の列車から見てみたい。金銭的に厳しいのは百も承知だけど、遠い先のことかもしれないけど、鉄路としての気仙沼線をいつかは復旧させてほしい。鉄道が大好きな旅人の、率直な願いです。


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 うまいもの、いい景色も目的だったけど、鉄っちゃんなのでやっぱり一番の目的は未知の路線と列車です。昨年も同じように東京~東北をジグザグに旅行しましたが、今回はジグザグのパターンを変え、少しでも乗車距離が延びるようにプランニングしてみました。
 というわけで今回乗った列車&路線のうち、9つをピックアップ。



常磐快速線の2階建グリーン車
 首都圏ならではの「普通列車のグリーン車」。750円の投資で、南千住から石岡までの1時間強(相棒は勝田まで2時間)をくつろぎの時間に変えました。佐貫(さぬき)駅付近では、女性アテンダントが讃岐うどんを車内販売に来るという、まさかの展開も!?



水郡線キハE130系
 キハながら、JR東日本の新世代通勤電車と同じ内装。ツーマン運行でも車内放送は自動で、ローカル線でも首都圏と同じ輸送サービスを提供しています。ただ旅情には欠けるんだよね…帰省ラッシュでもあり、清流の景色をゆったりと堪能できなかったのは残念でした。
 ただ、3両編成のうち常陸大子で2両を切り離す予定を、乗客の多さから急きょ2両を郡山まで走らせたのは臨機応変な対応で、素晴らしかったです。



仙石線マンガッタンライナー
 仙台と石巻を結ぶ仙石線は、津波災害で一部運休が続きます。漫画の街・石巻にちなみ、石ノ森漫画が車内外に踊る「マンガッタンライナー」も途中駅止まり。数年後には、この電車で石ノ森漫画館を訪ねてみたいものです。



釜石線急行型キハ110系
 釜石線の急行「陸中」向けに登場したキハ110系も、今は快速格下げで格安旅行派にも身近な存在に。快適なひとときを過ごせました。
 JR世代の車両とはいえ、登場から24年。今見れば、座席やトイレ回りにはどことなく国鉄的な造作も見られる車両です。本来の用途だった「急行」という列車種別も、JRでは風前のともしび。時代の流れを感じます。



三陸鉄道「こたつ列車」
 昨年は不通区間が長く、三鉄名物「こたつ列車」も運休を余儀なくされたのですが、今年は復旧区間が伸びたことから運行再開。こたつでミカンをほおばりながら、冬の表情を見せる太平洋を眺めました。
 途中の長いトンネル区間では、真っ暗な車内へ『なもみ』が「悪い子はいねえが~?」と乱入。向かいの子はこたつに隠れ、他の席の子は先手を打って「ごめんなさい!」。車内がどっと沸きました。



八戸線リゾートうみねこ
 昨年は途中の種市止まりだった八戸線も、昨春に全線運行再開。津波被災区間も移設せずに再開したことから、沿線には避難階段が準備され、車内にも脱出用ハシゴが設置されました。
 昨年は全席自由席だったリゾートうみねこにも、指定席が登場。僕らは自由席のお座敷ボックス席で、太平洋を眺めながらの一杯を楽しみました。



急行はまなす
 青森~札幌を結ぶ実用的な夜行列車は、カーペットカー、座席の自由席、指定席に寝台車と、バラエティに富んだ編成が特徴。夜中にお話ししたい向きには、サロンコーナーもあります。乗客も乗りなれた感じの人が多く、青森発車後10分も経たないうちに車内は「お休みモード」へ変わりました。



室蘭本線キハ141系
 以前は「赤い電車」の活躍舞台だった室蘭本線南部ですが、学園都市線の全電車化と引き換えに「お古」のディーゼルカーがまわってきました。冷房化はサービス向上ですが、電化区間なのにディーゼルとは解せない気も。ワンマン化も実施されています。
 この車両、もとは50系客車がベースで、車内の造作にも名残が見られます。かつては全国で見られた50系客車も原型を留める車両は消滅しており、客車の雰囲気を残すキハ141系は貴重な存在かも。



寝台特急北斗星
 「カシオペア」や「トワイライトエクスプレス」に比べて、一人旅も似合う「北斗星」は大好きな列車。B寝台で北海道産ツマミを肴にビールを傾け、サロン室では北海道カマンベールに室蘭ワインを空け、食堂車ではニッカの小瓶を窓ガラスに映し…「呑み鉄」にはたまらない列車でもあります。


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 旅行の楽しみは何を置いても、うまい食べ物とうまい酒!(笑)

 今回の旅行でも、酒どころであること、お正月であること、東北での消費が東北の元気になる!という都合のいい理屈、の3点セットを言い訳に、盛大に飲み食いしてきました。
 というわけで、東北・北海道のおいしかった食べ物、総ざらい!



1日目朝、南千住駅前バーガーキングでモーニング。
 韓国でずいぶん行ったバーガーキングだけど、日本では一時期撤退。近年は次第に復活してきているようです。懐かしくて朝ごはんはここで。個人的には、朝マックの方が好みかな。



2日目夜、石巻の飲み屋で海の幸&田酒。
 田酒は青森市のお酒で、「青森に着いたら絶対に呑むぞ」と誓って来たのですが、石巻にも置いてありフライングで頂きました。大変おいしかったです。



3日目昼、南三陸さんさん商店街でざるそば。
 志津川の仮設商店街にある、創業昭和3年の蕎麦屋さんで、一足早い年越しそばをズルリ。つるつるした食感は、今まで食べたことがないものでした。



3日目(大晦日)夜、気仙沼唐桑ユースホステルの夕食。
 年末ということで特別メニュー。カニにカズノコにムール貝、さらには差し入れの銘酒「浦霞」まで登場する豪華版でした。へべれけになり、年越しの瞬間も何がなんだか分からぬままに…。



4日目(元日)昼、一ノ関駅前「庄や」の豚生姜焼き定食。
 特別な料理ではないけど、「フツーのごはん」が恋しくなって選んだ居酒屋ランチ。お米は一関産らしく、ゆっくり噛んで味わいました。



4日目夜、遠野の高級ホテル併設のレストランにて。
 正月の夜ということで、飲食店はほとんど開いてないという情報を得て来た遠野。山のふもとの高級ホテル併設のレストランは開いていて、どうせ高いんだろうと思ったら、思いのほか現実的な値段。2,100円コース、内容と雰囲気を考えればなかなかのお値打ち品だったと思います。



5日目昼、こたつ列車であわび弁当。
 あわび弁当と言いながらウニやイクラも満載で、三陸の海の幸を一口で堪能。温かいこたつに入り、冬の海を眺めながらのお弁当は、もう天にも昇る思いでした。



5日目夕、八戸の屋台村でせんべい汁。
 去年は昼間で閉まってた屋台村へ!雰囲気ある狭い居酒屋屋台でのせんべい汁、おいしく温まりました。今度は泊りで来たい街です。



5日目夜、青森の居酒屋で海の幸&田酒。
 お正月だから特別なの~と出てきたのは、田酒の「山廃仕込み」。青森の北の幸もうまく、夜行列車に乗る前にすっかりいい気分になってしまいました。



6日目朝、二条市場で海鮮丼。
 なかなかいい値段でしたが、九州で食べるよりは安いだろうと奮発!新鮮な魚介類てんこもり丼に大満足。朝から満腹になりました。



6日目昼、サッポロビール園でジンギスカン&できたて生。
 2,013円で生ラムジンギスカン1人前+小吉なら2品、中吉は3品、大吉だと4品付きという新春運試しのコースがあり、チャレンジしたところ見事、大吉!相棒の小吉と合わせて6品のうち4品分は、もちろん生ビールへと消化されていきました。



7日目昼、登別温泉で札幌ラーメン。
 観光地ということでさしたる期待はしなかったのですが、前日の夜に食べた札幌の某有名店よりずっとおいしかったです。



7日目夕、室蘭焼き鳥。
 人口当たりの焼き鳥屋の店舗数で、我らが久留米と競う北の雄、室蘭市。ぜひライバルの味を確かめようと、室蘭駅近くの焼き鳥屋に入りました。秘伝のタレをたっぶり付けた焼き鳥は、久留米式と同じく豚バラ肉。久留米とは一味違うウマさでした。ラムもうまかったぁ~



7日目夜、寝台特急北斗星の食堂車「グランシャリオ」のパブタイム。
 ディナータイムはフルコース8千円という高値の食堂車ですが、21時以降はパブタイムとしてアラカルトメニューを楽しめます。ニッカの小瓶を割りつつ、夢見心地のひとときでした。



8日目朝、北斗星食堂車の朝食。
 朝食も予約なしで利用可能。満席状態の北斗星でしたが、常連さんはあまり利用しないのか、食堂車が満席になることはありませんでした。行く末が不安になります…食べて残そう、食堂車!



8日目夕、新大久保で韓国料理。
 一品600円という、お値打ちのお店。本国の1.5倍といったとこで、日本ではかなりリーズナブルなクラスだと思います。

…かの鉄道紀行作家、宮脇俊三氏も「ひとがうまいものを食べた話など読まされるほうは迷惑」と言っていますので、この辺でほどほどにしておきます。

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 遅ればせながら、新年のご挨拶を申し上げます。更新頻度の低い本ブログですが、今年もお付き合いの程よろしくお願いします。

 恒例の越年旅行、今年は去年と同じく関東から東北太平洋沿岸、さらには北海道まで、東日本&北海道パスを駆使し、鈍行列車ででジグザグに北上してきました。美味しいもの、美しい景色、個性的な列車、そして出会いの数々…今年も、思い出深い年越しになりました。

 大まかな行程は、以下の通りです。

【12/28】福岡(ANA)羽田…南千住泊

【12/29】…石岡…(かしてつBRT乗車)…水戸…棚倉(JRバス白棚線乗車)…郡山泊

【12/30】…福島…南相馬…(部分復旧の常磐線&代行バス)…仙台…多賀城…石巻泊

【12/31】…女川…前谷地…志津川…(気仙沼線BRT)…気仙沼泊

【1/1】…(唐桑折石で初日の出)…一ノ関…平泉…(中尊寺で初詣)…遠野泊

【1/2】…釜石…宮古…(奥浄土ヶ浜)…田野畑…(こたつ列車)…久慈…(リゾートうみねこ)…八戸…青森…急行はまなす泊

【1/3】…札幌…(二条市場…円山動物園…札幌ビール園…藻岩山)…札幌泊

【1/4】…登別温泉…室蘭…寝台特急北斗星泊

【1/5】…上野…(はとバス乗車…新大久保散策…高層ビルめぐり)…大倉山泊

【1/6】…羽田(ANA)福岡


 まず載せたい写真は、三陸の海。

 年末年始は悪天候の予報で、荒々しい太平洋になるのだろうと思っていましたが、時々は晴れ間が広がり、陽光に照らされた海は暖かく穏やかでした。元旦には、今まで見た中で最高に美しい初日の出を拝むことができました。毎晩のように味わった海の幸も、三陸の海の恵みの賜物です。

 陸地に広がる、目を覆いたくなる光景とのギャップに戸惑いながら、三陸の海と向き合った旅行でした。


 石巻市、日和山から。


 女川町、医療センターから。


 女川町、石巻線代行バスから。


 気仙沼線BRTから。


 気仙沼市唐桑、折石を望みながらの初日の出。


 気仙沼の港。


 大槌町。


 宮古市、奥浄土ヶ浜。


 三陸鉄道北リアス線、こたつ列車から。

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