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今回のツアーの予定に「夜神楽鑑賞」と記されていたのを、よく調べずにいたが3日間でいちばん面白かった。
高千穂地方に伝承されている神楽は、
天照大神が岩戸に隠れられた折に、岩戸の前で天鈿女命が調子面白く舞ったのが始まりとされている。
毎年11月の下旬から2月にかけて村々で33番の夜神楽が実施される。
実施の場所はそれぞれの集会所であったり個人宅であったりするようだ。
浅ヶ部神楽 平成13年 の様子
ツアーでは里の夜神楽に参加するのは無理なので高千穂神社・神楽殿で毎晩行われている夜神楽を鑑賞した。
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高千穂神社では33番のうち「 手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」という岩戸3番と「御神躰の舞」が上演される。
高天原での須佐之男命の悪行に怒った天照大神が天岩戸に引き籠ったために世界は闇となったので、
天安河原に八百万の神が集まり相談した。
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まず天照大神がお隠れになった場所を探すために、力の強い手力雄命(たぢからおのみこと)が
静かに音を聞いたり考えたりする様子を表現する「 手力雄の舞」
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鈴と岩戸幣を持って舞う。青幣が山、赤幣は畑の象徴だそうだ。
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つぎに「鈿女の舞」 手力雄の力で天の岩戸の所在がはっきりしたので、
天鈿女命(あめのうずめのみこと)が岩戸の前で面白おかしく舞い、天照大神を岩戸より誘い出そうとする。
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赤頭巾に笑みをたたえた女面をつけ、三段切りの御幣と鈴を持ち優雅に舞う。
神話では天安河原に集まった八百万の神々の前で半裸になり神懸りして舞ったという。
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天鈿女命の舞に神々が賑やかな笑い声を立てる。
自分がいないのにどうしたことかと天照大神が少し岩戸を開けて覗く。
ここぞと手力雄命が岩戸を取り除く様子が「戸取の舞」で表現される。
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「手力雄」では白面であったが、「戸取」では赤面となる。
これは渾身の力を込めるため、面が紅潮した状態を表しているのだろう。
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紅い襷を取り出し肩から背中にまわす。
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いよいよ力も気合もみなぎってくる。
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「ああら来たり大神殿、なんとて出でさせ給わぬものならば、われ八百万神の神の力を出し
一方の戸を取りて投げ捨つれば、伊勢の国は山田ヶ原に着きにけり。
また一方の戸を投げ捨つれば、日向国橘の小戸の阿波木原にぞ着きにけり。
その時日月さやかに拝まれ給うものなりやぁー」 などと声明しながら舞う。
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片方の岩戸を投げ飛ばす。
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そしてもう片方も取り除いて天照大神を迎え出す。
勇壮で力強い舞であった。
古事記などには手力雄命が投げ飛ばした岩戸は落ちて戸隠山になったとされている。
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「御神躰の舞」は国生みの舞とも呼ばれるように伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)の二神が舞う。
新嘗祭(にいなめさい)を祝うために男女の神が新穀で酒をつくり神前に捧げる「酒おこしの舞」ともされる。
餅を入れた藁苞(わらづと)を棒にさして担いだ男神と桶とザルをかついだ女神が出て来る。
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二人で酒造りをしたり・・・
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髪をとかしたりして仲睦ましい。
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ところが男神が浮気心を起こし見物の女性客のほうへ飛び込んで行ったので大騒ぎ。
そのうち女神のほうも男性客にしなだれかかる。
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ようやく戻った二神は酒を酌み交わし、抱き合って夫婦となる。
大変面白かった。いつか、里で行われる夜神楽を通して鑑賞したいものだ。
伝統を大事にし、一夜の神楽を作り上げ、共に楽しむ村の人たちの様子も素晴らしいにちがいない。