あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

「 軍刀をガチャつかせるだけですね 」

2018年01月13日 03時52分16秒 | 大蔵榮一

ある夜
西田宅で私と彼と二人だけの懇談のときであった。
西田税 
君は武力行使をどう思っているのか
と、彼が突然質問を発した。

無暴に行使すべきではないと思います。
だが、何れはやらねばこの日本はどうにもなりますまい。

僕の理想は武力行使はやらずに維新が断行されることにある。
それは出来ない相談ではないと思っている。
蹶起すべき時には断乎として蹶起出来るだけの、協力な同志的結合の下にある武力、
その武力をその時々に応じてただ閃かすことによってのみ、
悪を匡正しつつ維新を完成してゆく。 つまり無血の維新成就というのが理想だ。

軍刀をガチャつかせるだけですね。

そうなんだ。ガチャつかせることは単なる、こけおどしではいけない。
最後の決意を秘めてのガチャつかせでなければならぬことは、もちろんだがね。

私もそう思います。だが、若い連中に無血が理想だなんてことを、
少しでもにおわしたら、それこそ大変ですよ。

もちろんそうだ。しかし、そういう考えを胸中奥深く秘めて、
僕は若い連中に対処したいと思っている。

大蔵栄一  ・・から


この記事についてブログを書く
« 昭和十年大晦日 『 志士達の... | トップ | 靑年將校の國體論 「 大君と... »