Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです





 三宅島、御蔵島への早朝寄航はおぼろげに記憶にありますが、ほぼぐっすり眠ったまま、橘丸での朝を迎えました。
 昨夜は東京のネオンの中にいたのに、今は太平洋の青い海と空のど真ん中。眠ったまま遠くに運ばれた感覚は、夜行船の旅の醍醐味です。


 目的地・八丈島が見えてきました。2つの山がそびえる様は「ひょっこりひょうたん島」のモデルにもなったそうですが、残念ながら山頂付近は雲の中。
 はじめて訪れた時の薩摩硫黄島と同様、簡単には全容を見せてくれませんでした。


 八丈島到着。野ざらしの岸壁に横付けされ、船のクレーンを使って直接荷卸しが行われていました。南西諸島のあちこちで見てきた、「島」の営みの一端です。
 気温の高さはさほどでもないけれど、肌にまとわりつくような空気に、南の島へ来たことを実感しました。


 送迎ありのレンタカーを予約していましたが、送迎できるのは代表の1人のみということで、「同行者」の僕らは待合室でしばし待機。わずかな時間の中で雨が降ったり、晴れが見えたりと、さっそく亜熱帯の季候が迎えてくれました。
 待合所の建物はコンクリート打ち放しに、ガラスと木材を使った開放的で立派な建物。この点だけ、今までの島旅とは違いました。


 街路には、ハイビスカスがアクセントを添えていました。曇り空の街中でも、「南国」を感じられます。


 2泊3日、48時間で6,000円という格安のレンタカー(ワゴンR)に乗り、さっそく黄八丈の手織り教室へ。
 「黄八丈」とは八丈島の特産の織物で、島に自生する草木で染められた絹糸を織り上げていきます。こちらでは送料込み2,500円で、コースターサイズの織物作りを体験できます。


 「黄」というより、「黄金」と言いたいような輝きを放つ生糸。


 おばさんの優しくも厳しい手ほどきを受けつつ、慣れてきたなと思う頃に1枚完成。「耳」の部分を作るのがちょっと難しかったですが、とりあえずは満足な出来栄えでした。
 織っている間は「無心」と言っていいもので、時々はこんな時間もいいなと思います。


 お昼ごはんには、島寿司を。水着のままでの入店をお断りする看板から、夏の島の様子がうかがい知れます。


 島寿司は、ヅケにしたメダイやキンメなど、辛子を薬味にして握った郷土料理。ワサビの代用として辛子を使っていた名残とのことですが、これはこれでいけます。
 大将のすし談義を聞きつつの、贅沢ランチでした。


 ビジターセンターで明日の山登りの下調べをした後は、千畳岩へ。溶岩流の痕跡が生々しく残る、海岸の岩場です。数万年前の噴火の痕跡とのことですが、数十年前と言われても分からないかも。
 海には、八丈小島がぽっかりと浮かんでいました。


 海岸からダートを入って100mの原っぱにある、カフェ「空閑舎」。ランチ明けの13時からが営業時間です。


 溶岩プレートに乗ってコーヒーやケーキが出てくるのが、なんともユニーク。チーズケーキもアシタバ仕込みで、島らしさが感じられました。


 スーパーでごっそり買出しをして、コテージに戻りました。コテージの真下に温泉「見晴らしの湯」があるのは便利で、荷物を解いてさっそく晩の風呂へ。
 すっかり暗くなり自慢の見晴らしは楽しめませんでしたが、塩辛くもありつつえぐみもある、火山島らしい泉質の温泉でくつろぎました。


 飲み屋までは遠い場所にあるコテージなので、買出してきた島の名物&お酒でカンパイ!八丈産のお刺身は新鮮で、「島だれ」との相性もぴったりです。
 「くさや」は人生初体験。八丈島のくさやは匂いがうすく「マイルド」と評されますが、初体験の口にはやはり独特の匂いがまず広がります。でも、酒と合わせていればクセになるのは、分かる味ではありました。

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 離島への旅は大好きですが、主たる行き先は九州地方の離島。他の地方の島にはなかなか足を伸ばす機会がありませんが、また別の表情がありそうで、興味を持っていました。
 そこへ受けた、東京都の南・太平洋上に浮かぶ「亜熱帯区」こと八丈島へのお誘い。九州からの旅費に躊躇しないわけではありませんでしたが、行きたい気持ちには勝てずに快諾。勤労感謝の日3連休を、亜熱帯で過ごすことになりました。


 とはいえ、可能な限り旅費は節約したいところ。東京までの往復には、8月に就航したばかりの「春秋航空日本」佐賀~成田線を利用しました。日本市場に殴り込みをかけた中国系LCC、片道6,850円の飛行機とはどんなものなのか、興味津々です。
 秋からダイヤが変わっており、成田行きは17:35の1日1便に。もう3度も利用したt-way・仁川行きと雁行する時間で、佐賀空港のLCCターミナル化を実感する時間帯です。


 機体は新しく、座席も思いの他狭くありません。LEDの照明も明るく、大手の古い飛行機よりは、よほど気持ちよくて快適な空間です。


 LEDの照明は、離着陸時はブルーに変わります。なかなかカッコイイ。


 LCCですが、荷物を預けても無料なのは嬉しいところ。飲み物などのサービスがないのはLCCらしいものの、有料販売では就航地の広島・高松・佐賀の名物を取り揃えています。


 高松のさぬきビールと、広島の とりかわを合わせても500円ポッキリ。大手航空会社の「ビールセット」と同じ値段で ご当地名物を味わえるのだから、お得感があります。
 中国系航空会社なのに、「ふるさとのエアライン」といったムードを感じらました。


 機内販売では、成田からのスカイライナーのチケットも割引販売。日暮里までスカイライナーに乗る予定だったので、ありがたく活用させてもらいました。
 乗務員は全員日本人。中国らしさを感じたのは簡体字の書かれたエチケット袋と、『非常口座席は中国語が話せる人限定』という縛りくらいなもので、ごく自然に旅できた春秋航空の旅でした。


 LCCらしく、成田空港ではターミナルまでバス移動。急ぐ旅には向かないけど、夜の滑走路をドライブするのもまた楽しいものです。


 第2ターミナルから日暮里までは、30分台で結ぶ俊足ランナーのスカイライナーに乗車。早さもさることながら、スタイリッシュな内外装もお気に入りの列車です。
 最高速度160kmを誇り、全速力の時の風を切る音は、新幹線のそれのようでした。


 山手線に乗り継ぎ、浜松町へ。赤く輝く東京タワーを眺めて「東京」を感じた後、歩いて10分の竹芝桟橋へ向かいました。八丈島へは、船で1泊・約10時間半の旅路です。
 さすがは東京。週末の夜行船を待つ人は多く、ターミナルはラッシュのような賑わいでした。いつもの島旅とは違う雰囲気で、ちょっと調子が狂わないわけではありません。


 東海汽船の橘丸は、真っ黄色の船体が印象的。ずらりと列を作って乗り込みます。


 今回利用したのは、2等寝台。Web割引を活用しても11,810円と、瀬戸内航路に比べればずいぶん割高に感じられます。
 ただ7月に就航したばかりの船はピカピカで、内装も新しいマンションのよう。一晩の旅路も、快適に過ごせそうです。


 2等寝台には、コンセントも装備。現代人には、欠かせない装備ですね。




 午後10時半、出航。レインボーブリッジをくぐり、左は東京タワー、右はスカイツリーに見送られつつ旅が始まります。
 東京湾の夜景を見るべく、デッキは大賑わい。やっぱり、いつもと違う雰囲気だなぁ… 東京発の船旅は、九州人にとって一味も二味も違う体験です。


 夜遅い船なのに、1時間だけ食堂が営業しているのは立派。しゃれたガラス張りの壁には、名誉船長の柳原良平氏のイラストもくつろいでいます。


 島の焼酎も各種銘柄が揃っており、ジョッキ1杯で500円という嬉しい値段。しかも「作りまちがえちゃった」と1杯サービスしてもらい、旅の序盤から泥酔状態です。
 1週間の仕事で疲れた身なのに、船上での宴は日付が変わっても続いたのでした。

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 11月14日(金)、毎年恒例になった博多駅と天神のイルミネーションが始まりました。




 博多駅では、盛大に点灯式を開催。平原綾香の歌声が、華を添えました。
 今年のイルミネーションは、昨年と違い「動き」が見られるもので、印象が変わりました。


 キャナルシティ博多のイルミネーションは、一足早くスタート。




 警固公園にはミニSLが走り回り、家族連れでも楽しめそうです。

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 3連休釜山の旅の3日目・11月3日。帰路の飛行機は14時10分発なので、空港での手続きの時間を考えれば、持ち時間は午前中までです。
 朝ごはんは、宿の裏にあったお粥チェーン「本粥」で。韓国料理とはいっても辛くはなく、朝の胃にやさしく溶けていきます。




 今日の目的地は、釜山駅内にある韓国鉄道公社・釜山慶南本部。5月にアップした本ブログの記事を、本部主催の「S-Trainブログコンテスト」に応募したところ、特別賞を頂いていたのです。
 6月27日(金曜日)に行われた(しかも2日前に知らされた)授賞式にはさすがに出席できなかったのですが、次回の旅行の際にはお立ち寄り下さいとの連絡を頂き、ようやく訪問がかないました。


 突然の訪問にも関わらず、マーケティングチーム長の金さんに歓待して頂きました。ただ担当者の異動の余波で、賞状や副賞はどこかに行ってしまったとのこと。想定の範囲内ではありますが(笑)。
 代わりにKORAILのロゴ入りお尻敷きマット+オープナー+ペンを、それも同行者の分も合わせて3つも頂き、むしろ恐縮してしまいました。


 あれやこれやで時間がなくなり、チャガルチのハナロマートでお土産の買出しに勤しめば、もうタイムアウト。1号線~2号線~釜山金海軽電鉄を乗り継いで、空港を目指しました。
 2号線と軽電鉄の乗り換え駅、沙上駅での乗り換え通路は長く、荷物が重ければ大変そう。空港アクセスとして使うには、ちょっと大変なルートです。


 乗ってしまえば快適な軽電鉄。気持ちのいい快晴の中、川の水面の上を快走です。


 エアー釜山は帰路も満席。列を成す搭乗客は、日曜日の日本方面にも関わらず、やはり韓国人客が優勢でした。


 関空に比べてもかなり小さな金海空港の国際線ターミナルですが、必要なものは一通り揃っています。
 きれいな構えの「韓食堂」で、この旅最後のご飯をお腹に収めました。


 出国審査場の列はほとんどなく、あっという間に手続き完了。免税エリアは仁川空港と比較にならないほど小さな規模ですが、やはり免税店には一通りのものが揃っています。


 驚いたのは、セブンイレブンがあったこと。値段も市価と大差なく、良心的です。仁川空港にもあれば、人気が出ると思います。


 偏西風に乗る帰路は、飛行時間わずか35分。ビートルの2時間55分とは比較にならず、「一度エアープサンに乗ってしまうと、なかなかビートルに戻れなくなる」という人の気持ちも分かる気がします。
 ただ都心にダイレクトアクセスできたり、鉄道PASSとのセットが安かったりと、ビートルにはビートルなりのメリットも。今後も、賢く使い分けていきたいです。


 往路と違って、福岡空港でもボーディングブリッジにはつながれません。連絡バスもなく、滑走路からターミナルへは歩いての移動でした。

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 3連休の釜山旅行。2日目の朝は7時半に起きて、宿の裏手にあるサウナに行ってみました。天然鉱泉とのことで、入浴料は5,000ウォンと割安。アカスリは2万ウォンとややお高めで、トータルの値段は普通といったところでした。
 アカスリの支払いは通常、担当のおっちゃんに鍵の番号を控えてもらい、受付で後払いすることが多いのですが、ここは前払い方式。お札を浴室に持っていくのが、ちょっと面倒でした。


 蓮山(ヨンサン)周辺にはカフェの類が見当たらなかったので、昨夜以来の東莱(トンネ)に戻り朝食。モーニングセットが10時までと書いてあり、9時40分にギリギリ間に合った感じで入ってみたのですが、中には店員さんが見当たらずがら~んとした状態。
 呼び出したら店員さんが出てきましたが、やはり夜がメインの街のようです。


 今回の旅のメイン、カニの街・機張(キジャン)へはバスが便利ですが、都市鉄道の4号線も通じています。無人運行の新交通システムで、コースの半分以上は地上を走り車窓が楽しめるのもいいところです。
 釜山金海軽電鉄と違い、釜山交通公社の直接運営なので、地下鉄の1日乗車券(4,500ウォン)が通用します。


 カモメ柄の座席はブルー基調にまとめられ、爽やかなイメージ。成田エクスプレスなどでお馴染み、日本のGKデザインが手がけたものです。窓はドア間に1枚と大きくとられ、眺望の良さも魅力のひとつです。




 惜しいのは機張の市街地まで通じていないことで、終点でバスに乗り継ぎ、機張市場で下車しました。いかにも韓国の在来市場といった、活気ある市場です。
 港町だけあって魚介類も豊富。足の踏み場もないほどでした。




 そんな機張の名物がカニ。韓国国内でも有名ですが、日本からの観光客も多く、目ざとく僕らを見つけた商人から熱いラブコールが飛び交います。
 じっくり店定めして、一番カニを丁寧に扱っているように見えた「ズワイガニハウス」に入ってみました。


 店頭の水槽に並んだカニを選んで、生きたまま蒸し上げてもらうスタイル。2杯で14万ウォンという値段は、激安とまでは言えないけれど、日本よりは安そうです。


 さっきまで元気に動いていたカニが、あっという間に食卓へ。無心、無言でむしゃぼりつきました。うまい!


 カニ味噌は、甲羅に入れてチャーハンに。贅沢なランチでした。
 地元・釜山では身近なグルメレジャーとして親しまれているようで、車で乗り付ける人を多く見かけました。福岡市内から糸島へ、カキを食べに行くような感覚なのかも。


 今度は市内バスで、海雲台(ヘウンデ)方面へと抜けます。鉄道の東海南部線も平行していますが、本数が少ないのでバスに頼らざるを得ません。近い将来には通勤電車を走らせる計画もあり、便利になりそうです。
 その線路改良の一環でショートカットされた旧東海南部線が最近、遊歩道として活用されているとのことで、訪ねてみました。


 遊歩道とはいえ、線路も砂利もそのまま残されています。歩きにくいですが、非日常の雰囲気があって楽しい体験です。
 遊歩道になった区間は、韓国では数少ない、海を望む路線として知られていたところでもあります。13年前に乗ったきりの路線でしたが、最後にもう一度乗っておきたかったなとも思いました。


 トンネルもあります。余計な装飾がないのがいいですね。
 防犯カメラを設置したり、線路のつなぎ目を砂利で埋めたりと、遊歩道として最小限の手は加えられていますが、廃線跡ウォークの雰囲気は満喫できる遊歩道です。




 散策路の途中には、署名のリボンが掲げられた広場が。廃線跡の整備に対して市民側の意見聴取を求める、市民団体側からの働きかけのようです。市民側は、現状の維持を求めているとのこと。
 レールバイクもいいけれど、各地に増えすぎて物珍しくなくなってきたのも確か。「あえて」線路のままの遊歩道も、オンリーワンを目指すならあり得る選択かもしれません。


 海岸を離れると山の上に、初夏に訪れた月見の丘の「カフェコンプレックス」や、高層住宅街が見えてきました。


 全長約5kmの遊歩道の中間地点に当たるのが、青沙浦(チョンサポ)。海女さんの活躍する海岸で、貝焼きが名物です。あまちゃんの袖が浜海岸を思い出しますが、カフェやコンビニなんかもあってもう少し開けたイメージです。
 波止場では釣りや酒盛りに興じる人も多く、釜山市民それぞれの休日を過ごしていました。


 遊歩道は海岸沿いにさらに松亭(ソンジョン)まで続きますが、天気もぐずついてきたのでこの辺りで切り上げることにしました。
 マウルバスが20分毎に走っていて、地下鉄の駅まで抜けることができます。


 萇山(チャンサン)駅で、地下鉄2号線に乗り継ぎ。釜山の地下鉄は、1号線と3号線がやや小さめの車両を使っていますが、2号線には大柄なソウル地下鉄サイズの電車が走っています。


 広安(クァンアン)駅で下車、歩いて10分のビーチリゾート・広安里へと出てきました。
 目の前に砂浜と広安里大橋を臨むカフェで、ほっと一休み。オープンになったテラスはさすがに少し肌寒かったですが、ホットの飲み物で温まりました。


 夕暮れ迫る広安里ビーチ。


 早めの夕ご飯は、広安里ビーチを臨む刺身屋ビルディングで。1階が魚屋になっていて、2階から10階の刺身屋でさばいてもらって食べるスタイルです。
 強引なおばちゃんに掴まり、適当に魚を掴まされ、選択権なく3階の刺身屋に連れ込まれるという、まあ半ば予想していた展開に(笑)。安くてうまかったから文句はありませんが、道端の「客引きの店を使わないようにしましょう」という垂れ幕の文字がまぶしかったです。


 お腹いっぱいになる頃には、すっかり夜の帳が降りていました。広安里大橋も、派手やかにライトアップ。デコレーションケーキのようです。


 2号線で新市街地の西面(ソミョン)へ。旧市街の南浦(ナンポ)より、整然とした印象の街並みです。
 今夜は日曜日なので明日は出勤日のはずですが、夜の街は多くの人が行き交っていました。


 西面の地下街を歩いていると、韓国ではあまり見かけない、普通の本屋さんスタイルの古本屋さんを発見しました。写真撮影歓迎と書かれていたので、遠慮なく1枚。
 中古CDがあったのも嬉しいところ。廃盤になることが珍しくない韓国のCDで、留学時代に親しんだ曲のCDはなかなか見つからなかったのです。見つけるままに、3枚買い求めました。


 締めの一杯は、ミラービールのビアホール「ミラータイム」名物のノッポジョッキで。これを求めて、3度目の東莱に来てしまいました(笑)。
 おいしいビールでのどを潤せば、明日は帰国の日です。

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 日韓の気軽な足になっているJR九州の高速船・ビートルが最近、苦境に陥っています。円安、船離れ、日韓関係の悪化など複合的な要因と言われていますが、見逃せない変化に福岡~釜山間へのLCC就航も挙げられます。
 その会社は、アシアナ航空系列の「エアープサン」。この秋には1日2往復から3往復へと増便になり、勢いづいている路線です。韓国を身近なものにしてくれたビートルに愛着はありますが、その強力なライバルの表情を知りたくなり、文化の日3連休に釜山へと飛びました。


 11月1日、土曜日。今回は、増便となった時間帯の便での往復です。往路の出発は16時10分と、遅めの時間になりました。
 エアープサンのカウンターに並ぶのは、親会社のアシアナ航空のスタッフたち。アシアナとのコードシェアも実施されており、手荷物の委託も無料と、あまりLCCに登場するという感覚はありませんでした。


 機体は、6列座席の中型機です。韓国人を中心にほぼ満席。LCCの勢いと、円安の影響を感じます。


 機内はブルーの座席がさわやか。席も狭くはありません。短い路線なので、飛行時間は45分。水平飛行の時間は30分もありませんが、飲み物サービスまであり、なおのことLCCらしくありませんでした。
 ワゴンを押している時間はないということで、コップに注がれたオレンジ、アロエジュース、水の中から好みの飲み物を取っていくスタイル。乗務員が日本語の対応をほとんど行わず、韓国語オンリーだったのは「合理化」の表れでしょうか。


 釜山上空は厚い雲に覆われており、着陸直前にはひどい揺れに。何度か無重力状態になりながら雲を抜けると、釜山市街地の上空でした。
 雲を抜けてしまえばおだやかな飛行で、無事金海空港に着陸。ターミナルまでバス移動だったのはLCCらしい所ですが、巨大な飛行機の間をバスで通り抜けて行くのも、乗り物好きとしては楽しい体験でした。


 入国手続きはほぼ最後になってしまいましたが、それでもスムーズに30分もかからずターミナルを出られました。
 市内まではリムジンバスが便利ですが、鉄っちゃんたるもの鉄道利用にこだわりたいところ。国際線・国際線ターミナルから等距離にある、釜山金海軽電鉄の駅へ向かいました。




 軽電鉄は2本のレールに乗った通常の鉄道スタイルながら、2両運転の無人運転を採用した新交通システム。かわいい電車が5分ごとに行き交い、利便性は高いです。
 ただ空港ターミナルから駅までの案内が少なく、旅行者の利用はあまり想定されていないように感じました。


 地下鉄3号線と接続する大渚(テジョ)駅までは、空港近くとは思えない農村部を走ります。真っ暗な田園地帯を突っ切る高架橋は、どこかミスマッチです。
 3号線に乗り換え釜山市内を横断して、1号線と交差する蓮山(ヨンサン)駅を目指しました。


 蓮山駅近くのホテルで旅装を解いて、1号線の3駅北・トンネで降りました。GWに一度訪れた繁華街ですが、おいしくて安い店が集まっていて、お気に入りの街になったのです。
 さっそく、行列のできているプルコギの店を発見。カードを貰って、5組順番を待ちました。


 このお店のプルコギは、真ん中の鉄板部分で焼いて、周囲の肉スープで煮込むすき焼きスタイル。野菜は取り放題で、おいしくてヘルシーでした。
 値段もビールまで合わせて一人当たり千円ちょっとで、人気なのも頷けます。


 もう一軒!は、GWに気になっていたビアホール「樽の中へ」。思わず「行ってみたいと思いませんか」と続けたくなるユニークな店名ですが、外観もなかなかユニークです。
 すでに夜は寒い季節ですが、外のテラスでビールを傾ける人も多くいました。


 中も、本格的なビアホールといった雰囲気。壁のスクリーンは3面に設置され、同じ映像を流しているので、どの席に座っても見やすく楽しめるのはいい工夫です。
 スポーツ中継の時なんか、盛り上がるだろうなぁ。


 アサヒを始め外国ビールも豊富なのですが、国産生ビール「Max」の2,000cc以上がお勧め。ピッチャーではなく、こんなタワーに入って出てきます。
 ピッチャーのように重くないし、真ん中の空洞には氷が通してあるので、ぬるくもなりません。ぜひ日本に輸出してほしいものだと思いつつ、2リッターのビールを終電まで飲み干したのでした。

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 10月25日(土)、海列車で正東津に帰ってきた、鉄っちゃん二人組。せっかくなので、観光地として人気の駅のまわりも散策してみました。
 廃線利用のレジャーとして、韓国では各地で人気を呼んでいる「レールバイク」が正東津にも登場。ただこちらは、わざわざ作った「新線」で、通常の鉄道ではありえないほどカーブが急です。レールファンとしては、遊園地の遊具と変わらなく見えてしまいました。


 秋ですが、雲一つない秋晴れの空に、海も透明度を増します。夏に海水浴に来ても、気持ちいいだろうなぁ!


 線路付け替え工事で運休中の江陵(カンヌン)までは、市内バスで移動。バスターミナルからは、市外バスで内陸部の旌善(チョンソン)を目指しました。
 鈍行列車が存在しない韓国の地方部では、バスが大切な生活の足。街外れから、田舎街へ買い物に行くおじいさん、おばあさんは、お互いはもちろん運転士とも顔なじみで、世間話に華を咲かせていました。


 緯度が高い上に山深い江原(カンウォン)道は、早くも山の木々が色づき紅葉シーズンを迎えています。
 山あいの鉄橋を渡る、トロッコ列車の姿が見えてきました。その正体は…


 旌善郡の街外れ、アウラジは旌善線の終点。その先、かつて九切里(クジョルリ)まで伸びた1駅間は、レールバイクの元祖として親しまれています。レールバイクの始発駅までは、トロッコ列車で移動できるのも魅力です。
 ぜひ紅葉の中を走るレールバイクに乗ってみたかったのですが、ベストシーズンとあって売り切れとのこと。同じく飛び込みで訪れていた香港人カップルともども、がっかりです。


 気を取り直して、「ローカル線の終着駅」の周辺を散策することに。山の水は澄み、紅葉に燃える山が映えます。


 川にたたずむ渡し船。無料で乗れるとのことですが、管理の方がおられず乗船はかないませんでした。残念!


 駅の周辺には何軒かの商店が集まっていますが、少しはずれれば農業地帯に。畑には、韓国らしくトウガラシが実っていました。


 駅横の列車の車体を使ったカフェに入ってみましたが、ビールは売り切れとのこと。人気の観光地であることが、売れ行きからも伺いしれました。
 トロッコで登って行ったレールバイクが、帰ってきました。ペダルを漕ぐ人たちは、みな爽快な顔をしていて楽しそう。いつか、再チャレンジしたいものと思います。


 アウラジの名物が、ヤマボクチ餅。韓国のこのテの菓子って苦手なものが多いのだけど、ここのお餅は硬さも甘さも日本人好みで、とても口に合いました。ご主人は、日本で修業を積んだのだそうです。
 自然素材を使った生菓子なので、賞味期限はわずか2日間。翌日帰国の予定がある人ならば、お土産にもオススメです。


 銀杏の木が色づくアウラジ駅に、夕方5時半の列車の時間が近づいてきました。


 旌善線の列車は、1日わずか2往復。機関車+客車2両+電源車という、エネルギー効率は悪そうなローカル列車が走ります。


 特急格のムグンファ号なので、2両の客車は全席指定のリクライニングシート。窓は固定で開きません。線内の5駅のうち3駅は通過してしまうため、3駅は事実上の休止駅という状態です。
 日本のローカル線とはちょっと様相が違いますが、旅行シーズンにも関わらずガラガラの車内はのんびりした雰囲気。車掌さんとも「いい写真撮れた?」「ええ、日本から来てよかったです」と声を交わしました。


 特急格とはいえ、単線の線路をごとごとと進むスピード感は鈍行列車そのもの。川沿いの木々は色付き、浮世離れしたローカル線の時間が流れて行きます。


 沿線唯一の客扱い駅、旌善で家族連れが乗り込んできました。少しほっとしましたが、それでも乗車率は1割にも届きません。
 2と7のつく日には旌善名物の「五日場」なる市が開かれ、列車もソウル方面からの直通になります。旌善線が賑わう5日に1度の日にも、一度乗ってみたいものです。


 太白線との合流駅、ミンドゥ山に到着。列車はこのまま、中央線との接続駅・堤川(チェチョン)まで直通しますが、僕らはここで下車しました。
 ホーム上の木造の待合室には、木の長いすが置かれ、昔ながらの乗り換えターミナル駅といった趣です。


 堤川までは、観光列車・O-Trainに乗車。ソウルまで直通する列車ですが、週末の観光列車の人気は高く、途中駅までしか席を押さえられなかったのです。ボックス席や家族席、窓向き席など、多彩なシートが楽しい観光列車です。
 以前は首都圏の南部と北部から2本の列車が走っていて、堤川で相互接続してそれぞれが環状線を逆に廻るユニークなダイヤでしたが、7月に死者を出す衝突事故を起こして以来、1本が復活していないのは残念なところです。


 堤川から清涼里へは、後続のムグンファ号に乗りました。この列車も満席で、立席券を求めての乗車です。
 列車カフェも混雑しているだろうと予想していましたが、これが思いの他ガラガラ。ビールを求め、夜の車窓を眺めながら1杯やりました。やはりフリースペースや供食設備があるだけで、汽車旅にぐっとゆとりが生まれます。


 今回は、列車カフェのカラオケルームも初体験!韓国のゲーセンではお馴染みの「ミニカラオケBOX」に似ていて、定員は2人。30分5,000ウォンで歌い放題です。
 韓国ではメジャーな通信カラオケ・クミョンの機械が入っていて、日本の歌も豊富。窓に流れる夜景を見ながらのカラオケは、なかなか新鮮でした。結果的には、O-Trainの指定席が取れなかったおかげで、いろいろと楽しめたと思います。


 清涼里で、韓国の鉄仲間と合流。鉄っちゃんメガネ男子3人で、今夜の泊まり先の回基(フェギ)に電車で1駅、移動しました。
 まずは牛の焼肉で乾杯! 「乳頭温泉はすばらしい」「筑肥線の景色は最高だ」「九州は485系最後の場だ」などなど、どこにいるのだか分からない鉄旅トークで盛り上がりました。


 大学も近い回基は、パジョンが名物。路地裏に入れば、そこかしこにパジョンの店があり、しのぎを削っています。


 学生で混雑していた店に飛び込み、マッコリとパジョンで2次会。すっかり気分は現地の大学生で、気付けは日付が変わってから時計は1回転してました。


 倒れるようにホテルに戻り、目覚めれば午前9時。窓を開けると、そこは回基駅の構内でした。
 中央線と1号線が交わる駅には頻繁に電車が行きかい、ときおり長距離列車や2階建て電車「itx青春」の姿も。日本だったら「トレインビューホテル」として鉄っちゃんの人気を集めそうです。


 現地の鉄っちゃんと別れ、東大門へ。韓国初体験というのに鉄っぽい所ばかりに終始していたので、少しは韓国らしいところにということでやってきてみました。
 東大門のファッションビルは10時にオープンですが、賑わうのはやはり夜で、オープン直後は閑散としていました。フラフラとやってきた日本人2人組は格好のカモ。あちこちで「おにーさん、おにーさん」と声がかかり、じっくり見ることもできませんでした。


 東大門で見かけた、「タヨ」のキャラクラーバス。
 GWに訪れた時は、全国で数百台規模で走り回っていましたが、広告収入が得られないバスということでほとんどが元に戻っており、今や貴重品です。


 はやめの昼食を食べて、ソウル駅へ。ソウル駅内のロッテマートでみやげ物を買うのが「定番」なのですが、政府の方針による「大型マート休業日」に当たりお休みでした。趣旨は分かるけど、金浦空港や龍山駅など、旅行者も多い場所は例外にしてもらえるとありがたいです。
 空港鉄道で仁川空港へ。リニアが開業間近であることを告げる看板が出ていますが、9月に予定されていた開業は「無期限延期」状態。生きてるうちに、乗れる日は来るのでしょうか…。


 T-way航空で佐賀へ戻ります。晴天の中の快適なフライトでしたが、九州上空の気流が悪く、かなり揺れて肝を冷やしました。
 さらに管制からの指示とかで、20分ほど佐賀の上空をぐるぐる旋回。窓際であれば遊覧飛行の気分だったろうけど、通路側の上に狭いLCCのシートに座らされた身としては、早く降りてくれと念じるばかりでした。

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 比較的大きい規模の我が職場。趣味を同じくする者も少なくはなく、鉄道旅行派の後輩が入ってきました。
 話を聞いてみればなかなかの行動派なのですが、海外は未経験とのこと。それならでは「入門編」ということで、夜行列車に観光列車、「超」ローカル線まで盛り込んだ、2泊3日の韓国鉄旅満喫コースを企画してみました。


 鉄旅とはいえ、忙しい社会人。最小限の休みで済むように、お馴染みt-way航空の佐賀~仁川便を利用しました。10月24日(金)夕方に立ち、26日(日)夕方に戻る48時間のコースです。1ヶ月半前の予約で、諸税込往復16,800円でした。
 秋の今、17:10発の往路便に乗れば夕暮れの時間です。快晴だったこの日、ノリの養殖場が広がる有明海はオレンジ色に染まっていました。


 飛行機はちょうど久留米の上空を通過。我が街を見下ろしながら、行ってきます!


 定刻の18時35分には、仁川空港に到着しました。シャトル列車に乗り、入国手続きを済ませ、両替して…といつもの手順を踏み、無罪放免。空港鉄道の空港駅に向かいました。
 19時10分の直通列車にも余裕を持って間に合い、43分間揺られれば、ソウル駅へ。8,000ウォン(約850円)という運賃の安さに、後輩君は目を丸くしていました。


 早いのはいいのですが、空港鉄道のソウル駅は地下深く、地上に出るまで10分近く要するのは泣き所です。ソウル駅の窓口に着いたのは8時前。行列に並び、ネットで予約しておいた乗車券を引き取りました。
 夜汽車の始発駅は清涼里駅ですが、せっかくなのでホームに降りて、列車ウオッチング。電車方式の特急「itxセマウル」を、初めて間近で見ました。なかなかスマートですが、ゆとりがあった従来の特急に比べ、座席を並べただけの列車になったのは残念です。


 現在のソウル駅はガラス張りの近代的な駅舎ですが、レンガ造の旧駅舎はライトアップされ、むしろ存在感を放っています。
 駅前広場には、ビニル製のザルを積み重ねたオブジェが並んでいました。韓国人芸術家の作品で、夏には西鉄福岡駅にも出張しているのを見ており、身近な素材を使ったユニークな作品です。


 今夜は夜行列車に乗る予定なので、腹ごしらえに鐘路の繁華街へ。一軒目の飲み屋はハズレだったので、ほどほどで切り上げて焼肉屋へとハシゴしました。厚手のサムギョプサルとマッコリで、韓国の味を満喫です。
 煌々とネオンが光る鐘路の街を歩いていると、このまま朝まで遊んでしまいたい誘惑にかられますが、そこはぐっと我慢して地下鉄に乗りました。


 韓国東部への玄関口、清涼里(チョンニャンニ)駅へ。13年ぶりに訪れた駅は、ターミナルデパートを併設した、立派な駅舎に生まれ変わっていました。ただ駅前には屋台が並び、庶民的な空気を残しています。


 23時25分発の特急「ムグンファ」は、機関車牽引の客車列車。日本と違って客車列車が多い韓国でしたが、近年では電車やディーゼルカーがじわじわ増えてきており、いずれ貴重な存在になるかもしれません。
 夜汽車には旅行者、登山客に混じり、近距離の帰宅客の姿も目立ちます。かつての上野口と新宿口の座席夜行を、足して二で割ったような客層といったところでしょうか。


 夜行列車の行き先は、正東津(チョンドンジン)。本来の終点はその先の江陵(カンヌン)なのですが、路線改良工事のため長期運休・バス代行になっています。
 ちなみに韓国鉄道旅行歴15年の僕ですが、夜行列車は初体験。どんな雰囲気なのか興味半分、不安半分です。席は1ヶ月前の発売日に売り切れており、どうにかキャンセルの席を抑えたものの、席はバラバラ。後輩君の不安の方が大きそうです。


 車両は昼行のムグンファと同じ。標準軌の幅を生かしたゆったりシートで、夜の旅も快適です。ただ車内灯の減光や車内放送の中断はなく、神経質な人には安眠グッズが必携かも。僕の席は3人グループに向い合せにされていて、寝にくさは倍増でした。
 驚いたのは、サービススペースの「列車カフェ」が終夜営業していたこと。真夜中でも飲食物が手に入るし、マッサージチェアやカラオケを楽しむこともできます。写真は終点直前の様子ですが、夜中は立席利用の乗客でぎっしり満員でした。


 登山客は途中で降りて行く人が多かったですが、それでも半分の乗客が残ったまま、終点・正東津に4時半到着。江陵方面への代行バスへ乗り継ぐ人よりも、その場に留まる人の方が目立ちました。


 駅のホームには、今朝の日の出の時刻が。海岸に面したこの駅は、韓国随一の日の出の名所です。夜行列車を降りた乗客のほとんどが、この駅での日の出が目当ての観光客です。


 駅前広場は、午前5時前とは思えぬ人だかり。
 午前3時台着の「半夜行列車」や、秋山登山と組み合わせたツアー列車も到着していて、都合列車3本分の乗客が朝陽を待っていました。


 駅前の飲食店や商店も観光客を当て込んで、ほとんどの店が開いてます。僕らはこのログハウス調のカフェで、朝までの約2時間を過ごすことにしました。コーヒー1杯7,000ウォンには驚きましたが、ここは場所代と考えるべきでしょう。
 店内に入れば、席に座る人のほとんどが仮眠中。中には堂々とソファに横になる人もいて、カフェらしからぬ光景が展開していました。


 駅と海に向いたオープンデッキもあり、よい季節には気持ちよく過ごせそうですが、さすがに日の出前とあっては寒く、人っ子一人出てきませんでした。
 くつろいでいる間に、釜山からの週末臨時夜行列車も到着。こちらも観光客でほぼ満員でした。空も次第に白んできます。


 駅ホームを埋める人々。13年前は駅のホームから直接砂浜に降りられたのですが、今は一旦駅の外に出て迂回する格好になります。
 ほとんどの人は海岸線へ向かっていましたが、鉄道旅行派の僕らはせっかくなので、駅のホームから眺めることにしました。雲ひとつない空に、期待が高まります。


 ホームに留置中の団体列車も、ほのかに赤く染まってきました。








 出てきた!霞のない水平線上に浮かんできた太陽は、まんまる。こんなにクリアな朝日を見たのは、初めてです。
 思わず手を合わせて、旅の安全を祈願しました。


 朝を迎えて間もない7時10分、正東津を立つ列車があります。その名も「海列車」。東海岸の海を眺めながら走る、観光列車です。今回、6年ぶりの乗車になります。
 通常は1日2往復の運行ですが、週末のみ日の出直後の時間に1本、「週末朝の海列車」が増発されます。早朝の列車とはいえ、正東津駅にとってはゴールデンタイム。チケットは、はやばやと売り切れになっていました。


 正東津~江陵間は工事で運休中ですが、海列車に限り途中の安仁(アニン)駅まで走り、折り返して正東津へ一旦戻り、三抄(サムチョク)駅を目指します。この間も海岸線の近くを走り、北朝鮮の工作船も見られることから、特別運行されているようです。
 2号車にはカフェコーナーがあり、足元まで広がった窓から海を眺めつつのコーヒータイムを楽しめます。


 1、3、4号車の席は、全席が窓向き。窓も大きく、ゆったりと海岸線を眺められます。
 トンネルに入れば、車内の照明の色が変わっていくという演出も。


 6年前に乗った時には3両編成でしたが、その後増結されたのが2号車。家族席はボックスシート、その他の普通席はロングシートです。
 運賃は片道12,000~15,000ウォンとかなりの高値なのに、ロングシートを充てられたらかなわないなと思いました。


 海の見えない区間では、ケータイのメッセージで回答するクイズ大会や、「朝の健康体操」なんてイベントも。各車両の様子はモニタで映し出され、乗務員が「3号車、眠い方なかりのようですね~」と盛り上げてくれます。
 日本の観光列車の影響を受けたのかなと思える部分の多い「海列車」ですが、乗客との一体感の演出は秀でているように感じました。


 満員だった車内も、途中駅で観光のために下車する人が多く、終点・三陟まで乗りとおした乗客は1桁でした。


 一般の旅客列車は走らず、事実上「海列車」専用の観光駅になっている三陟駅。駅前にこれといったものはなく、乗り潰し目的でなければ途中駅で下車しての散策がおすすめです。
 ただ切妻屋根の小さな駅舎は風情があって、レールファンとしては楽しめます。


 海列車は、すぐに折り返しです。早朝便とはいえ人気が高い海列車、帰路の列車も満席状態で、普通の席は空いていませんでした。
 唯一空いていたのが、「プロポーズ室」。2人きりの時間を過ごせる、個室席です。なんでこの席に後輩と乗らなければならないのか、とブツブツ言いながら部屋に入りました。


 片道1室5万ウォンという高値の部屋だけに、よく冷えたワインのサービスが。「Sea Train」のロゴも入った、オリジナルブランドです。
 輸入モノのようで味にも期待しましたが、韓国ワインの一般的な傾向通り、あまったるかったです(笑)。


 海を見下ろす、楸岩(チュアム)駅。観光下車から戻ってきた人で、再び車内は満員になったようですが、個室にいる限り無関係。2人だけの時間を過ごしたいカップルであれば、最高の部屋でしょう。
 僕は別の意味でホームの乗客から見られたくなかったので、ブラインドを下ろしました(汗)。


 往復している間にすっかり陽は昇り、海は青色に輝き始めました。
 朝から昼へ移り変わる海の表情を見られるのも、「週末朝の海列車」ならではの特権です。


 帰路の列車も正東津~安仁間を往復しますが、すでに往路で乗った区間なので、正東津で降りてしまう人も多くみられました。僕は降りませんでしたが、夜行列車での寝不足がたたり、うつらうつら…気づけば、4度目の正東津駅でした。
 相変わらずの盛況ぶりが目立った、海列車。車内イベントにも磨きがかかっており、二度目でも楽しめました。各地に観光列車が生まれましたが、これからもリードする存在であってほしいと思います。

コメント ( 1 )
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