Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです





 旅の最終日・1月12日(祝)の朝は、島根県の温泉津温泉で迎えました。宿でもらった無料券を手に、元湯へ。リアルなレトロ感、満載の温泉銭湯です。


 浴室も、実質本位の素朴なもの。ただ湯の析出物で、床は鍾乳洞の地面のような様相になっていました。
 温泉津温泉の源泉は、昨日入った薬師湯とここ元湯の2箇所とのことで、2つの湯を制覇したことになります。


 宿に戻れば、朝ごはんの時間。若者運営の宿ですが、しっかりと1日分の元気が摂れそうな「正しい旅館の朝ごはん」です。
 山陰に来て以来、どこもご飯がおいしくて、ついついお代わりしてしまいます。


 今日の目的地は、世界遺産の石見銀山。温泉津温泉もその構成要素のひとつですが、相互を直通する公共交通機関はありません。僕も、バス~特急~バスを乗り継ぐつもりでした。
 ところが温泉津の宿泊者を対象に、乗り合いタクシーが走っていることを、昨夜乗ったタクシーで教えてもらいました。運賃は定額1,800円ですが、3人以上集まれば1,200円。別の旅館の女子旅グループと相乗りになったので、安く快適に移動できました。


 石見銀山の見所は、古い町並みが残る大森地区と、鉱山跡にも入ることができる銀山地区の、大きく2つに分けられます。まずは大森地区で降ろしてもらい、ぶらぶらしてみました。


 石州瓦の赤色を見ると、山陰に来た実感が沸きます。


 観光客向けの店も多くありますが、9時を過ぎたばかりでまだ開いていませんでした。それよりも、観光客の少ないしっとりしたたたずまいの方に惹かれます。
 温泉津からの乗り合いタクシーは9時前に到着するので、散策にはもってこいです。


 銀山方面へは、10時半スタートの徒歩散策ガイドツアー「むすぶらり」に参加してみました。500円という値段は出雲大社と同じですが、約2時間半の長丁場です。
 まずは銀山公園の模型を使って、石見銀山の歴史と地理の勉強。目の前の模型と景色を見ながら説明を受けるので、一目瞭然でわかりやすかったです。


 徒歩で散策スタート。以前は坑道エリアまでバスが結んでいたのですが、増えすぎた観光客に地元が悲鳴を上げ、廃止になった経緯があります。
 荒れたように見える豊栄神社は、歴史の舞台。財の動く場所は、戦の歴史の場でもありました。


 昨秋に訪れた別子銅山を思い出す、清水谷の精錬所跡。精錬を始めてみれば、思いのほか銀の品質が悪かったため、わずか1年半で閉所となった幻の精錬所です。
 ただその技術は、別子銅山など他の採掘所で生かされたとのこと。旅と旅が、つながっていきます。


 清水寺(せいすいじ)は、1000年の歴史を持つという由緒正しいお寺です。
 寺に限らず、古い神社や家々の造りもしっかりしたもので、腕のいい職人が集まっていたことが分かります。


 道路には、バスを離合させるために作ったと思われる待避所が。何台もバスが連なり、ピストン輸送していた頃の名残りです。


 歩くのが辛いならレンタルサイクルの利用もできますが、それも途中まで。駐輪場から先は、歩くことになります。
 みぞれ舞うこの日は、自転車は自転車で辛かったはず。数キロの徒歩観光は特に冬場はハードで、「世界遺産だし、まあ見ておくか」程度の覚悟で来たら辛いことでしょう。本来の、玄人好みの観光地に戻った格好です。


 「間歩」と呼ばれる坑道の中でも、代表的な、龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)に入ります。
 入場料はガイド料と別途で410円ですが、銀山一帯は地域ワオンを導入しており、ワオンカードで支払うと割引になります。相方がワオンユーザーだったので、余得に預かれました。


 間歩の内部へ。


 毛細血管のように細い坑道が分岐しており、素掘りの跡も生々しく残ります。見学できる範囲は途中の「新坑道」までで、その先にも延々と坑道が残っているのだとか。
 風が動かない先の坑道をのぞいてみると、生暖かい空気が包んでおり、メガネがうっすらと曇りました。


 森になっている場所も、最盛期には住宅が立ち並んだ街の跡。石垣の他、シュロの木がその目印になります。
 自生はしない植物ですが、ホウキなどの材料として重宝したため植えられ、家がなくなっても残っているのだとか。


 全コースを歩き、公園に戻ったのは1時過ぎ。やれやれと思う間もなく、仁万行きのバスが1時5分だったので、バス停に走りました。
 観光客も多く利用する大田市行きに比べ、仁万行きの本数は少なく、細い道で集落を結ぶローカルバス。乗客は終始、僕らを含め3人だけでした。


 お腹が空いてくる時間ですが、仁万駅周辺の食事処といえばここだけ!ということで、レストラン・ココットへ。ラーメンがメインの、ドライブイン的な食堂です。


 ラーメンで温まったのですが、レトロな店の雰囲気には似つかわしくない(!?)スイーツメニューが気になります。「えんむすび」をオーダーしてみたら…


 なんておしゃれなシフォンケーキ!味も上品で、ますます似つかわしくありません(笑)。
 その答えは、大阪で修業された息子さんが、おやじさんの店でスイーツ営業をされているのだとか。ミスマッチ感も楽しいですが、カフェとして営業しても人気が出そうなクオリティだなと思いました。


 ココットでゆっくりしすぎたため、仁万のサンドミュージアムの見学時間はわずか5分に!世界一の大砂時計を、チラっと見上げただけで終わってしまいました…。


 快速「アクアライナー」に乗り込みます。ボックスシート主体の車内は落ち着いた内装で、現代版の「急行型」。お気に入りの車両です。


 昨日は見られなかった昼の温泉津温泉街をそぞろ歩こうと、温泉津駅で下車して「大田市生活バス」で温泉街に向かいます。
 バスはハイエースだったので意表をつかれましたが、温泉街の狭い路地には最適かも。運転士さんとお話しながら温泉街に入り、薬師湯で下車しました。


 薬師湯の旧館を再生したカフェ「内蔵丞(くらのじょう)」へ。夜中も明かりを灯していますが、営業は昼間だけなので、改めて来た次第。
 洋館のような外観もさることながら、館内も「大正ロマン」な雰囲気。


 ココットで甘味に満足した直後でしたが、温泉カプチーノとシフォンケーキで贅沢な時間を過ごしました。


 帰路は、駅まで歩いてみることに。「津」の地名が示すとおり、温泉津の温泉は、港と共にあります。


 長かった3泊3日の旅も終わり。温泉津から博多へは、新山口で1回乗り継ぐだけです。所要時間も3時間半と、思ったほどはかかりません。
 2両の特急は連休最終日とあって、自由席は満員状態。振り子列車の立席乗車は足腰にひびき、立つ人はげっそりした表情です。早めに指定席を抑えた去年の自分に感謝しつつ、ゆったりと旅を振り返りながら日常へと戻って行ったのでした。


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 2日目(1月11日)の朝は、鳥取のはわい温泉で迎えました。せっかくの温泉旅館、ゆっくりと過ごしたかったのですが、バスの本数も限られているので、6時に早起きして朝風呂を浴びました。
 街路樹にはヤシが植えられ「ハワイ」を演出するものの、現実は0℃近い寒さです。


 東郷池が赤く染まり、朝がやってきました。


 7時半の路線バスに乗り、倉吉市内へ。次のバスは9時半なので、やむを得ずの早起きでした。
 倉吉駅前を通過して、白壁土蔵群の界隈へ。朝早い町に観光客の姿は皆無で、しっとりした町並みを独り占めしながら歩きました。


 現在は駅からバスでのアクセスになる倉吉市街地も、85年までは倉吉線という支線が通じていました。廃止から30年の今も、旧駅前通りにはその匂いを感じられます。
 駅跡にはC11(運転台まで上がることも可能)が保存され、記念館もあります。見学自由で、照明スイッチを自分で入れるというセルフサービスな記念館です。


 9時をまわり、観光施設や食事どころもぼちぼち開き始めました。
 市文化財の牧田家住宅は、見学無料。木を継いで修復した部分は色を変えており、現代の細かな技も見ることができます。


 打吹公園からは、木々の間から赤瓦の土蔵群を俯瞰できます。さらに登れば展望台もあるようですが、軽いハイキングにでもなりそうな山道だったので、引き返しました。


 赤瓦十号館の観光案内所に併設された、カフェ・天女のいずみで一休み。7年前に訪れた時は学生運営のカフェで、年末のためお休みで悔しい思いをしたものでした。
 運営は変わっても、木にペンキの素朴な風合いは健在です。


 倉吉駅は、こちらも橋上の駅舎に生まれ変わっていました。駅前にはチェーンの居酒屋も進出していて、都会のベッドタウンのようになっています。
 駅に併設の複合施設は、名付けて「エキヨコプラザ」。言いえて妙ではあります。


 スーパーまつかぜ5号に乗って、松江へひとっとび。わずか2両の特急列車ですが、高速化改良済みの線路を、振り子式気動車は怖いもの知らずの高速で飛ばしていきます。


 わずか50分少々で、松江着。バスで宍道湖大橋を渡り、東京橋(!)で降りて、堀川沿いをそぞろ歩いてみました。
 ゆうゆうと水面を走る「堀川めぐり」は、乗り切り制の遊覧船ではなく、1日乗車券方式。20分間隔で周回しているので、周遊バスのように観光地巡りに使えます。今度来たら、乗ってみたいな。


 宍道湖の水面には、無数の水鳥が寒風に耐えつつ揺られていました。


 JRは宍道湖の南を走りますが、北岸を並行するのが地元の私鉄・一畑電車。東の始発駅、松江しんじ湖温泉駅から、出雲大社に向かいます。
 大社行きの電車は、主力として活躍する元京王5000系。一畑電車の旧塗装に復元された編成でした。


 車内の吊り革は、今はなき「一畑パーク」の広告入り。路線図も昭和40年代のものが飾られ、「昔の電車」を再現していました。


 今も昔も変わらないのは、宍道湖の穏やかな眺め。コースの前半はずっと、車窓の友になってくれます。


 JR出雲市方面と大社方面へ分岐する川跡では、大勢の乗り換え客の姿が見られます。大社⇒出雲市方面の乗り換え客が優勢でしたが、我らが大社行きにもそこそこの乗り込みがありました。
 川跡~大社間のみアテンダントさんが乗務。この区間を往復しているようで、出雲市行きの電車の乗客に手を振っていました。「線路をまたぐ参道」やワイナリー、出雲ドームなど、短い区間でめまぐるしく車窓案内が続きました。


 1時間で、大社着。登録有形文化財にもなっているRC駅舎は、木材を多用してリニューアルされていました。


 駅舎の横には、古豪として親しまれたオレンジ色のデハニ50の姿が。


 車内に自由に入れるのも、嬉しいところです。


 大社での時間もあまりないのですが、ちょうど定時ガイドツアー「むすぶらり」の時間だったので、参加してみることにしました。
 地元ガイドとともに、名所を歩いて観光する「むすぶらり」は島根県各地で行われていて、500円で参加OK。2ヶ所を巡ると、宿泊券の当たるキャンペーンにも応募できます。


 僕らの他に、一人旅の女性とご夫婦の、合わせて5人でツアーがスタート。ここは〇〇の実家の旅館、なんてガイドを聞きながら参道を歩き、鳥居の前に着きました。
 出雲大社は3度目にもなりますが、4ヶ所の鳥居ごとに材が違うなんて基礎的な知識もありませんでした。RC、木、鉄、銅と続きます。


 鳥居をくぐった参道が下り坂になっているのも、言われてみれば珍しいことに気付きます。


 詳しく説明を聞いて、正しい作法で参拝すれば、ご利益も一層大きくなるような気がしました。


 とにかく寒かったこの時間ですが、お社の後ろに回る頃には日差しが差してきました。後ろまで回る観光客は多くありませんが、八幡造りの荘厳さは正面からだけでは分かりません。
 夕焼けの色を帯び始めた時間、軽々しく使いたい言葉ではありませんが、まさに神々しい空気に包まれていました。


 出雲市行きのバスの時間が迫っていたので、最後の数分だけ切り上げてコースを離脱。超満員の路線バスに揺られ、JR出雲市駅へと出てきました。電車に比べてあまりに輸送力が小さく、時間があうなら電車を利用したいところです。
 乗客の半分以上は若い女子旅グループで、「パワースポットブーム」は衰えることを知らないようです。


 まともにお昼ごはんを食べていなかったので、出雲市駅コンコースのそば屋で、割子そばをかき込みました。
 出てくるまで5分、食べるのに5分。3段なので、1段あたり90秒で味わった わんこそば…じゃなくて、割子そばでした。


 「スーパーおき」で、さらに西を目指します。「まつかぜ」や「おき」など名前は違えど、車両はいずれもキハ187系。なんだか愛着が沸いてきました。


 温泉津(ゆのつ)駅で下車。タクシーで温泉津温泉へと向かいました。
 大型のホテルとは無縁に温泉街には、白熱灯の街灯が灯り、なんともノスタルジックな空気。ここは「石見銀山遺跡とその文化的景観」を構成する、世界遺産の一部でもあります。


 今夜のお泊りは、木造3階建ての旅館・吉田屋です。老舗の雰囲気が漂いますが、今は若者らが経営を引き継ぎ、週末のみ営業しているとのこと。
 お値段も朝食付き6,500円と良心的。お風呂は外湯利用ですが、せっかくの温泉なのだからそれもまた風情です。


 温泉もいいけど、腹が減ってはなんとやら。夕ご飯を食べられるようなところは一軒だけと、昨夜と同じような環境です。
 その「路庵(ろあん)」は、予想に反してカフェ・バーという形態。営業も夜のみです。


 中も洒落た雰囲気でしたが、地元の御仁たちで盛り上がる様子は居酒屋のようでもあります。
 メニューはよりどりみどり。地産地消ということで、石見ポークの鉄板焼きを頼んでみたら、あっさりジューシーでうまかった!


 晩の風呂は、吉田屋さん真向いの薬師湯にて。道路側に突き出した、半円型のピロティ形式の休憩室がモダンな雰囲気です。屋上にはテラスがあり、電線が喧嘩する狭い路地を見下ろせました。地中化もいいけど、こんな風景もまたオツなものです。
 建物だけではなくてお湯も素晴らしく、鉄っ気と塩っ気が混じった、浸透圧の強そうな「濃い」温泉です。温度はさほどでもないので長湯できそうですが、湯あたりを起こさない程度で退散。それでもホカホカ感は、夜中まで続いたのでした。

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 旅の実質的な1日目になる1月10日(土)の朝は、新大阪で迎えました。
 「乗り換え駅」の新大阪駅、外に出たのは、おそらく今回が初めて。駅舎の1階部分は大きなピロティで、建設当時の最先端の意匠が取り入れられていました。


 新大阪からは、特急「こうのとり」で福知山へと向かいます。
 車両は新型の287系で、後ろに緑帯の「くろしお」用車両が増結されていました。さらに臨時列車も続き、さすがはカニシーズンの3連休です。


 車内は、JR西日本の新型車両に共通した、あたたかみのあるデザイン。新大阪発車時点では、ガラガラでした。
 グリーン車はゆったり3列座席で、某元兵庫県議も毎日のように乗った「はず」。これなら毎日のように通ってもラクだろうなとは思いましたが…


 紀伊半島を走る「くろしお」向け車両であることを暗に示すのが、津波発生時の避難要領を示すステッカーと、脱出用ハシゴ。南海トラフ地震に対する備えは、しすぎてしすぎることはありません。


 大屋根がかかる大阪駅へ。乗車口には長蛇の列ができており、8割近い乗車率になりました。
 尼崎でも神戸方面からの乗客を乗せ、満席近い状態で福知山線へ。2005年の脱線事故現場のカーブを、ゆっくりゆっくり通過していきます。手を合わせ、改めて107名の方々の冥福を祈りました。


 国鉄末期に、立派な高架とトンネルで渓谷をショートカットした福知山線。しかし川代渓谷では今も、旅にふさわしい車窓を見ることができました。


 福知山駅で下車。高架化された駅は、大都市のそれのような雰囲気です。
 駅前の市民交流プラザは、角の取れたユニークなデザイン。図書館を併設しており、書架のデザインを建物に合わせているのも面白かったです。


 福知山からは「一筆書ききっぷ」からしばし離れ、第三セクター「北近畿タンゴ鉄道」へと舵を切ります。ホームに上がると、「お目当ての列車」こと、くろまつが待っていました。
 「くろまつ」は昨年5月にデビューした、水戸岡鋭治氏デザインのレストラン列車。肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」の、後輩格にあたる列車です。北近畿タンゴ鉄道も億単位の慢性的な赤字に悩まされており、起死回生を賭けた列車でもあります。


 車内は向い合せの席にテーブルが並び、「おれんじ食堂」よりも食堂車の雰囲気があります。
 乗車すると、さっそく客室乗務員から、飲み物のサービス。道中は紅茶やコーヒーなどがお代わり自由ですが、途中で飲み物の変更はできないとのこと。相方とコーヒー、紅茶を分け合いました。


 テーブルにはきちんとした食器がセッティングされており、走る列車の中であることを考えれば贅沢な感じです。


 発車すると、さっそくスイーツセットが運ばれてきました。4種のスイーツがてんこもりで、甘党としては自然と顔がほころびます。
 辛党でもあるので、これが日本酒であっても同じ反応だったとは思いますが。


 丹後の栗山には、こんな解説シートまで(笑)。


 最後には、和菓子2種と絵葉書の入ったお土産を手渡してくれました。気になるお値段は、福知山~天橋立間1時間強で4千円。通常運賃770円の区間ですが、贅沢なひとときを過ごせて大満足、妥当な金額だと思います。
 ひとつ残念なのは、短い所要時間なのに終点を前にさっさと食器の片づけが始まってしまうこと。できれば最後まで、ゆったりとドリンクを楽しめたらと思いました。


 天橋立駅に着くと、折り返しのランチコースの準備が始まっていました。夜には「地酒コース」もあり、今度はコースを変えて乗ってみたいものです。


 生憎の雨模様ではありますが、せっかくなので駅裏手の「天橋立ビューランド」へ。モノレールに乗ると、駅構内がジオラマのように見えました。
 肝心の天橋立は雨霧の中で、乗客からは「こりゃだめだな」「うっすら見えるかな」と落胆にも似た声が聞こえてきます。しかし雨は次第に上がり、山頂に着くころには日差しも見えるように。そして広がった景色は…


 天橋立にかかる虹! 絵に描いたような景色に、同じモノレールで登った乗客は、揃って感激の眼差しでした。
 観光客同士、写真を撮り合うテンションもかなり高めです。


 帰路は、爽快な風景が広がるリフトで下りましたが、麓に着くころには再び雨模様に。この後も雨と晴の繰り返しが続き、この辺りのいわゆる「弁当忘れても傘忘れるな」という格言が身に染みました。


 駅前の観光案内所には利き酒コーナーがあり、おちょこ3杯にオイルサーディン付きで500円という良心的なお値段。蔵元ごとの個性も、しっかり感じられました。
 じっくり飲み比べていたら、列車に乗り遅れかけました。あぶないあぶない。


 天橋立~豊岡間の快速「丹後路」は、2両編成の特急仕様で乗り得感があります。外観、内装ともに、JR西日本の特急列車との共通項が多く見られました。


 豊岡方には展望室もあり、前面展望と、大きな窓からの側面展望を楽しめます。
 水戸岡デザインの列車に活路を見出すタンゴ鉄道ですが、本来の主役である特急型車両も大切な資産。3月からは、格安高速バスでお馴染みウィラーが鉄道の運営に当たることになっていますが、既存事業者にない発想で活かしていってほしいものです。


 「こうのとり」に1駅乗り、城崎温泉へ。川沿いに外湯が連なる、しっとりとした情緒ある温泉街ですが、さすが3連休、人でごった返していました。
 年始の1月3日に起きた火災の跡は今も生々しく、現地対策本部では休日返上で動く人の姿がありました。


 列車の時間も気になるので、駅前の外湯「さとの湯」へ。露天やサウナなど施設は充実しており、寒い中での温泉はたいそう気持ちよかったのですが、塩素の匂いがきついのが残念。
 温泉そのものは塩気があって、よさそうな湯。次回は、源泉を楽しめる温泉に行ってみたいものです。


 鳥取へは、普通列車で移動します。株優で特急券も半額になるので、特急に乗ってもさほど懐は痛くないのですが、特急そのものが少ない区間です。香住までは1日2往復、その先は往復に過ぎません。
 その分普通列車も観光客の利用が多く、3両の列車はほどよく埋まりました。


 香住ではどさっと降り、ガラガラの車内で足を伸ばしていると、鈍行の旅の雰囲気が盛り上がってきました。
 余部鉄橋は、新しいコンクリート橋になってからは初めて渡ります。橋の上からのどかな集落を見下ろす車窓は、今も変わりません。


 浜坂で乗り換え。2両のワンマン普通列車は、それでもがら空きでした。


 鳥取駅では、乗り換えで30分のインターバル。駅周辺の人通りは少なかったのですが、いい感じの居酒屋や洋風の飲み屋が連なっていて、一杯飲んでいきたい衝動にかられました。
 出張で来たい街ですね。


 これまたがら空きだった特急で、倉吉へ。少し長めの3両編成だったので、平日だったら通勤客で混み合う列車なのでしょう。
 倉吉からタクシーに乗って10分少々、今夜の泊まりは、はわい温泉です。懐かしい感じの歓迎ボードが迎えてくれました。


 旅館の周辺にもほとんど灯火を見かけず、旅館の夕食も予約必須。すわ夕食抜きかと絶望しかけましたが、近所に一件、食事処があるというので行ってみました。


 ステーキ、エビフライなどから選べるおもてなし御膳が1,944円ということで、焼き蟹御膳を頼んでみたら、かにみそ焼きまで付く豪華版。通常千円かかるという、お隣の温泉旅館の入浴券まで付いた、超お値打ちなメニューでした。
 9時を過ぎてしまったので温泉には入れませんでしたが、大満足の晩御飯で、ご機嫌になって宿に戻ったのでした。

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 年末年始は九州を出なかった代わりに、成人の日3連休は北近畿・山陰方面へと遠出することにしました。
 初日は朝早い時間に、北近畿方面の「お目当て」の列車を予約したので、前日1月6日(金曜日)の夜、新幹線で福岡を立ちました。


 仕事を終えられる時間がはっきりしなかったので、大阪までは自由席の券を買っていました。大阪行くなら「みずほ」「さくら」のゆったり指定席が好みなのですが、自由席は狭い5列シートなので、速い「のぞみ」をチョイス。
 食堂車がなくなって久しい新幹線。駅弁もいいですが、今回は出発前に阪急のデパ地下で、惣菜やワインを買って持ち込みました。ちょっとした工夫で、自由席でも贅沢な気分になれます。


 今回の旅では、博多発、新大阪・福知山・鳥取・出雲市経由で新山口に至るルートの片道きっぷを求めました。帰路の新山口⇒博多間は、別途ネット割引で購入です。
 JRの運賃は、距離が長くなるほどキロあたりの単価は安くなる遠距離逓減制を採用しているため、なるべく長い一筆書きルートを取ると、トータルでは安くきっぷを買うことができます。


 さらに今回は、JR西日本の株主優待割引を活用。JR株を保有できるほどの資産はないので、金券ショップで優待券を5,500円で手に入れました。
 一筆書きルートだと優待券も1枚で済むので、割引効果も相対的に大きくなります。運賃だけではなく、特急料金も半額になるので、1万円近い節減になりました。


 なんて連れに解説しているうちに、ほろ酔い気分で新大阪着。快速で1駅、大阪駅へ移動しました。
 大阪ステーションシティも、オープンから3年半。屋上庭園やテラスは夜も開放しており、「都市登山」を楽しめます。


 梅田スカイビル以外は郊外方向への風景ですが、平野に続く町明かりも美しいものです。


 梅田貨物駅跡の長い長い地下道をくぐり、梅田スカイビルへと足を向けました。今はただ忍耐の暗い地下道ですが、駅跡の再開発もいずれ進んでいくのでしょう。
 「うめきた」に新しいビル群が生まれてもなお、斬新な門型のスカイビルの新鮮さは失われていません。アジア圏からの外国人を中心に、観光客も大勢詰め掛けていました。


 今までいたステーションシティも「高い」と感じていましたが、スカイビルからは見下ろす格好になります。梅田のビル群が、摩天楼のようです。
 話題の「ハルカス」は、もやの向こう側でした。


 ステーションシティに戻り、線路上空の「時空(とき)の広場」へ。18日まで、トワイライトファンタジーと題したイルミネーションで彩られています。
 15分に1回、音楽に合わせた演出も行われ、見ていて飽きないイベントです。


 バルが22時30分のラストオーダーで開いているのも嬉しく、生ビールとホットカクテルを傾けました。
 大屋根がかかっているので天気は気にならないし、バルにはストーブと電気毛布が置かれているので、寒くもありません。大阪の冬の夜を満喫して、泊まり先の新大阪へと戻りました。


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 両親は、泊まったビジネスホテルが思いのほかデラックスだったとご満悦ですが、カプセルホテルに泊まった僕はやや寝不足、そして二日酔いのまま1月2日の朝を迎えました。初夢も、定かではありません。
 駅から歩いて10分の、朝見神社へ初詣。2日ではありますが、地元の人で早朝からにぎやかでした。


 こちらのお年玉特典は、500円の絵馬。思いのほか豪華なプレゼントで、使い慣れている母曰く、小さな神社ほどいいお年玉がもらえるのだとか。
 母は記念に持ち帰っていましたが、僕は願いをしたため、境内に掲げてきました。


 別府駅の高架ホームに上がると、雪を頂いた鶴見岳を遠望できました。ゆけむりなど別府の宝の風景は数あまたありますが、鶴見の山もそのひとつだと思います。
 815系電車の広い窓からも冬の風景を楽しみつつ、1時間強、中津に着きました。


 中津駅では、なつかしい列車と対面。いつしか九州は、485系の最後の牙城になってきました。


 駅から歩いて15分の中津城へ。横の中津神社への初詣客や、黒田官兵衛ブームもあって、盛り場のようになっていました。


 再び電車に乗って、城野駅へ。コンビニ併設の平屋建て駅舎は閉鎖され、立派な橋上駅舎に面目を一新していました。
 ただテナントの誘致はこれからのようで、乗り換えの間に昼ごはんの調達との目論見はもろくも崩れました。


 このまま福岡に戻れば2時間もかからないのですが、せっかくの乗り放題なので、日田彦山線経由で久留米へと向かいます。
 2両編成のワンマンディーゼルカーが1時間に1本、のんびりと行きかう日田彦山線ですが、北九州口ではいつも混んでいるイメージがあります。空いているボックスはなかったので、2ボックスに分かれて筑豊へ。


 炭鉱の火は消えた筑豊地方ですが、セメント工場は今も稼動しており、荒々しい車窓が展開します。


 田川を過ぎれば、乗客もぐっと減ってローカル線らしい風情に。雪も強まり、車窓は九州の正月とは思えないものになってきました。
 虎の子の缶ビールを片手に、雪見酒としゃれ込みます。


 彦山駅では雪を踏みしめ、乗客が降りていました。雪国のような風景です。


 英彦山トンネルを抜ければ、夜明。夜明ダムの水面を右手に遡れば、日田に到着です。日田駅の待合室は観光客でいっぱいでしたが、室内のキオスクには閉店のお知らせが。棚ははやくもガランとしていました。
 「ゆふ森」はビュッフェがありますが、「ゆふ」に車内販売はなく、事前の食料調達は必須。なのにキオスクもなしでは、ローカル線の旅も厳しいく寂しいものになってきたと感じた、平成27年の初旅でした。

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 珍しく長期の旅に出なかった、今年の年末年始。両親が、毎年恒例の正月乗り放題きっぷの旅を計画しているというので、急遽ついて行ってみることにしました。
 「お年玉乗り放題きっぷ」は、九州内の普通列車が元日または2日のどちらか1日、2,080円で乗り放題になるきっぷです。「青春18」に比べ極端に安いわけではありませんが、正月しか休めない両親にとってはうってつけです。


 佐賀・みやき町の実家から、マイカーで新鳥栖駅へ。バスが激減してしまうお正月は、駅までもクルマでのアクセスにならざるを得ません。100円/24時間で止められる新鳥栖駅は、強い味方です。
 広大な駐車場は満車に近く、雪が積もっていました。雪が降り始めたのは昨夜からだったので、長い時間止めている人が多いのが分かります。


 快速電車で北上。鳥栖では初日の出を浴びましたが、基山前後では吹雪のような雪に。二日市を過ぎれば再び平穏、宗像付近ではまた雪…と、前線を串刺しにするように走っていきます。


 西小倉で、3両ワンマンの日豊本線の電車に乗り換え。両親は北九州に来る機会などめったになく、車窓という車窓が新鮮だとか。
 僕とて日豊本線を普通電車で下ることなどほとんどなく、「苅田町神田町」という地名に初めて気付きました。「町(まち)」の下に「町(ちょう)」がつくとは!


 中津で乗り継ぎ、宇佐で下車。宇佐神宮へ向かいます。宇佐神宮までのバスは通常1時間に1~2本しかないのですが、さすが初詣シーズンとあって増発されていました。
 ただそれとて1時間に2~3本と、神宮の規模を考えればさほど多くはありません。特急の臨時停車も、行われていませんでした。


 参堂の食堂で腹ごしらえして、参拝に赴きました。とにかく寒かったこの正月。神宮も雪を頂いていましたが、これはこれでオツな風景ではあります。


 「お年玉乗り放題きっぷ」には、各地の寺社で使える特典クーポンが3枚付いてきます。宇佐神宮では、通常300円の宝物殿の入場料が150円に。ほとんど「避寒」のために逃げ込みました。


 定期のバスに乗り込み、宇佐駅経由で豊後高田へ。古い商店街を「昭和の町」として売り出し、成功を収めたことで有名な町です。
 かつての私鉄駅跡という豊後高田バスターミナルも、ことさらレトロを強調していませんでしたが、昭和の香りをぷんぷん感じました。


 バスターミナル前の商店街は、「駅前商店街」を名乗ります。「駅前食堂」も、構えもレトロなら値段もレトロで驚きました。


 旧共同野村銀行は、お正月というのに開館していたのは立派。昭和初期の銀行建築らしく、2層吹き抜けの大空間が広がります。
 RC造の建築物も一般的になった時代のものなのに、RC調の木造建築というのも面白いところ。林業が盛んな地域でもあり、腕のいい大工も多かったのでしょう。


 平成5年まで西銀として使われていただけに、金庫もそのまま。金庫からの「脱出口」も見せて頂きました。


 商店街は思いのほか奥まで広がっており、国東半島でもっとも栄えた街の栄華を伝えていました。
 それはいいのですが、天気は再び雪模様に。僕一人ならいくらでも歩くけど、トシもトシの両親がいるので、「給食カフェ」に逃げ込みました。


 ウチの地元では「きなこパン」と称した揚げパンを、ストーブに当たりながら食べると生き返る思いでした。


 正月営業していたレトロ館は、後で見ればいいやと思っていたら、早仕舞いしていて残念! 正月の旅は、「開いているうちに見る」が鉄則です。
 電車に乗って夜7時前に別府に到着。さっそく駅前高等温泉で、凍りついた体を温めました。


 年末は魚や野菜が多かったので、がっつり食べようと焼肉屋へ。別府は焼肉屋の数が多く、名物として売り出していこうという機運もあるとか。
 飲み放題が1,500円と手ごろだったので頼んでみたら、もともと酒類は安く、3杯では元が取れないことが判明。おかげでガッツリ飲んでしまい、親子ともども泥酔してしまった元日でした。

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 冬休み初盤の12月27日~28日は、福岡市西区に浮かぶ能古島へ、島旅仲間と共に一泊してきました。


 今回は荷物(≒酒?)が多かったので、格安レンタカーをレンタル。都市高速経由で、姪浜の能古渡船場に直行しました。夏に小呂島へ行って以来の渡船場です。
 シーズンは混雑するため、島外在住者のマイカー乗り入れは自粛を求められていますが、今は冬なのでそのまま車で乗り込みました。前後に進める船なのでバックの必要はなく、小型船ながらドライバーに優しいつくりです。


 例年より冷え込む日が多い厳しい冬ですが、この日は抜けるような青空! ももち浜対岸の「市内」に向かうだけとはいえ、旅気分が盛り上がってきました。


 島の狭い道路も、パッソならスイスイ。対岸のドームやタワーが、冬空に輝いていました。


 のこのしまアイランドパークに到着。シーズンオフの園内に花はほとんどなく、人も少なくてちょっと寂しいです。コテージの宿泊者も、僕らのグループだけでした。
 しかし見方を変えれば、閉園時間後は広い園内を僕らだけで「独占」できるということ。気兼ねなく盛り上がるには、うってつけのシチュエーションです。




 花が少ないとはいえ、冬に咲く花の姿はちらほら。


 季節に関係なく、糸島に沈む夕陽は美しいものです。


 そして日が落ちれば、対岸の福岡市街地が輝き始める時間です。
 無数のビルに博多湾の大型船舶、空にはジェット機まで。泊まった人だけが楽しめる夜景を、独り占めにしました。


 鍋をつつき、ワインを6本空けるころにはヘロヘロに。メンバーの中でもダントツトップの、9時台に寝落ちしてしまいました。
 おかげで、いろいろ飲めなかったです(泣)。


 その分翌朝は早起きして、博多湾の日の出を見に来ました。
 地表近くには雲が立ち込め、雲の上に上がる日の出を期待したのですが、雲が赤く色付いただけで終わってしまい残念。


 朝ごはんを食べた後は遊具で遊んだり…


 ヤギと戯れたり…


 うさぎと遊んだりしながら、童心に返って過ごしました。


 さて能古島には西鉄の島内バスが走っているのですが、今年、「ぐりーん」が転属してきました。JR九州の列車デザインでおなじみ、水戸岡鋭治氏の手によるもので、以前は福岡市内ループバスとして活躍してきた車両です。
 秋の路線廃止に伴い能古島に転属。ウッディな内装は、自然を求めて能古島にやってきた市民を癒してくれることでしょう。


 島らしくお魚満載のランチを食べれば、短い週末は終了。
 1月の長崎大島に始まり、津久見保戸島や八丈島など、たくさんの島を訪れた年の締めくくりにふさわしい「小さな島旅」でした。

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 12月21日(日)の朝は、中央駅前のソラリアホテル鹿児島で迎えました。
 桜島側の高層階を抑えていたのですが、ご覧の通り絶景の朝陽!思わず手を合わせて、拝んでしまいました。


 2日目は、特急「指宿のたまて箱」に乗って、指宿を目指します。九州新幹線の開業翌日に走り始めた列車も、はや4年目。今も高い人気を誇る列車で、この日も満席近い盛況でした。

 今回は指宿レール&バスきっぷを利用。片道列車、片道バスで指宿と知覧を楽しめる企画乗車券ですが、指宿・西大山まで往復列車利用もOKです。普通に買うより、千円ほどお得になります。
 ただ発売場所が限定されているのは、分かりにくい点。JR九州の電話予約センターに予約して、中央駅の窓口で引き換えるのが、もっとも簡単な方法だと思います。事前決済も、求められませんでした。


 1、2号車には、こんな窓向き座席が。そこから見える風景は…


 高台から見下ろす鹿児島の街と、桜島の雄姿!


 さらに市街地を抜ければ、錦江湾と桜島を臨む車窓に出会えます。


 1、2号車にはこの他、ソファのような席や「子ども用展望席」もあります。
 ホンモノの木を使った床は、だいぶ傷が入ってきましたが、これも風合いに見えるのは、本物の木材を使ってる証でしょう。


 一方の3号車は、もともと「はやとの風」の増結車として作られた車両。雰囲気は1、2号車とだいぶ異なり、バラバラな感はありますが、違いを楽しめるとも言えます。
 特に車両中央の、天窓が天井まで伸びる展望席は1、2号車にない楽しみで、ずっと座り続ける人も見られました。


 国鉄型気動車の改造とはいえ、途中喜入にしか止まらない、俊足ランナーの「指宿のたまて箱」。1時間もかからずに、終点・指宿に到着しました。
 駅にただようミストは、たまて箱の白煙のイメージです。それだけといえばそれだけの演出なのですが、なかなか盛り上がります(笑)。


 ほとんどの人は改札を出て行きましたが、僕らは山川行きの普通列車に乗り換えました。
 指宿のたまて箱と連携して、わずか1駅を結ぶ普通列車ですが、乗客は僕ら以外に見当たりませんでした。


 しかしがら空きのローカル列車は、最果て感が満載。おだやかな海を眺めながら、観光特急とは一味違う南国の汽車旅を楽しみました。


 山川駅に到着。本土最南端の駅は、この先の西大山駅が名乗っていますが、こちらは「JR最南端の有人駅」というタイトルです。


 鹿児島交通のバスに乗り換え、さらに南へ下ります。指宿で「いぶたま」から乗り換えたと思われる観光客の姿が目立ち、過疎のローカルバスといった風情ではありません。
 驚いたのは、各バス停で日・英・韓の放送が入ること。それも「The next stop is "Zosenjo-mae", The dogyard.」「タウム チョンニュジャンウン "ゾーセンジョ・マエ", ゾソンソ アピムニダ」と、音・意味を続けた分かりやすい放送だったのには驚きました。


 ヘルシーランド前で下車。砂蒸し温泉に向かいます。湯煙の向こうに、円錐型の開聞岳。いい風景です。


 機械から激しく上がる噴煙を見てると、なんだかラピュタの世界に迷い込んだようだ…と、鉄輪温泉を歩いている時と同じ所感が沸いてきます。


 バス停から歩いて10分ほどで、砂蒸し温泉に到着。波の音が聞こえる、素晴らしいシチュエーションにある砂蒸し温泉です。


 さっそく浴衣に着替えて、砂蒸し温泉へ。手際のいいお兄さんに、あっと言う間に埋められてしまいました。
 冬場なので、噂に聞くほどには熱くなかったのですが、それでも10分ほど過ぎれば汗がじんわり。すっきり、気持ちよくリフレッシュできました。


 ヘルシーランドの絶景露天風呂も楽しんだ後は、ちょっと遅めのお昼ごはん&生ビール!
 鹿児島らしく、カツオのたたきを味わいました。


 帰路も、「いぶたま」で。「いぶたまに手を振ろう」キャンペーンは地道に続けられており、お揃いの黄色いトレーナーを着た地元の方々に見送られ、指宿を離れました。


 湯上りの「薩摩ゴールド」がウマイ!


 鹿児島市内の指宿枕崎線では、高架化の工事が進んでいます。完成すれば、単線ローカル線らしからぬ都会的な風景に変貌しそうです。また違った、新たな桜島の眺望も期待できるかも。
 帰路の1時間もあっという間。中国・台湾からの観光客も多く、円安を受けて「いぶたま」の快走はまだまだ続きそうです。


 帰りの新幹線まで時間があったので、駅ビルの観覧車「アミュラン」に乗ってみました。


 新幹線を見下ろす観覧車。鹿児島中央駅にはそれこそ何度も来ているのですが、なかなか新鮮な眺めです。


 そしてソラリアホテルを越える高さから眺める桜島も、もちろんいい眺めでした。


 数少ない全線通しの「つばめ」で、博多へと戻ります。つばめを選んだのは、800系新幹線に乗りたかったのもあるけど、一番の理由は安いから。ネット早特で7日前までに購入すれば、7千円で済みます。
 もっとも現在は、さらに安いネット早特14が売られていて、2週間前までに予約すれば6,750円で乗ることもできるようになりました。


 博多に戻れば雨模様。駅前のイルミネーションは、雨に映され輝きを増していました。

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 新年、あけましておめでとうございます。今年も本ブログ共々、よろしくお願いします。
 年末年始はばたばたしており、ようやく昨年末の旅の様子をまとめることができました。12月20日~21日の1泊2日で、鹿児島・指宿を巡りました。


 往路は、私鉄も含め九州内の普通電車乗り放題の「旅名人の九州満喫きっぷ」を利用。大牟田まではJRでも西鉄でもよかったでのですが、日頃通勤で使うJRを避けて、西鉄特急の展望席に乗ってみました。
 最前列から3番目までの展望席では、前面展望も思いのまま。妖怪ウオッチ電車がすれ違って行きました。


 大牟田では、快速「くまもとライナー」に乗り換え。新幹線全線開業と共に生まれた快速電車ですが、3月のダイヤ改定で各駅停車化されることが決まっています。
 ワンマンの車内放送にもきちんと列車名が入っていますが、今回で聞き納めになりそうです。


 上熊本駅で下車。新幹線開業に続く在来線の高架化工事も順調に進み、駅舎の姿も現れ始めていました。


 「全線乗り放題」を活かし、市電で中心市街地へ。「県民百貨店」の2月閉店を知りショックを受けつつ、花畑町で下車しました。
 お昼ごはんは熊本ラーメン! 桂花ラーメンの、角煮がごろごろ入った太肉麺をずるずるっと頂きました。福岡にも支店があるのを知ったのは、もっと後の話です(笑)。


 腹ごなしに、熊本城へ。武者返しの曲線美に「こりゃ返されるな」と思いつつ、現代人の僕らはお金を払えい、堂々と入りました。


 天守に登れば、眼下には繁華街と路面電車。巨大くまもんが、こちらに視線を送っていました。


 ごろごろと車輪の音を奏でるレトロな市電で、熊本駅へ。駅舎は今、妖怪ウオッチとのタイアップで、毛馬本駅になってしまってます。


 在来線改札の横にも、精巧なセット(?)が。ちょうど映画の公開日だったこともあって、親子連れが大挙押し寄せていました。
 これをきっかけに、本物の鉄道にも親しんでほしいな。


 トイレの前にコイツは辛い(笑)。


 普通電車で新八代に移動し、今回のメイン・肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂」に乗り込みます。全国に増殖中の本格的レストラン列車のはしりと言える存在で、2年目の今年も快走を続けています。
 本日の夕方便・3号も、団体さんが入りほぼ満席でした。


 2年目のおれんじ食堂はメニューがガラリとリニューアルしており、3号は新八代~出水がスイーツ、出水~川内間がディナーコースの「シンフォニア」になりました。
 昨年は、1号車が乗車券と食事、お土産がセットになったパッケージプラン、2号車は指定席料金1,400円で座席のみ、オプションで食事を付けられるというシステムでしたが、現在はパッケージプランに一本化されています。ただし「旅名人」など企画きっぷで乗車する場合に限り、以前のような「食事オプション」方式で乗ることも可能です。

 ちなみに昨年までの食事オプションは4,500円でしたが、今回は11,000円!以前と違ってお土産が付くとはいえ、かなりの値上がりです。もっとも、以前の食事オプションは安すぎだったとも言えます。
 前半のスイーツコースは付けなかったので、新八代~出水間は乗車のみ。真横の席に運ばれてくるおいしそうなケーキを、指を加えて眺めるのみです。


 新八代を出発すると、さっそく東シナ海の大海原が出迎えてくれます。
 肥薩おれんじ鉄道は、九州でも随一の絶景路線。来年からは「ななつ星」の乗り入れも決まったプレミアム級の風景を、サービスのコーヒーを飲みつつ楽しみます。


 隣で進むスイーツコースを見ながら、こちらは食前酒です。海を肴に、地ビールを1杯。
 紙コップではない、きちんとしたグラスを出してくれるのは嬉しいところ。2号車は食事なしでも乗れるので、お弁当を持ち込んで、飲み物だけを車内でオーダーするというのも一つの楽しみかたです。


 佐敷、出水、阿久根では地元の「駅マルシェ」が開かれ、パッケージプランだとお土産を貰えます。ただしスイーツコースの区間内なので、僕らは遠巻きに眺めるのみです。パンの即売もあっていて手が伸びかけましたが、この後のディナーを考えて、我慢我慢。
 各駅の停車時間中はドアが開け放しで、出入口から遠い僕らの席でも、かなりの寒さになりました。半自動扱いにするなど、改善の余地ありかも。


 出水を前に、ディナーの準備が始まりました。お馴染み、すべり止めを兼ねたオレンジ色のランチョンマットが敷かれ、お品書きも配られて期待が高まります。


 出水駅では「マルシェ」で賑わう傍らで、食材の積み込と、使用済み食器を降ろす作業が続きます。並みの観光列車の、数倍の人手がかかる列車です。
 パッと見 高い料金設定も、このような様子を見ていると、簡単に高いと言ってはいけないなと思います。


 お待ちかねのディナーコースがスタート。まずは前菜3種盛。


 オレンジクーペとコラーゲンサラダ。お品書きでは別々に書かれているけど、一皿で出てきました。
 以前のディナーコースは3時間と、たっぷり時間があったのですが、今は1時間40分ほど。皿数が減るのも、仕方がないかな。


 スープは温かくて、寒い天気なのでほっこり嬉しくなります。焼酎のお湯割もウマイ。


 と言ってる間に、阿久根駅に到着。新幹線に見放され、衰退の象徴のように語られてきた駅舎は、まさに見違えるようにリニューアルされていました。


 これが、ローカル線の駅の待合室!通学の高校生が羨ましいです。


 駅舎内にはカフェやお土産屋さんも入り、おれんじ食堂の停車中はひとときの賑わいです。またゆっくり訪れたいなあ。


 列車に戻ると、メインディッシュのパエリアが登場。海の幸がたっぷりの、地元の味が広がるスペイン料理です。
 1号車ではギターのライブ演奏が続いているようですが、2号車は車内放送の「中継」になります。後半はこちらに来てくれてもいい気がしますが、個室風の席が多く難しい面があるのかも。


 デザートまで頂き、腹7分目くらいに満足。僕にとってはちょっと量が物足りなかったけど、スイーツコースから連続で乗っていればお腹いっぱいになることでしょう。昨年乗ったディナーコースは、とても食べきれない量だったので、適正量を研究されたのかもしれません。
 以前のような「お得感」がなくなったのは残念だけど、盛況の様子を見ていると適正価格なのでしょう。3月の新ダイヤでは、アルコールを楽しめる4号「おれんじバー」も登場するとかで、また乗ってみたいです。


 現実に戻り、川内からは817系電車で鹿児島へ。デラックスな革張りシートの電車で、贅沢感のある旅路は続きます。


 鹿児島駅から、「乗り放題」の市電で市役所前へ。みなと大通り公園では、イルミネーションが輝いていました。
 LED流行りの中、白熱色のイルミは逆に新鮮にも感じられます。今年は「原点回帰」を図ったのだとか。


 光の列を辿って行けば、ドルフィンポートへ。クリスマス直前ですが、家族連れで賑わうイルミネーションでした。


 市電で中央駅へ。


 ホテルにチェックインした後は、駅前の屋台村へ。今夜も、観光客と地元の人を交えて、満席の店が続出していました。


 お店を出ていく人と入れ替わりに、燻製居酒屋へ。カウンターで焼酎を傾けつつ、年の瀬の夜は過ぎて行きました。

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