この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

プリンセス・トヨトミ。

2009-03-19 22:38:20 | 読書
 万城目学著、『プリンセス・トヨトミ』、読了。

 続けて読んだ『ザ・万歩計』と『ホルモー六景』がすこぶる面白かったので、万城目、侮り難しと思い、彼の最新刊である本書は本屋の店頭に並んだその日にソッコーで購入しました。
 それなりに期待するものがあったわけですが、、、残念ながら『プリンセス・トヨトミ』、存外につまんなかったです。

 『鹿男あをによし』は未読ですが(ドラマは見た)、彼のデビュー作『鴨川ホルモー』とその続編『ホルモー六景』で跳梁跋扈するこの世ならぬものたちは、本当に京都ではこういった物の怪が存在しているのかも、と思わせるリアリティ(説得力)がありました。
 
 しかし、本作で存在が示される“大阪国”なるものはちょっとリアリティがなさすぎました。
 “王女”に危機が迫ると“大阪国”が発動するという設定なんですが、何だかやたら曖昧であやふやな情報を元に発動してるんですよね。
 これじゃ、ちょっと“王女”が周りの人に黙って二、三日旅行にでも出ようものなら、それだけで“大阪国”が発動するんちゃう?って思っちゃいました。

 それ以外にも“大阪国”発動はある人物の企みだったという真相なのですが、その企みが極めて雑でテキトーで成り行き任せ。
 その人物にはもうちょっとマシな計画を立てようよ、作者にはもうちょっと意外な真相を用意しようよ、といいたくなりました。

 あと、文章が何か読みにくかったです。
 例えば438p、
 時間が再開された途端、叫び声を上げ、大輔は階段を駆け下りた。
 とあります。
 時間が再開された?
 神の力を持つ何者かによって時間が停止させられ、そして再開されたのであれば、「時間が再開された」という表現でもいいけれど、そうでないならば「時間が再開した」という自動詞の方が正しくはないか?あ、いや、そうでもないのか?あれ?どっちだ?
 といった具合にそこかしこに文法的に合ってるのか合ってないのかよくわからない表現があって、そのせいでやたらと突っ掛かってリズムよく読めなかったです。

 そんなわけで 万城目学、個人的にソッコーで購入作家に昇格するも一作だけでそのうち図書館で借りればいいや作家へ降格と相成りました。短い春でした。笑。
コメント (3)
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