嶋津隆文オフィシャルブログ

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廃校利用の調査研究で全国を廻って思うこと

2016年03月08日 | Weblog

 

少子化の進行は、わが国の社会を様々な形で変容させようとしています。その一つが学校の統廃合です。それによって多くの廃校が生まれました。

 

文科省発表の公立校の廃校数は、平成14~25年度までの12年間で5,801校。しかもその廃校となった5,801校のうち、すでに取り壊された701校を除く5,100校は、「活用されているもの」が3,587校(7割)であるものの、「活用されていないもの」が1,513校(3割)にも及んでいます。

 

学校は地域の結集軸であり、統廃合は地域の元気を奪うものではないかとの声があります。それだけに学校再編を進めている自治体にとって統廃合による空き校舎等の活用策は、喫緊の課題となっています。にもかかわらず、廃校活用は十分には行われていないのです。

 

この一年近く、全国の廃校活用例の調査を重ねてきました。そのヒアリングを

しながら、廃校活用にあたってブレーキとなっている3つの壁を知らされまし

た。1つは地元の合意形成の困難さから制約として出てくるもの、2つは都市

計画法や建築基準法など法の制約として出てくるもの、そして3つはカネ(財

源)の制約として出てくるものの3つです。

 

しかしそれ以上にある課題が横たわっていることに気付かされます。これら3

課題の通底にあるものとして、自治体職員の消極姿勢を感じないわけにはいか

なかったのです。もちろん限界集落を抱え必死の自治体は少なくありません。

しかし他方で、時としてみせられる幾つかの自治体職員の無気力さには驚かさ

れるというものです。いわく住民合意が大変だ、法律の制約が掛かっている、

カネがない。そう口にしながら結局、動こうとしない層が存在するのです。

 

しかし他方で、そうした課題を知恵と工夫でクリアしようとしている自治体は

少なくないのです。少子化のフォローは広範囲に及び、たしかに大変ではあり

ます。しかしそのことに後ろ向きな役所の閉塞状況を崩す意味においても、全

国での先進的な事例を周知していくことは絶対に有効なことではないか。ヒア

リングを終え、強くそう思う昨今です。


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