Chang! Blog
福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです




 最終日、4月26日の朝は、金沢駅前のビジネスホテルで目覚めました。9,000円という値段でしたが、部屋の広さも付帯設備も、昨日の富山の方が格段に上だったように感じました。
駅前という立地ゆえか、金沢という観光地価格か。おそらくその両方でしょう。


 朝9時半の新幹線で東京に向う計画ですが、わずかな時間も有効活用。朝7時半、コミュニティサイクル「まちのり」を借りて、まちなかサイクリングに出かけました。
 一定時間借りっ放しの「レンタルサイクル」ではなく、市内各所に設けられたサイクルポートの自転車を「シェア」するシステムです。ポートからポートまで20分以内に返却すれば、1日の利用料金は200円でOKです。


 利用にはクレジットカードの登録が必要。ポートでの貸し出し時には暗証番号を入力するか、登録した手持ちのICカードをかざせばOKです。
 毎回端末本体での操作が必要な暗証番号よりも、車輪の固定台の読み取り機にかざすだけのICカードの方が、簡単、便利に感じました。


 さっそく自転車に乗って、目的地にGo! 自転車ならば狭い路地にも入れて、バスやタクシーとはまったく違う風景を楽しめます。いいじゃん。
 東山ポートに着くと、げげ、「在庫」0台。つまり自分たちが乗ってきた自転車が誰かに乗られてしまうと、移動手段を失ってしまう状態です。それは不安なので、いったん返却してリセットしてから、再度借りました。これじゃあ普通のレンタルサイクルと変わりません。




 東町の茶屋街を、自転車を押しながらブラブラ。昼間は観光客で溢れるのでしょうけれども、早朝とあって行きかう人は地元の人ばかり。挨拶を交わしつつ、地元人気分を味わいました。




 尾張町ポートには1台だけ停めてあったので、まあ大丈夫かなと駐車してぶらぶら。帰ってきた時に自転車があるのかどうか不安というのは、精神衛生上あまりよろしくありません。
 実は昨日も利用を考えていたのですが、ポートというポートに自転車がなくて断念した経緯があります。富山のような日常利用メインならばストックも充分かもしれませんが、「観光特需」に沸く金沢ではやや使いにくいものになってしまっているようでした。






 とはいえ自転車を押さずにブラブラ歩くもの、また気分が違っていいもの。レンタルサイクルと違い、体力しだいではバスや歩きに切り替えてもいいわけで、システムとしてはいいものだと思います。
 浅野川沿いの主計町茶屋街、いい雰囲気で歩いているだけでも楽しくなりました。


 1時間半の早朝サイクリングを終え、いよいよ今回の旅のメインともいえる、北陸新幹線に乗る時がやってきました!ピカピカの改札口を抜け、真新しいホームへと上がっていきます。


 予約したのは、速達タイプの「かがやき」ではなく、主要駅停車タイプの「はくたか」。今春開業した金沢~長野間では各駅停車になります。各駅をじっくり眺められるという趣味的な理由よりも、「はくたか」ならネット割で1割引という経済的な理由が大です。
 「かがやき」も「はくたか」も、車両は同じE7/W7系。最近のJR東日本の新幹線、一時期に比べてずいぶんかっこよくなった気がします。


 12号車は、デッキの質感まで違う最上級シート「グランクラス」。興味はありましたが、大枚一万数千円を払う勇気はありませんでした。
 グランクラスやグリーン車への、見学の立ち入りは遠慮下さい旨の放送が流れており、開業間もない時期ならではです。


 普通車は枕が上下できるようになっており、座高の高い僕でも(!?)頭が落ち着きます。リクライニングを倒すと座面が軽く持ち上がり、体をしっかり支えてくれる機構もあって、2時間半ならば普通車でも充分快適です。


 洗面所は、鏡の両脇に照明を縦に並べるJR西日本スタイルと、洗面台が大きいJR東日本スタイルが共存。JR東海エリアを飛び越え、東西のJRが手をつないだ新幹線らしい内装です。


 北陸新幹線の車窓でも、もっとも見所と言われる立山連峰が見えてきました。


 黒部宇奈月温泉駅は、ホームも「立山あおぐ特等席」。


 さらに糸魚川まで来れば、車窓左手に青空を映す日本海まで。
 近年の新幹線はトンネルばかり、高架区間でも防音壁で阻まれ車窓が広がらない・・・という区間が多い印象がありますが、北陸新幹線はいい景色が続き、飽きません。東海道新幹線に次ぐ、風光明媚な新幹線と言えそうです。


 ただし弱点も。多くを占めるトンネル区間では、ケータイがつながりません。山陽新幹線ですら未だ使えない区間が多く、北陸新幹線に通信環境を求めるのは酷な気もしますが、望む乗客は多いことでしょう。


 上越妙高の前後は、高原を走る新幹線といった雰囲気。各駅とも十数人程度の乗り降りがあり、1時間に1本の各駅停車も、なくてはならない新幹線です。


 歓迎メッセージに出迎えられれば、長野です。


 その後は既開業区間の主要駅に停車しながら走り、大宮、上野で乗客を吐き出し東京へ。一昨日は乗り越えた上野東京ラインを、今度はくぐって行きます。
 金沢~東京間を多くの駅に停車しながら、それでも3時間弱で走り抜けました。つい数年前まで夜行列車すら走っていたような区間であり、隔世の感があります。


 京浜東北線で浜松町へ抜け、竹芝桟橋へやってきました。東京に戻られた「島旅仲間」と合流、行きかう船を眺めながら昼酒をあおりました。少し風は肌寒かったけど、思いは早くも、いつか旅したい伊豆諸島へ飛んでいました。


 日曜日の夕刻、ぼちぼち九州へ戻るべき時間です。相方はJAL、僕はANAの陸マイラーなので、20分差の飛行機に「分乗」して福岡空港へ飛び立ちました。
 陽の長くなってきた5月、東海道・山陽道の「空からの風景」を楽しめたのは思わぬ余得。東京ドームと新宿の高層ビル街を見下ろしながら、ぐんぐん高度を上げ・・・


 爆発しないことを願いつつ、富士の山を見下ろし・・・


 広島市街地の、デルタ状の平地も手に取るよう。


 下関側から北九州市側を望みます。海の真ん中には、秋に訪れた六連島のかわいい姿も。


 玄界灘に出れば大島と、3月に「椿祭り」を見物した地島の姿も望むことができました。
 わずか2時間の間に、今までの旅先を一気に復習。景色さえ楽しめれば、空の旅も悪くはありません。


 福岡空港に着くころには、真っ赤な夕焼けの空に。カメラを向ける人も、多く見られました。


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 2日目の4月25日朝は、富山・マンテンホテルで目覚めました。立山連峰ビューの部屋をリクエストしていましたが、山峰は残念ながら雲の中。立山あおぐ特等席(富山市のキャッチフレーズ)とはいきませんでした。
 自慢の屋上大浴場も同じく残念な眺めでしたが、広い浴槽に露天風呂まであり快適。畳敷きの湯上りサロンにはマッサージ機や生ビールサーバー(しかも300円)も用意され、温泉旅館のようです。これでセミダブル7,500円は、なかなかお値打ちに感じられました。


 宿泊施設では、市内電車の乗車券2枚が配布されるという太っ腹ぶり。市の補助で、以前から半額利用券は配られていたのですが、新幹線開業をきっかけに大サービスされていました。
 富山駅までの乗り入れルートを、改めて朝陽の下で観察。右折時に信号でひっかかり、時間の面では、駅前通り電停から歩いていた頃とあまり変わらない印象です。でも歩く距離が縮まったという点では、間違いなく便利になったといえるでしょう。


 路面電車の背後に新幹線改札、やはり新鮮な光景でした。


 富山の路面電車ルネサンスはこれで完成ではなく、あいの風とやま鉄道の完全高架化後には、南の市内線と北のポートラムが結ばれ、相互直通運転になる予定です。完成までは地下道を迂回せねばならず、ちょっとストレス。
 駅北の幅の広いシンボルロードを北へ歩き、環水公園へとやって来ました。昨夏に訪れて、すっかり気に入ってしまった運河の公園です。


 公園内には、世界一眺めがいいと評されるスタバがあります。休日昼間は席を探すのも難しいほどですが、まだ朝の9時過ぎとあって、テラスに空席を見つけることができました。さわやかな朝の公園を見ながらのモーニングコーヒーは、千金の味です。
 犬好きの集いの場にもなっているようで、大小さまざまなワンちゃんを連れた人たちが、犬談義に花を咲かせていました。


 環水公園からは、運河を船で巡る「富岩水上ライン」が発着しています。前回は郊外の岩瀬浜からの片道コースだったので、今回は、公園から途中の中島閘門までを往復するコースにしてみました。
 この春、新幹線開業に合わせて導入された「fugan」が出航を待っていましたが、岩瀬浜行きとのこと。LRTを連想させる流線型のデザインは公園の景観ともマッチしていて、乗ってみたかった!中島閘門コースには最終便のみ、fuganが入ります。


 ひとまわり小さな「もみじ」に乗って出航。電動の船は静かで、水面を滑っていくかのようです。
 両岸はきれいに整備され、ところどころには水のオブジェがあります。ただ経費節減のため!?常時動いているわけではなく、クルーズから見られるかどうかは運次第とのこと。


 近隣の高校のカヌー部が、練習に勤しんでいました。


 コースのハイライト、中島閘門へ。上流の市街地側と、海面レベルとなる河口側の高低差をクリアするため、水を出し入れして船を上下させる、パナマ運河式の昇降設備です。
 前後を鉄門に閉ざされ、囲われた状態で水を抜かれて、船体が2.5m下がります。次第に周りの風景が見えなくなり、なんだか不思議な感覚にとらわれました。


 扉が開けば、河口までの運河が姿を現しました。中島閘門コースはこの先すぐで引き返し、今度は水を引き入れて2.5m上昇します。岩瀬浜まで行けないのは残念ですが、下降と上昇、2度楽しめる点ではお得なコースと言えます。




 さらに船を降りて、中島閘門の操作室を見学できるという楽しみも。ちょうど岩瀬浜行きのfuganがやってきて、外から下降の様子を眺められるという余得もありました。


 楽しい「運河体験」を終え、公園を散策して駅へと戻ります。富山市内の大通りには花が飾られ、鮮やかな都市景観を演出。未来的なLRTも、街並みによくマッチしていました。


 朝活をめいっぱい楽しんだ富山を離れ、「あいの風とやま鉄道」乗り場へ。今回第3セクターに移管した4社のうち、とやま鉄道は唯一ICカード(ICOCA)を導入しているので、手持ちのSUGOCAをかざして乗車しました。公共交通先進地の面目躍如。路面電車や地鉄電車との共通化がなされなかったのは残念ですが…
 新型521系電車で、一気に高岡へ駆け抜けました。


 高岡駅は、新幹線開業で特急が来なくなってしまった駅。しかし駅も駅前も大規模な再開発を終えており、新幹線駅とは違う、もう一つの街の顔にしていこうという気概が見えました。
 路面電車は、富山より一足早く駅乗り入れを果たしており、低床電車が白基調のきれいな乗り場に発着します。


 藤子・F・不二雄の出身地でもあり、ドラえもん電車も走っています。


 駅前には高層ビルがそびえ、大都会の駅前のよう。飲食店やホテルの他、図書館や生涯学習センターも入っており、17万人規模の地方都市ながら、官民同居でこれだけのスケールを生み出しているのです。


 さらに驚いたのが、県立高校もこの施設に入居していること。エレベータで上がった7階から11階が「校舎」になっているのだとか。土曜日だからお休みでしたが、一度見学してみたいものです。


 同じ施設内のラーメン屋さんで、富山ブラックを昼ごはんにしました。以前富山市内の「名店」で食べたものは、あまりの塩辛さにカルチャーショックを受けたものでしたが、こちらは比較的マイルドに仕上げられていました。


 高岡駅構内のサイン。経営移管に伴う切り替えは徹底されておらず、「北陸線」の文字が残っています。駅名板も、まだ半分はJR仕様のままでした。まあまだ「JR北陸線」の方が馴染みあるし、困る人もそういないでしょうけど。


 富山までの電車は、まだ数少ない「とやま鉄道」カラーでした。例に漏れず県境で会社はくっきり分かれており、山深い倶利伽羅駅から先は、IRいしかわ鉄道になります。
 IRは営業区間が短く、ほぼ全区間が金沢都市圏。ICカードが導入されなかったのは、惜しい点です。


 金沢駅は、観光客で溢れ返っていました。新幹線開業に伴い、観光客は2倍増とも3倍増とも言われていて、4年前の鹿児島を見ているようです。
 金沢市内をバスで巡ろうと思えば、北鉄の観光地周遊バスが「定番」でしたが、JRバスがより狭いエリアで100円循環バスを走らせ集客していました。交通系ICカードが使えるのもセールスポイントで、遠来の観光客も安心して乗れます。


 近江町市場で下車。金沢の台所とも呼ばれる市場は観光客で溢れており、外国人観光客の姿も目に付きます。


 お昼は食べたばかりだけど、ついつい寿司に手が伸びてしまい、隅でパクリ。うまい!




 腹ごなしに、金沢城址をぶらりぶらり。金沢といえば名勝・兼六園が名高いですが、こちらもきれいに手入れされており、気持ちよく散策できました。


 隣接する尾山神社には…


 和風とも洋風とも断じられない、ユニークな神門。凱旋門にエッフェル塔を載せたデザインとされる、初代通天閣を彷彿とさせる…なんて表現したら、失礼でしょうか!?しばらく見ていたくなる、1800年代の建築物です。




 長町の武家屋敷跡を、ぶらりぶらり。明日の市議選を控え、狭い路地にも選挙カーが入ってきますが、候補者名の看板が茶色なのは景観への配慮…かな?






 今や、金沢を代表する観光地とまで言えるようになった、21世紀美術館。見てさわって体感できる、僕のような芸術に明るくない人間でも楽しめる美術館です。2度目の訪問でも、楽しむことができました。


 今度は北鉄バスで、金沢駅へバック。夕食は駅前の飲み屋さんで、加賀野菜や海の幸を肴に、地酒を味わいました。のどぐろの刺身、とろける美味しさでした!


 満腹になったお腹を抱えて、金沢駅へ。すっかり金沢のシンボルになった「もてなしドーム」は、夜はまた違った表情を見せてくれます。


 反対側の駅舎は大きいながらにシンプルですが、駅前広場は美しく整えられており、抜かりはありません。駅前には新しいホテルが林立しており、「駅裏」ではないもう一つの玄関です。
 新幹線開業に沸く金沢、しばらく勢いは止まりそうにもありません。


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 この春、ついに北陸新幹線が金沢まで開業! 九州人としてはあまり縁のない路線ではあるけど、鉄っちゃんとしてはぜひ抑えておきたい、話題の新幹線です。
 そこで、新幹線開業で経営移管された平行在来線の様子も見つつ、春の観光も存分に織り込んだ旅を企ててみました。代休を組み合わせて3連休を作り、その前日・4月23日木曜日の夕方に出発しました。


 現地での時間を作りたくて、東京までは航空機を利用。往路は、経営の行く末が乱気流に巻き込まれているスカイマークです。
 自動チェックイン機の上には、支援を感謝する手作りメッセージが掲げられていました。


 経営危機もなんのその、夕方の東京便はほぼ満席です。ゆったりした「グリーンシート」が自慢だったエアバス機は、登場1年も経たずして、経営再建の過程で廃止になってしまいました。ですがボーイング機の革張りのシートも、なかなか快適です。
 LCCほどではないけど ほどほどに安く、大手2社の間で頑張ってきたスカイマーク。ANAの支援で再建が図られることになりましたが、今後「らしさ」はなくなっていくのでしょうか…。


 羽田からは、妹の住む新子安へ。急行が横浜方面へ直通しますが、川崎で乗り換えた各駅停車は快特・急行のダブル退避になり、思いの他時間がかかりました。


 妹とご飯を食べ、この日は駅近くの東横インに投宿。
 翌朝カーテンを開けてみると、JRと京急が並行して走る、鉄っちゃんには魅惑の風景が広がっていました。予約の際に「トレインビューで」とリクエストすれば、応えてくれる…かも。


 早朝7時、京浜東北線で川崎へと向かい、東海道本線に乗り継ぎました。この春開業のもう一つの注目路線、上野東京ラインを超えて、高崎線を高崎まで乗りとおします。
 ラッシュ時だったので980円を投資してグリーン車に乗りましたが、やはりデッキまで満席。大荷物のご夫婦の前に立っていると、予想通り品川で下車され、座れました。品川は、成田エクスプレスとの接続駅でもあります。


 東京駅に着いても半分くらいの座席が埋まったままで、直通効果はまざまざ。わずか3.6kmの「新線」へと足を踏み出しました。
 新幹線を高架で渡り越す車窓は3次元的でダイナミックですが、距離はわずかで、あっという間に上野到着です。これまで東京、上野と2回も乗り換えがあったことを考えると、比較にならないほどラクチン。大荷物の旅行者であれば、なおさらです。


 そのまま2時間以上乗り通し、のどかな田園風景に親近感を覚えてくれば高崎着。さて越後湯沢方面は…と掲示板を見てみましたが、予定していた列車が見当たりません。なんとプランニングの段階で、水上駅と高崎駅を見誤る失態を犯していました!
 予定に乗せるためにはというわけで、大枚1,800円を叩いて特急券を購入。新幹線に乗りました。せっかく早起きして、節約してきたのに…。


 とはいえ、久々の2階建て新幹線の車窓は楽しいもの。防音壁をもろともせず、ワイドな車窓が広がります。
 渓谷に咲く桜を見つければ、越後湯沢駅着です。




 越後湯沢では、新潟行き「とき」と、ガーラ湯沢行き「たにがわ」が切り離し。バタバタと乗り換える人を受け入れて、「とき」が先発していきました。
 断面積が大きな、独特な面構えのE4系が離れていく姿は、なかなかの迫力です。


 越後湯沢駅は、高架下の土産物屋や飲食店が充実。日本酒ミュージアム「ぽんしゅ館」も併設されています。
 また「駅内温泉」の老舗でもあり、さっそく700円なりの「酒風呂」に入ってみました。あまり酒の香りはしなかったけど、酒を投入したタイミングにもよるのかな。


 湯上りは、酒粕ソフトクリームでクールダウン。ボリュームたっぷり、なかなかの食べ応えでした。


 食堂街のランチバイキングは、おかずは食べ放題なのに、ご飯のお代わりは別料金という一風変わったスタイル。南魚沼産コシヒカリということで、ドカ食いされても困るのでしょう。
 その肝心のご飯は、粒が立っててうまかった!


 「ぽんしゅ館」の名物で目玉と言えるのが、利き酒コーナー。思わずドキッとしてしまう、泥酔人形たちがお出迎えです。




 ずらりと並ぶ試飲マシーン。500円で5杯、ミニおちょこで試飲できます。酒蔵イベントの試飲コーナーを全自動化したようなもので、キャッチフレーズを頼りに好みの一杯を求めウロウロ。
 飲み比べれば個性がハッキリ分かり、にわかに通ぶれるのも酒蔵イベントと同じです。筑後の酒をずらりと揃えたバージョンが、久留米駅にもほしいな。


 越後湯沢といえば、つい一ヶ月前まで、新幹線と北陸特急「はくたか」の乗り継ぎ駅として賑わった駅でもあります。
 その役割は、直通で早い北陸新幹線に譲り、今はローカル列車との乗り継ぎ駅に。あふれ出てくる乗り継ぎ客を受け入れた おびただしい数の自動改札は、半分が役目を終えていました。


 乗り継ぎのタイミングで、売れに売れたのだろう駅弁売店は健在。商売になるのだろうかと思っていましたが、ローカル列車への乗り継ぎで買い求める人がいて、ほっとします。


 決して多くはない、ローカル需要を残すだけになった北越急行。しかし平日昼下がりという中途半端な時間帯にも関わらず、普通電車は2両編成で、ボックスはほとんどが埋まっていました。
 新幹線乗り継ぎの長距離客ばかりで、過疎ローカル線とは趣が異なります。


 六日町までは上越線を下ります。周囲には雪が残り、しかし桜は満開。冬と春が同居する車窓に、旅行者(含む僕ら)からは歓声が上がりました。


 六日町から北越急行線に入れば、とたんにスピードが上がります。
 160km/hの超高速輸送が自慢だった北越急行。普通電車も特急の邪魔にならないよう、俊足な足回りが自慢でした。ローカル専業になった今も、変わりません。


 十日町駅で下車。桜の名所という智泉寺に足を運べば、期待に違わぬ満開ぶりです。
 九州ではとっくに散ってしまった桜が、まだ満開だとは、思っても見ませんでした。今年二度目の花見、ちょっと得した気分に。


 さて今日の並行在来線の旅、メインともなる列車に乗り込みます。越後の酒の観光列車、越乃Shu*Kura(コシノ シュクラ)です。
 普通列車用の気動車の改造で、前面こそ素っ気ない感じですが…


 車内はご覧の通りの大変身。1号車は旅行センター「びゅう」のパッケージプラン用の席で、窓を向いた二人席と、グループ用の4人ボックス席が並びます。
 十日町~上越妙高までの3時間、乗車+指定席+料理&酒のセットで7千円です。


 3号車は、指定席料金で乗れる一般販売の指定席。普通のリクライニングシートですが、窓は大きくてピッチもゆったりしているし、振る舞い酒のサービスが受けられるので乗りドクかも。18きっぷも使えます。




 2号車は、まるごとイベントスペース。1つの列車の1/3以上をフリースペースに充てている計算で、なかなか思い切っています。


 十日町を発車すると、フレンドリーなアテンダントさんから、さっそくウェルカムドリンクのサービスが。日本酒ベースのカクテルで、さっぱりとした喉越しです。くいくいと飲めてしまいますが、日本酒の割合は結構高めなのでご用心。


 そして1号車向けのセットがこちら。越後の酒にぴったりの「アテ」に、1本千円見当の日本酒が2本ついてきます。結構な量になるので、1本は持ち帰りにしました。越後湯沢で結構飲んだし。


 2号車のカウンターには、利き酒のコーナーが。チケット制で、5銘柄から選んで試飲できます。なかなか徹底したテーマ型のイベント列車で、大人でよかったと思いました(笑)。


 日本酒列車とはいえ全体のテイストは「洋」で、女性でもお洒落に日本酒を楽しめる雰囲気の列車です。この日の客層こそ、「居酒屋列車」の方が似合いそうではありましたが…
 2号車では、ジャズの生演奏が3ステージに渡って開かれます。生演奏に耳を傾け、手には杯を傾け、日本海の大海原を眺める…またとない、贅沢な時間が流れて行きます。


 日本海を目の前にした青海川駅では、20分停車してホームの散策を楽しめます。折しも夕暮れ時で、水面はオレンジ色に。


 酒に火照った体には、ちょうどいいリフレッシュタイムでした。


 3時間弱という長い乗車時間でしたが、イベント続きでちょっと忙しいな…と思わせるほどの充実ぶりで、直江津に到着。18:00着で、富山方面の列車が同時刻に発車してしまうのが惜しいところです。
 直江津駅の看板は、「JR」の文字が外されていました。「えちごトキめき鉄道」の駅にもなったからでしょうけど、JRに加えて「トキめき」の看板も掲げるのが本来の姿でしょう。


 駅構内の看板は、トキめき鉄道仕様に変わってしまいました。


 富山までは、北陸本線から生まれ変わった並行在来線会社「えちごトキめき鉄道・日本海ひすいライン」と「あいの風とやま鉄道」を乗り継いでの、2時間の旅です。
 いずれも電化路線で、「トキめき」は途中デットセクションを挟むことから、JR時代は交直流両電源対応の電車が走っていました。しかし交直流電車は高価なこと、「ひすいライン」は乗客も少ないことから、1~2両のワンマンディーゼルカーに置き変わっています。


 ディーゼルカーとはいえ、関西の新快速に準ずる仕様の車両であり、高性能で快適です。
 ただいくら閑散区間といえども、夕方に1両では混み合い、空席ができたのは糸魚川付近でした。JR時代より運賃も上がった上に、40分の立ち通しを強いられるようになって、潜在的な不満が貯まっていないか不安です。


 県境の市振駅が会社の境界でもありますが、列車はそのまま乗り入れ、「あいの風」の列車には泊駅で乗り換えになります。同一ホームに2つの列車を止め、乗り換えの負担がないように配慮されていました。
 車両は、JR時代そのままの413系電車。3両編成とゆとりがありましたが、魚津あたりからは退勤の流れもあり、通勤ラッシュの需要があるのは心強いことです。


 魚津から富山までは富山地方鉄道と並行しますが、線路の規格が高く直線で結ぶ「あいの風」が有利。とはいえ第三セクターでもあり、地鉄をライバル視すれば「民業圧迫」にもなりかねないのは難しい立ち位置かも…
 などと考えているうちに、富山駅に到着。在来線高架ホームは、下り線のみ完成した状態です。新幹線開業後の高架化のため、長距離特急の発着を前提としない、コンパクトなつくりになっているのが特徴でもあります。


 新幹線開業で見違えるように立派になった、富山駅のコンコース。市内線の路面電車が駅に乗り入れたのも、この春の大きなエポックです。


 近年、高知や鹿児島、熊本と、電停と駅を近付ける試みが続いていますが、コンコースまで乗り入れた富山のインパクトは大きなものがあります。
 路面電車のドア越しに新幹線改札が見えるのは、とても新鮮な眺めでした。

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