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福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです
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福岡のハングル検定準2級建築士『ちゃん』です。ハンドルネームの由来は、自身の本名の韓国語読みです。
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関門・瀬戸内 周遊旅【3】500系新幹線の華麗なる転進
■旅と鉄道
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2016年01月11日
高松・瓦町のアパホテルで、3日目がスタートです。部屋の窓からは、建物の間から ことでん琴平線・長尾線の電車が見えて、「ちょっとだけよトレインビュールーム」でした。
三角型の旗が描かれた瓦町FLAGの広告電車は、走っているところを横から見るとなかなか面白い動きに見えます。
瓦町~片原町の市街地区間を行く、長尾線の電車。複線・電化の線路を走る通勤電車は、編成こそ短いながらも大都市近郊私鉄のような光景です。
踏切を渡り、商店街方面へと歩きます。四国にセブンイレブンが上陸したのは、2013年。当初からの店舗はサンクスが一気に鞍替えしてできたもので、その乗り換え劇には驚いたものです。
店内が異様に広い瓦町駅近くのセブンも、鞍替え店舗の一つかな?セブン独特の外装「薄茶色のタイル」が、タイル柄のシートを貼った「タイルもどき」だったので…。
高松に来たからには、うどんを食べたい。しかし祝日の早朝からやっている店なんてあるんだろうか?
商店街を歩いていたら、見つけました!立派な店構えの「麺処 綿谷(わたや)」です。8時30分の開店で、まさに開いたばかりでした。
いわゆる「高級うどん」系かなと思っていましたが、月見うどん250円、名物の牛肉ぶっかけでも390円という安さでした。さすが、うどん県はだてじゃない!
もちろん味もボリュームも抜かりなし。おいしかったです。
朝9時とあって、瓦町FLAGは開店前。店内には、ことでんのキャラクター「ことちゃん」と撮れるトリックアート写真スポットがあるらしく、行ってみたかったので残念です。
昨夜IruCaを買った僕は専用の自動改札でピッ、切符のヨメさんは有人改札のハサミでパチン。自動化したところで有人改札の駅員は必要なので、改札機はICカード専用として割り切っているのです。松山の伊予鉄でも見られる手法で、合理的だと思います。
改札内には、ことちゃんグッズの展示コーナーが。僕もきっぷ売り場で、「ことでんで行く!高松新発見の旅」なる旅ガイドムックを買いました。
ことちゃん&ことみちゃんの着ぐるみに和まされる ゆるいガイドブックを見ていると、また高松に来たくなります。
高松城址の堀端を走って、高松築港駅へ。
ホーム・パブは、椅子もこたつもそのままでした。なんて大らかなんだ(笑)。
JRの高松駅のガラスドームには「目」と「口」が入れられ、スマイルステーションなる愛称が付いていました。
快速「マリンライナー」に乗って、岡山へと戻ります。
三連休最終日とあって、岡山へ買い物に出る人や帰省客で車内は混雑。日本酒のワンカップを片手に携えてまわりのお客さんに話しかける上機嫌のおっちゃんに、皆さんちょっと苦笑いです。
でもその一方的なトークから、讃岐富士なる異名を持つ山があることを知りました。四国の玄関、高架の坂出駅からの眺めです。
昨日に続いて今日も快晴。眼下まで広がる瀬戸内海が爽快な、10分間の海上散歩でした。
岡山駅では、岡山電気軌道の市電に乗り換え。全線(といっても4kmと少しですが)が、ぐるりんパスで乗り放題です。もっとも普通に払っても、都心区間は100円と割安な運賃になっています。
川沿いを歩いて、真っ黒な岡山城へ。川向かいの後楽園ともども、パスで何度でも入れます。
復元天主の城内は、歴史上の史料の展示はもちろん、着物の着付けや、備前焼のロクロ回しなど「体験型」のコーナーが充実。外国人の観光客にも、喜ばれているんじゃないかしら。
天主からの眺め。後楽園は以前にも行ったことがあるので、上から眺めて満足しました。
代わりに後楽園とは反対側の、県立図書館へと足を伸ばします。
岡山は交通の結節点であることから、交通関係の図書は特に力を入れて収集しているのだとか。鉄道書だけでもかなりの数で、1週間くらい通って読みふけりたいラインナップでした。
閲覧室は、明るい吹き抜けが気持ちいい空間です。閲覧室は撮影禁止だったので、同じく明るい、エントランスの写真を載せておきます。
エントランスでは飲食物の持ち込みが自由で、お弁当を食べている人も何人かいました。カフェを充実させている図書館は好きですが、実用的にはこういうスペースもありがたいです。
岡山市内のコミュニティサイクル「ももちゃり」。32箇所のポートがあり、かなり充実しています。
「ももちゃり」と言いながら、自転車をピンク色にしなかったのは賢明な判断だと思います(笑)。
電停に行くと、ちょうどレトロ電車「くろ」が。駅とは逆方向の電車ですが、飛び乗ってしまいました。
超低床電車の「MOMO」と同じく、水戸岡鋭治氏のデザインです。氏「らしい」デザインですが、木の床など車両の古きよき部分は極力残されています。
「チン!」と鳴る、シンプルな下車ボタンもそのままです。
木の椅子は、オリジナルではない作りかえられたもの。見た目はおしゃれだけど、お世辞にも座り心地のよいものではありませんでした。
体験乗車みたいなものなので、2停目の小橋で下車。新型車や運賃値下げなど、意欲的な取り組みが続く岡山の路面電車ですが、こんな安全地帯のない電停も残っています。
路面電車の2路線に挟まれ、平行に街を貫く商店街をそぞろ歩き。天井にはステンドグラスが埋め込まれ、「欧風アーケード」とでも呼びたいデザインです。ヨーロッパにはないものでしょうけど…
電車で岡山駅前へ戻りました。
自転車走行空間整備は全国で進みつつありますが、駐車スペースを「迂回」する形のレーンを見たのは初めて。自転車が車道に飛び出さずに済む、いいアイデアです。
岡山駅から地下道で直結している都市型SC、イオンモール岡山へ。西日本におけるイオンの旗艦店であり、主要駅の駅前という立地が一大特徴です。
オープンから1年、公共交通で来る人はほぼ予想通りの数で、車での来客は少なく、その分が見込みに対してマイナスの業績であると伝え聞きます。とはいえモール内の人通りは、中心部のアーケード街の比ではありません。
スタバのテラスもある屋上広場では、夜にイルミネーションも灯されているそう他です。ショッピングセンターというより、駅ビルのような雰囲気があります。
株主やゴールドカードなどの所持者だけ入ることができるラウンジも、広々。ウチの地元のイオンのような、順番待ちはありませんでした。ドリンクは1杯までなんて制限もなく、フリードリンクなのも嬉しいところです。
ゆっくりくつろいで行きたいところですが、新幹線の時間が迫ってきました。
JR西日本管内のコンビニがセブンに衣替え中なのは知っていましたが、ホーム上のキオスクまで進出しているとは知りませんでした。
時間は午後2時。お昼ごはんを食べる間を惜しんで街歩きをしたので、ようやく駅弁でランチです。繊細な違いが分かる舌は持ち合わせていませんが、地域限定のビールは、ついつい手が伸びてしまいます。
このまま「のぞみ」でゆったり座って行けば、家までは2時間もかからない、のですが…
新山口駅で降りて、後続の「こだま741号」に乗り継ぎました。500系新幹線の、アニメ「エヴァンッゲリオン」タイアップの特別装飾車両、“500 TYPE EVA”による運行列車です。
500系の近未来的な外観に良く似合う、アニメの世界の特別塗装。手軽なラッピングではなく、きちんと塗装を施しているとのことで、期間限定なのが惜しい完成度です。ホームでカメラを向ける人は両手で収まらない数で、注目度の高さをうかがわせていました。
車内も、特別仕様。エヴァのデザインが、細かい所にまで散りばめられています。特に2号車は特別装飾車になっていて、車内がまるごと「あの」緊張感がある世界観に。
自由席車ということもあって、乗車率は他の号車よりぐっと高くなっていました。
1号車は1両まるごと展示・体験ルームになっており、無料ながら、「入室」にはネットでの事前抽選制になっています。
2号車の前方3列は待機席に割り当てられており、予約区間の前駅発車後には移動しておく決まり。ちなみに僕らの予約区間は厚狭~小倉間なので、新山口乗車後に直行しました。
客室乗務員さんから、パンフレットと許可書を受け取ります。デザイン、凝ってますね。
厚狭発車後、乗務員さんの案内で1号車へ。窓のない広々とした展示スペースは博物館のようで、新幹線の車内とは思えません。
パネル展示はエヴァンゲリオンの内容かと思えば、エヴァとの共通点から見出す、新幹線の解説。あくまで山陽新幹線40周年の記念企画、主役は新幹線ってことでしょうか?
模型(フィギュアって言わなきゃいけないのかな?)も、エヴァと新幹線のコラボ。写真で撮ると、実物かと見紛うほどの出来栄えです。
振動にも耐えなきゃいけないわけで、作り手さんも普通のものとは勝手が違ったんじゃないでしょうか。
そして展示ルームのさらに奥にあるのが、エヴァコクピットの体験ルーム。体験にはさらに高い抽選倍率をくぐり抜けなければならず、僕はあえなく落選でした。
ところがこの日は当選者が現れなかったらしく、見学だけはさせてもらえました。操縦体験の最後には、500系との「シンクロ率」まで表れるんだとか。エヴァファンならずとも一度は経験してみたいけど、もし当選していたら他のファンに譲ってただろうなとは思います。
こだま741号の1号車は昨春まで「プラレールカー」(写真は一昨年秋の様子)として子どもの人気を集めていましたが、エヴァ新幹線ではまた違うターゲットの人気を集めています。エヴァ新幹線は来春までだけど、500系という特別な存在感を放つ車両を生かした企画、さらなる次回作にも期待したいところです。
「ぐるりんパス」は北九州市内までなので小倉で降り、節約のため「ソニック」で福岡に戻って、長い三連休の旅は終わりました。
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関門・瀬戸内 周遊旅【2】駆け足倉敷&元気な街高松
■旅と鉄道
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2016年01月10日
今日の予定は、下関から一旦小倉に戻り、新幹線で岡山へ。倉敷を観光ののち、高松へと渡ります。北九州からの新幹線往復+岡山都市圏の電車・バスのフリーパス+観光施設入場券が付いて22,040円の「岡山・倉敷ぐるりんパス」を手に、元気に一日をスタート!
しかし昨夜のひれ酒攻めが効いて、二日酔いで目覚めた我ら夫婦。フラフラになりながら下関駅に向かい、予定から2本遅れの新幹線に変更しました。
九州新幹線から直通の「さくら」新大阪行き。連休中日とあって、直前で取れた並びの座席は、喫煙ルーム横でした。「喫煙車」というわけではなく、よほど敏感でなければ喫煙ルームから流れてくる匂いには気付かないので、問題なしです。
いつもなら、トンネルの合間に広がる瀬戸内の車窓が楽しみな山陽新幹線ですが、今日は痛い頭と緩いお腹を抱え、じっと岡山到着を待つばかりでした。
岡山からは下りの山陽線に乗り換え、倉敷へ。岡山市は北長瀬駅、倉敷市は倉敷駅周辺で成人式が行われるらしく、電車内は騒がしくも華やかでした。
倉敷駅で下車。「美観地区」方面のバスは、下電バスに限りぐるりんパスが使えます。大原美術館前バス停から、ゆっくり歩いてたどり着いた美観地区。夏の盛りに一人で来た時は、またいい季節に来たいと思ったものですが、今日は寒すぎです。でも木々が葉を落とした掘割の風情も、別の良さがありました。
大原美術館。私設美術館なので入館料は千円を超えますが、ぐるりんパスでは1回だけ入場できます。入館券売り場でポストカードを2枚ずつ貰えて嬉しかったけど、パスの特典かな?
絵画にはとんと明るくない僕ですら分かる、美術の教科書で見た作品の数々。風雪を耐えてきた本館も、美術作品のひとつです。夫婦で、いい時間を過ごせました。
掘割の側をそぞろ歩き、アイビースクエアへ。倉敷紡績の工場跡を再生した、複合観光施設です。アイビーは、建物を覆うツタのこと。こここそ、夏と冬では印象がまったく変わってしまう建築物のひとつでしょう。
白壁の街並みとは時代を異にするけど、近代も倉敷の歴史の一部です。
夏場はビアガーデンになっていて、デパートの屋上のような空気になっていた中庭も、本来の落ち着きを取り戻していました。
アイビースクエア向かいの市民会館前バス停から、下電バスで児島へ抜けます。倉敷駅~児島は50分と、三角の2辺を回る電車より早く、美観地区方面からだとさらに便利です。
「下電」とは、瀬戸大橋開業後もしばらくは走っていたナローゲージの電車、下津井電鉄のこと。廃線の危機を脱すべく、大橋景気に乗って観光電車を導入しラストチャンスに賭けた夢の跡は、バスの車窓からサイクリングロードとして見えます。
児島で循環バス「とこはい号」に乗り継ぎ、パス特典で鷲羽山ホテルの日帰り入浴を楽しむ計画でしたが、倉敷市内の渋滞でバスが遅れて乗り継げませんでした。ただ観光案内所に聞いてみれば、日帰り入浴は3時までだったのだとか。どちみち、バスに間に合っても入れなかったわけです。
代わりに、4時20分発の「夕景鑑賞バス」に乗ることに。瀬戸内海のビュースポットを巡る、路線バス車両を使った周遊バスです。定価は510円ですが、これもパスが適用になります。
児島の市街地を抜けると、さっそく夕焼け色に染まり始めた瀬戸内海が。中国語を話すグループの面々も、盛んにシャッターを切っていました。
コース中は進行方向左側に海が来ることが多く、席を選べる余裕があるのならば、左に座ることをおすすめします。
バスは途中、3つのホテルを経由していきます。その度に運転士さんは席を離れてロビーまで迎えに行くのだから、大変な重労働。キーを挿しっ放しの状態でバスを離れるのも、物騒な昨今にあってはちょっと不安な気も…
ホテルから乗客の有無の連絡を入れてもらうなり、なにかいい方法はないものでしょうか。3つのホテルからの乗客がゼロだっただけに、なおさらそう思います。
気を取り直して、夕景鑑賞スポットその1の三百山へ。展望台にでも行くのかと思ったら、ホテル前の公道に一旦停止して降ろされ、道端からの夕景鑑賞です。今日は晴天。オレンジに染まる空と海に、点々と浮かぶ漁船のシルエットがいいアクセントになっていました。
道から1段高い位置にあるホテルの敷地からは、もっと景色が広がりそうだけど、関係者以外立ち入り禁止の看板が。残念。
再びバスは走り始め、下津井の集落へ。下津井電車の保存公園が車窓をよぎり、ここで降ろせと叫びたくなりました。廃止から25年経つ今も、保存会の方が大切に保存されているのだそうです。いつか再訪せねば。
下津井の集落は、離島のようなたたずまい。大きな瀬戸大橋は目の前にあるのに、なんだか別世界のようです。こののどかな街まで通じていたナローのローカル電車、改めて乗ってみたかった!
半島をグルグル回っている間に陽は落ち、メインの眺望ポイントである鷲羽山展望台に着くころは、すっかり日没後でした。
瀬戸内海を渡る瀬戸大橋の威容はたしかに絶景だけど、日没に間に合うように、もう少し早く着て欲しかったな。と思っていましたが…
30分間の鑑賞タイム中にも刻々と色合いは変化し…
バスの出発時間には、夜景といえる風景へと変わっていました。橋そのもののライトアップはないけど、流れる列車や車のライトと、背景の四国側のコンビナートが躍動感ある夜景です。1箇所で2つの風景を見ることができて、なんだか得した気分でした。
帰りもまた3つのホテルを巡っていくのか、面倒だなと思っていたら、「みなさま児島駅までですね」と確認され駅に直行。時刻表より30分早く戻れたのは、ありがたかったです。もっとも中国からの皆さんが「児島駅までですね」を理解されていたのか、定かではありませんが…
倉敷・児島はジーンズの生産量日本一の街。児島駅には、ジーンズの意匠があちこちに散りばめられています。
階段の巨大ジーンズは、ひとり旅のおばさんも嬉々とシャッターを向けていました。
自販機もジーンズ柄ですが、出てくるのは清涼飲料水です。
児島駅はJR西日本と四国の境界駅だから、駅名版はどちらのコーポレートカラーではないグレーにしたんだろうなと思ったら、児島の上にはJEANS STATIONの文字が。しかるにグレーも、ジーンズの色を表しているんでしょう。
岡山・倉敷ぐるりんパスの旅ですが、宿は高松に取ったので、SUGOCAで運賃を別払いして瀬戸大橋を渡ります。
2階建車両を先頭にした快速・マリンライナーは、夕刻とあって予想道り満席。ほとんどの乗客にとって海を渡るのは日常のことで、漆黒の瀬戸内海に目をこらしていたのは、僕らくらいでした。橋上から広がる瀬戸内海の眺めは、明日の楽しみにしておきましょう。
「うどん県へようこそ」のノボリが揺れる、高松駅到着。まずは街の夜景を見ようと、駅前のその名も「高松シンボルタワー」の最上階を目指しました。
以前は展望フロアとして全方位の景色を楽しめたはずですが、片面がレストランフロアになって、西側の風景しか見えなくなったのは残念。レストランも簡単に手が届く値段のものではなく、庶民にとってはちょっと残念な改装でした。
今夜の泊まりは瓦町駅前なので、ことでんの高松築港駅へ。駅にはおそらく本邦唯一、改札内ホーム上のパブ「Beer Pub Station(Irish Pub THE CRAIC)」があり、立ち寄りました。というか倉敷・岡山が中心の今回の旅で、わざわざ瀬戸大橋を渡って高松にやってきた目的の半分以上は、このパブに寄りたかったがためであります。
ギネスビールやオリジナルの「ことちゃんエール」など、数種類の生を飲める本格的なビアパブです。
本店は築港駅と高松駅の間にあり、いつもは「サラリーマンが来るように」築港駅店には女性の店員さんがいるそうなんですが、今日はたまたまオーナーさんがいらっしゃいました。もともと高松の人ではなく、香川のギネスビール消費量が少ないと聞き、市場開拓すべく乗り込んできたのだとか。
うどん用小麦で作った「ことちゃんエール」は、イベントで作ったビールの中でも一番人気だったものを商品化したもの。
電車を見ながら、ビールで乾杯!高松築港~瓦町間は、琴平線と長尾線の2線が乗り入れていて、地方私鉄の駅としてはひっきりなしに電車が出入りします。ご当地キャラ「ことちゃん」や、駅ビル「瓦町FLAG」などラッピング電車も多く、見ていて飽きません。
こんなパブが久留米駅にでもあったら、毎日でも立ち寄っちゃうだろうな。
ギネスビールも頼んでみると、ふわっと泡立つ、甘めの味わい。ギネスビールの出し方にも資格があるらしく、プロ級の味わいが楽しめる店は、日本国内でもそう多くはないのだとか。
この時期、ホームの上でビールは寒いのでは?という心配後無用。靴のまま入れる「こたつ」が置かれています。電車を見ながら、こたつに入ってビールを飲める。違和感が楽しすぎます。
オーナーもことでんの社長も同じ39歳で、信頼関係もあるからこそできるホームのユニークな活用法。ことでんのこと、商店街のこと、ビールのことなどなど、ずいぶん話し込んでしまい、気付けばホーム上で1時間半も過ごしてしまいました。今度はお店に遊びに行きます!
長尾線のアニメのタイアップ電車に乗り2駅、夜8時半にようやく瓦町駅着。
コトデン瓦町駅ビルは、地上11階建。松山のいよてつ高島屋と並んで、地方私鉄としては破格の規模のターミナルです。ヨメさんは、目を丸くしていました。
ただ立派な駅ビルは、2001年に当時の「琴電」を経営破たんに追いやった一因でもあります。後継テナントの天満屋も撤退。どうなるかと思っていましたが、昨年10月にテナントビル「瓦町FLAG」として再スタートを切ったばかりです。
社長の顔写真がアレなチェーンのビジネスホテルに投宿し、休む間もなく9時過ぎに夜の街へ。高松市内では幹線道路であろうと、ことでんの複線の線路が堂々と横切っています。
かつて市内では高架化の計画もあり、瓦町駅ビルも3階に電車を通せる構造になっているらしいですが、いつしか構想も立ち消えに。でも地上を走る電車の存在感、風景としてはけっして悪いものではありません。
飲食店が軒を連ねるライオン通の居酒屋で、まずは地酒を一杯。常温の枡は、正真正銘の常温でした。
高松名物、骨付鳥を食らう!讃岐コーチンなる香川ブランドの鳥で、臭みもなくておいしかったです。
じっくり腰を落ち着けたくなりましたが、10時にはオーダーストップで、周りのお客さんも早々にいなくなり始めました。高松の地元の飲み屋さんは、たいてい看板が早いのだとか。郷に入れば郷に従え、大人しく退散です。
ほろ酔いのカラ元気で、丸亀町のアーケードへぶらぶら散歩。大学時代に来たことがある商店街ですが、再開発に合わせて、大きな全天候型広場ができていたのには驚きました。丸亀町グリーンなるビルで、テナントにはLOFTやタワレコも入り、大型ショッピングモールのセンターコートのようです。
2002年に来た時は元気だった高松の商店街。その数年後に来た時は人通りが減ったような印象を受けていましたが、なんのなんの。活発な動きがあることが頼もしい、歩いて楽しい街になっていました。
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関門・瀬戸内 周遊旅【1】小倉でマニアック、下関でフグ三昧
■旅と鉄道
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2016年01月09日
1月の成人の日三連休は、小倉、下関から倉敷、高松、岡山を巡る旅に出かけました。まずは博多~小倉の4枚きっぷを手に「ソニック」に乗車、小倉を目指します。
小倉駅を降りて、駅北口のAIM内にある、西日本総合展示場へと歩きました。お目当てはコレ、全国鉄道ひろば。お正月の2日からこの3連休まで開催されている、期間限定の鉄道系イベントです。
お隣ではちびっ子に大人気という「チャギントンランド」も開催中。セット券で割引になりますが、僕は「大きいお友達」なので、ひろば単独のチケットを買いました。
とはいえ、ひろばもメインのターゲットも子どもたち。チケットを買って乗れる豆汽車には、大行列ができていました。
ただ豆汽車とはいえ、牽引するのは精巧にスケールダウンされた各社の新幹線。ズラリと並ぶ歴代の名車は、壮観であり、美しくもあります。
運転体験もできるNゲージのレイアウトも人気な一方、展示コーナーは人影まばら。ずらりと並ぶ列車を横からフォーカスした図は、JR1周年の時刻表の表紙を思い出しました。
金ピカのD51は、いわゆる「週間分冊百科」の完成品。「毎回ついてくるパーツを組み立てると…」「創刊号は特別価格…」でお馴染みの、アレですね。精巧なできばえには感心しますが、一体、いくらかかったんだろう…
部品の即売会やB級グルメコーナーもあり、大人もそこそこ楽しめるイベントではありました。一つ苦言があるとすれば、クイズコーナーの問題が古くなっていて、例えば「最新の鉄道路線は?」の回答が誤ったものになっていたこと。鉄道会社後援の企画でもあるし、正確に願いたいところです。
さて小倉駅北口に来るのは朝晩に小倉松山フェリーに乗る時くらいで、周囲の建物の変化にはあまり気づいていませんでした。ラフォーレ原宿小倉が転じた「あるあるCITY」も、今回初めて足を踏み入れることに。
市立漫画ミュージアムとともに、漫画をコンセプトにしたテナントが勢ぞろい。九州の秋葉原と言っては言い過ぎかもしれませんが、かの地と同様、外国人の姿も目立っていました。世界どこでも好きなものを追っていく気持ちには、共感します。
2階には、今話題の新幹線「500 TYPE EVA」の詳しい展示も。実は明後日に乗ってみる予定なので、今から楽しみです。
夕方になってきたので、関門トンネルをくぐって、今日の泊まり先である下関へと渡ります。
側線には、新型の近郊型電車・227系の姿が。今は広島都市圏を中心に運用、春からは徳山まで運用区間を拡大とアナウンスされていますが、下関進出には至っていないはずです。近い将来、入ってくるのかな?
下関駅西口のワシントンプラザにチェックイン。窓を開けると、港と湾の夕暮れが見えました。ビジネスホテルにしては、風光明媚な眺めだと思います。
反対側だったら、下関駅のトレインビューが楽しめたかも。
さて夜の宴は、駅からもほど近いこの店へ。一昨年まで、下関で働いていたヨメさん。その同僚の皆さんの、年に一回の集まりに混ぜてもらえることになりました。
福岡から参加の僕らですが、一番遠い方ははるばる名古屋から新幹線で駆けつけていました。
「鮮魚店」の名の通り、店を入るとまんま魚屋さんの様相で、一見さんはひるんでしまいます。
奥には食堂風のテーブルが並び、なんだか安心。その奥の子上がりが僕らの席で、腰を落ち着けて飲めることが分かりました(笑)。
まずは、お造りにビールで乾杯!さすがは港町、荒波に揉まれた魚はしまっていて、おいしいです。
下関といえばフグ!当地では、縁起を担いで「フク」と呼びます。その場で火を入れてくれるフク酒に、フク刺、白子のどどんとフク3種攻めです。
関門の冬の味覚、文句なしのうまさ。
伏兵だったのが、白子のお豆腐。350円という居酒屋価格なのに、しっかりと白子の味がしました。ひれ酒500円と合わせれば、850円でもしっかり下関の味を体験できそうです。
5時から11時の看板まで、6時間フク尽くし。それなりの金額にはなりましたが、それでもお座敷の名店に比べればずっとお安く、満腹になれました。フグの霊にとりつかれませんように。
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新春別府で家族旅【2】“青春の地”で蒸し湯
■旅と鉄道
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2016年01月03日
泥酔で帰ってきてしまった新年2回目の夜。そんな状態で初夢など見られるはずもなく、ぼおっとしたまま8時に目覚めました。風呂を浴びて、年末年始休暇最終日の1月3日がスタートです。
今回泊まったのは、別府駅前のホテルアネックス松美、両親の定宿です。3週間前、某大手宿泊サイトでは別府市内のホテルはどこも空きがなかったのに、両親が電話したらすんなり2部屋予約できました。ネットに頼りすぎてはいかんですね。
少し古さは感じられますが、バス・トイレが別々で、広々した浴槽にはジャグジー機能付き。部屋の広さは、シティホテルクラスです。これでお正月でも定価のツイン7千円(税込)は、お値打ちだと思います。
二日酔いで痛い頭を抱えつつ、朝の散歩に出かけました。市街地南側の朝見神社までは、歩いても15分ほどの距離です。
昨日は無関係のバスを阻む渋滞を生んでいたのに、歩いてしかこられない海側のメインの参道には、ほとんど人影がありません。街中の神社とはいえ、初詣はみんなクルマなんですね。
立派な夫婦杉の間をくぐって、境内へ。仲良く寄り添うように立つ姿は、あやかりたいものですね(笑)。
参道を歩いてきた人だけができる体験で、なんとはなし夫婦円満にご利益がありそうな気がします。
境内そのものは、出店も出て賑わっていました。昨年は良縁成就を祈願したので、今回はお礼参りになります。
昨年は「お年玉フリーきっぷ」で絵馬をもらいましたが、今回はちゃんと500円払って、感謝の気持ちを記しておきました。ありがとうございました。
裏手の駐車場側の石段には、紅葉が残っていました。枯れ木と椿と紅葉の競演、なんとも不思議な眺めです。
境内には蔵を改装したカフェがあり、神社にしてはしゃれています。店内でゆっくりする時間はなかったので、テイクアウトのコーヒーを飲みながら宿へ戻ることにしました。
昨年から続いている別府中央公民館の改修工事も、佳境に入ってきました。公会堂として開館した当時にはあった外階段が復元されており、2階から出入りする本来の姿を取り戻しています。
ただ外壁のスクラッチタイルは きれいになりすぎてしまった感があり、重厚感が失われたように見えました。歳月とともに、また風格が生まれてくるのでしょうか。
一旦ホテルに戻り、10時チェックアウト。母が内成の無人販売所でカボスを買ったせいで、ずっしりと重くなってしまったカバンを手に、今度は駅北側へ散歩の続きです。
駅市場とは駅を挟んで反対側にある、北高架下商店街も、近年注目を浴びつつあります。
若手の商売人が入ってきて、商店街をアートに飾る一方、昔ながらの喫茶店やラーメン屋も残っており、やっぱり「混沌」を感じさせる区画です。
1月中旬には大手格安レンタカーの事務所ができるそうで、こぎれいな店舗はまた逆に、異彩を放ちそう。観光客も訪れる機会が増えるだろうし、いっそう注目を浴びる存在になっていくかもしれません。
APU行きの大分バスに乗って、九州横断道路方面へ。11時開店の回転寿司「水天」のオープン待ちの行列に加わりました。
並ぶほどかね・・・と思っていましたが、店を出る頃には20人くらいの行列ができており、人気店なんですね。父の判断、正解でした!
回転寿司とはいうものの、レーンにはほとんど寿司が乗っていません。メニューを見てみれば「コース」や「コース」が多く、2貫1皿の普通の回転寿司とは一線を画す店のようです。お値段も、雰囲気相応です。
ちゃんと握られた寿司、うまかった…。
今度は亀の井バスで、鉄輪温泉へ。平野部があまりない別府の市街地は、一定限られた範囲に限られます。そこにバス路線が縦横に走っているので、地方都市としてはバスでも動きやすい街です。
大分のバス3社はnimocaを導入していて、全国の交通系ICカードが使えるのも、観光客には便利です。
バスで10分、鉄輪温泉で下車。大谷公園は、名物「足蒸し」でくつろぐ外国人観光客で大賑わいでしたが、いでゆ坂や路地裏をそぞろ歩く人はあまりいませんでした。
鉄輪の路地は側溝どころか、地割れからも噴煙が上がる様子は鉄輪ならでは。温泉のくみ上げ機のパイプはさびつき、析出物に覆われ遺跡のようです。ぜひ路地裏まで歩いて、楽しんでほしい温泉街だと思います。
昨年末の竹瓦温泉砂湯に続き、『ずいぶん別府に通っていたのに経験したことなかったシリーズ』鉄輪むし湯にチャレンジしてみました。入浴料510円、浴衣のレンタルは200円。
むし湯は、薬草の敷かれた石室に温泉の蒸気を込めた、古来のスチームサウナです。石菖がいい香りを醸し出していて、蒸気だけではなく背中からも熱され、体温上昇。わずか8分で、汗だくになってしまいました。
両親がいきなり鉄輪に半年間住んでいたと言い出し、子どもなのに初耳。もちろんアパートに風呂はなく、谷の湯に通うのが日課だったんだとか。
アパートはなくなっていましたが、谷の湯は住んでいた30年以上前からそのまま。二人はこの街でどんな暮らしをしていたのか…いや、興味ない興味ない(笑)。
午後2時の高速バスで、鉄輪から直接、福岡へと戻ります。本当はJRを使うつもりでしたが、3週間前の時点で軒並み満席。一方のバスは、すんなり切符を取ることができました。
4枚回数券を使えば、一人あたりの片道運賃は2,055円と激安。行きのゆふいんの森では贅沢してしまったので、バランスが取れた形にはなりました。
行きと帰りで交通機関を分けるもの、気分が変わっていいもの。回数券ならではの芸当です。
明礬温泉をまたぐ明礬大橋は、マイカーだとよく分かりませんが、視線の高い高速バスだと景色が広がります。ずいぶん昔、高速バスからだと見えてしまう露天風呂があるとバスガイドさんが言っていたけど、真偽やいかに。
年末年始休暇の最終日とあって、別府湾SAへの入り口と、鳥栖JCTからしばらくの間は渋滞。20分ほど遅れて、終点・博多バスターミナルに到着しました。別府から3時間、4列シートではちょっと窮屈な感じでした。
旅疲れというよりは、飲み疲れ。そして明日からの職場は、通常営業です。
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新春別府で家族旅【1】マイクロバスで訪ねる名棚田
■旅と鉄道
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2016年01月02日
年末年始の長期休暇は、旅鉄派にとって貴重な長旅の機会。国内に海外に、毎年のように遠出してきました。しかし今年は、結婚して初めて迎えるお正月。好き勝手に旅立てる身分ではなくなりました。
大人しく、ほうぼうに挨拶回りかなと思っていたところ、12月なかばに両親から、ヨメさんも一緒に別府へ行こうとのお誘いが。それは好都合とばかり、その日のうちに列車と宿の予約を済ませてしまいました。
明けて2016年の1月2日。南福岡駅から快速電車に乗って、鳥栖へと下りました。両親は佐賀在住なので、別府へは久大本線経由が便利。久大本線経由の「2枚きっぷ」は鳥栖~別府間の設定のため、鳥栖までは定期券で下ってきました。
メインの玄関口を新鳥栖駅に譲っても、鳥栖駅のターミナル駅としての風格は変わりません。駅弁も名物かしわ飯や焼売などなど、お正月というのに豊富に取り揃えていて、ありがたいです。
この日は日豊本線でのダイヤの乱れを受けて、鹿児島本線にも遅れが発生。数分遅れで、ダークグリーンの元祖観光特急「ゆふいんの森」が入線してきました、
最近ではインバウンドの波に乗り、乗客の過半が外国人であることも珍しくないゆふ森。しかし今日の顔ぶれは、ほとんどが日本人です。繁忙期とあって早くから満席になっており、入国後しか指定券を入手できない外国人には予約が難しいのだと思います。
2区画しかないボックスシートの予約はかないませんでしたが、窓枠が入らない位置での前後席を確保できました。この位置の座席は向かい合わせにした時だけ、大きな折りたたみテーブルを使えます。滅多に使われないのか、汚れていたのは遺憾でしたが…
両親は久留米から乗車。さっそくテーブルにおせちを広げていると、客室乗務員さんがシャッターのサービスにあたってくれました。お屠蘇代わりの日本酒も交わし、実家の居間にでもいるような気分です。
いつもなら久留米を出ても行列が絶えないビュッフェは、外国人が少ないせいか余裕がありました。逆に外国人観光客にとって、「ゆふ森のビュッフェ」は欠かせない、知られた存在であるとも言えそうです。
車内の供食サービスといえば割高なイメージを持っている人も多いかもしれませんが、コーヒーは300円台前半と常識の範囲内。大手メーカーの生ビールはプラカップ1杯で410円とお安めで、嬉しくてついつい手が伸びてしまいます。
大きなガラス面からの展望が広がるサロンコーナーは、ずっと誰かが座っている状態。由布院でどっと観光客が降りて、やっと余裕ができました。
隣のビュッフェは、由布院からの乗客で再びピークを迎えます。由布院~別府の乗車では、短すぎてもったいない感じもしますが、外国人ならレールパスのおかげで金銭的な負担はありません。ちょうどお昼過ぎでもあり、移動中のランチを狙っている乗客も多いようです。
展望サロンには、お正月らしく絵馬の準備が。どれだけのご利益があるかは分からないけど、家内安全と、実家の商売繁盛を祈っておきました。
高架の大分駅を駆け下ると、車窓右手には青い別府湾が広がります。特急「ソニック」の狭い窓より、「ゆふ森」や普通電車の広い窓から楽しみたい車窓です。
うみたまごと高崎山の駐車場は、お正月とあって満杯状態。そういえば、今年は申年でした。
3時間弱の「飲み鉄」を終え、終点別府で下車。予約しておいた駅前のホテルに荷物を預けて、1時間ばかりのぶらぶら散歩に出かけました。
駅南側の高架下に連なる、別府駅市場へ。以前は高架下のダイエーを介して駅に直結していたのですが、ダイエーの廃業で離れてしまいました。空き店舗がちらほら見えるようになったのは残念だけど、正月から開けている元気な店もあります。生鮮品の安さも健在です。
別府カトリック教会。戦争直後、資材も資金も不足していた中、市民の浄財で建設された立派な教会です。
その真向かいにある古びた建物は、清島アパート。別府ならどこにでもあった風呂なしのアパートは、両親にとっては懐かしい雰囲気のようです。僕の生まれたアパートも風呂なしで、共用の浴場に通った記憶がおぼろげにあります。
しかし行灯がきれいだなと思ってよく見てみたら、クリエイターたちのワークスペースとして活用されている旨の案内看板が。へぇ~と思っていたら、自転車で通りがかった近所のおじちゃんに招き入れられました。
清島アパートは、別府で3年に一度開かれているアートイベント「混浴温泉世界」を期に、当初は期間限定でオープンしたアートスペースです。
共用部分は神田川の世界。隣の棟との間隔は極端に狭くなっていますが、ギラギラした直射日光が差さないことは、思索にふけるには向いているのかも。
1階はギャラリーなど創作の場、2階はクリエイターたちの住居になっているとのこと。さすがに2階をのぞくわけにはいきませんが、1階には見学自由のアトリエもあります。
畳をはがし、壁を白く塗れば、天井はそのままでもどこか「モダン」な展示空間になるのだから、不思議なものです。
部屋の隅の扉を開けると、昔のままの台所が現れるのも面白いところ。ガスコンロより、電熱器が似合いそうです。換気扇もないので、できる料理もだいぶ限られてたんじゃないかな。
別府でこんなアパートに住んでいた両親の青春時代って、どんな暮らしをしていたんだろうと思います。聞いたら延々としゃべりそうなので、思っておくだけですが(笑)。
共用の展示スペースは畳敷きのままで、あまり手が入っていません。入居者の活動内容はそれぞれ個性的で、興味深いです。
この春には2名のクリエイターさんが羽ばたいていくそうですが、そのうちまた誰か入ってくるだろうとのこと。このアパートに可能性を見出すクリエイターと、個性的な移住者を迎え入れる別府の人々。双方あってこそ、混沌とした別府の魅力が作られている、最前線の現場でした。
街中に出た本当の目的は、紙屋温泉の足湯に浸かるのことだったのですが、話に花が咲いてしまい、いつしか予定の時間に。流川通りに戻って、亀の井バスのマイクロ路線バス・内成線に乗り込みました。
内成線は平日1日4往復、土休日に至ってはわずか2往復で、午後3時前のこの便がなんと始発(笑)。日本の棚田百選にも選ばれた、内成棚田を目指す40分のショートトリップです。
一人だけいた乗客はわずか数分、まだ街中といえる光町で下車。山間ならともかく、歩いてもさほどではない距離なのに、1日2往復のバスを使いこなすとは!
我々4人の貸し切りになったバスは、朝見神社の駐車場待ちの渋滞にはまってしまいました。関係のない車なら迂回するのでしょうけど、「路線」バスではそうもいきません。10分ほどのロスになりました。
神社を抜けると、街がぐんぐん眼下へと遠ざかっていきます。しかも道は、普通車同士でやっと離合ができる程度の幅員しかありません。運転士さんは器用なハンドルさばきで、事も無げに走っていきます。
環境はちょっと違うけど、釜山のマチュピチュの異名を持つ、甘川文化村行きのマウルバスを思い出しました。路線バスで40分というと長く感じてしまうけど、この過程こそ楽しみたい路線です。
公民館前バス停から、棚田を見下ろす展望台が見えますが、あせっちゃいけない。もう少しだけ乗って、棚田見学におすすめのバス停として推薦されている、太郎丸バス停で下車しました。
市内からの片道運賃は500円を超えますが、1日乗車券「Myべっぷフリー」900円のエリア内なので、先に買っておくとお得です。時間があれば、明礬、柴石、亀川温泉から、鶴見山ロープウェイの麓までも巡れます。
折り返しバスの時間まで50分。おすすめ散策コースの一つである、隣の梶原バス停まで歩いてみました、あぜ道にはピンクのリボンが揺れていますが、コースを示すものではないので要注意。追っていたら道がなくなり、往生しました。
棚田はところどころでブロックに作り変えられているものの、大半は石積みのまま。ほとんど平地のない集落で、必死に米作りに向き合った先人の努力を今に伝えます。
棚田の数、なんと1,000枚。見渡す限り広がる、猫の額ほどの田の重なりに、ただただ圧倒です。
頑丈な石垣を作る職人のなせる業なのでしょうか、精巧なつくりのお地蔵様や石灯篭が、あちこちに点在しています。供えられているのは造花ではない生花で、内成の方々の心が見えてくるようでした。
眺めのいい場所には、ベンチが置かれています。今年の正月は暖かいほどで、ベンチに座ってぼおっと景色を眺めるにもいい天気でした。
あまりの暖かさに、菜の花まで。
梶原バス停から少し太郎丸側へ歩いて、水無の滝へ。水あるやんけ!と関西弁で突っ込むことなかれ。農繁期には田んぼに水を取られ、流れが止まってしまうのだとか。その時期に見たいような、見ても意味がないような…
内成線の山間部はフリー乗降区間なので、ここで帰りのバスを待つのもよいかも。
とはいえフリー乗降のバスには慣れていないので、2往復のバスを逃さないか何となく不安。梶原バス停まで戻って、帰りのバスを捕まえました。バスはもちろん、運転士さんも同じです。
街に戻って、母が予約していたお気に入りの居酒屋さんへ。6時の開店前に入れてもらえたのは、ありがたかったです。正月にも関わらず、新鮮な豊後水道の海の幸を楽しめました。
2次会は親子カラオケになだれ込み、しこたま飲んだ僕は千鳥足。ホテルのベッドにバッタリと倒れこみ、初夢の記憶は皆無でした。
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