山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

黒部ふたたび

2011-09-19 17:46:17 | フライフィッシング
さぞかし皆さんも12号台風には振り回されたこととお察し致します。
かく言う私もこの3連休は、若き釣友と南アルプス天泊釣行を計画していた訳でありますが、
1000ミリを超える降水量のため林道も源流帯も崩壊してズタズタとの事前情報を得てやむなく中止と相成った次第です。

しかししかし、せっかくの3連休、しかも禁漁間近ですからね、どこかに行っておきたい訳でして色々と検討を重ねた結果、
湖に流れ込む渓ならば流されてしまったイワナも遡上が早いだろうと乗鞍、御岳、黒部の源流に狙いを絞り最終的には黒部に決定。
もし木橋や梯子が崩壊していたらその時は剱岳登山に切替えようと覚悟して山装備も併せて車に積み込んで黒部に向かったという次第です。


途中、隊列を組んで歩いてくる登山道管理を請け負う建設会社の方々に出会ったので様子を尋ねてみると
『台風の影響は殆どない』とのこと、安心したというべきなのかどうも複雑な心境に陥ってしまう訳でして。









季節の移ろいは早いものでチタケの姿は殆どなく、代わりに愛らしいタマゴタケがニョキニョキと出揃っておりました。
ちょっと甘みがあって香りも良くてバタ-と塩のホイル焼きやパスタの具にと重宝するキノコでございます。



 
 





この梯子も健在でございました。
今回は初めから小屋泊まりと決めていたのでザックは約7キロ、楽ですねえ。



 





約1か月ぶりの黒部はいつもと変わらぬ爽やかな群青の空、これを見ているとスカッとするのです。
黒部に来て良かった、と思うと同時に相模の釣師さんを連れて来れば良かったと悔やんだりもするのです。









この峪は上流部よりも下流部の方が水量が少なくて穏やかに流れます。









下流部のイワナは小柄で20センチから精々23センチ止まり。



 
 




中流部に差し掛かるとダイナミックな渓相に変化してきます。









そしてイワナも8寸前後にサイズアップ。



 







時計も1時半をまわったのでランチタイムです。
今回のイワナは抱卵している雌が多いので心優しい僕は刺身は控えることにして
非常食のマフィンにサンドイッチスプレッドを塗って頂きましたが、これがまた結構イケルのです。
もちろんピ-カンの空の下でビ-ルをやらない訳にはいきません。












釣り再開は午後2時のことでした。
手前のタルミ、奥の巻き返し、そして流れだしとここでは3尾のイワナを引き抜きました。










この2尾は黒部のヒライワナ。
オレンジの斑点とY字の斑紋、そしてネイティブにも関わらず尾びれの小さいのが特徴だそうです。



 






午後3時、この辺りまで来ると活性はものすごく高くてイワナは超興奮状態。
50~60センチも横っ飛びしてフライに食らいついてくる光景はエキサイティングで
久々にフライフィッシングの醍醐味を存分に味わうことができました。









黄金イワナ、ヒライワナ、真っ黒イワナなど黒部特有のイワナたち。
しかも9寸~泣き尺までの良型岩魚がイルカショ-よろしく激しくライズする様をお見せできないのがとても残念です。









 









そして魚止め。
ここまで多分30尾以上のイワナと遊んでくたくたになっておりました。











魚止めの2尾目は黄金のヒライワナ。
以前から思っていたことなのですが、ヤマトイワナの血が混じっているのではないかと?
平の小屋の三代目にこの話をしてみると、その可能性は高いであろうとのこと。
つまり大規模な地殻変動以前の時代の黒部川は太平洋に繋がっていたという説もあるらしい。









午後5時過ぎに平の小屋に辿り着いて、幸いにも一番風呂でほっこりさせて頂きました。
今日の泊り客は5人、しかもすべて山屋崩れの釣り人なので心置きなく宴会に突入です。

この石油スト-ブ、実は暖房用ではなくて岩魚専用なのだそうです。
一番美味しいイワナの尾びれを焦がさずこんがり焼きあげるために芯の長さを変えているという
3代目ならではの拘りがあるんですね。岩魚の塩焼き特有の芳しさに食欲が湧きあがってまいります。








こんがり焼いたこの尾びれ、朝ごはんのフリカケになるのですが頼み込んで1枚食べさせていただきました。
パリパリの触感、口中に広がる香ばしい香り、味付けしていないのに深い味わい、いやぁ職人の技に脱帽です!







先ずは岩魚の塩焼きでご飯を2膳。
そのあとは虹鱒の刺身、釣り師が持ち寄ったツマミと酒で夜更けまで酒盛りが続きます。
今回は釣りの話よりも山の話で盛り上がり、テンカラの名手である3代目は実は実力派のクライマ-でもあったことを初めて聞かされまして。
数十年前に、フリ-クライミングで一ノ倉沢をやった話し、エベレストのアタック隊と共に最終キャンプまで登った話しなどは圧巻でしたね。







あくる日、充分に釣欲を満たされてしまった僕は渓に立つこともせず
前々から是非カメラに収めておきたいと執念の様に思っていた蝶を追いかけることにしたのです。







旅する蝶『アサギマダラ』
日本列島を北から南へ、南から北へと500キロも1000キロも旅をする蝶をようやく撮影することが叶いました。
この透明感のある美しい蝶の一体どこに1000キロもの距離を飛び続ける力があるのでしょうか?
そう思うと、アサギマダラに逢えることに感動すら覚えてしまうのです。





実は今回、自分のカメラにその姿態を収められたことはイワナが沢山釣れたことよりも遥かに心満たされるものがありました。







黒部、今年はこれが最後の旅になると思います。
多分、今年はもうロッドを握ることもないと思います。
思いがけずに良い釣りができたこと、追い続けたアサギマダラを撮影できたこと
沢山の心広き山屋さんや釣り師さんに出会えたこと、黒部に感謝せずにはおけません。


来年は是非とも温めていた想いを遂げたいと思います!












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24 コメント

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羨ましい! (ヒロキチ)
2011-09-19 19:02:25
「どこかに出掛けたのかな?」って思っていましたがやはり行ってましたね!

しかも黒部!!!

セイタカさんも「黒部バカ」の仲間入れですね
実は自分もなんとか調整して行きたかったんですが、姪っ子二番手が生まれたり、仕事上で思いがけないトラブルが起きてしまい、何もかもやる気が無くなってしまい、そのタイミングで風邪をひいてしまいました。

もう禁漁ですね。
けど、本当に黒部は色々な岩魚が居て、雄大な自然の中で岩魚んい会える天国のような場所ですね!

アサギマダラ綺麗ですね。
見ているだけで、ロマンが生まれる気がします。

今回は二泊三日ですか?
ちなみに沢は平の小屋の手前の沢ですかね?
風邪治って仕事休めたら自分もアッタクするかも!?です。

佐伯さんのロッククライミングの話やエベレストのアタック隊の話し、てっきりセイタカさんは知ってるかと思いましたが、思い出しました。
その話しを聞いたのは二日目の夜遅くだったので、自分しか居ませんでした。

目をつぶると黒部の風が、あの空、空気が思い出されます!
返信する
良い思いが出来ましたね! (熊!)
2011-09-19 20:00:49
最高の釣行になりましたね!

一年分の「岩魚」を釣り上げちゃいましたね!

私の方は、ぼちぼちでした、台風の影響と三連休とシーズンOFFが迫って釣り人が北信に集中して、賑やか過ぎ!


今週末の御予定は?
返信する
三連休 (ルアーK)
2011-09-19 21:24:35
私は、日曜のみの休みでした・・・。
特徴的な岩魚の写真、景色に癒されますね!
素晴らしい沢遊び、羨ましいです。私もいつかは、ご一緒させて頂きたいです。




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タマゴダケかわいい! (トム)
2011-09-19 22:10:05
いや~、でかいイワナですね!
しかも大量!!
私もいつかそちら方面へ釣旅に出掛けたいものです。
イワナの刺身も喰ってみたいし、タマゴダケもどんな味なのかな~?
腰を完治させねば。。
膝の具合は良いようですね^^
返信する
来季までに・・・ (相模の釣師)
2011-09-19 22:26:16
お疲れ様でした~私は連休は天竜&木曽テント泊に行ってました~
トラブルばかりで満足はいきませんでしたが、良い経験でした。

私はまだまだ山に関して経験が無さ過ぎ・・・スタミナも足りない・・・
来季までに丹沢周辺登山で経験を積んでご一緒できるように精進しておきます。

黒部の風を心待ちにしております!
返信する
懐かしいです (ゆっき-)
2011-09-19 22:48:17
黒部への道、長い梯子、どれもみな懐かしいです。釣りが目的なのにキノコや蝶にまで興味の対象の広いことに驚いてしまいます。私はただひたすら目指す場所へと歩くだけで精一杯で周りを眺めながら歩く余裕がありません。

石砂山の春蘭や岐阜蝶をあんなにゆっくり眺めたのは初めてのことでした。山歩きの経験を積んでゆけば少しずつ余裕が出てくるといいのですが。

ところで高崎さんは蝶の研究をなさっているのですか?アサギマダラが旅する蝶だということを初めて知ってとてもロマンチックに思います。指に止まっている金色?の縁取りのあるビロ-ドのような蝶も高貴な感じで素敵ですね。

平の小屋のお刺身とイワナの塩焼きは本当に美味しそうでビ-ルとご飯が進みそうです。マフィンとスプレッドは今度わたしも行動食にしてみようと思います。色々なことを学べる記事に感謝しています。ありがとうございました。
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行きたかった~ (へなちょこN)
2011-09-19 23:07:24
入れ違いに東京へ戻って早戸に行ってました。
今年もご一緒できなくて残念でした。

やっぱり日帰り釣行では限界がありますね。

是非、来年こそよろしくお願いします。
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黒部ボケ (高崎)
2011-09-20 00:29:16
ヒロキチさん

選択に迷った挙句やっぱり黒部でした。もし釣りがダメなら登山に切り替えるつもりで。今回のイワナは活性が高くて実にエキサイティングな釣りになりました。休みが取れるなら是非また訪ねてみるといいですな。

アサギマダラはホントにロマンです。8月にも撮影に失敗しているので姿態を収められたのは感動ものです。

岩魚の塩焼きが実に旨かったです。
やはりプロの技ですな。



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北信 (高崎)
2011-09-20 00:34:20
熊さん

北信の釣り旅、よかったね。
釣果よりも焚火を囲んでの美味い酒、旨い肴、友との語らい、心地よい眠り、もう言うことないでしょ。11月には千曲を下り富倉蕎麦を味わう旅に付き合ってもらいまっせ。

来週はみずがきのキノコ、行きたいなあ。
もう釣りは満足したからいいですわ。
仕事が詰まっているので日帰り、森の中で呑んでぐっすり眠りましょうかね。宜しくです。


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いずれ (高崎)
2011-09-20 00:37:39
ルア-Kさん

仕事、忙しくて大変だろうけれど頑張って下さいね。いずれ是非ご一緒しましょうね。

また冬になったら焚火を囲んで野宿合宿やりましょう。今度こそ地ベタに直接横たわって星空眺めながら眠るのですぞ。
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