12月に入った途端、空も気温も、一挙に師走らしさが増して参りました。
今年は炬燵を早めに出してしまったのがいけませんでした。やらなければいけないことは多いのに、お休みをいただくと私は結局炬燵に深くもぐり、じーと、ぼーっとテレビをみてしまったりしています。
それでも、一昨日の日曜日に「会期中に一人で出かけられるようになるといいなぁ」と思っていた長谷川潔展に電車にのって前回の須田国太郎展行よりは迷子にならず、伺うことができました。
場所は稲沢市荻須記念美術館さんです。
長谷川潔(明治24年1891~昭和55年1980)はもう皆様すっかりおなじみの版画家で、私も何度かこの作家の展覧会に出かけておりますが、今回はなんだかとても胸に響くものを感じました。
感動の種類は、「佐伯調」かな?
長谷川潔の言葉を各作品に添えてくださっている展示がきっととても良かったのだと思いますが、作家の生活や制作努力、また時代背景や思想、精神性などただ知識としてでなく、作品ひとつひとつに感じ得ることの多い展覧会でした。
佐橋と二人で展覧会を見ていた時は、私はいったい長谷川潔の何を見ていたのだろう?と思ってしまうほどでした。
やはり、長谷川潔の魅力は「黒」
そして、長年制作を共にした刷師の他界とともに自身の全ての制作に終止符をうつという人間性、精神性にあるのではないか?と思っています。
カタログには展示に添えられていた長谷川潔の言葉が掲載されていて購入を悩みましたが、佐橋美術店の本棚が本であふれかえっている様子を思い出し💦絵葉書だけを求めて帰りました。
昭和43年 オパリンの花瓶にさした種子草
梟 ベル・レッテル書房のマーク 1930年
帰りの名鉄電車を待つ間、線路に舞い降りてきたカラスの二羽の、多分まだ若い鳥だからだと思うのですが、その濡れ羽色の黒がまことに美しく感じられ、誰かとおしゃべりをしてこのホームにいればそれはそれで楽しいだろうけれど、このカラスの黒の美しさをこんなに深く感じられなかっただろうと思えました。それこそ、負け惜しみかな?
沈黙も言葉
長い沈黙の時間をもって制作に打ち込む作家たちの作品を、観る者も沈黙をもって眺め、深く感じ入ることの大切さ、その喜びを長谷川潔の黒が教えてくれたように思います。
長谷川潔のご紹介はこちらのページがとても丁寧に記してくださっています
展覧会情報はこちらからどうぞ↓
会期が10日までと迫ってしまいました。お近くでお時間がお有りでしたら
ぜひお出かけくださいませ。
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