昨年末、お客様から山種美術館さんのカレンダーをいただきました。
2ヶ月単位のカレンダーですので、3月には新しい作品、山種美術館の所蔵品を楽しめます。
楽しめると言っても、画商のおうちにやって来た美術館カレンダーさんは少しお気の毒💧のように思えます。
先日も、カレンダーを捲る私が「あぁ、3月は松園なんだぁ。あれ?この松園は何年ごろの作品だろう?
若い時の印譜に見えるけど」と言いながら眼を凝らして、作品下のタイトルと制作年を見てみると
昭和17年「娘」とありました。
「昭和17年ってあるよ。結構晩年の作品なんだわぁ」と私が言うと、
カレンダーに背をむけ作業していた佐橋がやっと声を出してくれました。
「17年だと、線がむっちりしてくるんだよね。なんていうかな?ふくよかな線になって
描かれる女性が悪く言うと中年っぽくなるんだ。」
結局、佐橋はカレンダーをじっくり見ることなく部屋を出て行きました。
17年と聞いただけで、作品を見なくても、雰囲気や線を想像できるのはさすがだなぁと思いましたが、
何をおっしゃる😤 可愛らしい娘さんではありませんか!
これは、中年のむっちりでなくて、若いお嬢さんのパンとしたお肌なの!
昭和10年代以降、松園は60代となり、日本画家としての円熟期に入ります。
線は益々豊かなり、女性ならではの美しいふくよかさが作品に表現され、現在の市場でも
この時期の作品が最も高く評価されています。
さすが、山種さん、大変素晴らしい作品をお持ちです。
ただ、あえて佐橋の好みと申し上げておきますが、
「松園が最も松園らしい線、生きている線を引いたのは昭和の初め、50代の頃だ」と感じているようなのですね。
晩年の作品に比べると、硬いといえば、少し硬いのかもしれませんが、
確かに線はピシと引けている、画家の画面に対する緊張感や集中力を感じます。
画家達の名前をずらっと並べ、或いはその画家の評価の高い時期の作品を集めることだけを目的にされる
コレクターさまがいらっしゃいます。そして、それは案外ご予算の豊富なかたがたに多い気が致します。
その画家の作品に何を見ているか?
その目線こそが、各コレクターさまの個性であり、ご自身の生きている証になるのだと思います。
松園>清方>深水?
清方>深水>松園?
笑笑
好き嫌いの基準で十分だと思います。頭ではなく、体ごとで、作品をお感じくだれば良いと思います。
ちなみに私は、やきもちが焼けるので、美人の美人画は苦手です😅
なかなか良い内容でした