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神無月のV4

 この世には神も仏もない、とはよく言ったもので。
(不用意な発言で、また敵が増えた気がしますね?)
なかなかままならないのが人生って奴でごぜぇやす、ハイ。

 それというのも、本屋に寄った時に表紙買いした書籍が原因。

01_rc30_2
 【 RIDE40 】
このシリーズ、1巻毎に様々なバイクに焦点をあてて編集されており、
今回で40冊目を数える人気シリーズです。
写真の通り、今度の題材は【 VFR750R(RC30) 】という伝説のバイク。
 冒頭から、RC30を巡る初老のバイク乗り同士の
実にクサく(褒め言葉です)、濃い漫画が掲載されていて、
続いて【 HONDA V4エンジン 栄光の軌跡 】というサブタイトルの通りに
”HONDA=強いV4レーサー”の時代に登場したバイク達が紹介されています。
 
  
  
 以前より、発作的に当blogで「カムギアトレインのV4欲しいよー!」と
何度も申し上げておりますが、この本を読んでしまえば再燃することも必定。
沈静化していた、V4カムギアトレイン熱が沸々と盛り上がって参りました。
 然るに、
置き場所などの物理的な意味でCBR1000RRとの同時所有が難しい現実から
『乗り換えになるんだよなぁ・・・どうしようかなぁ・・・』などと悶々とし
妄想を繰り返していても仕方がないので、とりあえずバイク屋に行ってみる事に。

 片道1時間以内で行ける近隣で、在庫の充実度と経営の柔軟性を考えると
自ずとレッドバロンかホンダDREAM店になりますが、
在庫の融通に強いレッドバロンに行ってみることにしました。
このお店は、自称ではありますが買い取りも得意だという要素もあります。
 
 いつもの装備で自宅を出て、海岸沿いの産業道路を走ってゆきます。
途中、産業道路特有の”流れ”での速度違反以外は遵法で走っている私の後ろから
交差点内でも構わず、右へ左へとすり抜けてゆく中型バイクが登場。
『もしかしたらば、CBRとはこれが今生の別れかもしれないんだよな・・・』
などと思うと、ちょっとすり抜けが得意なぐらいのヤツに道を譲る気にならず、
ヤツが交差点内ですり抜けて行く姿を見過ごしながら、
交差点を通過して30m以上行った所でこちらも車線変更。
さっとヤツのケツに付くと、後ろに付いていく程の上手さでもないものですから
『いいや処理しちまえ』ぐらいのノリでサッサとパスし、
ヤツがそのままバックミラーから消えるのに、そう時間は掛かりませんでした。

 普段ならば、こういった不用意な行動はまず控えてはおりますが
たまにはそういう気分の時もあります(笑
それにしても際立つのは、
全ての身のこなしに於いて自分の思い通りに動くCBR1000RRの素晴らしさや。
CBRのみならず各社のリッターSSは、どれもが”道路を走る”という点に於いて
各メーカーが作りうる歴史上最高の量産バイクであるのは紛れもない事実です。
そういう究極の存在としての魅力は、些かも色褪せるものではありません。
 まぁ、詭弁のような”諸々の得手不得手”は存在しますが、
そういう論理を振りかざす人には、「カブが最強ですよ」と明言ですね(笑
無論、個々の好みの話はまたこれとは別問題ですけれど。
 
  
 いよいよ対向車線に現れたレッドバロンを目視し、
1車線半を使ったゆるやかなUターンで対向車線へ。お店に到着です。
メットを脱いで暫くしてから、先ほどの”ヤツ”が通り過ぎてゆくのを見ながら
小物入れだけ持って店内に入ってみました。

 丁度昼時とあってか、店員さんは2名しかおらず
一人は整備工場に、もう一人は初老の男性の対応をしていました。
 店内は、大手量販店ならではの在庫の豊富さでしたが
とりあえず入り口の道路際に、VFR400R(NC30)を確認。他には見あたりません。
それでもぐるぐると、様々なバイクを見て回ると・・・
最終型のNSR250Rを発見、やっぱりこのバイクが一番かっこいいですね~!(笑
入り口のVFRはかなり程度が悪く、ハンドルストッパーを削った後もあるので
私の目にはあんまり魅力的には映りませんでした。
 
 そこでふと整備工場に目を遣ると、
先ほどのものとは別のVFR(NC30)がリフトの上に乗せられているのを発見。
整備員さんに「ちょっと覗かせて頂いてもいいですか?」とお願いすると、
快諾してくれたので、しばし入り口から観察です。
この時、整備員さんが「あ!ロスマンズ1000RRの方ですか?」などと仰るので
「缶スプレーで塗ったんで汚いですが、そうですよ(笑」などというやり取りも。

 
 暫く店内を見ていると、初老の男性から解放された店員さんが
こちらに気づいたようで会釈をしてくださったものですから、
私も「お伺いしたいことがあるのですが・・・」と話を切り出しました。
お伝えした要点は、

・RVF(NC35)かVFR800(RC46-1型)が気になっていること
・もし買うなら置く場所がなく、乗り換え前提なのでCBRを下取りに出すこと

です。因みに、RVF(NC35)はこのようなバイク。

02_rvf400_cover
 10年以上前に手に入れたカタログからのスキャンです。
 
 予想以上に感じのよい店員さんに、これに基づいて話を進めてゆくと
いくつかの候補を見せてくださいました。

・RVF(NC35)は15,000km~22,000kmぐらいの間で3点
 諸経費抜きの状態で、車両が45万~60万円ぐらいのもの。

・VFR800(RC46-1)シルバー 528,000円で30,000kmぐらい。
 
 
 人気車ですから仕方ないとはいえ、RVFはやはり高値推移ですね。
一方VFRはモノの割に安いですが、
SSに比べ、RC46系のVFRはスポーツバイクではなく純粋なツアラーなので
”V4カムギアトレイン”という要素だけで選ぶと絶対に後悔しそうなので除外。
VFR1200Fも、やはり純然たるツアラーバイクなので同様なんですよね。
 
  
 ここで肝心なのが、CBR1000RRの買い取り(下取り)価格です。
私は補修用に純正部品の一部をストックしてありますが、

・純正の傷が少ないカウル、新品同様の純正マフラー、純正フェンダーなどの
 ”純正状態”に戻す前提で、25,000km走行のSC57後期型CBR1000RRは

 曰く「全国相場基準、季節に左右されないレッドバロン査定の場合でも
    【 良くて40万円~50万円ですね 】」

との事でした。
(因みに、バイク王のオンライン査定は78万円です。78万は明らかな嘘ですね)
なんでも、そこから販売時の消耗品交換の値段が引かれるんだそうで
タイヤやチェーンを換えれば、軽く10万は金額が下がりそうな感じです。
すると実際の買い取り価格は【 30万円 】ぐらいか。
 
『うーーーーん。RVF(NC35)だとして、追い金が+30万円か・・・』

こういう現実を目の当たりにすると、やっぱり戸惑ってしまいますよね。
自分で言うのもなんですが、私のCBRの状態はかなり良いのですが
それでも、4年落ちで25,000km走っているリッターSSはこの程度のようです。
もちろんノーマル状態に戻した上で、の話ですが。 
 
  
 店員さんとの話の中で、
中排気量クラスでのレーサーレプリカの魅力はまさに特別で
「乗って楽しいという感覚は別格ですよね!」というのが共通意見。
この店員さんはDRZ-400SMにお乗りのようですが、このバイクも同様です。
大中を問わず、基本が過剰な程にしっかりしたバイクはあんまり無いのが現状で
現行では、各社のSSとDRZやWRだけ。あとは絶版のレプリカ群だけです。

 無論、バイクの魅力は”走行性能”だけで語るものではありませんから
各々好みがあって、様々なバイクに好き好きで乗るのは素晴らしい事ですが、
私は”基本的な走行性能の高さ”と
”機械としての面白さ”ありきでバイクを選ぶ傾向にあります。
それは単純に「結果を出す為に人間側に要求するハードルが高い程面白い」から。
難しいほど、それを扱えた時の快感は高いものです。
高度な機械であればあるほど、人間側の言い訳をする余地が少なくなります。
 
 端的に言うと
【機械は人間を楽にする為のものではなく、人間の限界をより高くする為のもの】
それが私の信条なのです。だからオートバイにも同じ事を求めます。
でも勘違いしてはいけないのは、
それは”状況を弁えず無駄な危険行為をする”では無い事です(笑
 
 
 
 ここで、とりあえず”CBRの売値は30万ちょっと”を脳内から追いやり
店員さんに「店頭のVFR(NC30)の音を聞かせて頂くことは出来ますか?」
とお伺いすると、「いいですよ!よかったら整備中の方が程度がいいのでそちらを」
その事だったので、整備中のNC30を間近で見せて頂くことになりました。
なぜVFRかというと、エンジンがNC30とNC35で共通なのを知っていたからです。

 工場に行くと、整備の為にシートとテールカウル、ガスタンクを外したVFRが。
作業中ゆえ『無理かな?』と思ってお断りしようとすると
なんと、エンジンをかけられる状態にパーツを取り付けてくださるという事。
如何に客とはいえ、こういう対応をして下さるのは素直に嬉しいものです。
私の中でのレッドバロンのイメージがかなり良くなりました(笑

 早速ガソリンタンクを取り付けて作業員さんがエンジンをかけ、
店員さんが「よかったら回してみますか?」と仰るので、
「いや、暖機とかいいんですか?」と聞くと、「少し回すなら大丈夫ですよ」と。
お言葉に甘えて、パワーバンドが始まる手前ぐらいまで煽ってみました。

 整備中ゆえか、回転の上昇が鈍い事(これは暖機不足の事もあります)や
クラッチの作動抵抗が多い事などいくつか気になる点はありましたが、
「数日前まで通勤で使われていた車両」だというだけあって、
それなりに程度はよく、普通に使う程度ならば問題ない事が見てとれました。

 ここで確かめたかったのは
”高回転型V4カムギアトレインのエンジン音”でしたがこれは最高です!
強く、技術力の高いHONDAの音はやっぱりコレですよね~♪
ちょっぴり感動しながら暫し音を聞いていましたが、
騒音規制やツアラーという性格の為とはいえ、
新型のVFR1200Fや、RC46-2でこれを捨て去ったのがやはり残念でなりません。
 
 
 エンジンの状態も確認させて頂いた上で、
シートレールと、ガソリンタンクを見ているとどうしても確かめたい事が。
「このままで跨ってみてもいいですか?」とお願いすると、
作業員さんが、「シートとテールカウルお付けしますよ!」と、
これまたすぐさま取り付けてくださいました。
確認に必要な状態からして、そのつもりは無かったのですが・・・
ここでもやはり気遣いが嬉しかったです。

 早速跨ってみると、これがまた『なんだこの体に馴染む感じは…!!』
それというのも、タンクの形状やフレームの幅、シート高なども含めて
NSR250Rとほとんど同じなのです。
一番気に入って永く乗った、数台のNSRと違和感がないということは貴重です。
エンジンとして、並列2気筒と4気筒の良いところ取りな構成は
『やっぱり運動性を重視したオートバイにはV型しかありえないよな』と
あらためて実感させられる所で、V2にしてもV4にしてもやっぱり特別ですね。
 
 途中、整備員さんが最終型VΓ(VJ23乗り)だという話になったり、
「NSRがいいけど部品が無いので」のような話になったり^^;
「面白いバイクはやっぱりこの時代のものだよね」のような話になったり。
そしてどの店員さんも「RVFは別格」だと表現してたのがとても印象的でした。 
 
 なお、このVFRは欲しいRVF(NC35)とは違うものですが
(リアタイヤが18インチ・正立フォーク・旧型のキャブなどの相違があります)
40,000kmちょっとの走行でお値段は 【 318,000円 】でした。
 
 私が跨っているとき、店員さんの「似合ってますよ!」に関しては
『 セールストークにしても行き過ぎだろう 』と思いましたが・・・(笑
(自分がレプリカに相応しい程のアスリート体型ではない事は判ります^^;)
  
  
  
 ここで、
白のZX-14のレッドバロンでバイクを買ったお客さんらしい人が登場。
どうやら空気を入れてもらいに来たらしいので(笑
私はそろそろ退散することにしました。
整備工場と、案内して下さった店員さんにお礼を伝えつつ、
「検討してみます」と、名刺を頂戴して帰ることに致しました。
 
 
 総括。
『CBR1000RRの買い取りは程度が良くても30万円少々か…神も仏もないなー』
これが現在の感想です。 65万円ぐらいつけば踏ん切れるのですが…(笑

 最後に、CBR1000RRにはエンジン形式と発熱以外の不満はありません。
よく言われるような”持て余した”こともありませんし、
まぁ…足が短いので着きませんけれど、普段は立ちゴケの不安もありません。
現代のリッターSSに乗って、「乗り難い」などと
自分が至らないのを逆ギレしてバイクの所為にするほど愚かではありませんし(笑
 
 でも、RVF/VFRの体に馴染む感覚は特殊なんですよね。
あのバイク、実はNSR250Rよりもホイールベースが短く、車重は装備状態で183kg。
よく聞く”V型の熱”も所詮は400ccですからリッターSSほどの問題にはなりません。
しかもパワーは、無理のない範囲で70PS程度が出るんですよ。

 ホントにいいバイクです。現代にもこういうバイクが存在すればなぁ。
10年程メーカー各社の動向を見てきましたが、もう無理なんでしょうね・・・。
 
 あ、それと今回は語っていませんがRC45については憧れなだけです。
勿体なくて乗れないようなバイクは、本来の趣旨と外れますので(笑

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