湯布院を出て別府方向には向かわず深耶馬渓の狭い自動車道に入る。
耶馬渓一の紅葉スポットが深耶馬渓の「一目八景」展望台だそうで、紅葉の一時期だけ混雑するという。
一目八景は仙人ヶ岩、夫婦岩、烏帽子岩などの八つの景色を一目で見ることができる場所だ。
耶馬渓を抜けて青の洞門へ。
250年ほど前、禅海和尚が村人とも協力しノミと槌だけで掘り抜いた約342mのトンネル。
明治時代に大きな道路のために破壊されて今は一部しか残っていない。
30年かけて川沿いに掘られたトンネルのところどころに明かり穴が開けられている。
川沿いにあった道が水没して以来、村人は右上に見える細い道をたどり転落者が多かったらしい。
鎖も張られているが、それでも危険ということで今は通行禁止になっている。
迂回路とか水路とか、ほかに方法はなかったのだろうかなどと、不遜な疑問をもつ。
国東半島に入り訪れたのは宇佐神宮。全国4万余りの八幡社の総本宮だ。
八幡大神(応神天皇)をまつり神として725年に創建された。
6年後に比売大神、約100年後に神功皇后も祀られ、三神の御殿が並んでいる。
ほかに下宮があり、やはり三御殿であった。
宇佐神宮の鳥居は独特の様式だ。
上部の横材とその下の貫(ぬき)の中央に入れる額束(がくづか)という短い柱がない。
また柱の上にある黒い台輪も特徴的だ。
宇佐神宮から北東に道をとると天台宗の富貴寺に至る。
富貴大堂は国宝で阿弥陀如来座像が安置されている。
堂内の壁には浄土変相図などの壁画が描かれているというのだが、
彩色が剥落している上に証明がなく暗いので全く分からなかった。
それより境内にある笠塔婆や国東塔などの石造物が面白かった。
境内から出てきたところで、のんびりと地元のものを売っているおばさんがいた。
大分空港に向かう途中にある両子寺(ふたごじ)は富貴寺と同じ天台宗のお寺。
どちらも仁聞菩薩が718年に開基だそうだが、両子寺のほうは天台宗別格本山。
仁王門、山門、大講堂、奥の院、書院、護摩堂その他の伽藍があり、紅葉の名所でもあるそうだ。
短い時間で回りきれないので、今回は護摩堂で住職のお話をうかがっただけだ。
国東半島には磨崖仏や石仏が多いらしい。
両子寺の仁王像は国東半島最大の石造仁王で1814年の作と言われている。
長々とした旅行記を読んでいただき、ありがとうございました。