Nonsection Radical

撮影と本の空間

報道のあり方

2012年10月26日 | Weblog
某県某所の上空が騒がしい。
どうやら某市で起きた連続死亡行方不明事件の家宅捜査の様子を上空から撮影するためにマスコミ各社がヘリコプターを飛ばしたようだ。
あまりにウルサイのでベランダから空を眺めると8機のヘリコプターが上空を旋回している。
撮影しているのは最上階に作られた”物置”の写る”絵”なのだろう。
しかし、そんなものを撮影してなんになるのだろう。
その”絵”はすでに以前から”ニュース”で何度も放映されているはずだ。
家宅捜査が行なわれているというニュースを伝えるために、わざわざ各社がヘリコプターを飛ばして近隣に騒音をまき散らしているのだ。

『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』マーティン・ファクラー著 双葉新書刊 を最近読んだ。
著者はニューヨーク・タイムズ東京支局長なのだが、本の内容はなかなか示唆に富んだものだ。
中に、日本のマスコミはひとつのところに群れる、という事が書かれていたが、まさしく今日のヘリコプターの群れはそれに当たるだろう。
そして、価値のないニュースを追いかける、という事も書かれていたが、家宅捜査が行なわれているマンションを上空から撮影した映像がそれだろう。
視ていないのでわからないが、各社のニュースは同じような上空から撮影したマンションを報じているのだろう。
まったく意味も価値もない横並び報道だ。

この本の批評の中には「そんなにアメリカのジャーナリストが優れているのかぁ?」などとトンチンカンなものもあるが、ジャーナリストを志す者、特に大手報道機関の報道とは異なる記事を書きたい人には有用な内容である。
紹介されている大手のしている事とは違う事をすれば独自の記事が書けるのだ。
もちろん才能や努力が必要なのだが、少なくとも横並びの取材ではダメだと思っている人にはヒントがたくさん隠されている。
プレスリリースを取ってくるだけが“重要な”仕事である記者クラブ記者とは違う働きをしたいジャーナリストは、どのように考え、どのように動き、どのように報道する方法があるのかを説明してくれる。

残念ながら”批評”には、こういう読み方をする人はいないようで、報道する側も上記のような意味のない”報道”にカネと労力を使ってマスコミヅラしているわけだ。
しかし、報道の意味を考え始めた視聴者、読者にとっては、なんともつまらなく内容のない”ニュース”にしか思えないのだ。




京都府福知山市上紺屋町から


百済本通商店街 大阪市生野区
コメント
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