成功した手法

イトーヨーカ堂ザ・プライス千住店が４月１０日閉店した。
セブン＆アイ・ホールディングス名誉会長伊藤雅俊が育てた１号店。
『５７年間のご愛顧ありがとうございました』　シャッターの貼り紙を見た
常連客は「何でもそろって便利だった。時代の流れを感じる」。
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「あまりにも衣料品の売れ行きがひどかった」。と関係者は１９７２年の
上場以来、初めて営業利益が赤字に転落したイトーヨーカ堂の２０１６年
２月期決算を振り返る。
かっては４０％を超えていた主力の衣料品の「粗利率」は３２％台
まで落ち込んだ。売れ残った在庫をセールでさばくため、もうけが
出にくくなってしまった。食料品と異なり、イトーヨーカ堂ならでは
の服を買おうという人が増えなくなった。
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セブン＆アイは昨年１０月、フランスの著名デザイナー、ジャンボ
ポール・ゴルチェ氏がデザインを手がける自主企画の衣料品をイト
ーヨーカ堂で販売を始めた。ゴルチェ氏本人がＰＲする力の入れよ
うだったが、すでに大量の在庫が積み上がっている。
セブン＆アイ会長の鈴木敏文は、インタビューでこう語った。
「一律的な仕入れと、どの店舗でも似たような運営。結局、過去の
やり方から抜け出せないでいる」。イトーヨーカ堂の弱点を知り尽く
した鈴木でさえ、光明を見いだせなかった。５月末にセブン・アイの
新社長に就任する井阪隆一（５８）は、グループ利益の大半を稼ぎ出
すセブンイレブンの生え抜きだが、改革は一筋縄ではいかない。
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鈴木は、売上高１０兆円を超える一大グループに成長させた功績と
重い課題を残して去る。挨拶で「過去の延長は考えてはならない。常
に５年１０年先を見て今何をすべきかで仕事をしていただきたい」。
成功した手法から抜け出せずにいては、復活はあり得ない。


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